■The Heat Is On / The Isley Brothers (T-Neck / CBS)
最近はモロにハードワークに突っ込んでいるサイケおやじにすれば、ある時はイケイケであり、また裏を返しての和みの懐柔という、些か貫けていない日々が続いているわけですが、そんな両面があればこそ、アナログ盤レコードというメディアは有用です。
つまりA面とB面に分かれている事で、それなりに異なった味わいが作り出された作品に出会ってしまえば、後は自ずと愛聴する道が開けるんですねぇ~♪
例えば本日ご紹介のアルバムは、アイズリー・ブラザーズが1975年に出した傑作人気盤なんですが、制作意図が明らかに異なるレコード両面の企画がたまらない1枚です。
A-1 Fight The Power
A-2 The Heat Is On
A-3 Hope You Feel, Better Love
B-1 For The Love Or You
B-2 Sensuality
B-3 Make Me Say It Again Girl
まず内容的には前作「リヴ・イット・アップ」の流れを見事に引き継いだファンキーロックなニューソウルで、まあ、こう決めつけて書いてしまえば各方面からのお叱りや顰蹙は覚悟しなければならないとは思います、
しかしサイケおやじの感性としては、A面ド頭のヘヴィファンク「Fight The Power」にしろ、続く漆黒の「The Heat Is On」にしろ、やっている基本はジェームス・ブラウンやスティーヴィー・ワンダーかもしれませんが、実はそれ以上に隠し様もないロックっぽさが露骨に良い感じ♪♪~♪
特に「The Heat Is On」において、お経のように繰り返されるメロディ欠損症候群のファンクリフに対し、満を持して炸裂するジミヘン型ギターソロこそが、まさに当時を全盛として過言ではないアイズリー・ブラザーズの大きな魅力なんですよねぇ~♪
ちなみに既に皆様もご存じのとおり、ここに収められたトラック各曲全てが代表作「3+3」で確立されたオケーリー、ルドルフ、ロナルドの年長組ボーカル隊とアーニー(g,ds)、マービン(b) の弟2人に従兄弟のクリス・ジャスパー(key) を加えたインスト組の6人だけで作られた! と、わざわざジャケットに記載されているあたりに彼等の自信が表れていると思いますし、実際に決して専門職域ではないアーニーのドラムスが敲き出すシンプルなリズム&ビートが逆に効果的なのは、確信犯としか言えません。
それほど狙いが定まったところに繰り広げられる執拗な繰り返しとシンコペイトの妙が、ファンクの基本姿勢を貫く「Fight The Power」の全米大ヒットに繋がったのでしょう。
ただしリアルタイムの我国では、明らかにメロディが欠損し、しかも黒人意識発揚の歌詞が直截的に伝わらない外国語である所為で、こうした音楽はウケるはずもなく……。
ですからモロにドゥーピー・ブラザーズ調のリズムギターとコーラスが心地良すぎるアップテンポの「Hope You Feel, Better Love」にしても、黒人グループが何故に白人ウエストコーストロックを!??!? 等々と揶揄誹謗される結果になったんですが、サイケおやじ的には、それこそが両バンドの相乗効果であって、これほど好きなスタイルもありません。
告白すれば学生時代のサイケおやじは、入れてもらっていたバンドでドゥーピー・ブラザーズのコピーもやっていたんですが、個人的にはこの「Hope You Feel, Better Love」で堪能出来るアーニーのギターを念頭に、ハチャメチャなジコマンジミヘンをやっていましたですねぇ。もちろん周囲からは顰蹙の嵐だったわけですが。
しかし、このアルバム本篇に話を戻した時、ここまで続く流れがイケイケのファンク&ファンキーロックで押しまくれたのは、明らかにアーニーの奮戦があればこそ!
それがB面では一転して和みのスローバラード大会に入った時、今度は年長組のボーカル&コーラスの美メロ優先主義やクリス・ジャスパーが操る各種キーボードの彩りが、本当にたまらない世界を提供してくれるんですから、もう何も言えませんよ。
特に思わず山下達郎の「My Sugar Babe」を歌ってしまいそうになる「For The Love Or You」の刹那の泣き節、そしてジャジーな「Sensuality」からネチネチメロウの真髄という「Make Me Say It Again Girl」へと続く流れは、ハードな仕事に疲れた後にはジャストフィットの癒し系♪♪~♪
ご存じのとおり、各曲が様々な歌手&グループによってカパーされ、時には堂々のパクリネタとなっているのも当然が必然だと思います。
ということで、A面がイケイケ、B面がメロウという見事なまでの二面性が楽しめる名盤です。
ところが、それがアダになったというか、既に述べたとおり、アイズリー・ブラザーズはそれゆえに我国では人気が出ず、結果的に山下達郎がブレイクした後に本家ネタ元扱いという点にのみ、注目された経緯が哀しいところでした……。
まあ、それも現在では解消されつつあるとは思いますが、そんなこんなでもアイズリー・ブラザーズは、やっぱり好き♪♪~♪
サイケおやじの感性には合っているんでしょうねぇ~♪