■バツグンの気持 / 円谷優子 (Vap)
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人脈も実力もありながら、なかなか世に出られない人ってのは、どこの世界にもいるわけですが、平成元(1989)年春に本日掲載のシングル盤を出した円谷優子も、失礼ながら、そ~ゆ~アイドルだったような印象です。
何しろ苗字からもご推察のとおり、彼女は特撮の神様・円谷英二の孫であり、ジャケ写からも一目瞭然にルックスもイケていましたし、歌唱力はリズム感も含めても、なかなかの素質と実力の持ち主だったと思います。
ところが、ど~ゆ~理由か、サイケおやじはリアルタイムで彼女が出演しているテレビ番組に接した記憶が全く無く、それでも当時は当たり前になっていたプロモーション用のビデオ映像だけは、ちょっとばかり見ていたというだけ……。
それでも掲載盤を入手したのは、告白すれば、完全なるジャケ買いでありました。
いや、というよりも、さらに真実を吐露させていただければ、ちょうどその頃はアナログのレコードがCDに取って代わられていた、つまりはアナログ盤最期の時代でしたから、正方形スリーブのブツが珍しかったという妙な刺激に衝動を駆られた事もあったんですよ、恥ずかしながら。
ですから、中身の楽曲は二の次だったわけですが、それでも実際に針を落とせば殊更A面に収録された「バツグンの気持」がキーボード類を多用して作られた所謂エレクトロポップなアイドル歌謡であっても、多々納好夫が書いたメロディにはアメリカンオールディズの味わいが滲み、またサウンド作りが当時の流行最先端ではありましたが、流石に船山基紀のアレンジはツボを外していません。
また、康珍化の綴った歌詞にしても、アップテンポの曲調を意識していたのでしょうか、なかなか語感がニクイばかりの好ましさ♪♪~♪
そして既に述べたとおり、円谷優子の歌唱はノリが良く、キャッチーな仕上がりは上質だったと思ったんですが、それほどヒットしたとは言い難いのが残念……。
ちなみにジャケ写には、テレビドラマ「ツヨツしっかりしなさい(日本テレビ)」のテーマソングというコピーもあったわけで、それなりに多くの日本人の耳には届いていた歌だったと思うですが、なんでかなぁ~~~?
それでも円谷優子は後になって、それなりに評価成功もあったわけですが、個人的にはもっと早く、そこに到達していても不思議ではなかったと思いますし、もしかしたら最初っからアイドルよりはニューミュージック系のシンガーとして登場していれば!?
なぁ~んていう妄想の繰り言も打ち消せないのがサイケおやじの正直な気持ちです。
ということで、誰もが運否天賦に支配されるのがこの世の理……、と納得するのはサイケおやじにとっては、なかなか難しい事です。
だからこそ、掲載の私有盤を今日までの長い間、壁に飾ってきたというわけです。