■思案橋ブルース / 中井昭・高橋勝とコロラティーノ (日本コロムビア)
ド演歌ヒット曲とご当地ソングは切っても切れない縁続きみたいなものと思えば、本日のお題「思案橋ブルース」は、その好例でしょう。
楽曲そのものは作詞作曲:川原弘&編曲:川口真の制作クレジットが入ってレコード化され、昭和43(1968)年に発売されるや、忽ちの大ヒットから今日までスタンダード化されているムード歌謡コーラスの定番曲ですから、日本で生活している我々にとっては、一度ならず耳にしている歌詞とメロディでありましょう。
また、流行歌ですから、日常生活においての会話中 ――
「ど~ですかぁ、あの件は?」
「う~ん、思案橋ブルースだよ……、今は……」
―― みたいな用いられ方さえ普通(?)だった時期もあったほどですからねぇ~~、その刷り込まれ方は半端じゃ~ありません (^^)
しかし、この「思案橋ブルース」は当初、演じている高橋勝とコロラティーノが活動の拠点としていた長崎の有名ナイトクラブ「十二番館」のハコバン時代から持ち歌としていた逸話は有名であり、もちろん曲タイトルの「思案橋」は長崎の歓楽街の地名と云われていたので、かなり以前にサイケおやじが長崎を訪れた時、「思案橋」の「橋」そのものは既に無くなっており、前述したとおり、地名だけが残っていたのは、ちょっぴり肩透かしでした (^^;
閑話休題。
で、主役たる高橋勝とコロラティーノのメンバーは川原弘(fl,sax)、山下昭二(g)、高橋勝(key)、菊地宏典(b)、浜島純昭(ds)、そして中井昭(vo) というのが当時の顔ぶれで、もちろん全員がコーラスも担当していたわけですが、このシングルバージョンでの演奏パートにはオーケストラも入っているので、実際のレコーディングセッションの実相は不明です。
しかし、リードを歌う中井昭のボーカルはソフトハスキーな声質と高音域もナチュラルに用いる素晴らしい節回しの持ち味が全開で、切ない心象風景が綴られた歌詞と哀切のメロディラインにはジャストミート ♪♪~♪
大ヒットしたのもムベなるかな、今日まで多くのカバーバージョンが制作発売され、その中では長崎時代にライバル関係にあったとされる内山田洋とクール・ファイブさえも演じているんですから、さもありなんでしょうか (^^)
また、個人的には西田佐知子やロス・プリモスのバージョンも大好きなんで、皆様各々、お気に入りのカバーバージョンを探索される楽しみをご提案させていただきます <(_ _)>
ということで、 「ご当地ソング」と云えば「歌碑」も外せない話題ですが、この「思案橋」にそれがあったのかは、ちょいと記憶が…… (^^;
再び訪れる機会があれば、確認する楽しみも残されているというわけです (^^;
思案橋の近くには、浅草移転前の吉原遊廓(元吉原)があり、この橋の上に立ち、吉原へ行こうか、それとも二丁目の芝居に行こうかと思案したので、思案橋の名がつけられたと云われています。
そのため、土橋から木の橋へ、木の橋から屋根のついた木廊橋へ姿を変え、また元の木橋に戻ったりと幾度となく変転を重ねてきました。
行けば散財してしまう花街へ「行こうか戻ろうか・・・」と多くの人が思案したということが、この橋の名の由来と言われています。
それだけ人生の分岐点を象徴しているのか、彼岸への思いも切実ならば、現在の幸せも考えてしまうというか……。
尤も、三途の川は渡し舟ではありますが (^^;