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サイケおやじの生活と音楽

出来る時にはやっておけ!

2005-12-23 18:01:36 | Weblog

あ~ぁ、昨日は大停電があったとはいえ、ブログが途切れて残念無念でした。つまり出来る時にやっておけ、という教訓ですね。

ということで、本日の1枚は、まったくそのとおりのアルバムを――

Traneing In / John Coltrane with The Red Garland Trio (Prestige)

今日でも続々と発掘音源が登場するコルトレーンは、もちろんジャズの巨匠で、夥しい録音から多くのアルバムが残されていますが、これは公式には2ndリーダー盤です。

と言っても、実はタイトルどおり、既にプレスティッジ社の看板になっていたレッド・ガーランド・トリオとの共演盤というスタイルになっており、もちろんコルトレーンとガーランドは、この時点でマイルス・デイビスのバンドから注目された新星♪ という扱いになっているわけです。

録音は1957年8月23日、メンバーはジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(P)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、モダンジャズではお馴染みの面々です。このあたりは、如何にも狭い超一流モダンジャズ・メンの世界の表れというか、ジャズの本場ニューヨークでの現実の厳しさを象徴していると思います。

肝心の演奏は、まずA面ド頭に収録されているタイトル曲「Traneing In」が、12・12・8・12という小節構成の変則ブルースで、イントロからそのまんま、ブルース感覚たっぷりの快調なガーランドのソロ・パートでスタートします。このあたりのレッド・ガーランド・トリオのグルーヴは、何時もながらのお約束ですが、それでも気持ちよくノセられてしまいます。

そして続くコルトレーンは、大量の音符を駆使してウネウネと果てしないフレーズが特徴の所謂「シーツ・オブ・サウンド」を完成させつつある姿を披露しています。ちなみにこの当時のコルトレーンは、セロニアス・モンク(p) のバンドに入って大いに注目されていたという、今では歴史のヒトコマの真っ只中! 実際、ここでもダークな音色で直向に吹きまくるところは魅力的です。またチェンバースのベース・ソロも「サンタが街にやってくる」の一節を盛り込んで、なかなか楽しく、迫力があります。アート・テイラーのバッキングの上手さも言わずもがな♪

2曲目は文字通りスローな「Slow Dance」で、いきなりアグレッシブなチェンバースのベースがイントロにあって驚かされますが、コルトレーンが素直な情感を込めて吹奏する哀愁のテーマに、グッときますし、アドリブ・パートでは、ガーランドが名人芸を披露しています。そしてコルトレーンはラストのテーマ吹奏で再び登場しますが、そこでは後年の名作「Naima」を想起させる部分までも聞かせてくれるのでした。

B面に入っては、いきなりの「Bass Blues」が快調なテンポで演奏されますが、コルトレーンはどこかしら迷いがあるらしく、そこを激しく突っ込むアート・テイラーのドラムスが流石! そしてソロ・パートが白熱していく様はハードバップの醍醐味そのものです。もちろんガーランドは余裕たっぷりで、このトリオのパートも、また別の意味で楽しさ満点♪

そのリラックスした部分は、次のスタンダード曲「You Leave Me Breathless」で満開です。まず何と言ってもガーランドの上手さが、イントロから巧みなバッキング、流麗なアドリブ・ソロで輝いています。また主役のコルトレーンは丁寧なテーマ吹奏に、コルトレーンだけが表現出来る哀愁を滲ませて、ファンを喜ばせます。チェンバースの意表を突いた絡みにも仰天!

そしてオーラスは、コルトレーンが本領発揮の超快速バージョンの「Soft Lights And Sweet Music」で、これには百戦錬磨のメンバーも必死の追走を演じる他はありません。ただしコルトレーンにしても、後年の凄みよりは縺れの方が目立ちますが、それでもこの激しさはジャズを聴く喜びだと思います。

ということで、これはかなりの充実盤で、録音も迫力があり、おそらくヴァン・ゲルダー・サウンドの典型になっていると思います。

またプレスティッジ・レーベルの製作方針は、まず初めに録音ありなので、一気にレコーディングした音源を小出しに組み合わせたアルバムを発売するのが常道なのですが、この作品は珍しくたった1日のレコーディングだけで構成されています。つまりそれだけこのセッションが素晴らしかったというわけです。

そしてコルトレーンはこのセッションの翌月、ジャズ史に残る名盤「Blue Train」をブルー・ノート・レーベルに吹き込み、ますます上昇機運に乗っていくのですが、その片鱗がこのアルバムの、特にタイトル曲に顕著だと思いますので、ぜひ、お楽しみ下さい。

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