OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ザ・フーの真髄ライブを堪能しようっ!

2012-01-04 16:17:19 | The Who

The Who Live At The Isle Of Wight Festival 1970 (Warner Vision = DVD)

今年はパァ~~ッと行こう!

その第二弾は、1970年夏のザ・フーが世界最高のライプバンドだった証明映像です。

 01 Introduction
 02 Heaven And Hell
 03 I Can't Explain
 04 Young Man Blues
 05 I Don't Even Know Myself
 06 Water
 07 Shakin' All Over / Spoonjul / Twist And Shout
 08 Summertime Blues
 09 My Generation
 10 Magic Bus
 11 Overture
      It's A Boy
     Eyesight To The Blind
      Christmas
 12 The Acid Queen
 13 Pinball Wizard
 14 Do You Think It's Alright
 15 Fiddle About
 16 Go To The Mirror
 17 Miracle Cure
 18 I'm Free
 19 We're Not Gonna Take It
 20 Tommy Can You Hear Me?

巷間定説となっている、当時のザ・フーは最強ライプバンド説は、確かに間違いの無い真実なんですが、しかしその時期に来日してくれなかった事もあり、我国の洋楽ファンにとっては、あくまでも「噂」や「幻」でしかなかったそれに接する幸せと驚愕が、まず、ここにあります。

もちろん我々は1967年の「モンタレーポップフェス」や1969年の「ウッドストック」等々の記録映画で、ザ・フーが如何に物凄いステージをやっているかは知っていました。しかしリアルタイムで接することが出来たのは結局、その極一部分でありましたから、1996年になってようやくここに纏めてられて世に出た約85分間のぶっ通しライプ映像は、まさに待望久しいお宝の発掘に他なりません。

というのも、この映像の元ネタである第3回ワイト島ロックフェスティバルは、当初から記録映画が作られる前提にありながら、主催者側の資金難や出演者側との権利関係でゴタゴタが続き、せっかく撮影した映像や録音された音源は死蔵……。

ですから、当然のようにブート市場では絶大な存在価値が認められ、ザ・フー以外にもジミヘン、ドアーズ、マイルス・デイビス、ムーディ・ブルース、エマーソン・レイク&パーマー等々の大物ミュージシャンのマテリアルが裏流出していましたし、どうにか部分的に権利関係をクリアしたものでも、疑似オフィシャル扱いになっていた現実もありました。

そこでザ・フーの場合は、1970年8月30日というよりも、現実的には観客とのトラブル等々によるステージ進行の遅れで翌31日の午前2時から敢行されたライプということで、バンドは初っ端から異常なハイテンション!?

もちろん相当に荒っぽい、ミスも散見される歌と演奏が逆にロックの醍醐味を生み出せる幸せな時代という点を差し引いても、ザ・フーの真骨頂をここまで堪能出来る映像は無いでしょう。

ただし、こういう作品にはありがちなんですが、音声部分の要である演奏音源のミックスがイマイチ、ロックっぽく無いところが勿体無いばかりで、具体的にはオープニングの「Heaven And Hell」から「I Can't Explain」あたりは、演奏パートとボーカル&コーラスが遊離したような聴こえ方なんですねぇ……。

しかし続く「Young Man Blues」からはそれも改善され、抜群のカメラワークと編集作業に負けず劣らずの演奏そのものが、これぞっ、ハードロックの極みつき! とにかくロジャー・ダルトリーのメリハリの効きまくったボーカル、ドカドカ煩くて、しかもシャープなビートを敲き出すキース・ムーン、激しいアクションから立体的なコードとツッコミ鋭いソロフレーズを弾き続けるピート・タウンゼント、さらに驚愕のフラッシュフィンガーでバンドを煽るジョン・エントウィッスルのリードベース!

もう、これにシビれなかったら、ロックを感じる基本的感性が無いと断じますよ。

それほどの大名演だと、サイケおやじは絶対的に思います。

また今となっては瞠目する他はない「Water」が、ここに堂々のライプバージョンでリアルタイムの実相を明かしているところも高得点!

なにしろこれはピート・タウンゼントが当時の意欲的新作として目論んだ「ライフハウス」という、結果的にはザ・フーの幻のアルバムになった中核の曲だと言われ、デモテープをなんとか仕上げたトラックが1973年にひっそりとシングル盤B面扱いで世に出たり、公式レアリティーズ集やブートのウリになっているネタなんですから、ファンとしては穏やかではありません。

そしてザ・フーは、これを強靭なブルースロックの手法を大胆に使いながらも、十八番の短編小説的な組み立ても見事なライプバージョンで聴かせてくれるんですから、こんな贅沢はありません。

また、この曲をやる前のMCが寸劇調で、なかなかドメスティックなジョークや毒気のあるザ・フーならではのステージ進行は、これを見ないと収まらないほどでしょう。

ここでもカメラワークと編集の上手さは流石だと思いますが、その意味で続く暴走のロック大会とも言うべき「Shakin' All Over / Spoonjul / Twist And Shout」「Summertime Blues」「My Generation」、そして「Magic Bus」は実際のライプでは中盤のトミーメドレーの後に演じられた、つまり本当のクライマックスだったんですから、それを強引(?)に組み替えたのは賛否両論でしょう。

またお目当てのトミーメドレーにしても、ここでは抜粋編集ですから、またまた納得出来ないファンも多いはずです。

しかし、このあたりは同時期に発売された音源だけの、ほぼ完全収録版2枚組CDがありますので、心配はご無用です。冒頭に書いたような音声ミックスの問題も、これはそれなりに解消してありますよ。

ただし個人的には、一度でもこのステージの映像を観てしまうと、ど~しても音源だけでは物足りなく思うのが本音です。

なにしろメンバーの衣装がロジャー・ダルトリーのフリンジジャケット、ピート・タウンゼントは白のツナギという、あのウッドストックと同じところも嬉しいですが、アッと驚くジョン・エントウィッスルの骸骨スーツは今や伝説! またキース・ムーンのTシャツ姿の潔さも強い印象を残すはずです。

そして彼等が動くだけで、そこにはロック魂に満ちたオーラが発散され、加えて真性ハードロックの本物の輝きが眩しいんですよねぇ~~~♪

その意味で幾分短縮されたトミー・メドレーが荒っぽく演奏される展開は、オーラスの「Tommy Can You Hear Me?」が最高の余韻を伴って終る演出に収斂するという、とても良く出来た流れが秀逸!

なんだかんだ文句を言う前に、絶対にこれを堪能しなければウソですよ、ロックな人生は。

さらに繰り返しになりますが、全体の流れが実際のライプ演目順を変更組み換えしてありながら、その編集の上手さは素晴らしく、例えば「My Generation」~「Magic Bus」に続くパートでは、実際にはその間に「Naked Eye」が入っていたんですが、それがカットされた事が問題無く楽しめるほどですよ。

そして最後になりましたが、既に述べたとおり、このフェスティバルで撮られた映像からは、「輝かしきロックの残像」という記録作品が作られ、これも今ではソフト化されていますが、内容は関係者の苦労話の回想がメインで、出演者のライプパートは少ないのが悔しいところではありますが、ザ・フーでは割愛された件の「Naked Eye」が、そこで鑑賞出来るので要注意でしょう。

ということで、これもまた、特段に気合いが入るブツですよっ!

真の全盛期であり、まだまだ上り調子だったザ・フーの凄さは、これでも全てではないと思いますが、まちがいなく観ないで死ねるか!

皆様には、ぜひともご覧いただきたいと強く思います。

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2 コメント

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遅ればせながら鑑賞しました♪ (ともりぃ~)
2015-01-18 20:12:31
この時代のザ・フーは何度 観ても聴いても飽きません。よっぽど好きなんだなぁ~と思います。
キース・ムーンのお茶目な感じ …微笑ましいけどなぜか悲しいのは早くに亡くなってしまったからでしょうか?
ジョンの骸骨スーツ…個性的ですね。ファッションにもこだわりのある人だったのかなぁ。
観客も終盤に差し掛かってくると陶酔しきっていますね。
そして昨日行った京都の老舗のロックBARで偶然ザ・フーの曲がかかっていて思わずウルっと(;_;)きてしまったのでした。
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骸骨スーツは文化遺産か (サイケおやじ)
2015-01-19 15:05:50
☆ともりぃ~様
コメント、ありがとうございます。

今も一応は存続しているザ・フーではありますが、個人的にはジョン&キース・ムーン組が揃っていてこそのザ・フーなんですよ。

タイムマシンにお願い出来るのなら、ザ・フーの次元追っかけ、やりたいです(笑)。
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