OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

気の合う仲間は良いもんだ♪

2007-10-06 18:20:48 | Weblog

せっかくの休日なのに、野暮用が多くて、ちっとも自分の時間がありませんでした。

それでも古い友人達の集りに、ちょっとだけ顔を出せたのは嬉しかったですねぇ♪

ということで、本日は――

Hank / Hank Mobley (Blue Note)

ハンク・モブレーはハードバツブを代表するテナーサックス奏者で、モダンジャズ全盛期には多くのレコーディングを残していますが、リーダーとしての評価は低いとされています。

それは本人の奥ゆかしい性格云々と解説されていますが、何か仕事をやる現場では、強力なリーダーシップよりも、その場の皆が気持ちをひとつに出来るような、一歩引いた纏め役も必要でしょう。

そしてハンク・モブレーは、まさにそうした人だったと思います。例えばマイルス・デイビスのバンドで些かヘタを打った時期でさえ、自分のリーダーセッションでは水を得た魚のように素晴らしい演奏を残しているのですから!

このアルバムもそんな資質が良い方向に作用した名演集で、メンバーはハンク・モブレー(ts) 以下、ドナルド・バード(tp)、ジョン・ジェンキンス(as)、ボビー・ティモンズ(p)、ウィルバー・ウェア(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、アクの強い面々が勢揃い! もちろん熱血演奏はお約束ながら、非常に纏まった仕上がりになっているのは、ハンク・モブレーの人徳かもしれません。

しかし、ズバリと自分の名前をアルバムタイトルにしたのは、矜持の表れ!?

ちなみに録音は1957年4月21日とされています――

A-1 Fit For A Hanker
 ハンク・モブレーが十八番のリフを繋ぎ合わせて作り出したスピーディなハードバッブ♪ 快適にリズム隊が特に秀逸ですから、ホーン陣も気持ち良くアドリブをスイングさせていきます。
 まずドナルド・バードが流麗なフレーズと淀みない展開を聞かせれば、ジョン・ジェンキンスはチャーリー・バーカー直系のスタイルながら、その音色やフレーズの特徴はジャッキー・マクリーンにそっくりというイキの良さです。
 続くボビー・ティモンズのビアノも硬質なスイング感が強烈ですし、フィリー・ジョーは素晴らしいクッションを生み出しているのです。
 演奏は中盤でグルーヴィなリフが提示され、ウィルバー・ウェアがヘヴィなベースのブレイクを入れた後、満を持して登場するのがハンク・モブレーですから、たまりません♪
 あぁ、独特のタメとモタレのコンビーションから泉のように流れ出る流麗な「モブレー節」の魔力こそ、ハードバップ全盛期の魅了のでしょう。
 ちなみに当時のハンク・モブレーはホレス・シルバー(p) のバンドではドナルド・バードと一緒であり、ジョン・ジェンキンスはニューヨークに出てきたばかりの新鋭、さらにボビー・ティモンズは西海岸から東部に戻った直後という、なかなか意味深な時期でした。またフィリー・ジョーはマイルス・デイビスのバンドレギュラーであり、ウィルバー・ウェアはジャズ・メッセンジャーズやセロニアス・モンク(p) のバンドを行き来していた頃ですが、全員が何らかの繋がりでハンク・モブレーとは顔馴染みという仲間意識が、アルバム全体の雰囲気の良さなんでしょうねぇ、決して馴れ合いでは無く。

A-2 Hi Groove, Low Feed-Back
 これもハンク・モブレーのオリジナルで、典型的なハードバップのカッコ良さに溢れた名曲・名演になっていますが、曲名そのものも、なかなか味があると思います。
 アグレッシブなドラムスとベースのコンビネーションに導かれたテーマからハンク・モブレーがグルーヴィなアドリブに入っていくあたりは、ゾクゾクさせられます。フィリー・ジョーを中心としたリズム隊も実に素晴らしいですねぇ~♪
 そして明朗快活なドナルド・バードと骨太のジョン・ジェンキンス、抑えたファンキー感覚が実に味わい深いボビー・ティモンズと快演が続きます。
 さらに終盤ではウィルバー・ウェアのベースが大活躍! その裏街道的なグルーヴは、フィリー・ジョーのオールドタイミーなクッションとは意外なほどに相性が良く、セッション成功のカギだったのかもしれません。
 
B-1 Easy To Love
 和み系スタンダードをアップテンポのハードバップに仕立て上げた、これまた素晴らしい演奏です!
 まず短いテーマの提示からハンク・モブレーが流麗な歌心に満ちたアドリブに突入! テーマメロディの変奏も巧みに混ぜ込みながら、まろやかな音色で歌いまくりです♪
 待ちきれずにアドリブに入ってしまうドナルド・バードのスピード感も強い印象ですし、ジョン・ジェンキンスの激情節は、決してジャッキー・マクリーンの代打ではない存在感があると思います。
 それとここでもフィリー・ジョーが痛快なドラミングを聞かせてくれます! ボビー・ティモンズも全く油断出来ない雰囲気になっていますし、ウィルバー・ウェアは実に楽しそうなんですねぇ~。
 クライマックスでのフィリー・ジョー対フロント陣の対決は、ハードバップ最良の瞬間だと思います。

B-2 Time After Time
 これまた和み系のスタンダードですが、定石どおりにスローテンポで演じられますから、ホッとします。
 美しいテーマメロディをリードするドナルド・バードは素直で好感が持てますし、刺激的なリズム隊に煽られたジョン・ジェンキンスもシブさを聞かせます。またボビー・ティモンズは後年のジャズメッセンジャーズ時代に多用するリズムパターンを既に使っているんですねぇ
 肝心のハンク・モブレーはラストテーマに繋ぐ最終パートで登場し、そこはかとない歌心の妙を堪能させてくれます。素晴らしいブレイクと音色の魅力♪ この黒くてソフトな感性こそ、ハードバップそのものでしょうね。

B-3 Dance Of The Infidels
 オーラスはバド・パウエルが書いたエキセントリックなビバップ曲を豪快なハードバップにしていますが、その要はフィリー・ジョーの強烈なドラミングです。猥雑な雰囲気が滲むホーンの合奏もたまりません。
 アドリブ先発は熱き心のジョン・ジェンキンスですが、やはりジャッキー・マクリーンとの比較は避けられないところでしょう。個人的には残念ながら……。
 しかしドナルド・バードが異常にハッスルしますからねぇ~♪ フィリー・ジョーのドラムスもゴキゲンなノリですし、ボビー・ティモンズもニクイ小技を出してきます。
 するとハンク・モブレーが、お約束ばかりの快演です。あぁ、これがハードバップです!

ということで、モダンジャズ全盛期の1枚として忘れられない名盤でしょう。特にフィリー・ジョーは全曲で決定的な快演を残していますし、メンバー全員が安定感のあるプレイでソツがありません。

しかし皮肉にもそれが人気盤になれない原因かもしれません。なにしろ当時は、このレベルのセッションが連日のように記録されていましたし、もちろんこれ以上の出来栄えとなった演奏だって、どっさり残されているのですからっ!

正直、やや違和感のあるメンバー構成ゆえに、それが面白いと受け取るか、聞かず嫌いに終わるかという分かれ道のアルバムかもしれません。

しかし結論は、聴かずに死ねるか!

特に大音量で体感すると、たまらないものがありますので、機会があればジャズ喫茶でリクエストするのも一興かと思います。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (bob)
2007-10-07 00:02:47
>このレベルのセッションが連日のように

ほんとにそうですね、ですからメンバーとか演目とかで自分好みのブツを見つけないと大変ですね。
見つけた時の喜びもJAZZファンならではでしょうか。
個人的にはジョン・ジェンキンスが聴けるので好きです。
返信する
からっと秋空 (GORI)
2007-10-07 13:22:49
からっとした秋空のもと、すっきとハード・バップいいじゃないですか!

フィリー・ジョーのドラミングが切れ切れでグッドです♪

もちろんモブレーのうねうね(笑)したテナーも
Two-Thumbs-Upです。
返信する
ジェンキンスと仲間達 (サイケおやじ)
2007-10-07 18:15:55
☆bob様
コメントありがとうございます。

ジョン・ジェンキンスは、このアルバムに参加しているボビー・ティモンズ&ウィルバー・ウェアとも繋がっていますよね。
ブレスティッジの傍系「New Jazz」には、クリフ・ジョーダンと組んだ「ジェンキンス、ジョーダン&ティモンズ」という名盤がありますからねぇ~♪ ゴリゴリのハードパップ!
ぜひともオリジナル盤が欲しくて探していますが、なかなか良いブツに巡り合えません。
返信する
フィリー・ジョー万歳 (サイケおやじ)
2007-10-07 18:21:44
☆GORI様
コメント感謝です。

フィリー・ジョーはホント、ツボにきますねっ♪
独特のクッションが最高です。
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