■もうひとつの心 / ティナ (EXPRESS / 東芝)
様々な意味合いでレコードジャケットには「騙し」が含まれている事は詳らかに説明する必要も無いと思いますが、例えば往年のエレキインストやムードミュージック系レコードのジャケ写には白人系の美女が時には水着姿やヌードで登場して当たり前という常識があり、また映画劇伴のオリジナルサントラ盤やカバー盤には、その作品のスチールショットが用いられたりするのは良心的!?
酷い場合になると、全然関係の無いイメージデザインや収録音源を演じているミュージシャンや歌手とは別人を登場させていたブツもあったのが、今となっては如何にも20世紀の仕様だったのかもしれません。
さて、そこで本日掲載したシングル盤のジャケ写には、十朱幸代と渡瀬恒彦が堂々と登場しているので――
おっ!
これはっ!
十朱幸代と渡瀬恒彦のデュエット作かっ!
と、思っても当然ですよねぇ~~~。
しかし、実際はティナと名乗る女性ボーカルデュオが歌ったテレビドラマの主題歌というのが本当のところで、そのテレビドラマこそが、昭和54(1979)年に放送されていた「愛と喝采と(TBS)」であり、十朱幸代と渡瀬恒彦が出演しているのは言うまでもありません。
もちろん、騙されてしまったのですから、サイケおやじが件のテレビドラマに接していなかったのは、これまた同様のテイタラクではありますが、さて、肝心の主題歌「もうひとつの心」は作詞:及川恒平&作編曲:惣領泰則が手掛けた洋楽系AORな歌謡曲であり、如何にも「らしい」せつないメロディがイイ感じ♪♪~♪
そして歌っているティナは惣領智子と高橋真理子という、惣領泰則が昭和46(1971)年に結成し、最初っからアメリカで活動していたブラウン・ライスと名乗るグルーブのメンバーで、惣領智子と惣領泰則は当時夫婦関係にあり、また高橋真理子はアメリカ本土でブラウン・ライスに参加した日系三世だったんですが、そのブラウン・ライスについても、あれやこれやと書きたい事がありますので、追々に (^^ゞ
閑話休題。
しかしながら、この「もうひとつの心」は、その出来栄えとは裏腹に大ヒットには至らず、それどころかドラマ本編の劇中挿入歌だった岸田智史の歌う「きみの朝」が爆発的なメガヒット!?!
今となっては、岸田智史の大ブレイクを語る時には欠かせないテレビドラマとなっている「愛と喝采と(TBS)」ではありますが、本来の主題歌「もうひとつの心」も、強く再評価を望むところです。
ということで、思い入れ・思い込みも趣味の世界では正当化される行動だと思うサイケおやじにとっては、「騙し」とか「騙され」というフェイクの存在も許せてしまうんですよ、ある程度ではありますが (^^ゞ
そんなこんなも、趣味に生きる道の険しさ……、なぁ~んて居直る気持ちは、毛頭ございませんので <(_ _)>