午前中は忙しく、午後は嬉しくも暇が出来たという、本当の休日でした。それにしても、なんだか寒くなりましたね。この間までの蝉の声が虫の声に変わったことに気がつきました。
ということで、本日は心温まるアルバムを――
■Cliff Jordan (Blue Note)
これはジャズに限りませんが、雰囲気が好き! というアルバムは確かにあると思います。
で、私にとっては、これがそうした1枚♪
リーダーはクリフ・ジョーダンという黒人テナーサックス奏者とされていますが、ジャケットには参加したメンバーの名前を列記され、アルバムタイトルが特に付けられていないあたりも、意味深!
録音は1957年6月2日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ジョン・ジェンキンス(as)、クリフ・ジョーダン(ts)、カーティス・フラー(tb)、レイ・ブライアント(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という味わい深い面々です。そして演奏はジャムセッション色が濃く、しかし一種独特の雰囲気があって、そこに私は惹かれるのですが、それはホノボノとしてブルーなムード♪ 決してゴリゴリでもギンギンでもないハードバップが楽しめます――
A-1 Not Guilty
クリフ・ジョーダンのオリジナルで、このホノボノとした雰囲気のテーマメロディと合奏が、たまらなく良い感じ♪ ミディアムテンポで、ちょっとユルいノリがクセになります。
クリフ・ジョーダンのテナーサックスは、決して超一流ではありませんが、捨てがたい味わいがあって、この曲のアドリブにはリラックスした魅力がいっぱいです。グレーな音色と滑らかなフレーズに和みます。
そして続くカーティス・フラーが、そよ風のような、これもリラックスムード♪ 持ち味のハスキーな音色がほど良く馴染んでいます。強力なリズム隊との相性も絶妙でしょうか。
さらにジャッキー・マクリーンにクリソツなジョン・ジェンキンスのアルトサックスも憎めません。チャーリー・パーカー直系というよりも、モロにコピーしたフレーズの連発が、逆に潔いところです。
それとレイ・ブライアントが、やっぱり魅力的♪ 力強いピアノタッチと小粋なスイング感にグッときます。背後で淡々と4ビートをウォーキングするポール・チェンバースも流石の存在感で、もちろんアドリブも抜かりありません。
A-2 St. John
ジョン・ジェンキスが書いた幾何学的なハードバップ曲ながら、このメンツならではの迫力と和み感の両立が素晴らしい演奏です。
アドリブの先発はジョン・ジェンキンスが立派にパーカーフレーズを蘇えらせれば、カーティス・フラーはハスキー節に加えて、烈しいツッコミを聞かせてくれますが、やや燻り気味……。
しかし次に登場するリー・モーガンが若さ溢れるブリリアントなアドリブで場を圧倒します! あぁ、この時、モーガン若干18歳! まさに天才と言う他ありません。
ですから、続くクリフ・ジョーダンが、またまた燻り感覚を増幅させてしまいますが、この人にそれが似合っているというか、独特のグレーなトーンで吹かれるアドリブには、妙に気持ちが揺れ動いてしまうのでした。
B-1 Blue Shoes
カーティス・フラーが書いたファンキーな隠れ名曲! 全体に横溢するブルーな雰囲気はタイトルに偽りなしで、もちろんアドリブ先発のカーティス・フラーは大名演を聞かせてくれます。ガッチリ録音されたアート・ティラーのシンバルとスネアのコンビネーションも、グルーヴィなグイノリが最高です。
そしてクリフ・ジョーダンが絶妙な「泣き」を入れた、これまた絶好調のアドリブを聞かせてくれるんですねぇ~♪ すると続け泣き出すのが、ジョン・ジェンキンスというわけです。
あぁ、これぞジャズの醍醐味! 決して歴史的に云々される演奏ではありませんが、こういう味わいは、一度虜になると抜け出すのに苦労します。
まあ、なにもワザワザ苦労することもないわけですが、ポール・チェンバースのベースソロからレイ・ブライアントのピアノに入っていくアドリブの受渡しにしても、モダンジャズ全盛期の自然体が最高という仕上がりだと思います。
B-2 Beyond The Blue Horizon
些か迷い道のイントロはレイ・ブライアントの悪いクセかもしれませんが、軽快なテンポでテーマを吹奏し、そのままアドリブに傾れ込んでいくクリフ・ジョーダンの快調さが全てという演奏です。
安定したアップテンポの4ビートを提供するリズム隊には、当たり前の凄さがあり、続けて登場するリー・モーガンには呆れるほどの輝きがありますから、これが当時の勢いなのでしょう。逆にリズム隊が引っ張られてしまうところも、笑えません。
そしてカーティス・フラーが必死の熱演! かなり速いフレーズを連発しているあたりも珍しく、しかし悠々自適なノリを忘れられていません。
そして、さらに熱いのがジョン・ジェンキンス! ジャッキー・マクリーンよりも、もっとチャーリー・パーカーに傾いた演奏は素直で好感が持てます。
終盤でのアート・テイラーはブチキレ寸前♪
B-3 Ju-Bu
オーラスはリー・モーガンが書いたファンキーな名曲・名演です。ミュートでテーマからアドリブに入っていくトランペットの輝きには、本当にグッときます。ミディアムテンポのグルーヴィな雰囲気を作り出すリズム隊も素晴らしいですねぇ~♪
するとクリフ・ジョーダンが気合の入ったテナーサックスで、異様とも思える低音域のサブトーンを披露してくれます。もう音が歪んでいるほどなんですが、それゆえに私は大好き♪ これが聴きたくて、この盤を取り出すのが私の真相です。
ということで、特にB面を愛聴しています。
ちなみにオリジナルのカタログ番号は「1565」ですが、誰も同じ様な立場のハンク・モブレー盤「1568」ほどにチヤホヤしていませんね。まあ、それもムベなるかな……。
しかし雰囲気の良さは捨てがたいです。ジャズ喫茶でリクエストするならB面をオススメ致します。
クリフ・ジョーダンが好きなのですが、4管編成ということで少々二の足を踏んでいました。
でも、良さそうですね!ジョン・ジェンキンスも好みですし、今度からチェック入れておきます。
参考になりました。ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
このアルバムは4管といっても、フルメンバーが揃ってアドリブ合戦を演じたのは「A-2」と「B-2」だけですから、気にならないと思います。
ジェンキンスは良いですよねぇ~♪ 最近、ちょっと中毒になっています♪
アルトサックスってテナーに比べると音色の違いがミュージシャンによって際だって聞こえますよね。個性がより反映され、最近特に惹かれています。
ところで事前に承諾いただきませんでしたが、拙blogにリンク張らせていただきました。不都合等ございましたらお知らせください。
リンクありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願い致します。