■誘惑SUMMER / 街田祐子 (ビクター)
往年のアメリカンポップスやロケンロールのリバイバルブームは、1970年代初頭から既に顕著な流行になっていたとは言え、それが決定的になったのは、1973年のアメリカ映画「アメリカン・グラフティ(ジョージ・ルーカス監督)」の大ヒットによるところだと思いますし、それが翌年末に我が国で公開されるや、忽ちに若者文化に強い影響を及ぼし、ファッションスタイルや音楽に対する趣味性にも広がってしまったのは説明不要の歴史でしょうか。
ですから、国産の大衆音楽にしても、昭和30年代に流行った日本語歌詞による洋楽カバー曲が再発見されたり、昭和40年代前半のGSブームを懐かしんだり、さらにはリアルタイムの洋楽のレコードが再発されていった流れに乗っかる状況から、歌謡曲やニューミュージックの分野に、全く同種の味わいを持った楽曲が多数制作されていった事は、今に繋がる猟盤活動を面白くさせている要因でありましょう。
平たく言えば当時、特に昭和55(1980)年には黒人ボーカルグループのファッションスタイルまでやってのけたシャネルズの大ブレイク!
さらに翌年春に発売された大瀧詠一のアルバム「A LONG VACATION = ロンバケ」のメガヒット&ロングセラーにより、そ~したブームが尚更に爆発したのは忘れられるものではなく、アッという間に同種同系のレコードが製作されていったのですが、もちろん、その全てがヒットしたわけではなく、演じた歌手やグループは有象無象……。
そんなこんなのブツが今日ではマニアックな領域に生息する(?)コレクターズアイテムでもあり、ミステリアスな存在感を誇示している場合さえあるのですから、たまりません (^-^;
本日掲載のシングル盤は、正にサイケおやじにとっての好物件と申しましょうか、発売されたのは昭和56(1981)年7月なんですが、ど~ですかっ!?
このジャケ写のイメージだけでもオールディズ趣味が満点じゃ~ありませんかっ!
しかも収録A面曲「誘惑SUMMER」の制作クレジットが作詞作曲:荒木一郎!!
なんですよねぇ~~~!?!
中古ゲットながら、もう……、それだけで嬉しくなってしまうのはサイケおやじだけでしょうか!?
しかし、正直に述べさせていただきますが、楽曲そのものが普通のアイドル歌謡という感じで、失礼ながら歌詞やメロディに冴えがありませんし、井上鑑のアレンジにしても、ちょっぴり中ほどで「らしさ」が出ているだけで、面白みに欠けているんじゃ~ないでしょうか…… (+_+)
また、肝心の主役たる街田祐子のボーカルが如何にもアイドルっぽく、少~しばかりアニメ声なのも、サイケおやじの趣味性には合致していません…… (+_+)
そして当然ながら、街田祐子も「この人」シリーズというわけです。
ただし、このジャケ写スリーブの雰囲気の良さがあればこそ、全ては素晴らしき懐古趣味に帰結するのでした。