最近、それなりの立場にある人の痴漢行為とか、やたらに報道されますね。
有名人なればこそ、社会的注目度と制裁は強烈になりますが、市井の一般人だって、そういう行為は許されません。
等と、如何にも「らしくない」事を書いているサイケおやじではありますが、人のフリ見て、なんとやら……。自戒して生活してこそ、日々の楽しみも満喫出来るということでしょう。
今日は物分りの良い、私ですから――
■Katzenvilla / Joe Haider (Ego / JHM)
Joe Haider は、欧州をメインに活動しているピアニストで、1960年代中頃にデビューして以来、モード~フリー系の演奏を得意にしたスタイルは、硬派でありながらスジの通った物分りの良さもあって、なかなか好ましいアルバムが残されています。
これもその1枚で、1970年代前半の我国ジャズ喫茶では、隠れ人気盤となっていた傑作です。それは入荷枚数が極端に少なかった事による、不可避の結果ではありますが、それが2000年になって突如、CD復刻されたのは夢のような出来事でした。それが本日のアルバムです。
ちなみに Joe Haider は、1990年代は病に倒れていたようです。しかし世紀末に至り、ようやく健康を回復した事から、スイスで自己のレーベル「JHM」を立ち上げ、新録と共に、その昔、自分が残した偉大なレコードを復刻したというわけです。
録音は1971年10月12日、メンバーは Joe Haider(p)、Isla Eckinger(b)、Pierre Favre(ds,per) で、収録演目はオリジナル盤と同じですが、曲順が変えられ、しかもリマスター&リミックスが施されています。ジャケットにわざわざ「Trio `71」と入れられているのは、その所為でしょう。ちなみに作曲は全て Joe Haider が中心となって書かれたものです――
01 My Little Darling
一瞬、キース・ジャレット!? と思われても不思議ではありません。
いきなり琴線に触れてくるメロディ感覚は、軟弱のようでいて、実はなかなかにスジが通った潔さが感じられます。
スローな始まりから力強いドラムスとベースが加わり、それは8ビートを基本とした擬似ロックジャズです。いゃ~、実に気持ち良いです。なによりも Joe Haider のピアノから流れ出てくるアドリブフレーズが、歌いまくりです♪ 時として烈しいツッコミを入れるドラムスと亜空間で蠢くようなベースも、たまりません。
それでいてトリオとしての一体感は、とても見事です!
私は四季を通じて、朝一発目に聴くことが多い演奏です。力が漲ってきます。
02 Fate Of A Child
一転して、ド頭から激したフリーフォームでトリオが爆発します。
しかし直ぐに静謐な空間を求めて彷徨う Joe Haider に呼応しつつ、共演メンバーが手加減しませんから、もう修羅場です。
ただし、どんなにムチャをしても演奏全体には4ビート感覚が根底に感じられますから、意外にすんなりと、その世界に入って行けるんですねぇ。ヌルイところ等、一瞬も無いのに、娯楽としてのジャズが成り立っていると思います。
クライマックスでのドラムソロが、激烈! スカッとします。
03 Katzenvilla
これが耽美な名曲・名演です。
なんといってもテーマメロディのアンニュイなところが素敵♪ Joe Haider のピアノからはビル・エバンスとマッコイ・タイナーの両方が感じられますが、今日聴くとキース・ジャレットなんです! しかしこの硬くて歯切れの良いピアノタッチは、最高ですねぇ♪ もちろんアドリブ展開とかフレーズの妙も素晴らしいと思います。
ジワジワ始めてガンガンに盛り上げていくトリオの一体感も、強烈!
04 EJP
ゲッ、土人の踊りようなドラムス&打楽器の連打! この先、どうなる事かと思っていれば、予想どおり、アフリカンモード色の強いテーマメロディが流れきます。あぁ、このガンガン行くところが、1970年代初頭のジャズです。
一切の手抜きをしないベースの真剣さとか、ジコチュウなドラムス、そしてひたすらに自分の信じるフレーズしか弾かないピアノが渾然一体! この離散集合が、当時の最先端でした。それは今聴いても、ジャズの醍醐味に他なりません。
混濁の中から持っていかれる激動の4ビートには、思わず腰が浮きます♪
05 And Now ?
これも荒れた心に染み入るような、静謐なテーマメロディと演奏の雰囲気が最高です♪ けっこう「泣き」もあったりして、かなり抽象的な演奏なんですが、不思議と和み感覚が強い感じです。
惜しむらくは、演奏時間が3分ほどの短さよ……。
06 Capricorn
オーラスは Joe Haider の烈しいソロピアノから、ガンガンガンと突進するカッコ良いテーマが飛び出して来ます。これは必ずやジャズ者の心を躍らせる演奏でしょう。このアルバムの中では一番正統派の4ビートが、早いテンポで演じられています。
あぁ、痛快至極!!! 本当にこのトリオは素晴らしい、としか言えません!
ということで、これは会心の名盤復刻♪ リマスターも抜群に良く、硬質なピアノタッチとかブリブリのベース、さらにヌケの良いドラムスが堪能出来ます。もちろん演奏内容も秀逸! フリーやロックを完全に取り込んだコンセプトが、意外にもジャズの本質であった1970年代前半の雰囲気がたっぷりです。
しかもハードでありながら、聴き易さもあるんです♪
案外と、こういう演奏がジャズ入門に良いのかもしれない、と思ったりします。
デビューアルバムだったかな、聞いた時にその歯切れの良さに何だか目の前が開ける思いがしたものです。
コメントありがとうございます。
このアルバムは、本当に良いです♪
ジョー・ハイダーはガチンコ体質が、老いても普遍というか、最近のアルバムも実に良いですよ。