ヤフオクで連敗中……。加えて今週は仕事が地獄の予感……。
ですから、聴くのは調子が良いものを選びました――
■Hush ! / Duke Pearson (Jazzlien)
デューク・ピアソンは1950年末頃にドナルド・バードのバンドレギュラーとして注目され、さらに1960年代後半にはブルーノートで音楽監督まで務めた名ピアニスト! さらに作編曲家としての評価も高いという隠れた人気者でしょう。
なんといっても、いろいろな面でセンスが抜群♪
ピアニストとしてはトミー・フラナガンの優しい味わいにハービー・ハンコックあたりのファンキーで先鋭的なフィーリングを併せ持った名手として、私は大好きです。
さて、このアルバムは1962年初頭に録音されたというウルトラ級の幻盤で、一時はイギリスでタイトルを変えて発売されていた正統派ハードバップの逸品です。もちろん我国で復刻された時には、大歓迎されましたですね。
メンバーはドナルド・バード(tp)、ジョニー・コールズ(tp)、デューク・ピアソン(p)、ボブ・クランショウ(b)、ウォルター・パーキンス(ds) という魅惑の面々ですが、結論からいうと、2人のトランペッターはアドリブソロの区別が難しいほどです。それは調子がイマイチなんですねぇ……。
しかしそれでも人気があるのは、プログラムの良さと演奏の楽しさゆえでしょう――
A-1 Hush !
デューク・ピアソンのかつてのボス、ドナルド・バードが書いた死ぬほどカッコ良いゴスペルハードバップです。ウォルター・パーキンスのノーテンキ寸前というドラミングも心地良く、デューク・ピアソンは心地良い合の手の伴奏ですから、最高にグルーヴィ♪
トランペットのアドリブは最初が多分、ドナルド・バードでしょうか? そこはかとないマイルス・デイビス味があるところから、ジョニー・コールズという気も致しますが……。すると二番手に登場する塩味の強いトランペットがドナルド・バード!? 全く調子が悪く、音の抜けもイマイチなんですねぇ……。
しかし演奏そのものは、素晴らしく弾んだリズム隊を中心に聴いて、楽しい限りなのでした。
ちなみにドナルド・バードとデューク・ピアソンが共演したオリジナルの演奏は「ロイヤルフラッシュ(Blue Note)」という名盤に収録されています。
A-2 Child's Play
これもドナルド・バードが書いた痛快なハードバップ曲なんですが、ここではイントロからテーマにかけて、バロック調のアレンジが凝っています。
もちろんリズム隊は快調なんですが、ここでも二番手で登場するトランペットが苦しんでいます。いったいダレなんでしょう?
まあ、それはそれとしてデューク・ピアソンが最高のセンスを発揮していますから、結果オーライと致しましょう。
A-3 Angel Eyes
マット・デニスが書いた人気スタンダード曲を、デューク・ピアソンはジンワリと黒っぽく演奏してくれます。しかもリズム隊だけの、つまりピアノトリオですからねぇ~♪ ほんとうにたまりません♪
ヘッドホーンで聴くとわかりますが、ギシギシと軋むような音はなんでしょうか? ピアノに向かう椅子なのか、妙に魅力的な擬音です。
A-4 Smoothie
これまた調子良すぎるハードバップ曲で、デューク・ピアソンのピアノは優しい味わいを大切にしていますが、躍動的なドラムスが実に良い感じです。
気になるトランペットソロは、多分、ドナルド・バードでしょうか? ちょっと「らしくない」雰囲気もありますが……。
またボブ・クランショウのベースソロが、なかなか素晴らしいと思います。
B-1 Sudel
デューク・ピアソンが書いた人気オリジナル曲で、後年のリーダー盤「スウィート・ハニー・ビー(Blue Note)」でも再演していますが、このバージョンも捨てがたい魅力があります。
アドリブ先発はドナルド・バードの流麗なトランペット♪ 新感覚のフレーズも入れながら熱演すれば、続くデューク・ピアソンはホーンのリフを潜り抜けながら、独特の味の世界を堪能させてくれます。
そして続くジョニー・コールズは擬似マイルス・デイビスなんですが、はっきり言ってショボイです……。しかしシャープなリズム隊に助けられ、終盤のアンサンブルに入っていくあたりは、なかなか熱いですねぇ~♪
B-2 Friday's Child
微妙な「泣き」が入ったスローな名曲で、ハスキーなジョニー・コールズのトランペットが本領発揮! 実に味わい深い名演だと思います。本当に泣いているのか? ジョニー・コールズ!
デューク・ピアソン以下のリズム隊もツボを押えた伴奏で、アルバム中でも出色の仕上がりではないでしょうか♪
B-3 Out Of This World
オーラスは再びリズム隊だけの演奏で、素晴らしいピアノトリオの真髄が楽しめます。
曲は有名スタンダードなんですが、ラテンリズムを取り入れた幻想的なアレンジから、快適な4ビートに移るアドリブパートになると、グルーヴィな雰囲気が横溢します。
もちろんデューク・ピアソンはファンキーな感覚に加え、持ち前のセンスの良さから巧みなフレーズを作り出し、粘っこく弾むボブ・クランショウのベースやジックリ構えたウォルター・パーキンスのドラムスと共謀して、最高のハードバップを聞かせてくれるのでした。
ということで、実に楽しいアルバムです。惜しむらくは2人のトランペッターがイマイチ実力を発揮していないところでしょうか。しかしホーンのアンサンブルは上手くいっていますし、なによりもリズム隊の充実度が最高♪
ちなみにボブ・クランショウとウォルター・パーキンスは、当時、売出中のリズムコンビとして、MJTなんていうグループを組んでいたほど! それは「モダン・ジャズ・トゥー」の略なんです。
そしてデューク・ピアソンは、決して歴史的な活躍はしていないものの、実は縁の下ではモダンジャズの本流を守り続けた人です。ここには既にプロデューサー的な感覚が表れているように思いますねぇ。
所謂名盤ではないでしょうが、聴くほどに楽しい作品なのでした。
このピアソンもいいですよね。
マイナーでもファンキ-の匂いがプンプンです。
自分もアップしていますのでTBさせてくださいね。
コメントありがとうございます。
デューク・ピアソンは、もっと一般的な人気が出てもいいんですが、そうなると、ちょっと悔しい感じもしますね。
こちらからもTB送っておきました。
よろしくお願い致します。
はジョニーコールズの演奏の最高のひとつと思います。
コメントありがとうございます。
お返事が遅れて、申し訳ございません。
ジョニー・コールズは幻の名演というか、地味な存在感ではありますが、それゆえにキラリと光る演奏が忘れ難いと思います。
これからも、よろしくお願い致します。