OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

長い1日、上々♪

2007-03-21 18:09:11 | Weblog

昨日の送別会は、柄にもなくシンミリとした気分になりました。

去り逝く人は、私のような外様にも分け隔てなく力を貸してくれましたし、若い者の面倒もしっかりみていましたから、宴席では涙ぐむ者も……。

仕事上では決して出世した人ではありませんでしたが、人生は上々だったのではないでしょうか。第二の職場でも、きっと良い味の存在感で、やってくれると思います。

こういう人を私は忘れません。

ということで、本日は――

All Morning Long / Red Garland (Prestige)

モダンジャズ黄金期を代表する名門レーベルだったプレスティッジとブルーノートは、とても良く似たメンバーで録音セッションを行っていましたが、発売されるアルバムは似て非なるものでしょう。

それはカチッとしたプロデュースが行き届いたブルーノートに対し、些かファジーで度量の大きいブレスティッジという雰囲気かと思います。それゆえに現代ではブルーノートの方が少しばかり格上のような扱いになっていますが、いざ日常で聴く段になると、プレスティッジのリラックスしたジャムセッション物あたりには、ちょっと抜け出せない魅了があります。

自然体のグルーヴが強い感じなんですねぇ~♪

それは現場を実際に仕切っていたのが、参加ミュージシャン本人達だったからだとか!? うん、全くそのとおりかもしれません。

本日の1枚は、当にそうした快感に身も心も委ねて満足の作品です。

録音は1957年11月15日、メンバーはドナルド・バード(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ジョージ・ジョイナー(b)、アート・テイラー(ds) という、保証付きのハードバップ集団です――

A-1 All Morning Long
 ミディアムテンポで力強くスイングしまくった大ブルース大会です! なにせLP片面を使い切った20分超の演奏でありながら、一瞬たりともダレることが無い、濃密な時間が流れていくのです。
 テーマメロディはお約束がいっぱいのリフながら、まずそこで絡みつくレッド・ガーランドが楽しく、続けて登場するジョン・コルトレーンのアドリブパートの最初の部分では、リズム隊がグルなってゴスペル&ファンキーなバックリフを付けてしまうノリが、たまりません♪
 もちろんジョン・コルトレーンも、完成途上のシーツ・オブ・サウンドを駆使したウネウネ節で強烈な自己主張をしていますので、分かっちゃいるけど止められない状態です♪
 またドナルド・バードは幾分エコーのかかった音色と温かい歌心を存分に発揮していますから、お決まりのフレーズを連発しても聴き手を納得させてしまいます。
 そしてレッド・ガーランド! 適度に粘っこいノリと歯切れの良いフレーズを積み重ね、お待ちかねのブロックコード弾きで山場を作るという、お得意の焦らし戦術が完全にツボにはまった快演です。あぁ、このあたりは、本当にジャズが好きで良かったと思わされますねぇ♪
 演奏はこの後、ジョージ・ジョイナーの硬質なベースソロからラストテーマに戻るという王道路線で、ひとまず収束するのですが……。

B-1 They Can't Take That Away From Me
 有名なスタンダードをレッド・ガーランドが巧みにアレンジし、ハードバップに作り変えてしまった名演です。それはストップタイムを上手く使ったテーマ部分の緊張感であり、また力強いビート感に満ち溢れたリズム隊の活躍が凄いところ!
 ですからアドリブパートではジョン・コルトレーンが大ハッスル! じっくり聴くと、けっこう縺れっぱなしなんですが、勢いで最後まで行ってしまったという好ましさに繋がります。
 続くドナルド・バードが、これまた良いですねぇ~♪ 流麗なフレーズの連発は何時もの常套手段ながら、野太いジョージ・ジョイナーのベースに煽られた雰囲気で結果オーライでしょうか。
 またレッド・ガーランドは、ちょっと変則的なコード付けをしたような按配で、刺激的なアドリブを始めますが、ちゃん~と「ガーランド節」を出してくれますから、ご安心下さい。あぁ、ブロックコードの山場が快感の大嵐です♪

B-2 Our Delight
 モダンジャズ創成期のビバップ時代から受け継がれたモダンジャズの真髄ともいうべきアドリブにチャレンジした演奏です。
 スピード感満点のグルーヴを生み出すリズム隊の恐ろしさを物ともしないドナルド・バードのツッコミ鋭いアドリブは、若さと勢いの象徴でしょう。バックで炸裂するレッドガーランドの叩きつけるようなコード弾きも、むなしき愛という雰囲気です。
 するとジョン・コルトレーンが、これまた白熱のウネウネクネクネで身悶えした熱演です! この雰囲気は、何時聴いても良いですねぇ~♪ というのはジャズ喫茶世代共通の認識かと思います。いや、そう思いたいですねっ!
 もちろんそこにはリズム隊の激しさが不可欠で、レッド・ガーランドはリーダーとしての責任よりは、負けん気で弾きまくり、逆に墓穴を掘る寸前に追い込まれていくというスリルが、たまりません。
 バンド全体にしても、最後は破綻寸前になっていますよっ!

ということで、実はこの日は10曲も録音した「長い1日」でしたが、その一連の音源を纏めて聴いてみても、全体が非常充実したものになっています。時代はハードバップど真ん中! これでヘタレなら、あの時代は無かったことになりますからねぇ。自然体の気合と場の熱気が、物理的制約を超えて記録された魂の1枚とは、如何にもサイケおやじ的な大袈裟ではありますが。

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惜しまれて去る

2007-03-20 18:46:57 | Weblog

今日で仕事からリタイアする人がいます。

わりと地味な存在でしたが、私は頼りにしていましたし、人望もありました。

つまり惜しまれて辞めていくわけです。

そういえば飯島愛も、惜しまれて引退するようですが、私も隠居する前には、そうありたいと、シミジミ思う今日この頃です。

ということで、本日は――

Star Bright / Dizzy Reece (Blue Note)

やっぱりジャズは本場アメリカはニューヨークで活動してこそ、一流の証明かもしれません。

本日の主役、ディジー・リースはジャマイカ出身ながら1940年後半にイギリスへ渡り、欧州全域で活躍していたトランペッターという履歴がありながら、結局、我国で知られるようになったのは、アメリカの名門レーベル=ブルーノートへの吹き込みがあったからでしょう。

もちろん大変な実力者という評判はアメリカにも届いていたらしく、欧州吹き込みの音源がブルーノートに買い取られて発売されたアルバムもあるほどです。

そして各方面からの要請で、ついに渡米したディジー・リースが、その実力を遺憾なく発揮したのが、この作品というわけです。

録音は1959年11月9日、メンバーはディジー・リース(tp) 以下、ハンク・モブレー(ts)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、当時最強のハードバッパーが顔を揃えています――

A-1 The Rake
 強靭なポール・チェンバースのベースにリードされ、ファンキーで幾何学的なテーマが始まった瞬間から、もう、気分はハードバップそのまんまです♪
 アドリブパートで先発するのは、もちろんディジー・リースですが、しかしそのスタイルはハードバップばかりではなく、ちょっと古いスタイルの歌心というのは、昔から指摘されているところですが、これが、良いんです♪
 そして、その古さが独自のエモーションに繋がっているのは、リズム隊のグルーヴィな煽りだと思います。実際、アート・テイラーの的確な伴奏とウイントン・ケリーの絶妙なオカズ&コード付けあたりは、聴くほどにシビレます。
 もちろん、それに感応して粘っこく、マイルドなフレーズを吹きまくるハンク・モブレーも素晴らしいですよ♪ ここでアルバム全体の雰囲気が決定されたという感じでしょうか。

A-2 I'll Close My Eyes
 モダンジャズではブルー・ミッチェル(tp) の快演があまりにも有名なスタンダード曲ですが、同じトランペッターとしてディジー・リースも負けていませんし、両方のセッションでピアノを担当したのがウイントン・ケリーという因縁が、絶妙のアクセントになっています。
 まず、いきなりテーマを吹くディジー・リースの温か味が、たまりません♪
 伴奏のウイントン・ケリーの弾け方も良いですねぇ~♪
 するとアドリブ先発のハンク・モブレーが大ハッスルのブレイクから絶好調の「モブレー節」を連発してくれますから、ハードバップ最高の瞬間が現出されるのです。
 そしてディジー・リース! 全てが「歌」というアドリブはブルー・ミッチェルとの擬似バトルというか、実際、聴き比べて軍配を上げるのが困難というのが本音です。
 もちろん、その影の立役者がウイントン・ケリーというのは言わずもがな! 本当に聴いていて泣きそうになるほどです! するとポール・チェンバースが硬派なベースソロでハードバップ本来のドライな面を聞かせてくれるのでした。

A-3 Groovesville
 A面最後はディジー・リース作曲になっていますが、当時お約束の即興的なハードバップのブルースで、こういう曲調になるとウイントン・ケリーを中心としたリズム隊がノリまくりです♪ あぁ、ハードバップ万歳!
 そしてディジー・リースの押えた表現がディープなモダンジャズ魂という感じで好ましく、本当に良いフレーズの金太郎飴状態♪ 当然、ハンク・モブレーも楽しい自己表現に撤して、これぞハードバップという存在感を示してくれます。
 それとアート・テイラーの小刻みなオカズと太いビート感のコントラストも強烈ですねっ♪ 気心の知れたリズム隊のグルーヴは、やはり天下一品です。
 
B-1 The Rebound
 これもディジー・リースのオリジナル曲で、叩きつけるような強烈なハードバップに仕上がっています。
 特にリズム隊のグルーヴは怖ろしいほどで、グイノリのポール・チェンバースに弾けるウィントン・ケリー、そして爆裂のアート・テイラー! しかも要所でグルになったビートのアクセントを付けてくるんですから、油断なりません。
 当然、ディジー・リースもハンク・モブレーも、本当に気持ちの良いフレーズを綴ります。これはジャズ者にとって、至福の時間でしょうねぇ♪

B-2 I Wished On The Moon
 これは古いスタンダードなので、ウィントン・ケリーもそれ風のイントロをつけていますが、ディジー・リースは本領発揮の歌心を披露してくれます。
 それは既に述べたように、やや中間派っぽいフレージングの妙とでも申しましょうか、和みと温か味に満ちたディジー・リースならではの持ち味でしょう。ハンク・モブレーも、そのあたりは百も承知というか、やはり独自のタメとモタレを活かした展開で、モブレーマニアは思わずニヤリ♪ ホンワカ系の音色も素敵です。
 またウイントン・ケリーが物分りの良い雰囲気で、これもOKです。

B-3 A Variation On Monk
 アルバムのラストを飾るのは、ディジー・リースの書いた刺激的なハードバップですが、タイトルにある「Monk」はあまり感じません。
 なにしろイントロからウイントン・ケリーが颯爽と飛ばしまくり、息の合った痛快なテーマからハンク・モブレーが、俺に任せろ! これぞ「モブレー節」というアドリブを披露してくれます。リズム隊の煽りもハードバッブそのものという強烈さ!
 ですからディジー・リースも柔らかさの中に芯の強いフレーズで対抗していますし、ウイントン・ケリーが、これまた、たまらないノリです。と言うか、リズム隊が凄すぎますねぇ~♪
 しかし終盤にテープ編集疑惑があるのは??? まあ、それもアート・テイラーのドラムソロで帳消しですが……。

ということで、これはガイド本にもあまり紹介される事が無いであろう、隠れ名演盤だと、言い切ってしまいます。

主役のディジー・リースは、もちろん素晴らしく、相方に起用されたハンク・モブレーも絶好調なんですが、特筆すべきはリズム隊の凄さでしょう。とにかく3人の息がぴったり合ったグルーヴィな伴奏は、当にハードバップの真髄を抉り出していると思います。

しかし、こんな名演を残したディジー・リースは、1960年代に入ると、結局はイギリスに戻っていきました。まあ、本場の水が合わなかったのか、ちょっと不明ですが、ここで共演したハンク・モブレーとはウマがあったようで、ハンク・モブレーが欧州巡業に来た時には共演していたそうです。

つまりここでの快演は、同じ資質を持った者どおしの共感があってのことかもしれません。個人的には愛聴盤のひとつになっています。

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エバンスも相性で苦しむか?

2007-03-19 19:58:08 | Weblog

まだまだ遅い冬から抜け出せない1日でした。

朝から吹雪、吹雪、氷の世界です。

ズバリ、ペギラが来た状態の中で、本日はこれを――

California Here I Come / Bill Evans (Verve)

エバンスの死後、確か1982年頃に出たライブ盤です。

録音は1967年8月のヴィレッジ・ヴァンガードという、まあビル・エバンスにとっては自分の庭という名門クラブなんですが、特筆すべきは、トリオのメンバーです。なんとビル・エバンス(p) 以下、エディ・ゴメス(b) とフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、なかなか違和感たっぷりの……。

今でこそ、ビル・エバンスのライブ音源はかなり出回っていますし、未発表録音も含めて、多士済々の名手がビル・エバンスのトリオに去来していたことが明らかになっていますが、当時はこのメンバー・クレジットに妙な胸騒ぎを覚えたものです。

それはしかし、ビル・エバンスとフィリー・ジョーの相性で言えば、これは過去の名盤、例えば「Everybody Digs (Riverside)」とか「Interplay (Riverside)」が示すとおり、ベストマッチだと思います。ただしエディ・ゴメスが入り込んできた場合は、やはり???

実際、アナログ盤2枚組という質量感たっぶりのアルバムに収録された演奏には、どうしても馴染めない部分を私は感じています――

A-1 California, Here I Come (1967年8月17日録音)
A-2 Polka Dots And Moonbeams (1967年8月17日録音)
A-3 Turn Out The Stars (1967年8月17日録音)
A-4 Stella By Starlight (1967年8月17日録音)
B-1 You're Gonna Hear From Me (1967年8月18日録音)
B-2 In A Sentimental Mood (1967年8月18日録音)
B-3 G Waltz (1967年8月18日録音)
B-4 On Green Dolphin Street (1967年8月17日録音)
C-1 Gone With The Wind (1967年8月18日録音)
C-2 If You Could See Me Now (1967年8月17日録音)
C-3 Alfie (1967年8月18日録音)
C-4 Very Early (1967年8月17日録音)
D-1 Round Midnight (1967年8月17日録音)
D-2 Emily (1967年8月18日録音)
D-3 Wrap Your Troubles In Dreams (1967年8月17日録音)

という演目の中、まず初っ端の「California, Here I Come」は静かな序奏に始まり、手探りでテーマを解釈し、少しずつ自己のペースを掴んでいくビル・エバンス十八番の展開が気持ち良く、ビシバシ叩いて場を盛り上げていくフィリー・ジョーとビンビン・グリグリに絡んでくるエディ・ゴメスの緊張感溢れる演奏が、完全に上手くいった名演だと思います。

しかし、どうも後が続かないというか、例えば「Polka Dots And Moonbeams」にしろ「In A Sentimental Mood」にしろ、こちらが期待する耽美的な部分が稀薄です。

また「On Green Dolphin Street」や「Gone With The Wind」は荒っぽさが目立ちます。

う~ん、これはオクラ入りしていたのが頷けるというか……。

個人的に一番気になるのは、フィリー・ジョーとエディ・ゴメスの相性がよろしくないというところです。なんか2人ともやりにくそう……。

肝心のビル・エバンスは、その2人の間を行ったり来たりという按配なんですが、ちゃんと「エバンス節」は出していますし、独特のノリは気持ち良いはずなんですが、大方の場面でフィリー・ジョーが浮き上がったオカズを敲いてしまうという……。

しかし、それが一気に解消されるのが、オーラスの「Wrap Your Troubles In Dreams」です♪ ここでは大暴れのフィリー・ジョーに対して、グッと手綱を引き締めつつ、エディ・ゴメスに歩調を合わせることで自己のペースを守るビル・エバンスのファジーな演奏姿勢が吉と出た快演! 終盤のエバンス対フィリー・ジョーのソロチェンジには、おもわず手に汗を握ります!

ご存知のように、ビル・エバンスは1970年代後半にエディ・ゴメスと別れて後、より躍動的というかアグレッシブな演奏も聞かせるようになっていきますが、実はその萌芽は1960年代中頃から模索されていたようです。

ただし残念ながら、フィリー・ジョーの敲き出すビートが、やや当時の流れの中では浮いていたという……。しかし、もしこのセッションのベースがサム・ジョーンズあたりだったら、全く別種の名盤になっていたかもしれません。そんな恐さを秘めたアルバムだと思います。

ということで、全体的に纏まりよりは勢いが楽しい作品なのでした。 そして個人的には8月17日録音の音源の方が、出来が良いと感じています。

ちなみに現在は1枚のCDに纏められているようなので、機会があれば、ぜひ、どうぞ。

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懺悔、女性ボーカル篇

2007-03-18 18:04:58 | Weblog

最近は女性ジャズボーカルブームなんでしょうか?

ちょっとCD屋へ行ってみたら紙ジャケット仕様のブツがいろいろと復刻されていました。まあ、このジャンルはジャケットも含めた魅力がありますからねぇ、紙ジャケット復刻もたまりませんね♪

実は1980年代の私は、女性ジャズボーカルに耽溺していました。ジャケ買いはもちろんのこと、曲買いとかアレンジャー買いとか……。

しかも当時の私は海外での仕事が多かった所為もあって、シングル盤にまで手を出すという地獄巡りをしています。

それは全く知らないボーカリストが、知っている曲を歌っているというだけで、入手しなければ気が済まないという病気でもあります。

ご存知のように海外のシングル盤は、真ん中にラベルが見える穴の開いた紙の袋に入っているだけですから、歌手の名前を見ても、白人か黒人かの区別もつかず、もちろん年齢不詳、どうにか女性だろうとわかる程度のブツが多数あります。

で、期待して買ってみると、ほとんどがハズレなんですねぇ……。

ジャケ写があれば、美女に気持ち良くだまされて云々という納得も出来ますが……。

そんなこんなの積み重ねで、手元には膨大な量のレコードが残りましたが、いつしか、これでいいのか? と自問自答して、この道から足を洗いました。まあ、経済的にも精神衛生的にも決してオススメの道ではありません。

このブログで女性ボーカルを封印していたのも、そんな理由からです。

そして時が流れ、本日、CD屋で紙ジャケット仕様の復刻盤に出会い、なんとアニタ・オディのヴァーヴ時代のアルバムを発見し、全買いしてしまったです……。しかも、アニタのCDは1枚も持っていないからなぁ、と自分で言い訳まで繕ってしまったという、ていたらくです。ハハハ、自分で情けなくなりましたですねぇ――

Anita O'day Swings Coll Porter With Billy May (Verve)

アニタ・オデイは白人女性ボーカリストで、しかもジャズっぽさは最高だと私は思います。

実はジャズボーカルという分野は線引きが難しく、ジャズボーカルの定義なんてあるんだろうか? という疑問がいつもあるんですが、アニタ・オデイは間違い無くジャズを感じさせてくれます。それは緩急自在のノリであり、嫌味の無いメロディフェイクであり、時に豪胆、またある時は繊細な歌詞解釈による歌の味付け……等々、とにかく上手く歌うというよりも、その場の感情とか空気で歌ってしまうようなフィーリングが私には感じられて、大好きなのです。

さて、このアルバムは何を隠そう、私がジャズの分野で最初に買った女性ボーカルの、多分、オリジナル盤です。内容は有名な作曲家であるコール・ポーターのソングブックであり、伴奏がビリー・メイ楽団です。しかも録音が1959年4月2&9日という全盛期ですから、悪いわけがないという畢生の1枚です――

A-1 Just One Of Those Things 
A-2 Love For Sale
A-3 You'd Be So Nice To Come Home To
A-4 Easy To Love
A-5 I Get A Kick Out Of You
A-6 All Of You
B-1 Get Out Of Town
B-2 I've Got You Under My Skin
B-3 Night And Day
B-4 It's Delovely
B-5 I Love You
B-6 What Is This Thing Called Love

という演目は、ジャズ者にとっては説明不要の名曲揃い♪

ダイナミックで繊細なバックのアレンジも申し分なく、原曲のメロディが良く知られていますから、アニタ・オディ独特の節回しとか歌詞解釈におけるアクセントの微妙なニュアンスがモダンジャズを感じさせて、なかなか楽しいところだと思います。

ちなみに私の所有アナログ盤はモノラル仕様ですが、今回の復刻CDはステレオ仕様なので、やや音作り全体に隙間が感じられますが、リマスターは秀逸です♪ まあ、このあたりは十人十色の好みかと思います。しかし、アニタ・オデイの歌にハズレなしですよ♪

CD全買いさせてしまう魅力満点なのでした。懺悔……。

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バンド練習の午後

2007-03-17 18:26:31 | Weblog
いったい、ここのブログはどうしたんでしょう?
文章が長すぎるのか、画像が重いのか?
投稿した瞬間にパッと消えてしまうことが2回連続!
ストレスですよ、あぁ~。
まあ、無料だから仕方ないかもしれませんね。

こうしたトラブルは私のところだけでなく、最近、友人プログでも頻発中!
原因追求と改善を求めたいところですが、まあ、無料だからなぁ……。

ということで、本日は短めというか、アルバム紹介は休みます。

で、日記だけ書くと、昼過ぎから、おやじバンドの練習をみっちり♪
メンバー全員、鈴木ヒロミツ追悼の気持ちで、テンション高かったです。
「月光仮面」は大ブルース大会!
「たどりついたらいつも雨ふり」は何とか纏まってきました。
他に4曲ほど、あれこれ練習しましたが、演奏は気持ちだと痛感!
下手は下手なりに、やれば出来るの心意気です。

さて、これから投稿します。
どうか、消えないでね。
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寒い春の魅惑盤

2007-03-16 17:26:26 | Weblog

一気に冬本番となった季節外れの3月ですよ。今朝は窓がガチガチに凍って、開かないほどでした。

仕事関係でも去り逝く人送別会がありますし、季節は遠慮なく春に向かっているはずなのですが……。

ということで、本日は――

Con Alma / Ray Bryant (Columbia / Sony)

レイ・ブライアントは人気ピアニストですから、作られたリーダー盤もかなりの枚数になっていますが、イノセントなジャズファンからは顰蹙というブツも、多数あるのが実状です。

それはジャズロックやソウルジャズ色が強かったり、あるいは安易なイージーリスニング調の所謂シャリコマ盤に対する侮蔑なわけですが、そうまで言われるのも、結局レイ・ブライアントというピアニストの優れた資質を、ファンが良く知っているからでしょう。

1950年代にはソニー・ロリンズ(ts) やマイルス・デイビス(tp) といった大物と共演し、歴史的なレコーディングも残していますし、歌伴の名手でもあり、さらに如何にもモダンジャズという名曲も多数書いています。もちろんリーダー作でも、名盤として認定されたアルバム、例えば「Ray Bryant Trio (Prestige)」とか「Ray Bryant Plays (Signature)」を出していますね♪

しかしそれだけで生き残れるほどジャズの世界は甘くないのでしょう。1960年代に入ると、バリバリのジャズよりは、もっと大衆的な作品を作り出していくのです。

さて、このアルバムは、そうした端境期に吹き込まれたモロジャズ=純粋モダンジャズの傑作盤です。

録音は1960年11月と1961年1月、メンバーはレイ・ブライアント(p)、アーサー・ハーパー(b)、ビル・リー(b)、ミッキー・ロッカー(ds) というシブイ面々です――

A-1 Con Alma
A-2 Milestones
A-3 Ill Wind
A-4 Nuts And Bolts
B-1 Cubano Chant
B-2 'Round Midnight
B-3 Autumn Leaves
B-4 C Jam Blues

今回、曲毎の解説は必要ないほどに、全篇がレイ・ブライアント独特のタッチとフィーリングに満たされています。それは小粋なスイング感であり、絶妙の歌心と力強いグルーヴの両立という、ジャズピアノのエッセンスそのもの♪ もちろんブルース&ソウルという黒人ならではの自然なハードバップ感覚も存分に楽しめます。

例えばリズミックなノリと哀愁が入り混じったオリジナル曲の「Cubano Chant」は、何度聴いても飽きることの無い名曲・名演です。ラテンビートのテーマ部分と快適な4ビートで綴られるアドリブパートのコントラストが、本当に素敵ですねぇ~♪ ミッキー・ロッカーのブラシもサクサクと気持ち良いです。

同じ事はアルバム表題曲の「Con Alma」にも言えますねぇ。哀愁のラテンビート&メロディは、ちょっとホレス・シルバー風でもありますが、小気味良いスイング感と泣きの入ったアドリブフレーズは、原曲を巧に変奏して作り出してありますから、抜け出せない魅力に満ちています。

また、お目当ての「Autumn Leaves」は、定石どおりと言うか、まずは無伴奏ピアノソロでテーマをスローに変奏する思わせぶりが見事ですし、ドラムスとベースを従えてからは、小粋なスイング感と美メロのアドリブで酔わせてくれます。そして強力な左手が最高のアクセントになっていますから、決して甘さに流れないところが真ハードバップなんですねぇ~♪

そうした麗しき部分は、この時代の代表的なモード曲「Milestones」でも遺憾なく発揮され、アップテンポでシャープな演奏でありながら、独特の温か味を伴っているのです。

さらに完全ソロピアノで演じられる「Ill Wind」は、オスカー・ピーターソン風で和みますし、基本に忠実な「'Round Midnight」や「C Jam Blues」の力強さもハードバップの断面を確実に捉えていると思います。

共演者ではミッキー・ロッカーが畢生の名演でしょう♪ けっして大物ドラマーではありませんが、「Nuts And Bolts」を筆頭にブラシの妙技をたっぷりと聞かせてくれすし、もちろんステックやバスドラとのコンビネーションも素晴らしい限りです!

ということで、これは多分、ピアノトリオの名盤になっているはずです。そしてオリジナルアナログ盤はモノラル仕様かと思われますが、大昔に出た日本盤はステレオ仕様で、残念ながら個人的には音質に満足出来ませんでした。

そして時が流れ、数年前に紙ジャケット仕様のCDが出た際に入手したものを、今、聴いているのですが、同じくステレオバージョンながら、リマスターが秀逸だと思います。

でも、本音はジャズ喫茶に置いてあるモノラル盤が欲しい……。どうせCD復刻するのなら、ステレオ&モノラルの両バージョン収録という快挙を望みたいところです。

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普通に凄いpart-2

2007-03-15 17:45:04 | Weblog

昨日は鈴木ヒロミツの訃報で取り乱してしまいました。

まあ、私だって何時かは死んでしまうわけですけど、覚悟が全く出来ていないのが情けないというか、当たり前なのか……。

つまり現世に未練と煩悩が多すぎるわけです。

悔いない1日を送ることに心がけてはいるのですが……。

ということで、本日は熱き血潮の、これを――

J.J.Inc. / J.J.Johnson (Columbia / Sony)

モダンジャズのトロンボーンでは第一人者だったJ.J.ジョンソンは、当たり前に過ごすぎて、その真価がイマイチ分かりづらい人だったように思います。なんか、何時も冷静というか、本音を出さないような感じかなぁ……。

しかし、それでいて残された演奏には独自の熱気が確かにあって、特に共演者がバリバリだったりすると、自分もつられて熱血を発揮するという奇特な人なのです。

このアルバムも、そうした1枚でしょうか。

録音は1960年8月1&3日、メンバーはフレディ・ハバード(tp)、J.J.ジョンソン(tb,arr)、クリフ・ジョーダン(ts)、シダー・ウォルトン(p)、アーサー・ハーパー(b)、アルバート・ヒース(ds) という、これは当時のレギュラーバンドだったようですし、演目は全て、J.J.ジョンソンのオリジナル曲という意欲作になっています――

A-1 Mohawk
 変拍子(6/4)で演奏されるゴスペルファンキー曲♪ リズム隊の躍動感、ホーンアンサンブルのゴスペル感がたまりませんねっ!
 アドリブパートでは J.J.ジョンソンが正統派ながらトリッキーなフレーズを入れてテクニシャンの真髄を披露すれば、クリフ・ジョーダンはイブシ銀の音色でジックリと勝負しています。バックで煽るアルバート・ヒースが物凄く良いですねぇ~♪
 そしてお待ちかねのフレディ・ハバードが溌剌としたハイノート、ウネリの低音域と縦横無尽、千変万化に大暴れです! するとシダー・ウォルトンが意外にも落ち着いたファンキー節で場を収めていくのでした。
 あぁ、ハードバップ万歳です♪

A-2 Minor Mist
 ここでも初っ端からアルバート・ヒースのブラシがシャープに躍動して、最高です。そしてディープな心情と力強さを感じさせる J.J.ジョンソンのトロンボーンが全体をリードして素晴らしいアドリブに入っていくのですから、グッときます。
 このあたりはモード系の演奏になっていますが、歌心が蔑ろにされていませんし、アレンジの妙とアドリブの充実度が、他のメンバーにも充分に理解されているようです。特にクリフ・ジョーダンは地味ながら好演です。 

A-3 In Walked Horace
 これぞハードバップ! タイトルどおりホレス・シルバーに捧げられたという雰囲気が濃厚なゴルスペル味のテーマ! ズバリ痛快です。
 もちろんフレディ・ハバードは初っ端からヤル気全開の炸裂ぶりですし、クリフ・ジョーダンも必死の追走! すると J.J.ジョンソンはアルバート・ヒースとグルになってソロチェンジから盛り上げていくという禁じ手を出してしまいます。うひぇ~、こんな烈しいフレーズをラクラクと演じてしまうなんてっ!

B-1 Fatback
 シダー・ウォルトンのイントロからグルーヴィなアドリブ、マーチテンポのテーマ、そしてバンド全体の強烈なノリが素晴らしい演奏です。ホーンアンサンブルのキメはカッコ良さの極みですし、アドリブ先発の J.J.ジョンソンは完全余裕の体勢から烈しいフレーズの乱れ吹きです。
 もちろんリズム隊の纏まりは最高で、特にアルバート・ヒースが大技・小技の連発で大熱演! アーサー・ハーパーのベースも力演だと思います。

B-2 Aquarius
 J.J.ジョンソンの緻密なアレンジが冴え渡る幻想的な演奏ですが、黒人ジャズの力感が失われていないのは流石です。
 もちろんアドリブの充実度も大変なもので、そこに絡むリズム隊の活躍も聞き逃せません! このあたりは、明らかに当時の主流になっていた3管編成~モード系の演奏の代表的なところでしょう。シダー・ウォルトンがディープです♪

B-3 Shutterbug
 オーラスはアルバート・ヒースの軽快なリムショットが楽しいモード曲♪ しかもハードバップ魂が失われていませんので、ちょっとクセになる痛快さがあります。
 アドリブは全員熱いんですが、特に J.J.ジョンソンが日頃の冷静さを振り払ったかのように過熱気味! それとシダー・ウォルトンが小気味良いピアノタッチで好演です。

ということで、なかなかの熱血アルバムなんですが、今、私が聴いているのは数年前に発売された紙ジャケット仕様の日本盤CDで、リマスターがとても良好です。尤も比較したのが、やはり日本プレスのアナログ盤なんで、大きなことも言えないのですが……。一応、同じ会社なので、使用マスターも同一かと思いますので、要注意です。

それと、このCDには3曲のボーナストラックがあって、いずれも素晴らしい出来なんです♪ 多分、時間的な制約ゆえにオクラ入りしていたのでしょう。

まず「Blue' Boogie」がアップテンポの大快演! ほとんど全篇が J.J.ジョンソンとアルバート・ヒースの対決で展開されていますが、興奮度は最高です! また「Turnpike」もアップテンポの大ハードバップ大会で、13分超の演奏ながら、メンバー全員の熱演でダレ場が感じられない物凄さ! そして「Fatback」の別テイクは単なるロングバージョンという以上に、より熱い心情吐露に撤した演奏になっています♪

以上、掛け値なしに凄い演奏集です。特にアルバート・ヒースが熱演・好演の連続なんで、ちょっと見直したのが私の本音なのでした。

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鈴木ヒロミツ逝く

2007-03-14 17:54:52 | Weblog

たどりついたらいつも雨ふり / モップス (東芝)

最近の「おふくろさん」騒動で、思い出されていたのがモップスの「月光仮面」でしたが、その中心人物だった鈴木ヒロミツの訃報には、心底、驚きました。

享年60歳……。

故人は最近こそタレント業でしたが、個性派俳優という以上に、私の世代では本格的ロックを歌えるシンガーとして強烈な印象を残しています。GS時代から活動するモップスのリードシンガーとして、ドロ臭い節回しと激烈なロック魂に彩られた歌と演奏は、リアルタイムの我国では受け容れられることが無く、ヤケクソで歌ったブルースアレンジの「月光仮面」が大ヒット!

そして本日の1枚「たどりついたらいつも雨ふり」は、吉田拓郎がオリジナルの歌謡フォークをロックアレンジでカバーして昭和47年に大ヒットさせた、モップスの代表曲!

星勝の強烈なハードロックギターが鈴木ヒロミツのダミ声ボーカルと絶妙のコブシを上手く引き出した快演になっています。

ちなみにロマンポルノの傑作「濡れた荒野を走れ」の挿入歌でもありました。

あぁ、鈴木ヒロミツの新曲は、もう聴くことが出来ない……。

衷心より合掌です。

コメント (4)
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サイケポップの本命盤

2007-03-13 18:03:40 | Weblog

昨夜は断続的な停電が発生し、「サイケおやじ館」用の原稿が消失したり、散々でした。おまけにPCの具合も悪くなるし……。

天候は、本日も寒い、寒すぎです。

ということで、本日の1枚は実家から持ってきた、これ――

She's A Rainbow / The Rolling Stones (London)

ストーンズの、と言うよりも、サイケポップスの代表曲がこれ♪

まずは、あまりにもベタなジャケットのデザインがOKでしょう。アメリカ盤シングルなんです。

曲はサポートメンバーのニッキー・ホプキンスのピアノが全体を支配していますし、後にレッド・ツェッペリンで活躍するジョン・ポール・ジョーンズがアレンジしたというストリングスに彩られたフォークロック♪

本当にビューティフルです♪

なんか今日は、これ聴いただけで満足という1日でした。

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寒い春には熱いジャズ

2007-03-12 18:28:49 | Weblog

今日は朝からメッチャ寒いです!

強風、吹雪、道路は凍結!

なんか12月下旬頃の天候になっていますけど、もう春のはずじゃなかったのか!? 昼メシのトン汁が五臓六腑に染みわたりです。

ということで、本日は――

Jimmy Smith At The Organ Volume 1 (Blue Note)

オルガンジャズと言うと、今では所謂コテコテと決め付けられていますが、その大御所だったジミー・スミスは、決してそればかりではありません。

特にジャズオルガンのイノヴェイターとして注目された初期、つまりブルーノート・レーベル1500番台の作品は、濃厚なブルースフィーリング、あるいはしっとりとした情緒に彩られた正統派モダンジャズが楽しめます。

本日の1枚は、当にその代表作と申しましょうか、メンバーはジミー・スミス(org)、ケニー・バレル(g)、アート・ブレイキー(ds)、そしてルー・ドナルドソン(as) というブルーノート・オールスタアズ! ちなみに録音は1957年2月12日ですが、この時は前後3日間連続のセッションが行われ、都合アルバム5枚が製作されています――

A-1 Summertime
 ガーシュインが書いたジャズを超越した名曲を、ジミー・スミス(org) とルードナルソン(as) がデュオで、まったりと仕上げた名演です。
 原曲に秘められた一抹の哀愁と刹那のフィーリングをダイレクトに表現するのがルー・ドナルドソンならば、ブルース魂をグッと呑み込んで深く押えた雰囲気に撤するのがジミー・スミスというコントラストが鮮やかですねぇ~♪
 短い演奏ですが、持てる秘術を尽くした2人芝居が、なんとも言えない余韻を残すのでした。

A-2 There's A Small Hotel
 これもスタンダートを素材に快適なスイングに撤した名演です。
 メンバーはジミー・スミス(org)、ケニー・バレル(g)、アート・ブレイキー(ds) のトリオながら、そのグルーヴは強烈至極! 3人の相性もバッチリ!
 ケニー・バレルは粋なテーマ解釈から十八番のフレーズを積み重ねれば、ジミー・スミスも負けじと躍動的なフィーリングで対抗、そしてアート・ブレイキーは堅実かつ豪放なドラミングで土台を支えるという、モダンジャズの醍醐味が存分に堪能出来ます。特に終盤のソロチェンジの場面はスリル満点ですよ♪

B-1 All Day Long
 ケニー・バレルが書いた、これぞハードバップのブルースです。
 メンバーはジミー・スミス(org)、ケニー・バレル(g)、アート・ブレイキー(ds)、そしてルー・ドナルドソン(as) という黄金のカルテットが勢揃い♪
 アート・ブレイキーの強烈なドラムロールから、まずジミー・スミスが重低音でペースを設定し、ケニー・バレルがどろりとしたブルースコードを響かせれば、辺りはもう真っ黒です。そこにルー・ドナルドソンが泣きのアルトサックスで入って来るんですからねぇ~、もう、辛抱たまらん状態です♪
 演奏は途中で倍テンポのパートも入れた刺激的な展開もあって、どこまでも熱くなっていきますが、ジミー・スミスの粘っこいアタックの連続には、ゾクゾクさせられること、請け合いです。

B-2 Yardberd Suite
 大団円は、これも前曲と同じメンツによるハードパップ大会です。
 ちなみに曲はチャーリー・パーカーが書いたビバップの聖典ということで、直系スタイルのルー・ドナルドソンが大ハッスル! 驚異的なブレイクはエキセントリックながら、そこから分かりやすいアドリブに繋げていくので楽しさ優先モードとなり、続くケニー・バレルの快演を引き出しています。
 しかしジミー・スミスが、けっこうヤバイというか、烈しくプログレなフレーズや音出しをやってしまうので、場に緊張が生まれて、そこが素晴らしいと思います。このあたりが、単なるジャムセッションに止まらないリアルタイムの勢いというところでしょうか。

ということで、非常に充実したアルバムなんですが、これに続く「Volume 2」が、またまた名演集になっているので、合わせて聴いて下さいませ。

ちなみにジャケットに写るジミー・スミスの表情と手の動きが、物凄くグルーヴィだと思いませんか? これもジャズの魅力のひとつだと思います。

コメント (2)
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