OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

当たり前の気持ちよさ

2007-03-11 19:20:46 | Weblog

最近、ストーンズを聴くことが多いのですが、その合間に聴く4ビートが新鮮になっています。

特に正統派ハードバップや女性ボーカル物が和みますねぇ。

ということで、本日はバリバリのこれを――

Peckin' Time / Hank Mobley - Lee Morgan (Blue Note)

アルバムのクレジットは双頭リーダーになっていますが、収録5曲中、4曲のオリジナルを提供したハンク・モブレーが実質的なリーダーかと思います。

しかし演奏者全員のテンションは極めて高く、誰のリーダーセッションとして出されても不思議ではない傑作盤です♪

録音はハードバップ絶頂期と言うべき1958年2月9日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、チャーリー・パーシップ(ds) という強力クインテットです――

A-1 High And Flighty
 ハンク・モブレーが十八番のメロディラインで綴られるテーマが、これぞハードバップになっています。
 もちろんアドリブ先発の作者は流れるようなフレーズ中心に快適に飛ばしていますし、アップテンポをがっちりと支えるリズム隊との息もぴったり! さらに続くリー・モーガンが、また凄いです♪ あぁ、この突進力は若さゆえ! 独特の歌心も存分に発揮していますからねぇ~、ますますボリュームを上げてしまうですよ♪
 そしてウイントン・ケリーが歯切れの良いビアノタッチで颯爽と駆け抜けていけば、演奏は何時しかクライマックスのドラムス対ホーンの対決へ!
 なんか当たり前に凄くて、何の感動も残らないという贅沢が味わえます。

A-2 Speak Low
 このアルバムで唯一のスタンダード曲演奏です。
 テーマにはお馴染みのラテンリズムが付いていて、リー・モーガンが哀愁を滲ませた見事な吹奏を聞かせてくれますが、サビからは4ビートのお約束をハンク・モブレーが担当し、そのまんまタメとモタレの名人芸というアドリブに入っていきます。
 あぁ、本当に良いですねぇ~~♪ 和みます♪
 そして続くウイントン・ケリーが、また最高です♪ ネバリのタッチと適度なファンキーさが絶妙なブレンドで、美味しい珈琲が欲しくなりますよ。
 さらにリー・モーガンが、本当に天才の証明! 同様にタメとツッコミの見事な両立を聞かせてくれますが、伴奏のリズム隊も全篇に上手い煽りで流石だと思います。

A-3 Peckin' Time
 アルバムタイトル曲は、これまたハードバップの極みつきという名曲・名演になっています。
 その源はウイントン・ケリーを要としたリズム隊の快適さでしょう。アドリブ先発で飛び跳ねるピアノトリオの真髄を聞かせてくれますし、伴奏にまわっては、躍動的なクッションを送り出して、ホーン陣を鼓舞していきます。
 ですからハンク・モブレーもリー・モーガンも気持ちの良いアドリブフレーズの連発でノリの良い演奏を組み立てていくのでした。

B-1 Stretchin' Out
 ちょっとホレス・シルバーのバンド? と思ってしまうほどに躍動的な演奏です。
 アドリブでは先発のリー・モーガンが異常に素晴らしく、歌心溢れるフレーズをスピード感満点に吹きまくりです♪ 実はこの時期のリー・モーガンは最初の絶頂を極めていた時代で、1週間前には名盤「キャンディ (Blue Note)」のセッションを残していたのですから、ここでの快演も優劣つけがたいものばかりです。
 またウイントン・ケリーも絶好調ですし、ハンク・モブレーは言わずもがなの和み優先モードですから、気分は最高です♪

B-2 Git-Go Blues
 オーラスは和んでファンキーな大ブルース大会です。
 なにしろ素晴らしいイントロをつけるウイントン・ケリーからして文句無し! お約束ばっかりのテーマも良いなぁ~♪
 そしてアドリブに入るところのハンク・モブレーが、全てを掌握したかのような超名フレーズで見事です。このブルージー&ファンキーなノリと泣きは、たまらんですねぇ~~~♪ もちろん通してのアドリブも最高で、全てが素晴らしいこのアルバムの中でも特級の出来栄えに、私はシビレまくり♪ 恥ずかしながらギターでこのアドリブをコピーしようかと目論んだことさえあるほどですから♪
 また続くリー・モーガンも、良いんです♪ 十八番のフレーズを出し切ったハードバップ魂の素晴らしさには最敬礼! ウイントン・ケリーの合の手も冴えきっています。
 さらにリズム隊の快適さは気持ち良過ぎて中毒しそうです。チャーリー・パーシップのドラムスはかなり硬派だと思いますが、ポール・チェンバースのベースが緩衝材の役割を果していますから、ウイントン・ケリーの跳ねすぎピアノとの相性も抜群という好結果になったようです。

ということで、当たり前に凄いとしか言えない作品です。つまりモダンジャズ黄金期には、こんな演奏が出来て当たり前という感覚に満たされた日常盤! しかしこれが現代で作られるかといえば、否でしょう。

このあたりは昭和40年代のプログラムピクチャーのように、堅固な撮影所システムに支えられた偉大なるマンネリと似ていますが、その心地良さは失われて初めて気づく宝物なのでした。


野暮用をぶっ飛ばせ!

2007-03-10 20:00:00 | Weblog

野暮用の追われた1日でした。

本当は映画観て、中古盤屋とかブート屋巡りをしたかったんですが……。本当に、ままならない人生というか……。

ということで、本日は――

■Bahia / John Coltarne (Prestige)

1950年代後半にプレスティッジに残されたジョン・コルトレーンの膨大な音源は、今日、歴史的な価値を有するわけですが、そこから製作されたアルバムは、玉石混合というのが正直なところです。

本日の1枚も、評価というか、好き嫌いが分かれる作品でしょう。

録音は1958年7月と&2月、ということは、同レーベルへの契約セッションとしては末期の音源ですから、続く上昇時代のアトランティック期に繋がる魂の萌芽が感じられるはずなのですが……。

メンバーはジョン・コルトレーン(ts) 以下、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)、ジミー・コブ(ds) 、ウィルバー・ハーディン(tp,flh)、フレディ・ハバード(tp) が入り乱れて参加しています――

A-1 Bahia (1958年12月26日録音)
 アルバムタイトルになっただけあって、強烈な印象を残す名演です。ここでのメンバーはジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という気心の知れた面々なので、変則ラテンピートの定型リズムパターンと通常4ビートが交錯する展開も、自然体でハードバップに持っていけたという感じでしょうか。
 そして何となくモード系の雰囲気も漂うあたりが新しくもあります。そのキモがジョン・コルトレーンの凄まじいシーツ・オブ・サウンド、つまり音符の洪水であるのは言わずもがな! スピード感溢れるスケールの連発と高音域での苦しそうな泣きが、興奮を誘います。
 またレッド・ガーランドは何時もながらの玉を転がすようなピアノタッチから少し硬質なアプローチまで、ファジィなノリが味わい深いところです。
 しかし本当に凄いのは、ベースとドラムスの安定感満点というグルーヴでしょう。特にアート・テイラーは出来上がっているリズムパターンから様々なバリエーションを敲き出しています。ポール・チェンバースのアルコ弾きは、言わぬが花……。

A-2 Goldsboro Express (1958年12月26日録音)
 このアルバムの目玉演奏です!
 前曲からレッド・ガーランドが抜けたトリオで演じられますが、アップテンポで、ほとんどが即興の進行であり、アート・テイラーとジョン・コルトレーンの死闘が強烈至極です! もちろんこれは、例の名盤「ジャイアント・ステップス」にダイレクトに繋がっています。
 あぁ、これがジョン・コルトレーンです! 痛快&爽快! 聴く度に熱くさせられます。

A-3 My Ideal (1958年7月11日録音)
 前曲で熱くさせられた気持ちが和んでいく会心の演奏というか、非常に上手いアルバム編集に拍手喝采です♪
 曲は有名スタンダードで歌心優先の展開が心地良いかぎりですねぇ。
 メンバーはジョン・コルトレーン(ts)、ウィルバー・ハーディン(tp)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds) という珍しいクインテットですから、ジョン・コルトレーンもそれほど無茶はやっておらず、倍テンポ吹きも刺激がほどほどですし、何よりもテナーサックスのダークな音色に仄かな泣きがあって、良い感じです。
 またリズム隊の落ち着きが流石というか、レッド・ガーランドには自分が楽しんでいるような雰囲気さえ感じられ、十八番のブロックコード弾きで押し通すアドリブは、もうこの人だけの「和み芸」で嬉しくなります。
 またウィルバー・ハーディンは、アドリブの閃きはイマイチながら、そのハスキーな音色は魅力絶大という好演になっています。

B-1 I'm A Dreamer, Aren't We All (1958年7月11日録音)
 あまり有名でないスタンダード曲を正統派ハードバップにしようと試みた演奏ではありますが、全体的にそれほどの冴えが感じられません。
 メンバーは前曲と同じですが、失礼ながらウィルバー・ハーディンの精彩の無さが……。しかしジョン・コルトレーンはスピード感満点のシーツ・オブ・サウンドで突出した弾けっぷりです。

B-2 Something I Dreamed Last Night (1958年12月26日録音)
 マイルス・デイビスが決定的な名演を残しているスタンダード曲ですが、それはジョン・コルトレーンが在籍していた時期のバンドでのセッションでありながら、自身は演奏から外されていたという屈辱を、ここで見事に晴らす快演を聞かせてくれます。
 このあたりは、後年の名盤「バラード」に通じる味わいが既に感じられ、心地良いですねぇ~♪ またレッド・ガーランドの伴奏も名人芸ですが、ちなみにここでのメンバーはジョン・コルトレーン(ts)、フレディ・ハバード(tp)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) で、最後のパートで登場するフレディ・ハバードが未完成ながら溌剌として味のあるトランペットを披露してくれるのが、ミソです。

ということで、いろんな味が楽しめる幕の内弁当ではありますが、ほぼスタイルを完成させたジョン・コルトレーンは、やっぱり良いです。ちなみにジャケ写にはソプラノサックスを吹く姿がありますが、もちろんここでは吹いておらず、実はこのアルバムの発売が1960年代だったための詐術になっています。

ただし内容は充分に刺激的ですから、結果オーライの納得盤ではないでしょうか。


私的棺桶盤

2007-03-09 18:13:18 | Weblog

午前中は雪降り続き、午後はグッと気温が上がって、雪融けまくりという1日でした。 やっぱり変な気候です。

ということで、本日は正統派のこれを――

Paul Chambers Quintet (Blue Note)

ジャズを聴き始めた頃、真っ先に名前を覚えたベーシストがポール・チェンバースでした。というか、買ったレコードのほとんどに、この人が入っていたのが真相ですが、つまり、それだけ多くの有名セッションを支えていたというわけです。

しかも後に知ったことですが、1950年代中頃から数年間というモダンジャズ黄金期には、まだ20代前半の若造だったという事実に驚愕しました。そして30代になって急速に衰えて、早世……。全くリアルタイムのハードバップと歩調を合わせた人生だったのです。

そのポール・チェンバースは、もちろんリーダー盤も残しており、けっして数は多くありませんが、その全てが傑作だと思います。このアルバムは多分、その2作目かと思いますが、正統派ハードパップでありながら、自身のベースワークと同質の強靭で柔らかなフィーリングが味わい深い逸品です。

録音は1957年5月19日、メンバーはドナルド・バード(tp)、クリフ・ジョーダン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) という、なかなか興味深い面々です――

A-1 Minor Run-down
 柔らかでメロディアスな曲調が魅力的なテーマは、ベニー・ゴルソン作曲と知って納得の名演となっています。もちろんそこには所謂ゴルソンハーモニーが現れますが、それに彩られてテーマ~アドリブに入っていくポール・チェンバースのベースが、もう最高です。バックでサクサクと蠢くエルビン・ジョーンズのブラシも良いなぁ~♪ ブリブリブンブン♪
 そしてクリフ・ジョーダンが登場する直前、4ビートのウォーキングに転換する刹那のグルーヴに、またまたゾクゾクさせられるんですねぇ~♪ もちろんクリフ・ジョーダンのテナーサックスも歌いまくりです。
 するとドラルド・バードのトランペットも歌心の塊のようなフレーズばかりを放出してきますし、トミー・フラナガンのピアノは例のソフトなスイング感満点で、たまりません。5分10秒目あたりのフレーズは最高です。
 う~ん、それにしてもフラナガン、チェンパース、エルビンのリズム隊は強烈至極というか、硬軟併せ持ったアナザー・オーバーシーズ・トリオなのでした。
 ラストテーマのアンサンブルが、またイカシています♪

A-2 The Hand Of Love
 ラテンビートを使ったポール・チェンバースのオリジナル曲で、哀愁があって開放的なメロディが素敵です。またそれをリードするドナルド・バードのトランペットも温か味がありますねぇ♪
 アドリブパートは、まずポール・チェンバースが4ビートでブンブンと入れ込めば、トミー・フラナガンは「トミフラ節」たっぷりの名演を聞かせてくれます。背後で強烈なシンバルを響かせるエルビン・ジョーンズも素晴らしいかぎり♪
 ですからホーン陣もテンションが高く、クリフ・ジョーダンは本当に歌心ばっかりですし、ドナルド・バードも溌剌としてテーマメロディを活かした哀愁の美メロをアドリブにちりばめてくれます。
 そしてクライマックスは、エルビン・ジョーンズが十八番のラテン味ボリリズムのドラムソロです! あぁ、何度聴いてもジンワリと気持ちが高ぶってまいります。

A-3 Softly As In A Morning Sunrise
 あまりにも人気が高いスタンダード曲を、リズム隊だけのビアノトリオで演じてくれるんですから、分かっているとしか言えません!
 テーマから先発のアドリブは、もちろんポール・チェンバースが名人芸のペースソロで演じ、短いピアノソロに続く再度のベースソロでは、豪快なところも聞かせてくれます。
 もちろんエルビン・ジョーンズはネバリのブラシで終始熱演ですから、完全にオーバーシーズ状態という名演になっています。

B-1 Four Strings
 B面ド頭の曲では、いきなりポール・チェンバースのアルコ弾きが炸裂します。
 まあ、これについては好き嫌いがあると思われますが、その勢いと迫力は圧倒的! ちなみに、これもまたベニー・ゴルソン作曲なので、テーマメロディが覚え易いのと、ギスギスしたアルコ弾きに被さるホーン陣のハーモニーがありますから、なにかと助かっている演奏でしょう。
 しかし続くクリフ・ジョーダンは気合満点というか、豪快で歌心のあるアドリブを聞かせてくれますし、またドナルド・バードも言う事なし快演です。
 さらにトミー・フラナガンが、これまた素晴らしい♪ エルビン・ジョーンズのヘヴィでスピード感に満ちたドラミングと一体になって、グッとくるフレーズしか弾いていません。そしてブラシで強烈なドラムソロを披露するエルビン・ジョーズは、完全な天才でしょう。
 ゲロゲロなアルコ弾きに拘るポール・チェンバースは、言わずもがなです。

B-2 What's New
 通常はスローテンポが多い、この人気スタンダードが、スインギーに演奏されているというだけで、和んできます。まずドナルド・バードのテーマ解釈が大らかで良いですねぇ~♪
 またクリフ・ジョーダンのテナーサックスが好調を維持しつつ、新しい展開を模索するような雰囲気なのも好感が持てます。
 肝心のポール・チェンバースは、安定したウォーキングが地味に良く、アドリブソロにもそれは継続されていきます。またトミー・フラナガンの美メロ主義も流石ですねぇ~~~♪ ただし、些かドタバタのエルビン・ジョーンズには???なんですが、それもハードバップなんでしょう。

B-3 Beauteous
 ポール・チェンバースが書いたハードバップ真っ向勝負のオリジナルですが、まずミディアムテンポで暴れるエルビン・ジョーンズが強烈に最高! 哀愁モードのテーマも最高です。
 するとドナルド・バードがアドリブ先発で会心の一発芸というか、クリフォード・ブラウン直伝、あるいは禁断のブラウニー・フレーズを連発してくれますんで、嬉しくなります。逆に生真面目過ぎて歌心が停滞したクリフ・ジョーダンは……???
 そしてここでも凄いのがポール・チェンバースを中心としたリズム隊です。特にエルビン・ジョーンズはステックとブラシの両刀使いで、物凄いグループを生み出していますし、グイノリのポール・チェンバースに、美メロしか出さないトミー・フラナガンという、これが「真黄金のトリオ」と言い切ってしまいます。

ということで、こんなに素敵なアルバムがあって良いんでしょうか! という作品です。歌心に溢れて溌剌としたホーン陣はもちろん素晴らしいのですが、しかしここでは、まず豪気で物分りの良いリズム隊が最大の魅力だと思います。大らかで柔軟なポー・チェンバースの真髄が聴けるのです。

ついつい、ボリュームを上げてしまいますねぇ~♪ 個人的には棺桶盤です。


疲れ盤

2007-03-08 18:25:06 | Weblog

昨日に引き続き、弥生の寒波が来襲して大雪になっています。

あぁ、完全なる異常気象!

ということで、本日は――

Roots And Herbs / Art Blakey & The Jazz Messengers (Blue Note)

アート・ブレイキー、もしくはジャズメッセンジャーズはハードバップ&ファンキーの代表選手とされていますが、やはりジャズの歴史をリアルタイムで刻んできたバンドだけに、時には進みすぎていた演奏も残しています。

特に1960年代前半の音源は、モード手法を大胆に導入していた時期だけに、今日でも古びていない演奏が沢山あります。しかしそれは聴いて楽しいか? と問われて絶句するものが確かにあって、久しくオクラ入りとなるセッションから作られたアルバムがこれです。

その原因は、おそらくウェイン・ショーターという、当時は駆け出しながら、ジャズ界では突出した異能が現場を仕切るように許されたからだと言われていますが、このアルバムは全曲がウェイン・ショーターのオリジナル曲ということで、そのあたりの検証も可能かと思います。

録音は1961年2月と5月、メンバーはリー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ウォルター・デイビス(p)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)、アート・ブレイキー(ds) という黄金期の面々ですが、ピアニストが2人、曲によって交代しているのが面白いところです――

A-1 Ping Pong (1961年2月18日)
 モード期のジャズメッセンジャーズを代表する名曲・名演で、実際にライブの演目として頻繁に取上げられています。タイトルどおり「ピンポン、ピンポン」というベースパターンが入るリズミックな曲調が楽しいですねぇ~♪ アート・ブレイキーのリムショットとナイアガラ瀑布も冴えていますから、アドリブパートも大変に充実しています。
 まず、ウェイン・ショーターが作者としてのお手本というか、心底、カッコイイ、ミステリアスで力強いモード節を披露すれば、リー・モーガンはそこにハードバップど真ん中の彩りを添えていきます。
 そしてボビー・ティモンズまでもが起承転結が些か不明という、モード地獄で苦しみますから、全体の勢いは強烈至極です。
 つまり凄いんだけど、分からない部分が強いのでした。
 最後のテーマ部分ではリー・モーガンがヤケになったかのような吹奏で憂さ晴らし! するとウェイン・ショーターが同調していくあたりが最高です。
 
A-2 Roots And Herbs (1961年2月18日)
 ここではビアノがウォルター・デイビスの交代して、ハードバッブの剛速球が演じられます。ただし全体がモード手法に毒されているので、ウェイン・ショーターのアドリブからは奇々怪々なフレーズが連発されますから、ファンには痛快の極みでしょう♪
 当然、リー・モーガンも負けじと大ハッスル! あまり中身があるアドリブとは思えませんが、ラッパの鳴りは最高です。
 そして気になるウォルター・デイビスは正統派ブルース&ファンキーのフレーズで大奮闘! 全く好感が持てます。アート・ブレイキーも、ここでは安心したかのようですね。

A-3 The Back Sliders (1961年5月27日)
 ウェイン・ショーター流儀のファンキー曲というか、力強いハードパップでありながら、アドリブパートでは妖気漂う雰囲気になるあたりが、アブナイところです。
 なにしろアート・ブレイキー以下のリズム隊がゴスペル感覚なのに、ウェイン・ショーターがモード地獄の中で妙な音ばかり選んでアドリブしていくのですから、強烈なミスマッチ感覚がたまりません。
 しかしリー・モーガンは親分の意図を尊重してか、きわめて真っ当なファンキー節を主体にしています。ただし少しずつ新しい世界に接近していくところが♪
 ちなみに、ここでのピアニストは再びボビー・ティモンズに交代していますから、お待ちかねのゴスペル大会が嬉しいかぎり♪ アート・ブレイキーの爆裂バックビートが興奮を煽ります。

B-1 United (1961年2月18日)
 これもリズミックなリフを主体に組み立てられたモード曲で、アート・ブレイキーのリムショットが楽しさの源になっています。
 それはラテン風味があって、ワルツビートも兼ねているという凝ったものですが、こんな難しい曲を楽々とアドリブしていくウェイン・ショーターは、作者というだけの才能に止まらないと思います。
 またリー・モーガンも好演ながら、再び参加のウォルター・デイビスのピアノが軽くて良い感じです。
 それとアート・ブレイキーが異様に素晴らしく、リムショット主体のオカズの入れ方とかドラムソロでの変化技、十八番のフレーズさえも新しい感覚で行こうという意気込みに溢れた名演だと思います。

B-2 Look At The Birdie (1961年2月18日)
 アップテンポで作られたショーター節のテーマが、まず快感です。
 そしてここでもアート・ブレイキーが新しい感覚の伴奏を随所で披露して、若いメンバー達を鼓舞するんですから、全員のアドリブパートが冴えわたりです。
 まずウェイン・ショーターはテーマメロディの変形フレーズを繰り返しながら、シーツ・オブ・サウンドの亜流のような不思議系に撤していますし、リー・モーガンが独特のタメとツッコミでハードバップの真髄を追求! どうにもとまらない山本リンダ現象です♪
 またボビー・ティモンズが小気味良いピアノタッチで迫ってきますから、モードの嫌味なところが消されているのですねぇ~。ラストテーマもカッコイイです。

B-3 Master Mind (1961年2月18日)
 これがまた、シンプルにカッコイイというモード曲です。
 ジャズメッセンジャーズ版のマイルストーンズという感覚でしょうか、アドリブ先発のリー・モーガンが激烈トランペットで勝負すれば、ウェイン・ショーターは摩訶不思議なフレーズばっかり吹きまくり!
 あぁ、こんなんライブで聴かされたら、観客は戸惑いの嵐に投げ込まれる感じでしょう。ボビー・ティモンズでさえもファンキー節を捨て、ひたすらにモード地獄を彷徨っていきますからねぇ……。

ということで、ウェイン・ショーターのファンならば納得の名曲揃いだと思いますが、ファンキー&ハードバップを期待していると、間違いなくハズレます。

ただしアドリブの密度は以上に高く、濃い演奏ばっかりなんですねぇ。はっきり言って、疲れます。

またアート・ブレイキーの張り切りと頑張りが強烈な印象で、全くのド迫力!

それゆえにリアルタイムでの発売は見送られたのが理解出来ます。なんと発売されたのは、1970年頃でした。

現在はボーナストラック付きのCDとして復刻されていますが、おそらくジャズメッセンジャースの諸作中では人気が無いベストテンに入る可能性を秘めていますので、ご注意願います。


春の大雪

2007-03-07 19:59:44 | Weblog

今日は早く帰って、いろいろとやろう!

と目論んでいたら、時ならぬ春の雪で、帰宅したら車が入れられない!

なにしろ借りている家が山間部なんで、1時間に30センチ近く積もっていたという!

で、除雪作業で、完全空腹状態ながら、本日の1枚は――

Bill Evans At Town Hall (Verve)

多作なビル・エバンスのアルバムの中にあって、けっこう隠れた人気盤だと思います。

まあ、この時期のトリオはスコット・ラファロ(b) を失って次なる展開を模索していた所為か、些か小粒なメンツではありますが、マンネリとは違う不思議な安定感があって、私は気に入っています。

で、ここでのメンバーはビル・エバンス(p)、チャック・イスラエル(b)、アーノルド・ワイス(ds) という、今となっては珍しい顔合わせながら、とても纏まりのある演奏を聞かせてくれます。

ちなみに録音は1966年2月21日、ニューヨークのタウンホールでのライブ音源で、オリジナル盤ジャケットには「Volume One」と記してありますが、結局、続篇は出ないまま、CD時代になってボーナストラックが追加されたという経緯があります――

A-1 I Should Care
 観客の拍手の中、ちょっとしたチューニングがあり、続いてビル・エバンスがスマートなテーマ解釈を聞かせる展開からして、完全に惹き込まれてしまいます。
 もちろんアドリブは完璧な「エバンス節」がたっぷり♪ やや地味なアーノルド・ワイスのブラシも結果オーライですし、チャック・イスラエルが畢生のベースソロを披露しています。
 録音状態も落ち着きとメリハリが両立していて、とても好ましいと思います。

A-2 Spring Is Here
 綺麗なテーマメロディを原曲以上の魅力に作り変えていくビル・エバンスの魔法が存分に味わえる名演です。
 それはスローな展開でありながら、決してダレない緊張感とホノボノとした安らぎの同居でもありますが、トリオとしての一体感が見事すぎて、普通に聞こえてしまうのが♪ それでも2分40秒からのスリルにはゾクゾクさせられます。
 全てを分かって寄り添うチャック・イスラエルのベースも、最高ですねぇ♪

A-3 Who Can I Turn To
 当時、リアルタイムで流行っていたポビュラー曲をビル・エバンス流儀でジャズ化した名演ですが、ほとんどこれが、この曲の定番解釈であろうと思います。
 それはスローな展開から原曲メロディをフェイクして快適なスイングに持っていくという、ビル・エバンスが十八番の演奏ですが、ここでもチャック・イスラエルが好サポートを聞かせてくれます。アドリブソロもウッドベース本来の魅力がありますねぇ~~~♪ 控えめなアーノルド・ワイスも高得点です。

B-1 Make Someone Happy
 B面に入っても安定したビアノトリオの妙技が続きます。ここでは、まずビル・エバンスの幻想的なピアノソロから溌剌としたテーマ演奏、そしてスピード感溢れるアドリブパートに入っていく展開が最高です!
 そこにはトリオ3者の粘っこい絡みがあり、アーノルド・ワイスもステックに持ち替えて煽りのドラミング! とはいえ、けっしてハメを外すことが無いあたりに、物足りなさを感じるのも事実ではありますが……。
 しかし肝心のビル・エバンスは、テンションの高いフレーズとコード選びで、文句無しです。

B-2 Memory Of His Father, Harry Evans, 1891-1966
 これはタイトルどおり、2週間ほど前に急逝した父親に捧げてビル・エバンスが繰り広げたソロピアノです。
 多分、即興的な部分が多いと思われますが、約13分の演奏中の後半では、晩年のレパートリーになる「Turn Out The Stars」と同じテーマメロディが出てきますから、実はしっかりと作編曲してあったんでしょうねぇ。胸に去来する父の思い出に溺れることなく、万感の思いで綴られる名演には、素直に感動してしまいます。

ということで、個人的な愛聴盤になっています。

ちなみにCDには前述したように「Beautful Love」「My Foolish Heart」「One For Helen」の3曲がボーナストラックとして入っていますが、これは恐らく出る予定だった「Volume Two」からのものでしょうか? 実はCD持っていないので、詳細等々、ご容赦願います。

でも、ビル・エバンスって、やっぱり何を聴いても、良いですねぇ~~~~♪ 独自の歌心は唯一無二♪


春の嵐

2007-03-06 18:15:47 | Weblog

通信回線の異常でしょうか、ネットが断続的にトラブっています。

本日の1枚も上手くアップ出来ません。

果たして、この文章がきちんと掲載されるか否かも不透明ですが!

とりあえず本日は様子見ということで、ご容赦願います。

復旧安定したら続ける所存です。

外は強風に吹雪という、大荒れ模様です。


仕事で潰されないように

2007-03-05 20:35:54 | Weblog

今日は20℃近くあったんじゃないでしょうか?

とても雪国の春とは思えませんです。

そして夕方からは生温い雨が! 全く分からん気候です。

ということで、本日は無闇に熱い、このアルバムを――

Mingus At Carnegie Hall / Charles Mingus (Atlantic)

ジャズ界屈指の頑固者であろうチャールス・ミンガスが、最後の一花を咲かせたのが、1973年からのアトランティック時代です。しかしそれは半身不随の奇病に侵されながらの戦いでありましたから、極端に言えばベースも満足に弾けない時さえ、そこに居ることだけでリーダーシップを発揮していたという、凄い時期です。

ただしこれ以前のチャールス・ミンガスは、いわばホサレ時期というか、満足なレコーディング契約も取れずに苦闘していたのですから、肉体は犯されていても、精神は充実していたのでしょう。

それはこのアトランティック時代の諸作にハズレが無い事でも明らかですが、本アルバムはその中でも特別な人気盤♪ 確か1974年頃に出た瞬間から、ジャズ喫茶の名盤になっています。

録音は1974年1月19日、カーネギーホールでのライブ音源で、メンバーはチャールス・ミンガス(b) 以下、ジョン・ファディス(tp)、ジョージ・アダムス(ts) 、ハミエット・ブルィエット(bs)、ドン・プューレン(p)、ダニー・リッチモンド(ds) という当時のレギュラーに加えて、ジョン・ハンディ(ts,as)、ローランド・カーク(ts,stritch)、チャールス・マクファーソン(as) という歴代スタアプレイヤーが入った大ジャムセッションになっています――

A-1 C Jam Blues
 デューク・エリントンが書いた有名なジャズブルースで、如何様にも染上げる可能性を秘めたシンプルなテーマが奥深いとされていますが、そんなことは、どーでも良くなるほど熱い演奏になっています。
 まず、テーマ部分から野太いチャールス・ミンガスのベースが唸るので、嬉しくなります。そしてアドリブ先発はジョン・ハンディがテナーサックスで正統派のハードスイングというお手本を披露! これが侮れない高密度です。
 続くバリトンのハミエット・ブルィエットは当時注目されていた新鋭で、その黒くて逞しい音色とグルーヴは、今日でも輝きを失っていません。ただしフリーに逃げているのは、やや減点でしょうか……。個人的には真っ向勝負を期待したのですが!
 しかし、もうひとりの新鋭であるジョージ・アダムスは、あの痙攣フレーズを駆使して大暴れです。痺れるようなフレーズの引き伸ばしや混濁した音使い、さらに眩暈のハイノート吹き……等々、なんとかジョン・コルトレーンの呪縛から逃れんとする意気込みが感じられて、素晴らしいですねぇ~♪ バックで発狂悶絶するドン・プューレンとの息の合い方も抜群だと思います。
 ただし、それが良いのはここまで! なんと次に登場するローランド・カークがジョージ・アダムスをペシャンコにする快・怪演の連発です。なにしろ正統派のテナーサックスを聞かせつつ、ド派手のメチャ吹きというか、大らかなノリとグチャグチャなブローのゴッタ煮です。炸裂するゲロゲロな音色の合間に超正統派の吹奏を交えてきますから、全く油断できず、聞いているうちに宇宙の彼方に飛ばされてしまいますよっ! あぁ、何度聴いても強烈至極です。どうやって吹いているのか、痙攣して悶絶、随喜の涙、とにかく一度聞いたら完全に虜になること、請け合いです。
 実はこれを聴いてローランド・カークのレコード蒐集を始めた人を、私は何人も知っているほどですからっ! 何事も無かったかのようにアドリブを止めてしまう後に湧き上がる観客の呆れた声援が全てでしょう♪
 さて、演奏はこの後、ディジー・ガレスピーの物真似男というジョン・ファディスが場を和ませ、ビバップ主流派のベクトルへ軌道修正すれば、続くチャールス・マクファーソンはチャーリー・パーカー直系の基本姿勢で応えます。
 そしてラストテーマ直後から始まるノンストップな音の洪水が、これまた凄いところ! 大フリー大会なんですが、ジョージ・アダムスの暴れが虚しくなるのは、やはりローランド・カークと役者が違うというところでしょうか……。きっと良い勉強になったと思われますが、そうでもないか!? このあたりが疲れるところなのでした。

B-1 Perdido
 さてB面もデューク・エリントンの曲を素材にした楽しいジャムセッション♪
 とはいえ、演奏が進むにつれ、妖気というか恐さが漂うのは言わずもがなです。
 アドリブパートは、まずジョン・ハンディがアルトサックスで激烈擬似フリーに挑戦していますが、やや無理が感じられたりします。しかしハミエット・ブルィエットは面目躍如の大ブローで、場の熱気が間違いなく高まった名演を披露しています。
 しかし、またまたローランド・カーク! 全く普通っぽく出ながら、徐々に本性を現していく展開が本当に上手いです。もちろん途中から息継ぎが分からないというノンストップ吹きとか、2管同時咥え吹き、血管破裂寸前の豪快なタレ流し……等々、誰にも真似出来ない一芸の連発ですから、観客からは大声援です。あぁ、もはやドン・プューレンの暴れとかバックのリフなんて、何の意味もありませんです! とにかく、これ聴いて何も感じないという人がいたら、それは嘘だと断言出来る凄さがいっぱい♪
 ですから続くチャールス・マクファーソンは居直りのパーカー節で一呼吸、若手のジョージ・アダムスに花を持たせる潔さに好感が持てますが、肝心のジョージ・アダムスが分かっていないというか、無理矢理にフリーをやらかして馬脚を現すというテイタラクです。
 ただしここはドン・プューレンもグルになっていますから、それなりに救われています。ちなみにこの2人は、この後も盟友として活動していきますから、その原点の記録として興奮度も高いところでしょう♪
 そしてジョン・ファディスの存在は、なんかディジー・ガレスピーの名代という雰囲気なのが……。まあ、いいじゃないですかぁ……。

ということで、結局、チャールス・ミンガスはベースソロを披露することも無いまま、演奏は終了してしまいますが、ストレートなジャズの楽しさに満ちたアルバムです。とにかくローランド・カークが凄すぎますよ♪

実は仕事で追い回されて、ストレス発散に車の中で大音量で、これを聴いてるわけなんですが……!


魂の高揚

2007-03-04 17:47:22 | Weblog

全くの春の陽気♪ 早起きしてバイクでブッ飛ばしという、年甲斐も無い行動でした。

ということで、本日は――

Nigeria / Grant Green (Blue Note)

密かな楽しみから全く当然の行いとなった「ジャケ買い」からは、遠く離れた場所に位置するアルバムですが、中身は最高という1枚です。

その実態は、1970年代終盤からボツボツと発売されていた、ジャズの名門レーベル「ブルーノート」の未発表音源発掘盤のひとつということで、ある程度のレベルは保証されているのですが、全然イケてないジャケットを裏返してメンツを確認した瞬間に震えがきました!

なんとグラント・グリーン(g)、ソニー・クラーク(p)、サム・ジョーンズ(b)、そしてアート・ブレイキー(ds) ですよっ! しかも録音が1962年1月13日という、とても良い時期ですから――

A-1 Airegin
 ソニー・ロリンズ作曲によるハードバップ定番曲が、ブリブリ豪快に演奏されます。もちろん、その原動力はアート・ブレイキーの豪胆にして繊細なドラムス! またソニー・クラークもツボを押えた伴奏からアドリブソロも冴えわたり、サム・ジョーンズはがっしりと土台を支えていますから、悪いわけがないのです。
 当然、グラント・グリーンも奮闘していますが、まあ、リズム隊の快演に酔ってしまうのが本音かもしれません。
 ちなみに曲タイトルは「Nigeria」の逆綴りですから、アルバムタイトルは本末転倒の二重奏というオチで、ニヤリとさせてくれるのでした♪

A-2 It Ain't Necessarily So
 このアルバムの目玉演奏がこれです! あぁ、この黒っぽさは尋常ではありません。
 ミディアムテンポでグルーヴィに盛り上がっていく演奏は、本当にネバネバ・ギトギトの世界です。う~ん、アート・ブレイキーのゴスペルドラムが恐いほど!
 ですからグラント・グリーンは本領発揮のファンキー節に加えて、十八番の針飛びフレーズを連発! また誰かの掛声とかソニー・クラークのネクラな合の手があって、ギューッと心臓を鷲掴みにされるような臨死体験的快感が味わえます! こんな演奏がオクラ入りしていたんですから、当時のブルーノート、あるいはモダンジャズ界は超充実の極みだったんでしょうねぇ。
 全く聴いているうちに震えて眠れの恐ろしさにシビレます♪
 ソニー・クラークが、また最高なんです♪ 聴かずに死ねるかの名演とは、当にこれです!

B-1 I Concentrate On You
 B面ド頭は一転して軽い雰囲気というか、グラント・グリーンやソニー・クラークの軽妙な歌心が存分に楽しめる演奏になっています。
 特にグラント・グリーンは、こういう歌物の解釈も実に上手くて脱帽です。

B-2 The Things We Did Last Summer / あの夏の思い出
 力強いワルツテンポのイントロから、泣きを含んだ魅惑のテーマメロディがスローで奏でられていくという、凝った仕掛けがニクイところ♪
 グラント・グリーンはここでも絶好調で、歌心に満ちたフレーズを出し惜しみしていませんし、ソニー・クラークも負けじと美メロのアドリブ♪ もちろんリズム隊も要所を締める好演です。

B-3 The Song Is You
 オーラスもまた、快テンポでブッ飛ばす熱演です。
 素材はもちろん有名スタンダードなので安心感がありますが、まずグラント・グリーンのテーマ解釈が素直で好感が持てますし、ブレイクからアドリブに突入する刹那には、ソニー・クラークが十八番のギュ~ンというコード弾きでアクセントをつけてくれるあたりが、良いですねぇ~。もちろんこのワザは伴奏でも存分に楽しめますよ♪
 肝心のグラント・グリーンは本当に絶好調! 力強く、しかも流麗な単音弾きで美メロのアドリブを連発すれば、ソニー・クラークはファンキー味もたっぷりの黒~いフレーズで対抗していくのでした。

ということで、A面がファンキー・ハードバップ、B面がスタンダートという上手い構成のアルバムです。しかしジャケットが完全にトホホなこともあって、リアルタイムではほとんど話題にもなりませんでしたし、その所為か日本盤はグラント・グリーンをイメージしたイラストを使って発売されていました。

しかし中身は極上! 特に「It Ain't Necessarily So」は、ハードバップファン必聴の名演で、これ1曲の為に入手しても後悔しないはずと思います。

そんなこんなで、オリジナル盤は案外入手が難しいようですが、どうやらCDでも再発されているようなので、騙されたと思って聴いてみて下さいませ。必ず熱い魂が高揚しますよ。


良いも悪いも凄い人

2007-03-03 18:01:11 | Weblog

あの、飯島愛が引退するらしいですね。

良くも悪くも凄い人だと思いますが、私のような者からすれば、エロの世界からお茶の間に入れた才能の持ち主として、印象的です。

なんでも体調の不良、病気が原因らしいです。背中の痛みが耐え難いとは、内蔵の悪質な病気でなければよいのですが……。

ということで、本日は――

Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia / Sony)

ジャズメンでは最も海賊盤が多いであろうマイルス・デイビスの、これは公式海賊盤という存在です。

つまりきちんとした録音では無く、プロデューサーのテオ・マセロが自分の記録用に残したテープから作られたブツということで、当然、音質もイマイチです。

しかし内容は極上という演奏が捨てがたく、なんとかスタジオで手を入れてリリースされたという経緯があるのでした。

というのも、これはマイルス・デイビスのレギュラーバンドがギル・エバンスのアレンジを使ったライブというのがミソなんです♪ 当然、オーケストラのパートはギル・エバンス子飼いのメンバーが演奏しています。

録音は1961年5月19日、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds) という、当時最強のクインテット! そこへ曲によってギル・エバンス指揮のオーケストラが加わっていきます――

A-1 So What
 あまりにも有名なマイルス・デイビスの大定番! しかもここでは、まずギル・エバンスのオーケストラが思わせぶりな導入部を演奏し、続いて、あの印象的なベースのリフが始まるのですから、たまりません。
 もちろんテーマでもキメのアンサンブルがズレながらもビシッと決まり、マイルス・デイビスがクールで熱いトランペットのアドリブを存分に聞かせていく展開が、本当に憎たらしいほどです。テンポも早すぎず、遅すぎず、ちょうど私の好みなんです♪
 ところで気になるのが、やはりハンク・モブレーの存在です。なにしろマイルス・デイビスに雇われたことが、この人の一生の不覚とまで言われるほどにイモ扱いが常識になっていますからねぇ……。しかし私には全然、OK♪ 確かに苦し紛れのモード地獄ではありますが、ハンク・モブレーならではの「節」が、ちゃ~んと出ています! ただ、あのタメとモタレを使わせてもらえないという曲想が遺憾なんです。
 しかしリズム隊はイキイキとしていますねぇ~♪ ポール・チェンバースは録音の按配もあってか、ブンブンブン! クールにキメてズバッと切り込むジミー・コブ! 飛び跳ねるウイントン・ケリーという、当に黄金のトリオが、終盤の大爆発へ向けて疾走していく様は痛快そのものです。

A-2 Spring Is Here
 これはギル・エバンスの編曲を主体にした短い演奏で、マイルス・デイビスの一人舞台になっています。
 曲はもちろん有名スタンダードですから、そのメロディを知っていると、ここでの意味合いが深く楽しめる仕掛けになっていますが、個人的にはギル・エバンスの彩り豊かなアレンジばかり聞いてしまいます。

A-3 No Blues
 これはクインテットが当時十八番にしていたハードバップのブルース! バンドはグイグイとスイングしていきますが、その推進力はリズム隊に他なりません♪
 マイルス・デイビスは何時もの常套句ばかりを吹きまくりですが、ウイントン・ケリーが絶妙の合の手を入れてきますから、マンネリが心地良さに変わっていきますし、ハンク・モブレーは俺に任せろ! 最初は遠慮気味なんですが、途中からは止まらない大ハードバップ大会です♪
 そしてやっぱりウイントン・ケリーが素晴らしいです。特にハンク・モブレーのバックで炸裂するキメを多用した伴奏も凄いですし、アドリブソロでも颯爽としていながら粘っこいフレーズがファンキー天国を現出させています。
 もちろんポール・チェンバースとジミー・コブも、次にウイントン・ケリーが何をやるか、完全把握のコンビネーションですから、バンドは無限にノリまくり♪ 実はこの3人、ほどなくレギュラーを辞めていくのですが、マイルス・デイビスが途方に暮れたのも無理はないと思います。

B-1 Oleo
 これが、また凄い演奏です。
 残念ながらテーマの頭が欠けているんですが、ポール・チェンバースとジミー・コブの生み出すグルーヴが半端ではありません。マイルス・デイビスもミュートで思う存分に吹きまくりというか、リズム隊にケツを叩かれている雰囲気がミエミエです! ジミー・コブのブラシが強烈至極なんですねぇ~♪
 ですからハンク・モブレーも覚悟を決めての突進というか、珍しく最初から闘志剥きだしのド迫力でモブレー節を披露してくれます。あぁ、このあたりは、マイルス・デイビス不要論さえ出てくる素晴らしさです。ジミー・コブのステックも激しさ満点! 全く油断出来ませんが、これこそハンク・モブレーです!
 もちろん、ウイントン・ケリーも全力疾走していますよ。

B-2 Someday My Prince Will Come
 邦題「いつか王子様が」ということで、イントロはもちろんポール・チェンバースのブンブンブンブンです♪ ただしここではマイルス・デイビスがテーマを吹いただけで終わってしまうのが???
 テープ編集だとしたら、全く勿体無いですねぇ。

B-3 The Meaning Of The Blues
B-4 Lamen
B-5 New Rhumba

 ここの3曲はメドレー形式で演奏され、もちろん、ギル・エバンスのアレンジによるオーケストラが付いています。
 ただしこれは純粋ライブではなく、この音源がアルバム化される際にスタジオでダビングや手直しが行われたと言われておりますので、完成度もかなり高い仕上がりです。
 中でも「New Rhumba」は躍動的で最高ですが、この3曲は名盤「マイルス・アヘッド」で決定的なスタジオバージョンが残されていますから、聞き比べも楽しみながら、実はアドリブやキメがほとんど同じという完成度なのでした。

ということで、音はそれなりですが、最近のCDではポール・チェンバースのベースが全面に出たマスタリングになっているので、CD鑑賞がオススメです。ちなみにアメリカ盤オリジナルLPは、モノラル仕様でも擬似ステレオ風のエコーがあり、ステレオ盤は当然、擬似ステレオですから、アナログ盤なら断然、日本盤が良いと思います。

あと、この日の音源からは続篇も作られていますし、コンプリートにした2枚組CDもあるようですね。個人的にはハンク・モブレーのコレクションとして入手したブツなんで、マイルス・デイビス云々よりは、リズム隊中心に楽しんでいるのでした。

ジミー・コブ、最高!


またしても休載のお詫び

2007-03-02 17:46:47 | Weblog

またまた緊急出張で旅の空です。

仕事がゴッタ煮状態!

というわけで、せっかく訪れてくれた皆様に、休載のお詫びです。

全く申しわけありません。

それにしても私の人生は、もっと楽しくてもいいんじゃないか!?

そんなことを思わずにはいられない日々が続いています。

グチって、すんません。

明日は頑張ります!