OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ソニー・ロリンズの大らかな初心

2011-01-15 16:32:48 | Jazz

Sonny Rollins with The Modern Jazz Quartet,
                                                      Art Blakey, Kenny Drew
(Prestige)

世の中には「天才」と呼ばれる人が数多存在しますが、ソニー・ロリンズはその前に「真の」という修飾語が付けられるジャズミュージシャン!

それはアドリブという瞬間芸が命ともいえる世界において、単にテクニックとか音楽的知識を超えたとしか思えない天性のリズム感や豊かなインスピレーション、また何よりもテナーサックスという楽器を逞しく鳴らすという魅力は絶大です。

そこで本日ご紹介のアルバムは、ソニー・ロリンズが1950年代前半に吹き込んだ初期リーダーセッションを纏めたものですが、随所に未完成な部分は感じられるものの、既にして「ローリン節」と称賛された躍動感と閃きに満ちたスタイルが顕著になっているのは流石に天才の証明でしょう。

☆1953年10月7日録音
 A-1 The Stopper
 A-2 Almost Like Being In Love
 A-3 No More
 A-4 In A Sentimental Mood
 ソニー・ロリンズにとっては3回目の公式リーダーセッションになりますが、ここまでのキャリアの中では1940年代中頃からテナーサックスの巨匠たるコールマン・ホーキンスの薫陶を受け、バド・パウエル、マイルス・デイビス、J.J.ジョンソン等々のレコーディングに参加しては確固たる評価を得ていたので、当時は急速に注目を集めていたモダン・ジャズ・カルテット=MJQとの共演も泰然自若の演奏が繰り広げられています。
 それはソニー・ロリンズ(ts)、ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds) という説明不要のメンバーにより、後にハードバップと称される東海岸ジャズ確立期の記録としても、最高のひとつでしょう。
 とにかく冒頭、ソニー・ロリンズが書いた如何にも「らしい」リフ曲の「The Stopper」からして、そのストップタイムを上手く使った躍動感は唯一無二! アップテンポで一糸乱れぬバックアップを展開するMJQの結束力には凄味さえ感じられますし、また同時にミルト・ジャクソンの奔放に暴れるヴァイブラフォンも、決してソニーロリンズに負けていません。
 ですから有名スタンダード曲を豪快にスイングさせた「Almost Like Being In Love」にしても、その基本になっている歌心が、このメンバーならではの素晴らしいジャズセンスで、ある意味では拡大解釈されていくんですが、実はそれこそが最高の瞬間を提供してくれますよ♪♪~♪
 あぁ、こんなに楽しいモダンジャズって!!?!
 このあたりがソニー・ロリンズの真骨頂として、後々まで貫き通される魅力なのでしょう。
 それは再びのオリジナル曲「No More」のストレートなハードバップスタイルとユーモア精神の融合、さらにデューク・エリントンの有名曲「In A Sentimental Mood」における堂々とした歌心の発露にも絶大で、特に後者は同曲の決定的なバージョンとして、モダンジャズでは十指に入るんじゃないでしょうか。ミルト・ジャクソンのアドリブも、まさに珠玉だと思います♪♪~♪
 ちなみに話しは前後しますが、この4曲は当然ながらSPやシングル盤での発売が先にあって、この12吋LPに収録されたのは1956年中頃だと思われますが、アルバム裏ジャケットに「Remastered by Van Gelder」と明記されているのは、所謂「再発」においてもモダンジャズの音作りが如何にして成立していったかを立証するものだと思います。

☆1951年12月12日録音
 A-5 Scoops
 A-6 With A Song In My Heart
 B-1 Newk's Fadeaway
 B-2 Time On My Hands
 B-3 This Love Of Mine
 B-4 Shadrack
 B-5 On A Slow Boat To China
 B-6 Mambo Bounce
 ソニー・ロリンズの公式では2回目のリーダーセッションですが、一般的にはプレスティッジと正式契約を結んだのは、ここからと言われているようです。つまりそれまではワンショット契約だったわけですから、ソニー・ロリンズが業界で完全に認められた成果が記録されているのも当然という、素晴らしい演奏が堪能出来ます。
 しかもソニー・ロリンズ(ts) 以下、参集したメンバーがケニー・ドリュー(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds) なんですから、ハードバップな勢いは保証付き!
 ちなみに、このセッションもSP等々で発売された後、LPとして完全に纏められたのは、この12吋盤が最初だと思われますから、やはり再発物の意義を確認したいところでしょう。
 そして肝心の中身は駄演がひとつも無いと断言して、これは絶対に後悔しないほどです。
 特に歌物スタンダードの「With A Song In My Heart」と「On A Slow Boat To China」は、ジャズの歴史本やガイド本では決定的な名演として必ず取り上げられている名演の中の大名演として、サイケおやじも完全KOされるトラックです。とにかく大きなウネリの中で発揮される歌心満点のアドリブとフェイクの妙技は必聴でしょうねぇ~♪ 一瞬、小節単位の曲構成を無視したかのような跳躍的なフレーズが出るスリルは、まさに快感♪♪~♪
 もちろん、そのあたりの独得のノリがセッション全曲で完全披露されていることは言うまでもなく、既にしてファンキーなフィーリングが滲むブルースの「Scoops」、あるいは曲全体を俯瞰したような大きな躍動感が凄すぎる「Newk's Fadeaway」といった自らのオリジナルにおいても、その怯むことないアドリブとアドリブから作り出したようなテーマリフの相関関係は痛快至極です。
 また「Time On My Hands」「This Love Of Mine」「Shadrack」といった、ちょいと地味なスタンダード曲においては、オリジナルメロディよりも素敵なアドリブフレーズが出てしまうんですねぇ~♪ もはやテンポ設定とかコード進行とか、そういう約束事がそのまんま全て、ソニー・ロリンズという音楽になっている感じでしょうか。
 その度量の大きさは、モダンジャズでは理想のひとつだと思います。
 また当然ながらリズム隊の堅実な助演も印象的で、時にはハードエッジなビートで鋭く攻め込み、またある時には膨らみのあるグルーヴを作り出しては、見事に天才をバックアップするですから、この3人も本当に偉大で、殊更「Mambo Bounce」におけるラテンビートとモダンジャズの融合が強靭なハードバップに昇華される展開はお見事! ハードドライヴィグな胡散臭さが実に良い感じです。

☆1951年1月17日録音
 B-7 I Know
 これこそがソニー・ロリンズの最初のリーダーセッションとされる名演で、おそらくはチャーリー・パーカーが十八番にしていた「Confirmation」の変奏なんでしょうが、初っ端からソニー・ロリンズがモロ出しのフレーズを大サービス♪♪~♪ もう全てがアドリブで作られているんでしょうねぇ~♪ 最高ですっ!
 ちなみに有名な伝説になっていますが、この1曲が残されたのはマイルス・デイビスの強い推薦によるものらしく、以前からソニー・ロリンズの才能と実力を高く評価していたマイルス・デイビスが自身のリーダーセッションに参加したソニー・ロリンズをこの機会にレコーディングしてくれるよう、制作者側に頼み込んだ結果だったとか!?
 ですから、メンバーはソニー・ロリンズも含めて、その居残り組がメインのパーシー・ヒース(b) とロイ・ヘインズ(ds) に加え、マイルス・デイビスがピアノで参加しています。
 そして堂々の主役を見事に演じきったソニー・ロリンズは、後の完成されたスタイルからすれば些か未熟な部分をモダンジャズならば許される豪放な味わいに変換させるという、若さゆえの特権で押し切るんですから、やっぱり天才は違います。
 この時、なんと21歳!
 個人的にも非常に好きな演奏です。

ということで、全てが3分前後のトラックばかりなのが物足りないと思う本音もありますが、しかし短い演奏時間であればこその集中力が密度の濃い仕上がりに直結したという結論も導かれるでしょう。

既に述べたように、モダンジャズはアドリブ命ゆえに、下手したら自己満足&ジコチュウな表現に長々と時間を費やすだけの音楽になる危険性もありますから、限られたスペースの中で、どれだけ自分の主張を展開出来るか!?

そうした点もジャズを楽しくする大切な要点かもしれません。

ですから、このアルバムに収められた優れた演奏がソニー・ロリンズの天才性を十分に証明しているのは当然の事であり、ソニー・ロリンズもまた、ここに記録された初心を忘れない姿勢を貫いているのは、皆様が良くご存じのとおり♪♪~♪

その大らかさが、最高の魅力なのでした。

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演じて歌う賀川雪絵

2011-01-14 16:30:37 | 歌謡曲

一年は裏切りの季節 / 賀川雪絵 (日本コロムビア)

今年は初っ端から、些かむさくるしいアップが続いたので、本日は新春らしい大サービス♪♪~♪ 女優さんレコードのひとつとして、ジャケットも嬉しい人気盤です。

歌っている賀川雪絵は、「徳川女系図」から始まる東映ポルノ路線の常連女優として大活躍した後、テレビや一般作品にも進出して行きましたが、これはちょうどその過渡期の昭和46(1971)年晩秋に発売された彼女の歌手デビュー曲とはいえ、ヒットしていません。

このあたりは昭和元禄が継続していた当時、女優は歌うのも芸の内という事情があったにせよ、いや、それだからこその厳しさがあったわけです。

しかし流石は賀川雪絵というか、自らのヌードを使った掲載ジャケットをご覧いただければ、今日では絶対にNGなデザインと企画が眩しいばかりでしょう。

肝心の楽曲は作詞:吉岡オサム、作曲:鈴木征一、そして編曲:河村利夫というトリオが組んだ、如何にも昭和なポップス演歌♪♪~♪ 特に電子オルガンのサイケデリックな味付けが高得点ですし、なによりも歌詞の内容が処女喪失~捨てられたスケバンの青春回顧という、そのまんま出演映画の中で彼女が十八番にしていた役柄を歌ってくれるんですから、たまりません。

そこであらためてジャケットを眺めてみれば、虚無的な彼女の表情と共に倒れた洋酒の壜やグラスが写っていて、いかにも捨てられた女の風情が強く演出され、また同時にサービスされる乳やヒップのワレメがしっかり写っているヌード写真が、せつないほどに愛おしいわけです。

ということで、現代では絶対に無理なジャケットデザインばかりが人気を呼んでいるシングル盤ではありますが、ちょいと書くのを憚られるモロな歌詞を幾分押さえ気味に歌う賀川雪絵の「演技」は、実に秀逸だと思いますし、持ち前のエグイ声質も良い感じ♪♪~♪

サイケおやじよりも一回り下の皆様にとっての賀川雪絵は、TV特撮ヒーロー物では悪の女王様といった役柄が印象的な女優さんかもしれませんが、こういう歌も「演じていた」という現実を、ぜひとも楽しんでいただきとうございます。

う~ん、演じて歌う、まさに演歌!

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今日は弱音……

2011-01-13 17:01:40 | Weblog

監査とか国税とか、いろいろと苦しめられています。

契約書の印紙1枚だって、疎かには出来なわけですが……。

仕事熱心は当然ながら、それが弱い者苛めと思われるのも心外です。

あ~あ、本日は休載、ご容赦下さいませ。

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深紫の迷走

2011-01-12 16:32:15 | Rock

Hallelujah c/w April part-1 / Deep Purple (Harvest / 日本グラモフォン)

意想外に好評という一連のトホホ系ジャケットご紹介の流れの中で、流石にこれはど~しようかなぁ……、と思いつつ、やっぱり掲載してしまったのが、本日の1枚です。

ご存じ、偉大なるハードロックの王者と言えば、第二期ディープ・パープルに異論は無いはずなんですが、それにしても、このジャケットは大問題!?!?

ウリのA面曲「Hallelujah」はオリジナルメンバーのロッド・エバンスとニック・シンパーがグループを去り、ジョン・ロード(key)、リッチー・ブラックモア(g)、イアン・ペイス(ds) にイアン・ギラン(vo) とロジャー・グローヴァー(b) の2人が新参加した1969年初夏、その第二期では最初の公式音源というスタジオレコーディングでありながら、日本盤シングルに用いられたピクチャースリープの写真が、以前も失笑を誘ってしまった「Emmaretta」と同じフォトセッション時の、そのまたボツ写真でしょう!?

正直、こんなの、よく出したなぁ~~、という気持が抑えきれませんよっ!

特にジョン・ロードのマヌケ面は前述の「Emmaretta」と双璧でしょう。

う~ん、なんか悪いクスリでもやっていたの!?

実は今でこそ、この「Hallelujah」は各種編集アルバムで容易に聴けるようになっていますが、1970年代には結局、このシングル盤を入手する他はなく、しかもリアルタイムで売れていなかったので、それは困難を極めたのです。

そしてようやく現物に巡り合えば、このジャケ写のテイタラクも、例によって「日本グラモフォン」「洋楽」「昭和44(1969)年発売」という三題話を絡めてみれば、納得でしょうか……。

肝心の楽曲は、まずピカピカの新録「Hallelujah」がディヴィッド&ジョナサンとしてジョージ・マーティンもお気に入りだった英国のシンガーソングライターコンビの作品で、その彼等の本当の正体はロジャー・グリーナウェイ&ロジャー・クックという職業作家のヒットメーカーですから、なかなかポップな味わいを秘めており、それを第一期から引き継いだ些か勿体ぶったアレンジと演奏、そしてイアン・ギランならではの絶叫節で仕上げた、ちょいと不思議な感じが賛否両論でしょうか。

個人的には嫌いではありませんが、対してB面の「April」は第一期のメンバーが最後に作ったサードアルバムに収録のトラックを編集したもので、「四月の協奏曲」という邦題が示すとおり、ロックとクラシックの融合を企図していたジョン・ロードの趣味性が存分に発揮されておりますが、それにしてはジャケットを飾るグループショットでのオトボケが尚更に不可解極まりないところ……。

まあ、このB面があるからこそ、第一期のジャケ写を使ったのは間違いじゃないという苦しい言い訳も成り立ちます。

しかし現実問題として、このシングルは案の定ヒットせず、個人的にはハードロックというよりも、プログレバンドを聴いているような感じがするほどです。

ということで、今となっては「トホホのジャケット」という分類で括るしか無いのが、サイケおやじの独断と偏見です。

暴言、乱文、ご容赦下さい。

本日も、失礼致しました。

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ハードでヘヴィなサボテン野郎

2011-01-11 16:23:32 | Rock

Long Tall Sally c/w Rock N' Roll Children / Cactus (Atoc / ワーナーパイオニア)

ヘビーメタルはNGのサイケおやじも、ハードロックは大好き!

まあ、それがどう違うのか、自分でも説明に窮するんですが、どこかクールなヘビメタに対し、ハードロックは何かしらの人間味が感じられるんですねぇ。ある種のイナタイ雰囲気とか、汗だらだらの心意気とか、そう書いてしまえば、ヘビメタも同じかもしれませんが、個人的にはスマートさを排除しつつ突進するノリを持っているバンドこそ、ハードロックじゃないかと思っています。

で、そんなサイケおやじが欲する必要十分条件を満たしていのが、本日ご紹介のカクタスで、結局は大ブレイクすることも無く、またエバーグリーンなヒット曲も出せませんでしたが、好きな人には決して忘れられないバンドでしょう。

メンバーはラスティー・デイ(vo,hmc)、ジム・マッカーティー(g)、ティム・ボガード(b,vo)、カーマイン・アピス(ds.vo) の4人組として1970年にデビューしていますが、ご存じのとおり、このバンドは偶然の産物というか、窮余の一策として誕生した経緯はロック史に残るものです。

それはティム・ボガードとカーマイン・アピスという元ヴァニラ・ファッジの2人が、ジェフ・ペックと新バンドを結成するはずが、なんとジェフ・ペックが交通事故で重体となって計画は頓挫! 1969年11月の事でした。

しかし既に商業的に成功していたヴァニラ・ファッジを辞めてしまったティム・ボガードとカーマイン・アピスは、遊んでいるわけにもいかなかったのでしょう。そこで別な新バンドを結成することになり、それがカクタスというわけですが、流石は重量級のリズムコンビがやるだけあって、ハードな仲間が結託しています。

まずボーカリストのラスティー・デイは、後に野獣派ギタリストとして人気が沸騰するテッド・ニュージェントが率いていた元祖ハードロックのアンボイ・デュークス出身であり、またギタリストのジム・マッカーティーもルーツ・オブ・ハードロッカーとして評価されているミッチ・ライダーのバックバンドに所属していたのですから、筋金が入っています。

そして作られたデビューアルバム「カクタス」は、骨太にブッ飛ばしたハードロックの裏名盤になったわけですが、基本的に演目がブルースの古典や黒人R&Bのカパー、そしてメンバーが即興的に仕上げたようなハードブギがほとんどということで、シングルヒット向きのキャッチーな歌と演奏は入っていません。

それゆえに我国では、ハードロック全盛期に登場したスーパーグループという、今では懐かしの称号も虚しく……。どこかしらB級の扱いが続いています。

ところがサイケおやじは、こういうストレートで質実剛健なバンドが大好きで、もちろんヴァニラ・ファッジ以来の大ファンであるティム・ボガードとカーマイン・アピスがやっているのも、絶大な魅力でした。

さて、そこで本日掲載のシングル盤は翌年に出たセカンドアルバム「ワン・ウェイ... オア・アナザー」からのカットで、A面「のっぽのサリー / Long Tall Sally」はご存じ、今ではビートルズのカパーの方が有名かもしれませんが、オリジナルは黒人ロッカーのリトル・リチャードが1956年にカッ飛ばした自作自演の大ヒットにして、永遠の古典R&R!

ですからアップテンポで熱い仕上げは必須なんですが、カクタスはグッとテンポを落とし、ヘヴィで粘っこいアレンジを極限まで利用したハードロックの典型的な一発です。しかも山場でテンポアップしてエッジ鋭くドライヴするパートまで用意されているんですから、たまりません♪♪~♪

当然ながら唸って泣きまくるギター、重心の低いベースに極端な後打ちのドラムス、さらにドロドロフィーリングでシャウトするボーカルが一丸となって叩きつけてくる醍醐味は、好きな人には好きとしか言えない、まさに筆舌に尽くし難いものでしょう。

ちなみにサイケおやじは、一般的には二流の烙印も押されているジム・マッカーティーのウネリのギターが大好きで、かなり目標としていたことを白状しておきますが、これは決して自分だけではないと思いたいですねぇ。

そしてB面収録の「Rock N' Roll Children」が、これまた一本調子寸前のへヴィなハードブギのオリジナルで、もちろん既に述べたような現場主義に貫かれたノリは、メンバー全員の共作という事情が大きく関係しているはずです。

で、そういうわけですから、我国の洋楽番組でも、このシングル盤はヒットするはずもありませんでしたが、アルバムそのものはデビュー盤も含めて、アメリカでは売れていたそうですから、日本でも似たような状況だったんじゃないでしょうか。

しかしサイケおやじは、例によって経済的な理由により、このシングル盤を買うのがギリギリのところで、それゆえに愛着も深いというわけです。

そこで気になるカクタスのその後ですが、4枚目のアルバムを作ったところでティム・ボガードとカーマイン・アピスが大怪我も癒えたジェフ・ペックと予定通りのバンド、つまりベック・ボガード&アピスを組むために脱退したことから、自然消滅の道へ……。

また、その流れの中で、ラスティー・デイとジム・マッカーティーが一足早くグループを抜け、バンドそのものが結成当時とはメンツが異なるという、名前だけが優先する存在になったのは、如何にも業界の仕来たりとはいえ、納得するファンは少ないと思われます。もちろん所謂リユニオンが事ある毎に局地的な話題とはなっているのですが……。

ということで、結局カクタスは3枚目のアルバムまでが、その全盛期だったと思います。

そして影響力も比例していたはずで、例えば我国のモップスが1971年頃から演じていたハード&ヘヴィのシンプルに分かり易いロックのスタイルが、なかなかカクタスと似ていたと思うのはサイケおやじだけではないでしょうし、類似のバンドは世界中に数多存在しているはずです。

もしもロックに永劫性があるとしたら、何時の時代も忘れられないのがカクタスのようなハード&ヘヴィなバンドじゃないか!?

本当に、そう思っているのでした。

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ファズの陽はまた昇るか!?

2011-01-10 17:16:14 | 日本のロック

陽はまた昇る / ゴールデン・カップス (東芝)

昨日のおやじバンドは、まあ、ウケるとかウケ無いとかは別にして、メンバーが好きな曲をやりまくったので、自己満足的にスカッとしました。

特にサイケおやじは久々にファズを使い、思いっきりジルジルにギスギスな音を出しましたから、もはや顰蹙を通り越して呆れた顔ばかりという現場の状況をご想像下さいませ♪♪~♪

こういう居直りも、時には必要だと思いますねぇ、不様な言い訳かもしれませんが……。

ところで日本のロックバンドで最初にファズを使ったのは?

という問題は今日まで決定的な答えが無いと思いますが、本日掲載したゴールデン・カップスのデビューシングルB面の「陽はまた昇る」に聞かれる強烈なファズの使い方は、昭和42(1967)年6月の発売を鑑みれば、相当に早いんじゃないでしょうか。

とにかくボーカルに絡んでいく前半から間奏で炸裂するギターがギンギンのファズ!

いゃ~、聴く度に血が騒ぐというか、激ヤバにカッコ良すぎるんですよねぇ~、このエディ藩♪♪~♪

ちなみに尾藤イサオが前年秋に出したカパーヒットの「ワーク・ソング」もバックがブルー・コメッツで、実はファズギターが使われていたんですが、演奏全体が曲目の所為もあって、ロックジャズっぽいアレンジの中でしたから、妙に浮いているという感じです。

ところが、ゴールデン・カップスが演じたのは作詞:なかにし礼、作編曲:鈴木邦彦という当時の歌謡界ては黄金コンビの作品でありながら、明らかにニューロックの範疇!

リズムギターとドラムスのコンビネーションによるビートの出し方は、同時代のGSの中では突出して洋楽っぽく、またリードベースの存在も強い印象を残しますが、やっぱり主役のファズギターがあってこそ、ボーカル&コーラスもA面の「いとしのジザベル」がベタベタの歌謡曲でしたから、尚更に躍動していると思います。

一説によれば、日本で最初にファズを導入したのはスパイダースのかまやつひろし!? だと言われていますが、実はエディ藩も昭和40(1965)年頃には持っていたそうで、流石は横浜のバンドという感じがしますねぇ。

ということで、使う場面を勘違いすると失笑されるのが今日のファズの立場ではありますが、これほど弾いている方が熱くなる「音」も珍しいんですよっ!

ジージー、ジルジル、ジージー、ギスギス♪♪~♪

これもまた、往年のロックの楽しい味わいなのでした。

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ヨレヨレのクラプトンも、また良し!

2011-01-09 16:30:39 | Rock

Eric Clapton's Rainbow Concert (RSO)

未だに悪評が消えないアルバムではありますが、実はサイケおやじが愛聴する1枚!

1973年1月、悪いクスリと酒に溺れていたエリック・クラプトンが、それこそ友人達に引っ張り出される形で行ったリハビリライプという企画性ゆえに、発売当時から賛否両論があったのは言わずもがな、既に中身を知っていた業界の一部からは無視する動きまで……。

 A-1 Badge
 A-2 Roll It Over
 A-3 Presence Of The Load
 B-1 Pearly Queen
 B-2 After Midnight
 B-3 Little Wing

結論から言えば、その大きな要因のひとつが音の悪さでした。

しかしエリック・クラプトン(vo,g) 以下、ピート・タウンゼント(g,vo)、ロン・ウッド(g,vo)、スティーヴ・ウインウッド(key,vo)、リック・グレッチ(b)、ジム・キャパルディ(ds)、リーボップ(per) 等々、とにかく参集した豪華なメンツの存在意義と演目の魅力は否定し難く、こういうコンサートが開催され、そのライプ盤が出ると報じられた1973年秋以降、サイケおやじは非常な決意をしていたほどです。

それはエリック・クラプトンというギターの神様が、どうやら再起不能に近い泥沼であがいているという不思議の解明であり、またクリーム以降、イマイチ芳しくない世評に対する答えを求めていたのです。

ちなみにサイケおやじは、一般的にはショボイと言われていた最初のソロアルバム「エリック・クラプトン」を気に入っていましたし、この頃になっても「レイラ」が名盤認定されていなかった実情を書いてしまえば、お若い皆様には信じられない事かもしれません。

実はその布石になっていたのが、例のブラインド・フェィスの背信(?)で、あれほど期待ハズレなアルバムは当時、犯罪扱い寸前にまでファンを怒らせたのですよっ!?!

それゆえに「らしい」ギターがほとんど出ないソロアルバム「エリック・クラプトン」のウケが悪く、その結果として最初っから「レイラ」が2枚組で値段が高かった事もあるんでしょうが、我国では局地的にしか認められなかったように思います。

しかしエリック・クラプトンの名前は、やはり絶大な価値があるというか、それがあれば強烈な神業ギターが必ずや聴けるものという「思い込み」は不滅なんですねぇ~♪ さらに前年、クリーム時代のライプ音源から抜粋した「ライプ・クリーム Vol.2」が発売され、忽ち世界中で大ヒットしていましたし、また「レイラ」以降のデレク&ドミノスを記録した2枚組ライプ盤「イン・コンサート」も世に出るという動きがあれば、それは当然でもありました。

そしてサイケおやじは昭和49(1974)年のお正月、輸入盤セールにおいてピカピカの新譜扱いだった、このアルバムを買ったのです。

そういうわけですから、クリームによるオリジナルバージョンと比べれば脱力してユルユルな「Badge」にしても、エリック・クラプトンは素晴らしいギターソロを演じていると信じる他は無く、そういう雰囲気が所謂レイドバックしたハードロックになっている「Roll It Over」のギタージャムも結果オーライでしょう。

ただし既に述べたように、レコーディング担当が名匠のグリン・ジョンズであるにもかかわらず、潔くないミックスと各楽器のバランスが不統一という現実は……。なにしろエリック・クラプトン以外にギターを弾いているピート・タウンゼントとロン・ウッドが確かにソロパートも演じているのですが、どっちがどっちか不鮮明な状況も多く、またリズムギターのパートも混濁感をますます強めていると感じます。

その意味でスティーヴ・ウィンウッドが歌う「Presence Of The Load」は、今やエリック・クラプトンの看板曲にもなっているブラインド・フェィス時代の演目ということもあり、壮麗にしてクールで熱いフィーリングの醸し出し方は流石! こんな条件の中でも、見事にメンバーの力量が示された演奏だと思いますし、エリック・クラプトン本人が、お待ちかねの後半で炸裂させるワウワウギターが強烈すぎて、短いのが勿体無いほどです。

まあ、このあたりは当時、再編されて注目度も高かったトラフィックと同じようなリズム隊の堅実なサポートも光るわけですが、そうやって演じられる同グループの代表曲「Pearly Queen」は、その所為もあってデイヴ・メイソンの得意技フレーズを弾いてしまうエリック・クラプトンがオチャメでニンマリ♪♪~♪

しかし、こんな事で喜んでいても後が続かないわけで、重心の低いヘヴィなビートで押しまくる「After Midnight」、そしてジミヘンの名曲にしてデレク&ドミノスの名演も記憶される「Little Wing」での情熱は、ロン・ウッドの好サポートも目立ちまくりというのが正直なところでしょう。

実は皆様がご存じのとおり、このアルバムはCD時代になってから収録曲目を増やした拡張盤が登場し、当然ながらミックスも音質も改善されたことから、その実態がさらに浮かび上がったわけですが、個人的には最初に馴染んだアナログ盤のゴッタ煮ミックスの中から感じられるサポートメンバーの友情と仕事人風情が大好きです。

そして肝心のエリック・クラプトンは、そのギターの音が幾分細く、ミストーンも頻発させるという、およそ神様らしくない部分が記録された事により、このアルバムが尚更にリアルな価値を持ったと言っては、贔屓の引き倒しでしょうか……。

確かに、この6曲しか入っていないアナログ盤LPだけならば、そこに愛着を感じても全く問題ないと思います。

しかし既に述べたように、拡張盤となったCD、あるいは当日2回行われたステージを全て収めたブートを聴けば、エリック・クラプトンがステージの進行に引っ張られ、グイグイと調子を上げて後半へ突入していく様が実に痛快なんですねぇ~♪

そうした事実を知ってしまえば、明らかにこのアルバムを無かったことにする動きも当然かもしれませんが、そこはリアルタイムで接した「ありがたさ」が確実に加味されていますから、愛着も強まるばかりというわけです。

ということで、相変わらず屁理屈と屈折に満ちた言い訳が無いと、それこそ聴いていられないLPではありますが、初めて買った37年前の今日の感激を思い出しているのでした。

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今年はブンブン唸りたい!、

2011-01-08 15:23:22 | Rock

Boom Boom / The Animals (EMI / 東芝)

正月気分も抜けないうちに、いきなりの出張では悪天候に阻まれ、どうにか今朝早くに戻りましたが、いよいよ三連休ということで、明日はおやじバンドによる新年ライプが予定されています。しかし昨年末は三度やって、いずれもウケが悪かったんで、メンバー各々がそれぞれに好きな演目をやろうっ!

ということで話が進んでいます。

ただし、それにしても以前の十八番や練習中の息抜き的にやっていた曲ばかりなんですが、そこでサイケおやじの主張が、本日ご紹介の「ブーン・ブーン」です。

ご存じ、我国ではアニマルズのヒット曲として、またGSブームの頃はスパイダーステンプターズの他にも、多くのバンドが演じていましたが、オリジナルはアメリカの偉大なブルースマンとして歴史に名を刻すジョン・リー・フッカーが極めてR&B色豊かに仕上げていました。

しかしアニマルズが演じたバージョンは、そのオリジナルの味わいを大切にしつつも、結果的にブルースロックの先駆的なアレンジを利用した歌と演奏になっているのが、世界中でヒットした要因じゃないでしょうか。

そして実際、我国でも掲載したシングル盤が昭和40(1965)年に発売されるや忽ちの大ヒットになり、これ以前に流行っていた「朝日のあたる家」を凌駕する勢いだった記憶がありますし、サイケおやじが買ったシングル盤は従姉の仲間内にまで貸し出されていたほどです。

ですから、その頃から日本中で誕生しつつあったエレキインストのバンドが歌入りロックグループに進化する過程において、この「Boom Boom」を演目に入れる状況も、実は自然の成り行きだったと思います。

さらに決定的なのは、誰が演じても、それなりにカッコ良くキマるんですよねぇ~、この曲は♪♪~♪ 当然ながらライプの現場ではステージと客席の距離が縮まります。

ただし、これを今の時代にやっても、果たして、ねぇ……。

という疑念は、バンドメンバーが共通のものではありますが、それを言ったら他の演目だって同一線上なんですよ。ちなみにそれはモップスバージョンの「たどりついたらいつも雨ふり」とか「エレキの若大将」バージョンの「夜空の星」等々です。

ちなみに「Boom Boom」は、テンプターズがファーストアルバムでやっていた、あの松崎由治の絶叫バージョンをコピーしていますが、どうなりますか……。

個人的には今回から自分の持ち場であるギターに戻りますので、心置きなく自分達が楽しめれば、それでOKだと思っています。

そして今日の練習は、ちょっと楽しみなのでした。

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雪と風に負けました

2011-01-07 14:57:46 | Weblog

日帰りの予定で出張したら、悪天候で飛行機が……。

帰りは深夜になりそうなんで、本日の1枚は休載で、ご理解願います。

早く家に帰りたいっ!

 

 

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ゼップのデビューシングルは最高ジャケット

2011-01-06 15:57:09 | Rock

Good Times Bad Times c/w Communication Breakdown
                                  / Led Zeppelin
(Atlantic / 日本グラモフォン)

連日のトホホ系ジャケットとは正反対!

これぞっ、わざわざロゴまで付けてアピールしまくったアートロックなデザイン!!

そうして売り出されたレッド・ツェッペリンの本邦デビューシングルです。

しかも、これが「日本グラモフォン」「洋楽」「昭和44(1969)年発売」という、サイケおやじの独断と偏見から導いた例の三題話を見事にクリアしていたのですから、いゃ~、正直言って、手持ちのレコードを探索しながら、これは驚愕の新事実というか、自分の不明を恥じいるばかりです。

まあ、苦しい言い訳ではありますが、そのあたりをサイケおやじはリアルタイムで入手した当時、そこまで考えていなかったわけですし、それよりも最高に凄いハードロックの新星バンドとして登場したゼップに完全KOされての購買意欲でした。

とにかく洋楽マスコミが挙っての絶賛とラジオから流される楽曲のハードな衝撃は、本当に強烈だったのです。

ご存じのとおり、レッド・ツェッペリンはヤードバーズの後継バンドであり、1968年になって本家のヤードバーズが立ち行かなくなった時、残されたメンバーのジミー・ペイジ(g) とクレス・ドレア(b) がニュー・ヤードバーズとしてスタートさせたのが、その始まりだと言われています。

しかしクレス・ドレアが写真家へ転身するために脱退したことから、既に流動的だったバンドメンバーの人選が縺れ、ジミー・ペイジがスタジオミュージシャン時代からの仲間だったジョン・ポール・ジョーンズ(b,key) を誘い、またジョン・ボーナム(ds) とロバート・プラント(vo) を発見して組んだのがレッド・ツェッペリンという経緯は、当時の洋楽マスコミによって知らされてはいたものの、その時点でスタアと呼べるのはジミー・ペイジだけだったと思いますし、その点を我国の洋楽ファンが、どの程度認識していたのかは、ちょいと定かではありません。

少なくともサイケおやじは、そんな新しいバンドがどれほど凄いのか!?

実際に音を聴くまでは、なんの期待もしていなかったのが本当のところでした。

ところが前述したようにラジオから「Good Times Bad Times」が流れて来た瞬間、その絶妙のブレイクを利用したイントロからヘヴィなビートと妙にメロディアスな曲調、さらにドカドカ煩いながらも実にカッコ良いドラムスとベースの存在感の強さ、短いながらショッキングなギターソロ!

そして何よりも熱いリフの構成と粘っこくてシャープなボーカルの対比が作り出す妖しい雰囲気が最高でした。

一方、「Communication Breakdown」が、これまた強力で、シンプルなリフとアップテンポのロックビートの中でエキセントリックにシャウトするボーカルが激ヤバのR&R! もちろんそれが当時の如何なるバンドよりもハードな感性を持っていたことは言わずもがな、間奏のギターソロも瞬発力があって、尚更に完成度が高いのですから、たまりません。

両曲とも、リアルタイムの洋楽番組では忽ちヒットしましたが、どちらかと言えば、「Communication Breakdown」の方がウケていたと記憶していますし、プロはもちろん素人バンドでも、コピー演目のひとつとなりましたですねぇ~♪

ということで、本当はこの2曲が収録されたデビューアルバムが欲しかったサイケおやじではありますが、しかしそんな経済的な苦境も、この如何にも素敵なジャケットデザインをレコード屋の店頭で見せられては、充分に満足♪♪~♪

そのジャケ写が反転映像になっているのは、まさに「逆もまた真なり」というサイケおやじが好きな言葉を体現していて、本来ならば新人バンドですから、メンバーの顔が分からないのはマイナス要因であるはずが、逆にミステリアスな凄みを強調するという狙いが大成功じゃないでしょうか。

極言すればゼップはアイドル系のビジュアルバンドではありませんが、それでも洋楽には女性ファンも少なからず存在しているわけですし、デビュー盤という実態を考慮しても、そのあたりの担当者の匙加減は素晴らしいと思います。

そして以降、ゼップは我国でも絶大な人気を獲得するわけですが、そう思えば以前に掲載した「Living Loving Maid」のシングル盤ジャケットも、なかなかカッコ良かったですよねぇ~♪

う~ん、日本グラモフォンという会社の謎は深まるばかり……。と言えば大袈裟かもしれませんが、これはますます要注意だと思うばかりです。

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