新聞の片隅に載ったニュースから(69)
写真家、ニコン提訴 元慰安婦写真展中止で(2012.12.26 朝日新聞)
元従軍慰安婦の写真展をめぐり、いったん会場使用を認めたのに一方的に中止を決めたのは違法だとして、韓国人写真家の安世鴻(アンセホン)さん(41)が25日、会場を運営するニコンや同社社長らを相手取り、約1400万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、写真展は今年6~7月に新宿ニコンサロンで開かれることが決まっていた。だが、抗議の電話がよせられたことを機に、ニコンは中止を決定。その後、東京地裁から会場をしようさせるよう命じられたため、新宿では予定通り開かれた。一方、9月に予定していた大阪ニコンサロンでの開催は中止となり、安さんは別の会場で開かざるを得なかった。
安さん側は、ニコンが新宿でパンフレット販売を禁じたり、大阪展を中止したりしたのは契約違反だと主張。「抗議に屈して安易に中止してしまえば、自由な表現の場がなくなってしまう」などと訴えている。
ニコンは「訴状を見ていないが、主張は訴訟を通じて行う」とコメントした。
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最近右翼が革新側の集会や組合運動などへ街宣車をもって押しかける妨害が激しくなっています。ニコンサロンでの従軍慰安婦の写真展にも、右翼団体からニコン側に抗議の電話があり、ニコンが実施した場合の右翼からの攻撃を恐れて会場を貸さないと言い出したものです。
この問題は表現の自由という憲法で保障された基本的人権が絡む問題として、マスコミは重視して報道してほしいと思います。
報道では「ニコンは『訴状を見ていないが、主張は訴訟を通じて行う』とコメントした。」で終っています。この種裁判問題の報道の常とう手段といいますか、「相手側にも取材しましたよ」という一種のアリバイづくりで終らせています。おそらく、裁判所の記者クラブから電話を架けて、返事を引き出して、これで務めは終ったと思っているのではないでしょうか。そうではなく、訴状が着いた頃に再び取材に行き、「訴状を見てどう思いますか」「表現の自由ということについてどう思っていますか」と質問し、ニコンの言い分を読者に知らせることこそ、新聞の役割です。
新しい首相に選出された安倍晋三氏は自民党総裁として、従軍慰安婦問題についての国の関与を認めて謝罪した河野官房長官談話を取り消せと主張していました。また、安倍氏は「自虐史観の教育を改めるべきだ」と主張し、アジア諸国に侵略行為があったことを否定しています。安倍首相の誕生で右翼が一層元気づくことが予想されます。すでにネット上で、ネトウヨ(ネット右翼)の活動が活発になっています。
新聞も放送も、安さんの訴訟に重大な関心を持って、詳しく報道すべきです。自分の主張以外は認めないという右翼の言動に対し、一般企業が恐れてその言い分に従うという風潮が蔓延していくと、言論・表現の自由が崩壊する危険があります。そのような言論封殺を許さないことこそがマスコミ・ジャーナリズムの役割です。
大西 五郎
写真家、ニコン提訴 元慰安婦写真展中止で(2012.12.26 朝日新聞)
元従軍慰安婦の写真展をめぐり、いったん会場使用を認めたのに一方的に中止を決めたのは違法だとして、韓国人写真家の安世鴻(アンセホン)さん(41)が25日、会場を運営するニコンや同社社長らを相手取り、約1400万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、写真展は今年6~7月に新宿ニコンサロンで開かれることが決まっていた。だが、抗議の電話がよせられたことを機に、ニコンは中止を決定。その後、東京地裁から会場をしようさせるよう命じられたため、新宿では予定通り開かれた。一方、9月に予定していた大阪ニコンサロンでの開催は中止となり、安さんは別の会場で開かざるを得なかった。
安さん側は、ニコンが新宿でパンフレット販売を禁じたり、大阪展を中止したりしたのは契約違反だと主張。「抗議に屈して安易に中止してしまえば、自由な表現の場がなくなってしまう」などと訴えている。
ニコンは「訴状を見ていないが、主張は訴訟を通じて行う」とコメントした。
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最近右翼が革新側の集会や組合運動などへ街宣車をもって押しかける妨害が激しくなっています。ニコンサロンでの従軍慰安婦の写真展にも、右翼団体からニコン側に抗議の電話があり、ニコンが実施した場合の右翼からの攻撃を恐れて会場を貸さないと言い出したものです。
この問題は表現の自由という憲法で保障された基本的人権が絡む問題として、マスコミは重視して報道してほしいと思います。
報道では「ニコンは『訴状を見ていないが、主張は訴訟を通じて行う』とコメントした。」で終っています。この種裁判問題の報道の常とう手段といいますか、「相手側にも取材しましたよ」という一種のアリバイづくりで終らせています。おそらく、裁判所の記者クラブから電話を架けて、返事を引き出して、これで務めは終ったと思っているのではないでしょうか。そうではなく、訴状が着いた頃に再び取材に行き、「訴状を見てどう思いますか」「表現の自由ということについてどう思っていますか」と質問し、ニコンの言い分を読者に知らせることこそ、新聞の役割です。
新しい首相に選出された安倍晋三氏は自民党総裁として、従軍慰安婦問題についての国の関与を認めて謝罪した河野官房長官談話を取り消せと主張していました。また、安倍氏は「自虐史観の教育を改めるべきだ」と主張し、アジア諸国に侵略行為があったことを否定しています。安倍首相の誕生で右翼が一層元気づくことが予想されます。すでにネット上で、ネトウヨ(ネット右翼)の活動が活発になっています。
新聞も放送も、安さんの訴訟に重大な関心を持って、詳しく報道すべきです。自分の主張以外は認めないという右翼の言動に対し、一般企業が恐れてその言い分に従うという風潮が蔓延していくと、言論・表現の自由が崩壊する危険があります。そのような言論封殺を許さないことこそがマスコミ・ジャーナリズムの役割です。
大西 五郎