愛知教育大 入学式で国歌を斉唱 東海3県国立大法人化後初(16.4.5毎日新聞)
刈谷市の愛知教育大で4日、入学式が行われ、同大入学式で初めて国歌が斉唱された。東海3県の6国立大では、3月23日の同大卒業式での斉唱に続くもので、2004年4月の国立大学法人化以降では初めて。
式場の講堂ステージには国旗も掲げられた。開式の辞に続き国家が斉唱され、新入生1126人らがCDの伴奏で歌った。
国旗掲揚と国家斉唱は昨年6月、下村博文・文部科学相(当時)が、国立大学協会の学長会議で入学式と卒業式での実施を要請し、議論を呼んだ。
新入生の男子学生(18)は「小中高の入学式や卒業式、スポーツ大会開会式で歌ってきたから、違和感はない」と明かした。入学式後、後藤ひとみ学長は「大学独自の判断で決めた。小中高校では学習指導要綱に沿って国歌を斉唱しており、その教員を養成する大学で行わない理由はない」と話した。
一方、松田正久・同大前学長(68)は「大学の自治を守ってこそ学問の自由や批判精神が保障され、大学の存在価値がある。これで愛教大は戦前の師範学校に逆戻りしたと言わざるを得ない」と批判している。
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安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を唱え、日本国憲法は占領軍が押し付けたもので、これを否定します。それを請けて昨年6月下村文部科学相が国立大学学長会議に卒業式・入学式での国旗掲揚と国歌斉唱を求めました。これについては「学問の自由を束縛するものだ」などの反論もありましたが、国立大学ではその反応が分れました。記事にあるように愛知教育大学は“理屈をつけながら”文部科学省の指示に従がいました。岐阜大学は3月の卒業式では「君が代」ではなく、愛唱歌の「我等多望の春にして」を送られる者、送る者が一緒に歌いました。
戦争中に学校生活を送った私としては「君が代」を国歌として歌うことに戸惑いを持っています。「我が大君に召されたる 命栄えある朝ぼらけ 讃えて送る一億の歓呼は高く天を衝く いざ征けつはものニッポン男児」(出征兵士を送る歌)を歌い、「天皇陛下のためならば何で命が惜しかろか」と歌わされた世代の私としては、素直に「君が代」を国歌と認め難いのです。
名古屋大学も5日に入学式を行いましたが、国旗の掲揚と国歌斉唱は行わなかったようです。NHKが5日夕方のニュースで「名古屋大学で入学式が行われました」と伝えましたが、国旗と国歌のことには触れませんでした。しかし映像から、講堂の正面には国旗の掲揚はありませんでしたし、国歌斉唱の場面もありませんでした。文部科学省が大学に国旗掲揚・国歌斉唱を提起して問題になっているのですからその点に触れるべきだったと思います。
高市総務相の「偏向した放送をした局の免許を取り消すことがある」という発言以来、放送が萎縮しているのではないかという指摘がされていますが、この入学式報道がそうでないことを願いたいと思います。
大西 五郎