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米福音派と選民意識  文科系

2020年01月04日 15時43分14秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 一昨年7月14日の拙エントリー「狂気のアメリカ政治(3)進化論の教え方」をここのところ何人か読まれた方がいらっしゃると、編集画面で知らされた。この続きとして、最近驚いたことをもう一つ付け加えてみたい。

 アメリカは近代以前の国家史を持たず、その統治について大きな曲折を踏まえた伝統というものの非常に少ない先進国である。また、先進国になりゆく過程でどんどん移民を受け入れて来た国だ。ただし支配体制がなかったかと言われれば、ワスプという言葉はアメリカの成人ならほとんどが知っているだろう。白人+アングロサクソン+プロテスタントが長く社会のエリートだったという意味である。なかでも、プロテスタント福音派は全米選挙民の最大勢力と聞いてきた。この福音派こそ、「狂気のアメリカ政治(3)進化論の教え方」エントリーにも紹介したように、「バイブルの創世記=反進化論」の歴史的な温床なのである。この福音派について最近、日本では到底お目にかかれないようなある週刊誌記事を目にして、驚いた。米政治週刊誌ニューズウイーク日本語版に連載グラフィック「Picture Power」というコーナーがあって、その12月10日号に中米エルサルバドルのことを扱った「ギャングへの救いなき福音の調べ」という6ページ物記事があった。冒頭に短い記事があって、あとは解説付き写真を中心とした内容だが、冒頭記事の後半はこんな文章になっていた。


『刑務所内ではキリスト教福音派へ改宗する人が多い。北東部のサンフランシスコ・デ・ゴテラにある刑務所がいい例だ。「18番街」と呼ばれるギャング組織での活動により有罪となった1500人は、いま全員が熱心な福音派信者になった。ただ、改宗して全ての受刑者が救われるわけではない。ある者は再び罪を犯し、ある者は過去の因縁から抹殺された。福音派が「最後の手」を差し伸べても、悪の連鎖から自由になれない運命を背負っているのかもしれない』


 そして、写真とその解説も、福音派の元ギャングによる説教風景であったり、改宗したが殺されたギャングの上半身写真とか、そんな編集方針があったようだ。それも、アメリカ福音派との関係が、解説の節々に現れているのである。

 日本だったらおよそあり得ない出来事、記事だと感じた。刑務所という典型的な国家(権力)施設を一宗教宗派の伝道の場として公認し、便宜を図ってきた。その成果をニューズウイーク日本版という米政治週刊誌を通じて、世界に広く紹介している。

 僕が思うに、ある意味こんな「戦闘的な」宗教を持っている米国が、他宗教国民に民主主義的に対することができるものだろうか。最近イラクはバグダッド空港でイランの最高司令官を堂々とドローン攻撃で殺して「米軍兵士らが数人殺された事件の報復である」と広く世界に向けて声明するという大事件が世界を騒がせた。イラン国民は当然「報復する」と息巻いたし、バクダッド空港が国賓暗殺現場となったイラク政府も激しい怒りを表明している。同行していたイラクのシーア派民兵組織の副司令官も巻き添えで殺されたと伝えられたが、戦争にもつながるようなこの重大国際犯罪、挑発的暴力行為は、ねじ曲がった選民意識無くしてはできないことではないだろうかと、考え込んでいたものだ。

「第二次大戦後の民主主義国家には普通になった、対外暴力を抑えるという伝統が消え果てた国家」

コメント (5)
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