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対イラン、米英の「民主革命戦争」の地政学的本質  文科系

2020年01月12日 12時08分22秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 直前の本日エントリーは、米英によるイランへの「民主主義革命という戦争」の真っ最中というアメリカ外交策を示したもの。以下の記事も全てその一環と僕は観測している。イランとベネズエラをこのままにしては、米の対中延命策「原油独占と金融によって中国を支配下に」が崩れていくからである。この2国の「民主主義革命(という戦争)」に勝利すればもう、ロシアは滅ぼしたも同然。アメリカは対中ロの帝国維持策のためにこそ、イラン、ベネズエラの現政権転覆を世界戦略としているのだと観測してきた。

『 【ロンドン時事】英外務省は、マケアー駐イラン大使が11日、テヘランでイラン当局に身柄を一時拘束されたと発表した。

 ウクライナ旅客機撃墜に抗議する反政府デモを扇動したと疑われたもようだが、ラーブ英外相は「理由も説明もない拘束は明白な国際法違反だ」と非難した。

 イランのタスニム通信によると、テヘランの大学前でこの日、政権批判のデモがあり、大使がその場に居合わせたことから「急進的な行為の引き起こしに関与した」疑いが持たれた。

 一方、英紙テレグラフ(電子版)によれば、大使は撃墜された旅客機の乗客ら犠牲者を追悼する集いに参加。集会がデモに発展したという。大使の拘束は約3時間で解かれた。

 ラーブ氏は声明で、イランが国の進路を左右する「岐路に立っている」と強調。国際社会の中で政治的にも経済的にも孤立の道を歩むより、緊張緩和へ踏み出し、外交的な解決の道を模索するよう呼び掛けた。

 ジョンソン英首相はこれに先立ち、イランがウクライナ機の誤射を認めたことを「重要な第一歩だ」と評価していた。』 


 『【ベルリン時事】20日からのロウハニ・イラン大統領の訪日を前に、イラン人が多く在住するベルリンの日本大使館前で19日、イラン反政府団体が抗議デモを行った。数十人が「安倍晋三は恥を知れ」と叫び、「独裁者」であるロウハニ氏との首脳会談はやめるべきだと訴えた。
このまま「中東派遣」で自衛隊は大丈夫か
 デモを行ったのは「イラン国民抵抗評議会(NCRI)」。イラン各地で先月、市民らによる反政府デモが行われ、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、政府の弾圧で少なくとも304人が死亡したと推計している。NCRIは、犠牲者は1500人に上ると主張した。
 NCRIドイツ代表のジャバド・ダブリアン氏は「ロウハニは独裁者だ。会談が取りやめられないなら、安倍氏は人権侵害を会談で明確に批判すべきだ」と求めた。NCRIメンバーのマハムード・マホウチヤン氏は「日本は人権意識や民主主義が進んでいる国のはず。なぜ安倍氏がロウハニと会うのか疑問だ」と批判した。』


 『 【ワシントン時事】トランプ米大統領は11日、イランがウクライナ旅客機撃墜を認めたことを受けてテヘランなどで発生した抗議デモについて、ツイッターに「注視している」と投稿した。その上で、昨年11月にイラン全土で起きた抗議デモで多数の犠牲者が出たことを念頭に「平和的なデモ隊の虐殺を繰り返すこともインターネットを遮断することもあり得ない」と警告した。
イラン、英大使を一時拘束 追悼集会がデモに発展か
 トランプ氏はペルシャ語でも同様の内容をツイートした。
 ポンペオ国務長官もツイッターで「イラン市民の声は明確だ。政府のうそや汚職、革命防衛隊の蛮行にうんざりしている」と強調。デモを撮影したとされる動画も投稿した。
 また、米政府高官は「(撃墜は)大惨事で、イランは恐ろしい過ちを犯した」と指摘した。「イランの無謀な行動が再び壊滅的な結果をもたらした」と述べた上で「無謀な野心を捨て、普通の国のように振る舞うことがこれまで以上に重要だ」と訴えた。』

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米の『「民主化革命」という侵略』①   文科系

2020年01月12日 10時27分52秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 台湾で親米派候補が圧勝した。歴史的圧勝らしい。これについて、「香港民主化運動」の影響が非常に大きかったと、マスコミも解説している。そういう情勢柄、改めて眺めてみたい旧稿がある。堤未果がずっと提唱、警鐘してきた『「民主化革命」という侵略』だ。これが今のアメリカ外交において、大国の横暴としての侵略戦争に代わるものになっているのだから。ちなみに、堤未果だけでなく外国のマスコミからも『「香港騒乱」は、米英による戦争も同じ』との論調が出始めている。その一例が、この1月3日の拙稿『香港、もう一つの現地報告』である。
 なお、アメリカのこの『「民主化革命」という侵略』の歴史は長く、古くは1970年代のチリの政権転覆例があるが、冷戦後の中南米では特に普通のことになった。この経験からアメリカがこれを世界に普及し出したのが、「アラブの春」だったと愚考している。イラク戦争の失敗の後に、中南米の経験を世界に生かし始めたわけだ。ただ、シリアでだけはこれが失敗した。そして今、この中東でシリアとイラン、中南米のベネズエラなどが、この侵略適用国になっている。
  なお、この戦略の最大ターゲットが中国であるとは、ここでずっと述べてきた僕の現世界史観である。アメリカが、こう考えているのは自明である。
「なんとしても中国を支配下に置かねばならない。さもないと、米金融帝国の維持さえできなくなっていく。この国が貿易黒字分でもってやがて作っていくだろう世界金融業によって、米唯一の強みGAFAバブルが維持できなくなっていくからだ。今でも、日中資金がアメリカから引き揚げれば、アメリカは終わりだというのに・・・。」

 

【 「民主化革命」という侵略①  文科系 2015年10月15日 

 現在アメリカ・ウオッチャーとして次々と本を書いている堤未果。アメリカのニューヨーク市立大学で修士号を取得。アムネスティ・インタナショナルや、9・11の時には米国野村證券を経て、ジャーナリストになった人。その人が書いた『政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』(角川新書)から、「アラブの春」といわれたものの虚飾を暴いた部分を中心に4~5回ほどに分けて連載紹介したいと思います。

 第1回目は、標記の「やり方」の総論と、シリアの現下大混乱の源を辿った部分です。今のロシアの「イスラム国」?爆撃などに見られる攻勢は、まさに標記のことをよく知っているからという、同じ穴の狢。

1 『「民主化革命」という侵略』その原理

『アメリカによる〈民主主義〉を装った新しいタイプの侵略手法を研究する、オーストラリア出身の作家マイケル・パーカーは、レーガン政権下のアメリカで、国務省と諜報機関が多くの慈善団体やNGOに何億ドルもの予算を投じた事実を指摘する。
 1980年代以降、米国は非協力的な外国の政権を不安定化し転覆させるために、従来のような軍事力ではなく「人道主義・民主主義」というソフトパッケージに包まれた手法を採用しているという。
 まず、ターゲットになった政府や指導者を、CNNやBBC率いる国際メディアが「人権や民主主義を侵害している」として繰り返し非難する。そして、水面下で米国が支援し、時には訓練した市民団体がツイッターやフェイスブックを通じて人を集め、反政府運動を起こすのだ。
 彼らは暴力的な行動で政府を挑発し、国際メディアがそれを「独裁者に弾圧される市民」というわかりやすい図に当てはめてイメージを広げていく。無防備な市民を救うという理由でNATO軍の武力介入が正当化され、最終的にターゲットになった政権は「民主革命」という崇高な目的のために、内部から自然に崩壊したことにされるという仕組みだ』(104~5頁)

2 シリア騒乱の場合

『「シリアの反政府運動を煽っているのは、アルジャジーラ、アル・アラビヤ、BBCアラブ、フランス24などの欧米メディアです。暴力を起こしているのは武装勢力と騒乱分子であり、一般の国民ではありません。リビアの時と同じパターンです」
 ロンドンのIT会社に勤務するシリ人、イサム・アリー・カトゥラミーズは、シリアで起きている反政府デモと、リビアの政権転覆の共通性を指摘する。(中略)
「いったい反政府軍とは誰なのか? どこまでが本当に民衆の反乱なのか?(中略) 西側メディアやアルジャジーラは、以前からシリア内の反政府勢力に対し、政府側が強権的な弾圧を行い数千人の死者が出ていると言って騒いでいますが、高性能の武器を使い武力行動をする武装グループに対し、通常の政府なら鎮圧を行います。〈平和的なデモを血祭りに上げる政府〉というフレーズを訳知り顔で言うジャーナリストは、まず現地を直接取材するべきでしょう。しかも、その武器を供給しているのは他国なのです」』
『2011年4月19日、ワシントンポスト紙にシリアの反政府デモに関するスクープが掲載された。米国務省が2006年以降、総額6000万ドル規模の資金援助をシリアの反政府グループに対して行っていたという、「ウィキリークス」から出た公電内容だ。』

 なお、反政府勢力デモ映像には、こんな工作もあるそうです。政府機関を装って、「職に就いていない母親には8000円あげるから、この時間この場所に来るように」とフェイスブックで流す。実際にはお金はもらえず、何が何だか分からないうちに解散ということなのですが、「平和な中年女性反政府デモ(または集会、の映像)」の出来上がりということなのでしょう。そんなデモ、集会写真をよく見ると、けっこう偽物もあるみたいだそうです。

(以上、123~128頁にかけて)

(続く)】

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