標記のことを、以前から展開してみたいと目論んでいた。トランプは嘘と詭弁で有名だが、アメリカの詭弁は何もトランプから始まったものではない。一例、中東に6万もの米軍を置いているのは過去から打ち続いてきたその結末。というように、アメリカの世界政策が国連無視の下に進められてきたというのが、冷戦終結後のこの30年ますます酷くなっていただけのことである。トランプはそれをちょっと前に進めたに過ぎない。それは以下の通りに。しかも、この一つ一つが、日本をも貧困にさせていくからこそ、僕はアメリカの世界政策を日本第一の問題のように考えてきた。
①米貿易赤字で他国を逆恨み、保護貿易主義へ
アメリカみずからが世界に広めて長く続いた新自由主義貿易戦争において、米が中国などに負けた今になって言い始めた泣き言にすぎない。それのみか、米国資本が中国などの安い労働力を求めて経営移転した結果、国内が空洞化した事に対する利己主義的な対応でもある。現に、中国からアメリカに入る製品にアメリカ資本の高級物品も多いと知ってから、振り上げた「関税アップ」を急いで取り下げる始末。
②「他国安保が米国にただ乗り」論
米国の利益がある地帯、国に米軍を出してきただけだ。現に、トランプが出て行くと言ったはずのシリアからも出て行く気配は皆無で、「外国軍は出ていけ」とイラク国会が決議したのに、「こんな決議にはイラン以上の恐るべき制裁を加える」と怒りまくっている始末。いずれも、両国にある石油利権にしがみついているにすぎない。アメリカ支配下に入らぬ石油国が、「石油=ドル世界体制」を崩すことになるのを恐れているのだ。物経済斜陽・物貿易大赤字のアメリカの虎の子・石油独占価格世界体制が崩れるし、「石油支払いはドルで」に支えられたドル基軸通貨世界体制による米利益も決壊・崩壊するのを恐怖しているのである。
他にも、アメリカが安保経費大幅増を要求している日韓は、米中冷戦における自分らの前線部隊でもあるはずだ。特に、「近隣安保協力では日本とよりも中国と」と決めた韓国に5倍もの負担増を要求しているのは、韓国から見たら「笑い話」にもならない。
③他国の民主主義批判
シリア、イラン、ベネズエラ、香港、ウイグルなどの「民主主義革命」で大忙しの体。が、これらを問題にするなら国連レベルの多国間主義で解決する問題のはずだ。アメリカが出ていくのはその利権絡みで碌な事がないとは、既に実証済みのことである。問題だと思うなら、国連活動の範囲でその先頭に立ってやれば良い。国連を無視して勝手に動くのは、自己都合、自己利益のためでしかないのは、①、②と同様に、明らかなことだ。
このように外交に詭弁ばかりを弄する国は、結局こういう国なのだ。国家累積赤字がGDPの4倍という惨状をば、他国を食い物にする暴力で乗り越えようとしている国。過去の衰亡大国は常に黙っては退かず、歴史を騒乱させてきたというその例外にはなり得ない「民主主義」国・・・。