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リーマンショック、その破綻の構造  文科系

2020年02月19日 11時56分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 昨日に続き、過去ログの再掲です。リーマン・ショックを起こした世界金融は、その行動を隠し続けてきてこそ儲けられたという存在。その後のG20などでの改革論議でも、米英が中心になって資料も出さず妨害しただけでした。そこから国連が時の総会議長の要請で専門家委員会をつくってまとめあげた改革報告が「スティグリッツ国連(世界経済改革)報告」。そしてアメリカは今やっと経済学者ぐるみで「株主利益最大化方針は誤りであった」などと言い出しています。が、これも僕は欺瞞に過ぎぬと観ています。さらに世界の小金を搾取していこうという方向。「スティグリッツ報告」が出るまでをあれだけ妨害した米政府が「自国第一主義」をとるトランプ政権の下で改心したなどとは到底考えられません。なんせ、GDP4倍の国家累積赤字があって、日本と違って家計なども大赤字である上に、増大する軍事費だけは確保しようという国家なのです。金融と石油でGAFAバブルを膨らませる事にしか覇権維持の道はありません。「貧すれば貪する」で、「覇権維持には、戦争暴力も辞さず」という国になっているのだと。

 なんせ、2008年まではこんな酷いことをしていた国です。

 

【 「100年に1度の危機」とは何だったのか(5)  文科系
2016年11月30日 | 国際経済問題


 (「第2章 金融グローバリゼーションの破綻」の)
 第2節 「100年に1度の経済危機」

 サブプライムローン組み込み証券問題が、誰の目にも明らかになったのは08年春のベア・スターンズ破綻だろう。ここが、アメリカ5大投資銀行のひとつだからだ。が、ここに至る徴候は既に1年以上前から現れていた。06年12月にはサブプライムローンを手がけていた米中小ローンの経営破綻が相次いでいたのだし、07年3月13日住宅ローン大手のニューセンチュリー・フィナンシャルが上場廃止になった。6月22日には、ベア・スターンズが傘下ヘッジファンド2社の救済に奔走したが果たせないという事件が起こった。
 そして08年9月15日に、5大投資銀行の第3位リーマン・ブラザースが破綻すると、その同じ日に、第4位のメリル・リンチをバンク・オブ・アメリカが買収すると発表された。翌16日には、AIGの倒産があった。アメリカ最大の保険会社であり、CDSなど金融商品の保険だけを扱ってきた会社であって、政府等が即座に8000億ドルの融資枠を設定したものだ。ただしこの額は1ヶ月で使い切ってしまい、以降も追加支援に走らざるを得なくなる。そして、これらの結末。1、2位の投資銀行も9月21日に銀行持ち株会社に転換するにいたった。ゴールドマンとモルガンがそれぞれの銀行に吸収されたのである。

 東洋経済新報社の「現代世界経済をとらえる VER5」では、5大投資銀行の破綻の後をこう書いている。
『リーマン・ブラザース破綻の翌日、保険最大手のAIGがアメリカ政府管理に置かれ救済されたのは、あまりにも膨大なCDSの破壊的影響への危惧からであった。一世を風靡したアメリカ型投資銀行ビジネスモデルの終焉が語られているが、健全に規制された金融モデルへの移行か、巻き返しのための変身なのか、ウォール街の戦略、西欧金融機関との競争を含めて、注視していく必要がある』
 政府に補償してもらって、「巻き返しのための変身」?新自由主義者たちが非難してきた社会主義政策だ!
 こういうものが爆発して、さて世界はどうなったか。前掲書「金融が乗っ取る世界経済」には、こう描かれている。約1000兆円の資産が世界から消え、どこが負債を抱えているかに相互不信に陥って、大不況が続いてきたと。そして、この後遺症は今はどうなっているのか。こんな重大なものが、数学者・藤原正彦氏も述べてきたように必ず大破綻すると証明されたも同様のそれが現実に破綻した時(第1章第2節の最後の引用を参照)、マスコミで世界的追跡調査や反省などが正しくなされたようには到底見えないのである。ネズミ講的自転車操業が途絶えたことによって世界無数のサブプライム家庭を殺した投資銀行幹部たちは、個人資産を速逃げさせたはず。対するに、たった一軒のローンが払えなくなった人々はその人生を殺されたにも等しいのである。

 第3節 破綻の構造 

「100年に1度の危機」という破綻は、10年近く経った今初めて、その内容、特質が一定分かってくるもの。何よりも世界10大銀行の移り変わりにこれが現れる。2010年と今とで、世界の10大銀行国籍がこう入れ替わった。英3米2の合わせて5行から各1の2行へと減った分、中国が0から3・5へと増えた。他は、フランス、日本の各2ほどと、ドイツの1行と、はほぼ変わらない。つまり、この数の順番で国に金があるということだろう。こういった金がおこなう世界一般企業支配やデリバティブによる世界小金持ちからの搾取も、英米の現状を見れば既に限界と観るべきだろう。没落しつつある大国が金融によって対外収支を強引に改善しようと足掻いて来ただけとも見うるのである。その結末が、世界的な中産階級没落、失業者・不安定労働者の激増というその上に、世界の小金を奪い取って長期デフレを招いたというのでは、世界の人々の幸せを攪乱しただけと言える。現行株価などは、世界的なマイナス金利や公的資金投入で懸命に支え上げているに過ぎず、マネーゲームに費やされる莫大な金融資産に呼応する有効需要など、世界のどこにも見られなくなってしまった。であるならば、今の世界経済体制では、職などは増えようがないということだ。「資本主義は終わった」というマクロ経済学者が増えているのは、こういう事情からなのである。


(あと2回ほど続く)】

 

 

 

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