「それは国会がお決めになること」。首相がそう言い逃れる場面が国会でどんどん増えている。裏に回って「日本国国会多数派の横暴」を押し通し、説明責任、「犯罪」の釈明を逃れる手口になっているようだ。これでは、多数派の横暴国会ではないか。この手口で約束を破ったり、嘘を押し通したり、果ては追及を逃れるために開くべき国会を開かなかったり・・・。
一つの典型例が、桜を観る会ホテル出費の関係書類提出拒否である。AERA1月11日号の記事から抜粋してみる。
『 昨年12月25日に行われた議院運営委員会。安倍晋三前首相が出席し、「桜を見る会」の前日にホテルで開催された夕食会費の補填(ほてん)問題をめぐり、首相在任中の自らの答弁について開口一番こう述べた。
「結果として事実に反するものがあった。改めて事実関係を説明し、答弁を正したい」
「改めて全ての国会議員に深く、心よりお詫びする」
首相経験者が自らの国会での答弁の修正を求めるのは、極めて異例な出来事と言える。神妙な面持ちで答弁に立った安倍前首相だったが、その表情が明らかに険しくなったのが、立憲民主党・辻元清美議員の質問時だった。
■裏帳簿の存在を疑う
「桜を見る会」問題が発覚後、辻元議員は何度も安倍前首相を問い詰めてきた、いわば「天敵」だ。辻元議員は、安倍前首相の事務所が訂正した政治資金収支報告書について、次のように問いただした。
「この訂正された政治資金収支報告書には、3年間とも領収書をなくしたという亡失届が添付されている。領収書がないのに、どうやって細かい数字が出せるのか。この数字を出せるとしたら政治資金以外のお金の流れを記した帳簿があるから。これを出してください」
「そんなものはない」と安倍前首相が否定すると、辻元議員は「そういうのを裏帳簿と言うんですよ」と言い放った。そして、領収書を出せない理由についてこう指摘した。
「領収書を紛失した、再発行できないと言っているのは、その宛名が公表できないものだからではないですか。もし、宛名が安倍晋三後援会ではなく、あなたが代表である政治資金団体『晋和会』だったなら、(秘書ではなく)あなた自身が政治資金規正法第25条2項違反で刑事責任を問われる可能性があります」
質疑に立った辻元議員はこう振り返る。
「安倍さんの態度は結局、何も変わっていない。領収書はないと言い、明細書についても同じ答弁を繰り返すだけ。この問題を明らかにするには、領収書、明細書、出納帳の3点を国会に提出するしかない。民間で社長が公に100回以上嘘の説明をし、部下に騙されたで通じるはずがありません」 』
同じ桜を観る会関係でも、参加者名簿の提出を一部拒否だったし、森友事件では赤木俊夫さんが書いて財務省に提出した「改ざんの経緯」手記の公表を拒んでいる。国会には出す義務があるはずのこんな資料も出さないという「説明無責任」も、国会で多数派を取っているからというそういう暴力ではないか。「我々の背後にいる多数派国民が出さなくとも良いと言っている」という理屈なのでもあろうか、とにかくこんな横暴が通っているのである。こうして結局、安倍、管内閣って国民が知らぬうちに与えた「数の暴力」だけでもっている内閣なのだ。官僚への忖度強要も含めてこんな暴力も、選挙で勝ったから良いのだと押し通しているのである。国政選挙で絶対多数を与えたわけだが、こんな暴力集団を認めた積もりはなかったはずだ。