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世界経済史の今を観る(5)08年バブル破綻と救済の構造   文科系

2014年10月06日 02時16分31秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 1970年代初頭の金本位制、固定相場制崩壊以降には、小さなバブルとその破裂は無数に起こっているという。IMF(国際通貨基金)の08年調査によればこのように。
『1970年から2007年までの38年間に、208カ国で通貨危機が、124カ国で銀行危機が、63カ国で国家債務危機が発生しています。金融危機は、先進国、新興工業国、開発途上国を問わず、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカを問わず起こっていたのです。これに対し、第二次大戦後1970年以前の時期には、国際金融危機や大規模な一国金融危機はほとんど発生していません』(岩波ブックレット12年刊 伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授「金融危機は再びやってくる」P3)

 また、08年のような史上かってなく大きなバブル崩壊について、必ず起こるとも予言されてきたのである。経済学者からはもちろん、高等数学が分かる人からも。例えば、数学者である藤原正彦・お茶の水女子大学教授はその著作「国家の品格」(新潮新書 06年4月第24刷分)でこう予言していた。
『新聞等ではなぜかあまり騒がれておりませんが、このデリバティブの残高が、国際決済銀行の発表によると2004年時点で1兆円の二万五千倍と言われています。二万五千兆円ですね。わずか三年前の残高の2.2倍です。ここ10年では25倍という恐るべき急増です。多分、京(きよう)だか京(けい)だか知りませんが、2京五千兆とでも言うのでしょう。・・・・リスク率を4%と仮定しても、一千兆円です。銀行やヘッジファンドはデリバティブの主役ですから、大規模デリバティブが一つでも破綻すると、その瞬間に資金の流れが止まり、連鎖的に決済不能に陥ります。一千兆円という数字は、銀行のリスク許容能力である自己資金の総額の数倍にも達しているのです。・・・・いつ世界経済をメチャクチャにするのか、息をひそめて見守らねばならないものになっています。しかもなぜか、これに強力な規制を入れることも出来ない。そもそもマスコミはこれに触れることすら遠慮している。』(p32~34)
 上の「デリバティブ残高」と「リスク率4%」というのは、レバレッジ、証拠金取引ということに関わっている。通貨、債券、株式などの先物買いなどのデリバティブ(金融派生商品)取引は、「想定元本」の取引を、その4%ほどの証拠金でもって行うことができる。つまり手元資金の25倍ほどの梃子を利かせる大ばくちが出来るのである。逆を言えば、儲ける場合の金額も大きいけれど、自己責任が負えないような大損もあるということだ。

 こういうものが破裂して、さて世界はどうなったか。今は、どうなっているのか。こんな重大なことが、藤原氏も言うように、その後のマスコミで追跡調査や反省などほとんど社会問題として正しく反省されたようには見えないのである。全く不思議なことだ。アメリカ政府資金だけでも1兆ドル遙かに超えるほどに使ったはずの公的出来事なのに。こんな不思議な事態は、金をもっている権力者たちが政府ぐるみでその権力をフルに使ってあらゆるマスコミ社会に対して口止めをしているとしか僕には思えない(藤原氏もそう思っているはずだ)。新自由主義社会の最大の恥部をみんなして隠しているわけである。これほどにおかしい問題処理をしておいて、「アベノミックスの超株高!」とか「アメリカ株価、リーマン以前に戻す!」とかを今叫んでいるのでは、世界が今回と同じ政府資金投入という社会主義的不公正・弥縫対策を何度も繰り返すことになるのは、必然だと思う。今現在でさえ、日銀・政府が日本最大の株式などの所有者であるという事実を、どれだけの人々が知っているだろうか。政府が率先してバブルを作っているとも言えるのである。量的緩和というのが、そういう意味だとさえ言えるのである。つまり、バブル育成は、今の先進諸国家の常態になっている。現在の株高にはこうして、実態的な性格がどれだけあると言えるのだろうか。
 上記伊藤正直氏著作の題名「金融危機は再びやってくる」とは、そういう意味なのである。

 この間、根本的に「正しく」景気、購買力をよくするべく、世界先進国の失業者に職を与えるとか臨時、パートを正規職に変えるとかは、世界で何も進んでいないのである。世界の先進国の失業者たちになんの変化もない「景気」「株高」に、どんな意味があるのか。だからこそ資本で物を作っても何も売れないから、資本がどこでも、何度もマネーゲームに走るしかなかったのではないか。その元凶連中は100億とかのボーナスをもらって食い逃げしていくだけでなく、その会社は国家救済までされるのにである。彼らに騙されるようにして家を買わされ、数年で高い利子に替わって払えなくなり、その虎の子の家までを取り上げられたうえに借金漬けにされたサブプライムローンの人々は、その一生をめちゃくちゃにされたのである。アメリカだけではなく、ギリシャでも、スペイン、ポルトガル、イタリアでも同じことが起こったのである。
これは戦争と同じだ。それも、バブルの膨張、破裂のたびに何度も繰り返される戦争。

 数百万のサブプライム家庭を殺したにも等しい投資銀行幹部たちは大儲けをした「英雄」、「セレブ」のまま。対するに、たった一軒の家のローンが払えなくなった人々はその人生を殺されたにも等しいということだろう。こんな事を何度繰り返すというのか。なんと不思議な世の中なのだろう。
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メダルの数は3位だったんですね。     らくせき

2014年10月05日 10時06分49秒 | Weblog
韓国で開けれていた大会。終わってみれば・・・メダル獲得は中国1位、韓国2位。そして3位の日本。
あれだけメダルの好きなマスコミがどうして報道しないのかな?と思っていましたが・・・

日本人のあいだに嫌中、嫌韓の空気がただよっているのも、要するに、この間まで1位だったのに・・・
という口惜しさが裏にあるんだ。


韓国は今大会で全439個の金メダルのうち79個を獲得し、銀71個、銅84個で5大会連続総合2位となった。中国が金151個、銀108個、銅83個で総合1位となった。日本は金47個、銀76個、銅77個で3位だった。北朝鮮はウエイトリフティングの活躍で2002年の釜山(プサン)大会で総合9位になってから12年ぶりにトップ10入りに成功し、金11個、銀11個、銅14個で総合7位を記録した。(中央日報より)
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世界経済史の今を観る(4) ポスト戦後社会の経済の流れ②  文科系

2014年10月05日 00時29分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
世界経済史の今を観る(4) ポスト戦後社会の経済の流れ②  文科系
 サブプライムローン証券化商品バブルの破綻経過

①この問題の難しさ
 この問題はいろんな本を読んでみても、とても難しいと感じた。まず、この問題性、犯罪性について賛否が真っ二つに鋭く分かれるからだ。特に、学会と実践世界とが分かれていると感じた。マクロの経済学会などがモラルハザードを追求するのに対して、実践世界では世界的法律がなかったり、自己責任など吹っ飛んで「大きくて潰せない」とするであろう政府に力ずくで乗っかってきたように見える。この問題性をはっきり言ってウヤムヤにしようとする力さえも感じられる。例えば「株価が世界的には高値を更新した現在から観れば、あれは大きな問題ではなかったのだ」というように。次いで、CDO(債務担保証券)、ABS(資産担保証券)とか、デリバティブ、空売り、レバレッジとかの用語の難しさがあり、そこから全体の構造が分かりにくいということもある。
 バブルとは「偽の信用がどんどん膨らんでいく」ということだ。ところが、その急成長中には、偽だとは実践世界の誰も振る舞っていないから問題なのである。世界のカネがそこにどんどん集まってきている。信用できない低所得者のローン支払い絡みなのに格付け会社からトリプルAの信用が付いている。こういう「信用」社会では、信用破綻は必死に先延ばしされ、起こった後には隠されたり小さく見せられるということだろう。例えば、投資会社、証券会社は自らの「デリバティブ」商品を、自らはデリバティブと呼ぶのさえいやがるという風潮が存在する。それだけに、起こったことをしっかりと記述し、後世に残しておくことは大事だと思う。

②全米5大投資銀行の全滅
 以前から指摘されてきたサブプライムローン組み込み証券問題が、誰の目にも明らかになったのは08年春のベア・スターンズ破綻だろう。ここが、アメリカ5大投資銀行のひとつだからだ。が、ここに至る徴候は既に1年以上前から現れていた。06年12月にはサブプライムローンを手がけていた米中小ローンの経営破綻が相次いでいたのだし、07年になるとこんな事も起こっている。3月13日住宅ローン大手のニューセンチュリー・フィナンシャルが、上場廃止になったこと。6月22日には、問題のベア・スターンズが傘下ヘッジファンド2社の救済に奔走したが果たせなかったという事件も起こっていた。このような07年の破綻徴候については、岩波新書「金融権力」(本山美彦京大名誉教授著)巻末に紹介されている。このように破綻への徴候は無数にあったのに、必死に隠して「信用」死守を図ってきた姿が目に浮かぶのである。こんな点にも、「信用」、超巨大バブルにトリプルAがつくという、それがきわめて人為的あるいは虚飾的なものだという、その事が示されているということだろう。ともあれ、ベア・スターンズ破綻以降もこんな事が相次いで起こっていった。

 08年夏には住宅金融機関の親会社的な政府系の金融機関、ファニー・メイとフレディ・マックがつぶれた。そして9月15日には、5大投資銀行の第3位リーマン・ブラザースが破綻すると、その同じ日に、第4位のメリル・リンチをバンク・オブ・アメリカが買収すると発表された。翌16日には、AIGの倒産があった。アメリカ最大の保険会社であり、金融商品の保険だけを扱ってきた会社であって、政府等が即座に8000億ドルの融資枠を設定したものだ。ただしこの額は1ヶ月で使い切ってしまい、以降も追加支援に走らざるを得なくなる。8000億ドルでも不足とは、この会社が保険金で補償すべきサブプライムローン住宅関連金融商品がいかに莫大なものだったかが分かるというものだ。それがないと、5大投資会社、銀行とその関連会社とが無数につぶれたということなのだろう。それでもさらに、1、2位の投資銀行も9月21日に銀行持ち株会社に転換するにいたったのである。ゴールドマンとモルガンがそれぞれの銀行に吸収されたということである。
 以上のこの部分は、岩波ブックレット、伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授著「金融危機は再びやってくる」の要約を主内容としている。

 東洋経済新報社の「現代世界経済をとらえる VER5」(2010年)では、5大投資銀行の破綻をまとめた後に、こんな文章が続いていた。
『リーマン・ブラザース破綻の翌日、保険最大手のAIGがアメリカ政府管理に置かれ救済されたのは、あまりにも膨大なCDS(デリバティブ等にかけられた保険のこと。これがかかっているから、信用できない商品でもトリプルAの格付けになったということです。文科系)の破壊的影響への危惧からであった。一世を風靡したアメリカ型投資銀行ビジネスモデルの終焉が語られているが、健全に規制された金融モデルへの移行か、巻き返しのための変身なのか、ウォール街の戦略、西欧金融機関との競争を含めて、注視していく必要がある。』
 政府に補償してもらって、その上で「巻き返しのための変身」? これでは新自由主義者たちが非難してきた社会主義政策そのものではないか。新自由主義者が政府に命を救われる。そうでないと社会がめちゃくちゃになる! これをモラルハザード、力による救済のごり押しと言わずして、どう表現できるというのだろうか。こんな新自由主義社会は過去の社会主義社会と同じく、自立的には存在し得ないと証明したも同じ事である。


以降の目次
その5 08年バブル破綻と救済の構造
番外編 随筆 ”退廃極まる政治(アメリカ共和党に見る)”
その6 通貨危機の仕組み・タイの例
その7 諸問題解決の方向①
その8 諸問題解決の方向②しぶといワシントンコンセンサス
その9~11 諸問題解決の方向③ワシントンコンセンサスへの規制、運動
①通貨危機と国家債務危機に抗して、
②実態経済重視の方向
③ワシントンコンセンサスに対する抵抗、運動
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この監督にしてこの選手   文科系

2014年10月04日 12時35分22秒 | スポーツ
 ドイツは香川のいるドルトムントの独代表名センターバック、フンメルツについて、こんな話が伝わってきた。スポーツ界にこういう選手がもっともっと現れて良いと思ってきた。そんな「成熟した国の、成熟した選手」と思うのだがどうだろうか。スポーツ界にはなんか世界どこでも、有名チーム、メジャーチームに誰でも行きたがるような慣習というか癖というかががあるように思い、僕は苦々しく観てきた。日本の野球選手がだれでも「いつかは巨人」みたいに見えてきたのが嫌だった。対するに、ドルトムントの現在を作って名をあげた名監督、ユルゲン・クロップがマンU、レアルなどの誘いを断ってきたというのは、有名な話である。
 以下はサッカーマガジン・ゾーン・ウェブからの抜粋だ。

『 ドイツ代表でブラジルワールドカップ優勝の原動力となったフンメルスは、DF陣の補強に大型年俸を準備したというマンU、レアル・マドリード、バルセロナといったビッグクラブからの誘いに興味を示さなかったという。2008年にバイエルン・ミュンヘンから期限付き移籍で加入後、ドルトムント一筋の名手には海外移籍願望よりも、ユルゲン・クロップ監督の下で進化した現在のクラブへの愛着の深さを示している。
 バイエルン・ミュンヘンという圧倒的な本命クラブがいる中で成し遂げるリーグ優勝という達成感についてこう語った。

「人々はドルトムントの“プロジェクト”についてよく話題にするけれど、その言葉はあまり好きじゃないんだ。あまりに無機質というか、すごく専門的に感じる。僕はここに来てから6年半になるけれど、単純にワクワクしている。本命じゃないところからタイトルを取る難しさも増している。チームに25人のスーパースターをそろえれば優勝できる。ここでは全ての選手に責任があるし、よりチャンスもある。ドルトムントでタイトルを取ることは難しいけど、不可能なことはない。それが実現したときの気持ちは表現できないよ」』
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世界経済史の今を観る(3) ポスト戦後社会の経済の流れ①  文科系

2014年10月04日 12時18分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 羊頭狗肉で「世界史」と言いながら「世界経済史」に絞るとのお断りは前に述べた。その上で、直接的には「ポスト戦後社会」から始めようと思う。この時代区分自身は歴史学によるものであって、70年代半ばを境とするものだ。岩波新書「日本近現代史10巻シリーズ」の第9「ポスト戦後社会」(09年刊)によれば、こういう特徴で始まるとか、逆にこういう特徴が見られ始めたからポスト戦後なのだと、述べられるということだ。
 戦後社会とポスト戦後社会との支配体制の違いとして、こんな風な規定があった。まず「世界秩序」は、冷戦からポスト冷戦へ。「国家体制」は、福祉国家から新自由主義へ。最後に「歴史的潮流」ということで、高度経済成長からグローバリゼーションへということになる。以下の拙稿を70年代から始めたのも、そういう歴史学的時代区分を意識しているということだ。
さて、そう狙いを定めた上で、最初はまず、以降40年ほどの世界経済の流れを概観しておくことにする。

 71年にいわゆるニクソンショックが起こっている。金本位体制を一方的に崩して、やがて世界的に変動相場制に移って行くことになる措置だ。直後には、対円などでドルが世界的に値下がりし、他方、73年原油価格暴騰が起こる。その直後に、戦後世界経済理論を最も騒がせたスタグフレーションという経済現象が強調され始めた。「景気の停滞下で物価上昇が続く」「物価上昇と失業率の上昇とは併存しない」という当時までの世界的経済理論ケインズ経済学では説明できない現象と言われたものだ。つまり、ケインズ的経済学、政策の破綻というわけである。今顧みて、その後の新自由主義経済とその理論の隆盛、それが08年にリーマンショックという形で100年に一度どころではない破綻を来したこと、その出発点がここにあったと言って良い。新自由主義として有名なサッチャリズムが79年に、レーガノミックスは、81年に始まっている。
 こうして、ポスト戦後社会の開始は、戦後の各国経済運営の指針となったケインズ理論の「破綻」とともに始まったと言っても過言ではないだろう。

 80年代は、「アジアの時代」とかジャパンマネーの時代というのが定説だ。79年の経済協力開発機構(OECD)レポートで初めてアジアが注目され、以下10国が新興工業国として「NICS」と呼ばれた。韓国、台湾、香港、シンガポール、ブラジル、メキシコ、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ユ-ゴスラビアである。ところが80年代に入るとこのうち南欧や南米が落ちていき、アジアNICSだけが急成長を遂げていくことになる。上のアジア4国に続いて80年代後半から90年代にかけては、タイ、マレーシア、インドネシアの仲間入りもあった。以上の80年代動向は同時に、アジア唯一の先進国であった日本が、「アメリカ」をも買いあさった「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代とも重なっている。(以上の80年代部分は主として、東洋経済新報社「現代世界経済をとらえる VER5」2010年版の抜粋に近い)

 90年前後に起こった社会主義国崩壊から以降、民間資金が各国に流入して、様々な猛威をふるい始める。これまでの開発途上国などへの資金移入は社会主義国と張り合うように公的資金が主だったのに、90年代はそれが急逆転していくのである。しかしながら、民間資金はそれらしく利潤が目的。それにともなって各国に通貨危機が連続して発生していくことになる。94年メキシコ、97年東アジア、98年ロシア、99年ブラジル、01年にはトルコとアルゼンチンなどなどだ。いずれの国も、短期資金の突然の流出で資本収支の赤字から困窮しつくすという特徴を示したものだ。ちなみに98年世界決済銀行(BIS)の43カ国調査にこんな数字があった。市場為替取引高は1日平均1.5兆ドルで、年間500兆ドルと。95~6年の世界貿易高が5兆ドルであったのを考えると、もの凄い数字ではないか。マネーゲームとか「カネがモノから離れ始めた」とか指摘され始めたのも当然のことだろう。もちろん、こういうゲームの主人公たち自身の中からも破綻者が現れ始める。98年にロシア通貨危機でロングタームキャピタルマネージメント(LTCM)、02年にエンロンの倒産である。いずれもデリバティブ、金融派生商品の失敗、当て外れによるものだった。
 
 そして、06年12月に兆し始めたサブプライムローン問題の顕在化の道程を、次回には観ることにする。
(続く)

 なお、行く先が分からない連載は読みづらいと思いますので、今後の目次をお知らせしておきます。
その4 ポスト戦後社会の経済の流れ②
その5 08年バブル破綻と救済の構造
番外編 随筆 ”退廃極まる政治”(アメリカ共和党のことです)
その6 通貨危機の仕組み・タイの例
その7 諸問題解決の方向①
その8 諸問題解決の方向②しぶといワシントンコンセンサス
その9~11 諸問題解決の方向③ワシントンコンセンサスへの規制、運動
        ①通貨危機と国家債務危機に抗して、
        ②実体経済重視の方向
        ③ワシントンコンセンサスに対する抵抗、運動   
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アギーレジャパン(9)「希有なタイプの点取り屋」岡崎   文科系

2014年10月03日 00時05分20秒 | スポーツ
 2014/09/27 23:06:00付けのゴールコム記事を紹介します。5ゲームで5得点、現在ブンデスリーガ得点ランク第一位にして、チームをも無敗4位に押し上げている岡崎慎司のホッフェンハイム戦欠場を嘆いたチームメイトの声を載せています。独代表マリオ・ゲッツェやドルトムントのエース、オーバメヤンを2、3位に従えての首位なんだから凄い。いつまで続くのだろうとの声もあるが、チーム全員がボールを持ったとき岡崎を見るようになったからこその得点量産なのだから、この勢いはなかなか止められないという気がする。関連して、表題の言葉も、チームメートDFの一人が、こう述べている所から採った。
『シンジはブンデスリーガで1人しかいないタイプ。後方で僕が頭を上げるたびに、彼がボールを受ける位置にいるんだ』

『 スコアレスドローで不在を痛感した同僚

26日に行われたブンデスリーガ第6節、マインツ対ホッフェンハイムはスコアレスドローで終了している。ホームのマインツは開幕から6試合無敗を貫いたが、やはりFW岡崎慎司の不在を痛感しているようだ。

カスパー・ヒュルマンド監督はこの試合後に行われた会見で、岡崎が前節フランクフルト戦で「(相手DFカルロス・)サンブラーノに蹴られて負傷した」と説明。重傷ではないものの、試合当日の午前中にはゴールゲッターの出場を見送る決断を下したという。
一方でデンマーク人指揮者は、岡崎に依存し過ぎることも不安視している。ドイツ『アルゲマイネ・ツァイトゥング』では次のようなコメントが紹介された。
「シンジが欠場しても、我々にとって問題になってはいけない。もちろん、最近の試合や昨シーズンのようにプレーしていると、彼の不在は痛手だよ。でも、シンジがいなかったこの試合から多くのものを得ることが可能だ」

マインツの選手たちも同僚の不在について話している。MFユリアン・バウムガルトリンガーは、ホッフェンハイム戦をこう振り返った。
「僕たちの攻撃陣に文句は言わない。彼らはうまくやり、色々トライしていた。だけど、今の調子のシンジの代役は誰にも務められない」

ホッフェンハイム戦で今季初めて4-3-3を採用したマインツだが、MFクリストフ・モリツは同システムと岡崎についてコメントしている。
「今日の試合では前線で3人がプレーしたが、シンジのようなタイプは代わりがきかない。トッププレーヤーの代わりとなる選手を控えに置くのは、バイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムントぐらいだ。そのほかのブンデスリーガのチームにはできない。僕たちも含めてね」

DFニコ・ブンゲルトは、ロングフィードの受け手の不在を感じたようだ。
「シンジはブンデスリーガで1人しかいないタイプ。後方で僕が頭を上げるたびに、彼がボールを受ける位置にいるんだ」 』
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世界史の今を観る(2)方針変更と中間報告  文科系

2014年10月03日 00時00分38秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 こんな過大な予告をする羽目になったこと自体が、頭が悪くなったという証拠。僕に出来るはずはないのである。でも相変わらずというか、ますます、歴史の「土台」であり続けているはずの「経済史の今」ぐらいは長期間かけてぱらぱらと短くて拙い物でも描いてみようというように方針変更して、いろいろと読んできた。その中でとても興味深かった中間報告を一つ今日はやってみたい。

 東洋経済新報社の「現代世界経済をとらえる Ver4」という本を手に取り、読んできた。娘が大学院時代に使った本であって、Ver4とはその03年版で、A5版びっしりの300頁近い本なのに明らかなロングセラー。娘に聞いたら全国の大学経済学部の教科書として版を重ねてきた本だという。全14章に執筆者14人、全国14の国公私立大学14校のそうそうたる(らしい)専門家がそれぞれを執筆している。新版が出ていないかとネット検索してみたら10年にVer5が出ていて、その目次を読んでみた。この5版が本屋から届くのは来週の中頃、それまでの繋ぎにこんな作業も余興となろうかと気づいた。2つの版の目次の比較である。この比較から最も分かることがこれだろう。03年から10年までの世界経済について、経済学者たちが最も激しい変化をどこに観ているか、と。10年足らずで世界の経済問題がこんなにも変わる時代に我々が生きているということなのだ。

 世界で最も強い連中が適切な世界法がないのを良いことにその力に任せて世界中を蹂躙してきたという、その足跡なのだ。通貨危機を、メキシコ、アジア、ロシア、ブラジル、トルコ、アルゼンチンなどと世界中に次々と引き起こして各国経済(の無数の人々の生活)に一大悲劇を作ってきた。そのくせ、ケイマンとかバ-ジンとかに籍を置いて税金を払わない。その成長期においてさえ、こんなに儲けていたのにである。

『これらのヘッジ・ファンドは全米で約500億ドルの資産を保有しているものとみられ、年間40~50%の利潤(配当率)をかせいでいるものもある』(有斐閣「現代国際金融論」2001年第4版338頁)

 それのみか、彼らを中心とした「闇金融」の実態さえつかむことができないのである。99人以下の出資者から集めた金の運用ならば、どこにも報告しなくて良いということらしい。かてて加えて、オフバランス取引というのがある。大銀行にさえ許された、貸借対照表に記載する必要がない取引のことだ。だからこそ田中宇氏が彼らを闇金融と呼んだのだが、その金融総額は今や67兆ドル、世界の金融総額の約半分だという。「大きくて潰せない」し「責任追及もないだろう」などとばかりに破裂すると分かっているバブルとその破裂とを重ねてきた。何度も何度も。その最後には。低所得家庭に半ば騙すようにして家を買わせ(格付け会社も含めて「肥大しすぎたという意味で偽の信用」を作り、初めは安い利子で、途中から突然高い利子に替わる仕組みである)、サブプライムバブル爆発以前にさえ、その家も取り上げた上に借金漬けにしてその人々の一生をめちゃめちゃにしてきた。その一方で、自分らはバブルが弾ける直前に見事に勝ち逃げしている。そしてなによりも、それを規制する力はどこにも育ち始めているようには見えないのである。そんな無法の数々が次々と明るみに出され始めたこの10年だったと言えるのだろう。

 人間がこれを制御しうる時代が果たしてくるのだろうかと、そんな悩ましい思いにとらわれる。これほどの暴力は、それに対する反抗の暴力とそれへの弾圧をしか呼ばないのであって、その末に世界は滅びるのではないか。北アフリカに起こった事態や、今ギリシャやイタリアで起こっている事態やはその前触れではないのかと、そんな思いにもとらわれている。

    Ver4                  Vet5
1章  アメリカ経済                グローバリゼーションをどうとらえるか
2章  中国経済                  日本・中国・アジア
3章  EU経済                   アメリカ経済
4章  IT革命と現代世界経済          ヨーロッパ経済
5章  国際貿易の構造と理論           国際貿易の構造と基礎理論
6章  多国籍企業とM&A・国際提携       多国籍企業と直接投資
7章  WTOと世界通商システム         金融グローバリゼーション
8章  国際収支の理論と現実           国際収支と国際投資ポジション
9章  金融グローバリゼーション         グローバリゼーションとWTO
10章  現代の国際通貨体制            国際通貨体制
11章  開発と援助                 低開発と貧困削減
12章  貧困・飢餓・ジェンダー           一次産品と資源・食糧問題
13章  地球環境と資源問題            国際環境政策
14章  国際政治経済学で解く現代世界経済   人の移動とグローバリゼーション
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「よたよたランナーの手記」(68) なお、ボツボツ・・・  文科系

2014年10月02日 04時49分54秒 | 文芸作品
20日まで最高39度で一週間ほど続いた熱風邪からの回復以降に、こう走った。22日に13日以来9日ぶりのランで、30分をゆっくりと3.7キロ。23日にはちょっと頑張って、4.2キロ。最高速度で言えば、8キロ時と、9キロ時であって、各心拍数は150弱と、160弱と高すぎる。もうちょっとこれが落ちてこないと、スピードも距離も上げられない。

 そして25日、30分で4.3キロまで行った。最高速度は前日と同じ9キロ時。ただ、その心拍数は落ちてきたとは言え不安定で、150~160超ほどだった。9キロ時での心拍数が常時150を切るようになれば本調子に戻ったと言えるのだが。

 次が28日、30分で4.1キロしか走れなくって、風邪による体力の非常な衰えを感じたものだ。治っていたはずの右アキレス腱周辺の疲れ、筋肉痛?も、やや再発しているように感じた。体重が2キロも減って近年珍しく55キロを切ったのだから、無理もないのであろう。そこで、今の体力を確認してみる作業として、29、30日と久しぶりに階段往復をやってみた。いつものように我が家の18階段を二段跳びもはさんで80往復ずつやったのだが、案の定身体が疲弊していると分かった。両脚のふくらはぎから足首にかけて筋肉痛が出たのである。80往復程度でこんな痛みなんてかってなかったことであって、この年齢でのきつい風邪の後遺症というものを思い知らされたのである。身体の抵抗力や快復力の急な低下ということなのだろう。これが激しくなるに従って、おタカさんではないが肺炎で死ぬということになっていくのだろうななどと思い巡らしていたほどである。
 なおもっと、ボツボツ、コツコツと行けということなのだろうな。いつまでも走りたいから。そんなわけで1日には、ゆっくりころころと愛車、パナソニックレーサー・プレステージを転がしてきた。左右両脚の筋肉をほぐすような積もりで、ちょっと強い風の中をゆっくりゆっくりと。間に赤白各1杯のワインを入れた長ーいイタリアン昼食時間も設けたのだが、至福の時だったな。極楽、極楽!
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世界史の今を観る(1)  文科系

2014年10月02日 04時09分44秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ここのところいろいろあって、エントリーをご無沙汰している。また、しばらくそうなりそうだ。よってちょっと失礼して、近年の連載で最も力を入れた物をしばらく再掲、連載させていただくことにした。去年、近年の大学の経済学教科書など10数冊の本を読んで書き上げた11回連載の「世界経済史の今を観る」である。おつきあい願えれば嬉しい。


 世界史の今を観る(1)   文科系
2013年03月01日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)

 しばらくエントリーをご無沙汰していました。こんなに書かなかったのは、この7年なかったことかと思います。まーちょっと疲れたというほかに、いつもよくやることですが書くことの「仕入れ勉強」をしていたとご理解ください。ここに書くためにこの7年間多くの本を読んできたものです。昔の本をひっくり返す事も含めて。
 さて、表題のようなことを考えていました。たいそうな表題ですが、いくら粗末な物でもこういう書き物は必要だろうと考えたからのこと。世界史で観れば、今はどんな時代か。その大きな流れは、どこに向かうのだろう。この答えは国際経済に、生産力とか、自動車のような画期的な新商品、新エネルギーとか、経済・生産を巡る人々の関係とか、今で言えば国際的金融をめぐる動向とかで観るべきなのでしょう。現に「サブプライムバブル爆発」の大変な「今」によって世界人類の生活が最も大きく左右されているわけですが、これを作ったのはこういう流れからだったはずです。
 70年代世界にスタグフレーションが起こったことによって、戦後世界を動かしてきたケインズ主義が80年代には消えた。そして、サッチャリズム、レーガノミックスから始まったマネタリズムとか新自由主義経済学とかがその亜流の「野放し」も含めて先進国を動かしてきた結果「サブプライムバブル爆発」の今に至っている。そして、こういう流れこそが今にいたる世界人類の生活を、その根底の所で最も大きく動かしてきたとも言えるはずです。経済や食うことが全てだとか、これが人間活動の他領域を機械論的に動かすとかなどと言うつもりはありませんが、先進国でも99%というほとんどの人々が食っていくためだけに全てを犠牲にしなければならぬようになっているのも事実ですよね。それだけ酷い時代ということなのでしょうが。

 さて、書き出しの1回目は、27日のらくせきさんエントリーへの拙コメントの再掲といたします。原文を若干変えてありますが
 

【 僕もそう思う! (文科系) 2013-02-27 13:07:37
 僕もそう思う。特に、この部分を。
『こんなに豊かになって、失業、生活苦なんて ヘンじゃない?というマットウな感覚が 緊縮にNOを突きつけたという風にも思えたり・・・ 』
 今の新聞論調などとは全く違うこういう見方って、社会の物事の何を、どこから見るかで全く違ってくるという類のことだ。例えば、歴史にはこんな時期もあったというようなことを思い出している。

「奴隷制度って、『歴史の進歩』?として出来た」
 それまでは戦争に負けると殺されるか、すぐにのたれ死ぬしかなかったのを、以降は生かされるようになったからだ。生かしておいて働かせたほうが得する世の中になったわけだが、農耕と牧畜の発明を背景として、生産力が伸びた4大文明社会で起こったことというのが定説である。

 近代の出発にもこんなことがあった。子どもを炭鉱で酷使したり、15時間労働なんてのもあったり。新しい産業、大工場労働を規制する法がなかったからだが、「ここから今の会社員、給料生活者が生まれた」と観れば、人類の「自由、平等、博愛への進歩」という側面も見えてくるはずだ。
 ただし、ここで言う「進歩」はよく言われるようなこんな意味ではない。歴史に目的とか、普遍的な方向性とかを設ける類のものではない。人間たちが見えてきた大問題をその都度解決につとめ、19世紀以降近年のそういう流れを大きく形容すれば、紆余曲折はあるにせよ「自由、平等」の方向に向かってきたのではないかという程度のことである。

 今の株価だとか、輸出だとか、通貨の高下だとかは、現状の全てを前提とすれば国民の命さえ関わって大切なものだろう。が、そこからだけ物を見たら、今の世の本質を見誤るはずだ。
 世界金融資本が超大企業をさえ人員整理とか切り売りとかでその競争力を増やして、輸出を成功させ、株価を上げて、そういう国の通貨を上げても、通貨を安くする国にしてやられたりする。日本がアメリカや中国、ユーロにやられたように。それを今になって、日本が仕返ししているという構図が始まったのだが、庶民の立場から観れば石油や日用品の値段が高騰する事なども見なければいけないだろう。

 こういうことすべてに、この構図が横たわっているはずだ。英米日などの先進国では世界金融資本が膨らんでこそ外貨を稼げるという側面と、そういう彼らが物作り企業の命運を左右することによって世界からどんどん職場がなくなっていくという側面との対立である。世界金融資本の自由だけが目立つ社会は、ちょうど「近代大工業を規制する法が追いつかなかったから、子ども酷使や15時間労働なんてのがあった社会」と同じように、僕には見える。いや、多少の歴史・経済知識がある心ある人は皆そう見ているのではないか。

 それにしてもこの世界、一体どこまで落ちていくのだろう。こういう歴史上過渡期の時代の人々はいつも皆こう思ったことだろう。人々とも自然とも穏やかに共生できる自給自足社会のが遙かにまし、と。】
コメント (2)
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