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憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「民主化革命」という侵略② アルゼンチン、米世界帝国から離脱   文科系

2019年12月04日 06時07分40秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日に続いて、旧稿の再掲の2回目。現在アメリカ・ウオッチャーとして次々と本を書いている堤未果の本の要約だ。アメリカのニューヨーク市立大学で修士号を取得。アムネスティ・インタナショナルや、9・11の時には米国野村證券を経て、ジャーナリストになった人。そんな人が書いた『政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』(角川新書)からの要約である。これ以降もずっと現在までアメリカの「民主革命」によって揺さぶられ続けている国アルゼンチンのことだ。
 この本を書いた当時と今とを比べてさえ、アメリカがいかに中南米を荒らし続けてきたかがよく分かるのである。昔からキューバに、今はベネズエラ、ボリビア、ブラジル、エルサルバドルなどで起こっていることをご存じの方は、それらの今も思い浮かべながら以下を読まれると良いと思う。


【 「民主化革命」という侵略③ アルゼンチン、米世界帝国から離脱   文科系 2015年10月19日

 ここまで読んできて、こういうことがご理解いただけたろう。堤未果がこの本で警告しているのは、「ローマの平和」ならぬ「アメリカの平和」の実現。イラク、イラン問題もアラブの春も、日本などへのTPP押し付けも、全てその一環。実体経済で傾きかけた帝国が、その金融覇権(そして、食料・医療・エネルギー覇権も)で世界を統一しようとする野望の道なのだと。その終局の姿は、世界独占企業をアメリカ金融が買い占めることなのだろう。

 それでは、ここから抜け出す道、それを選択した国はないのだろうか。堤は、その道はあるとして、アルゼンチンがとった方向を解説する。2度の国家デフォルトにもかかわらず、21世紀になっていったん減った中産階級を急激に増やした国なのである。
 日本で言えば、小沢一郎、鳩山由紀夫、孫崎享らが目指そうとした道は間違いなくこれだと僕は観ている。なんとなれば、チョムスキーも述べているように今の世界には「覇権か生存か」という二つの道しかないのだから。

 では、その解説を。堤のこの本の中でこの解説をしているのは、ローラ・ガルシアという人物である。彼女は、国連婦人開発基金で堤未果が働いていたころの同僚で、アルゼンチン人。

『(2003年5月)ネストル・キルチネルが大統領に選出され、〈IMFがもたらした新自由主義の呪縛〉から抜け出ることを最優先事項とした。彼は対外債務をデフォルトし、IMFの下で民営化された企業と年金基金を再国有化し、銀行に介入した。貧困撲滅のために予算を投じ、経済再生に向けて社会的支出を倍増し、製造向けの投資を拡大することで一般の消費拡大を狙ったのだ。
 また、ネストル大統領は一連の緊急公的就職プログラムを開始し、労働人口の約半数を占める失業者への支払いを確約したのだ。さらに、軍の権限を弱め、軍事予算を削減し、基礎年金を倍増させ、税収を雇用増大プログラムや教育、社会福祉、生産的投資を通した経済成長プログラムにあてた。
 その結果、2003年末までにマイナスからプラス8%に成長したアルゼンチン経済は、2011年までに90%の成長を遂げた。貧困撲滅プログラムへの大規模な支出によって、2001年に50%だった貧困率は、2011年の時点で15%以下へと減少した』

『2007年、クリスティナ・フェルナンデス大統領(前記ネストルの妻です)は一般教書演説でこう述べている。
「海外の債権者たちは、しきりに『負債を返済するためには、IMFと協定を結ばなければだめだ』と言ってくるが、アルゼンチンはこう答える。『我が国は主権国家だ。負債はお返ししたいが、金輪際、IMFと協定を結ぶつもりはない』と」』

『同時期、南米ではアルゼンチンの後に続く国が続出した。ブラジルはIMFとの融資協定更新を拒否し、ベネズエラはIMFと世界銀行の両方からの脱退を宣言し、ニカラグアはIMFからの脱退交渉を開始した。
 ボリビアのモラレス大統領は、多国籍企業が自らの利益を守るために各国政府を提訴することの出来る世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターからの脱退を、こんな風に発表している。「ラテンアメリカ諸国、そして私の見るところ世界中のどの国の政府も、ISFD条項における裁判に勝ったためしはない。勝つのはいつも多国籍企業の方だ」』


 以上は、180~183ページからの抜粋であるが、別の所にはこんな記述もあった。

『1990年代のアジア危機で、IMF介入を受け入れた韓国、インドネシア、タイといった国々は、金融機関をはじめ国内の主要セクターが民営化され、総数2400万人の失業者とともに2000万人が貧困層に転落したからだ。同地域から中産階級を消滅させたのは、危機そのものではなく、IMFによる介入だった。
 韓国では企業による大量解雇を禁じる「労働者保護法」がIMFに撤廃させられ、国民の6割以上いた中産階級がわずか3年で4割以下に激減した』
(171ページ)

 アジア通貨危機は、空売りによって累積貿易黒字などを日米が強引に収奪した事件として知られているが(タイのバーツ空売りから始まったアジア通貨危機については、当ブログに詳しい報告があります)、それに加えてさらにIMFによる「緊縮財政プログラム」で借金返済を巻き上げやすくして結果的にもっと疲弊させると、そんな仕組が見えてくるのである。今では、同じ事が話題になったギリシャによって、既に世界お馴染みになっているやり方である。金融競争で敗者を作って借金漬けにした上に国家の社会資本まで奪うと、こんな事を世界あちこちで繰り返せば結局世界の購買力は落ちていく一方であろう。今の世界主流戦略の一体どこに、人類の未来があるかと思う。

 さてそれにしても、ここで僕としては、アルゼンチンなどの上記巻き返し経過とその現在とを詳しく調べてみようという宿題が新たに生まれたわけだ。】
 
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喜寿ランナーの手記(274)9・5キロが見えた  文科系

2019年12月03日 12時51分08秒 | スポーツ
 秋になって、もう師走の冬。年寄りの日々は矢のように飛んでゆくが、ランは順調に延びている。ここのところ例年、夏に休んで、秋から調子を上げ、前年を超えられるかどうかというやり方で来た。去年のマシン最高は、30分掛ける2回で9・6キロ。その時は前半が4・7で後半が4・9だった。

さて今年は、11月12日8・8キロ、18日9・0キロ、29日9・1キロ、そして昨日12月2日が9・2キロと走ってきた。これらの内、前半の最高が4・5キロで、後半が4・8キロになるから、この合計までは今すぐ届くはずだ。まー、去年から走力はほとんど落ちていないとは分かったが、今年はもっと行けそうな気がする。
 ちなみに、この間も外走りをやっているが、キロ6分半ほどで去年の出だしよりも順調なのだ。スクワットや片脚爪先立ちなどの補強運動も十分努めてきたから、故障もなく筋力はバッチリのようだし、2日の後半30分の4・8キロは、平均心拍数153ほどと下がっていて、心肺機能も好調である。
 気付いた事があって、フォームも換えてきた。左足の離陸・着地に小さな上下動があることに気付いて、そこを改良した。これは同時に、左脚のストライドを伸ばしてくれたようだ。近年同じように走っているつもりでもタイムにムラが大きかった事に気付き、これを分析していて、この左足の癖を発見できた。ついては、左のモモと右の足首とを鍛えてきた訳である。左右の脚を比較した場合、それぞれここが弱点になっていたと分かったからだ。年寄りは、注意深さと知恵だけは増していくようで、これが走力維持に役立っているのだと思う。

 上に書いたように、2日の後半30分4・8キロが平均心拍数153だったから、既に1時間9・5キロは見えたと思う。
 余談だが、往時の日本製品はやはり高品質である。僕のランニングパンツはサイクリングパンツを応用しているのだが、パールイズミの「テクニカル・ウエアー」と記したメイドインジャパンで、もう10年以上は使っていると思う。ランニングで毎週のように使っていても、破れもホツレさえないのだから、驚く。ついでに、電気製品はなんと言っても三菱。我が家の古い冷蔵庫は、「部品全てが日本製という最後の品」と言われたことがあるが、立派過ぎるほどに働いている。三菱のエアコンがまた、修理など非常に良心的で、自社製品に誇りを持っている事がよく伝わってくる。家に5台エアコンがあるから、それが余計によく分かった。と言っても僕は、三菱とは何の縁もない者とは、申し上げておきたい。最近日本的商道徳が廃れてきたのを悲しみ過ぎて来たから書いたことである。政治家が、あまりにも安易すぎる嘘ばかりつくだけではなく、政府統計資料まで嘘で固め始めたのだから、「日本が廃れるのも必然」ということだろうか。
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「民主化革命」という侵略  文科系

2019年12月03日 10時49分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 本日この前のエントリー「アメリカによるボリビア・クーデター」とか、最近よく書いてきた「ベネズエラ暫定大統領は、アメリカが工作、その傀儡」などの動きについて、『「民主化革命」という侵略』という見方を取ってきた人々も多い。その典型、ジャーナリストの堤未果の著作内容を要約紹介した旧拙稿を、参考として再掲したい。まずは2回連載分を1回に再編して。
 僕は、現在のボリビア悲劇に悲憤慷慨している。モラレス大統領の「選挙違反」なるものは、アメリカ・ボリビア軍上層部のでっち上げに違いないと確信している。


 「民主化革命」という侵略  文科系 2015年10月15日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)

 現在アメリカ・ウオッチャーとして次々と本を書いている堤未果。アメリカのニューヨーク市立大学で修士号を取得。アムネスティ・インタナショナルや、9・11の時には米国野村證券を経て、ジャーナリストになった人。その人が書いた『政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』(角川新書)から、「アラブの春」といわれたものの虚飾を暴いた部分を中心に4~5回ほどに分けて連載紹介したいと思います。

 第1回目は、標記の「やり方」の総論と、シリアの現下大混乱の源を辿った部分です。今のロシアの「イスラム国」?爆撃などに見られる攻勢は、まさに標記のことをよく知っているからという、同じ穴の狢。

1 『「民主化革命」という侵略』その原理

『アメリカによる〈民主主義〉を装った新しいタイプの侵略手法を研究する、オーストラリア出身の作家マイケル・パーカーは、レーガン政権下のアメリカで、国務省と諜報機関が多くの慈善団体やNGOに何億ドルもの予算を投じた事実を指摘する。
 1980年代以降、米国は非協力的な外国の政権を不安定化し転覆させるために、従来のような軍事力ではなく「人道主義・民主主義」というソフトパッケージに包まれた手法を採用しているという。
 まず、ターゲットになった政府や指導者を、CNNやBBC率いる国際メディアが「人権や民主主義を侵害している」として繰り返し非難する。そして、水面下で米国が支援し、時には訓練した市民団体がツイッターやフェイスブックを通じて人を集め、反政府運動を起こすのだ。
 彼らは暴力的な行動で政府を挑発し、国際メディアがそれを「独裁者に弾圧される市民」というわかりやすい図に当てはめてイメージを広げていく。無防備な市民を救うという理由でNATO軍の武力介入が正当化され、最終的にターゲットになった政権は「民主革命」という崇高な目的のために、内部から自然に崩壊したことにされるという仕組みだ』(104~5頁)

2 シリア騒乱の場合

『「シリアの反政府運動を煽っているのは、アルジャジーラ、アル・アラビヤ、BBCアラブ、フランス24などの欧米メディアです。暴力を起こしているのは武装勢力と騒乱分子であり、一般の国民ではありません。リビアの時と同じパターンです」
 ロンドンのIT会社に勤務するシリア人、イサム・アリー・カトゥラミーズは、シリアで起きている反政府デモと、リビアの政権転覆の共通性を指摘する。(中略)
「いったい反政府軍とは誰なのか? どこまでが本当に民衆の反乱なのか?(中略) 西側メディアやアルジャジーラは、以前からシリア内の反政府勢力に対し、政府側が強権的な弾圧を行い数千人の死者が出ていると言って騒いでいますが、高性能の武器を使い武力行動をする武装グループに対し、通常の政府なら鎮圧を行います。〈平和的なデモを血祭りに上げる政府〉というフレーズを訳知り顔で言うジャーナリストは、まず現地を直接取材するべきでしょう。しかも、その武器を供給しているのは他国なのです」』
『2011年4月19日、ワシントンポスト紙にシリアの反政府デモに関するスクープが掲載された。米国務省が2006年以降、総額6000万ドル規模の資金援助をシリアの反政府グループに対して行っていたという、「ウィキリークス」から出た公電内容だ。』

 なお、反政府勢力デモ映像には、こんな工作もあるそうです。政府機関を装って、「職に就いていない母親には8000円あげるから、この時間この場所に来るように」とフェイスブックで流す。実際にはお金はもらえず、何が何だか分からないうちに解散ということなのですが、「平和な中年女性反政府デモ(または集会、の映像)」の出来上がりということなのでしょう。そんなデモ、集会写真をよく見ると、けっこう偽物もあるみたいだそうです。

3 「アラブの春」、孫崎享(うける)の解説

 アメリカウオッチャー堤未果のこの著作「政府は必ず嘘をつく」にも、元外務省国際情報局長・孫崎享の分析、談話が出てくるから面白い。彼による「アラブの春」の解説はこんなふうだ。

『元外務官僚で「日米同盟の正体」の著者でもある孫崎享氏は、〈アラブの春〉の背後にいたアメリカの存在についてこう語る。
「日本の報道を見ているだけでは決してわかりませんが、市民運動という形で他国の政権を転覆させる手法は、すでに米国の外交政策のひとつとして過去何度も使われています。今回は、それにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)という新技術が加わったから目立ったに過ぎません」
 今回〈アラブの春〉を成功に導いたと言われる、世界最大のSNSである「フェイスブック」は、アメリカの企業だ。孫崎氏はまた、アメリカが事前にアラブの若者を招き、フェイスブックやツイッターなどのSNSの技術指導をした事実にも言及する。
「ロシアの反プーチンデモも、米国が関与している可能性が高いでしょう」』(109ページ)

4 リビア、カダフィ殺害の場合

『2011年10月、リビアのカダフィ大佐が殺害されたニュースを聞いた時、何とも言えない違和感を覚えた。同年5月に報道された、米国特殊部隊によるウサマ・ビンラディン殺害と重なったからだ。両方ともハーグ国際刑事裁判所で裁かれる代わりに、拘束直後に殺害され、真相は闇に葬られている。
NATO軍は3月に「カダフィ大佐の反政府軍に対する容赦なき弾圧から人民を救うために、あらゆる措置を容認する」という国連安保理決議を受け、以来2万回以上の出撃と8000回近い爆撃を行った。これはどう考えても、不自然な決定だった。国際社会は強権的な政権であっても、自治国家に軍事介入することを許していない。中国やロシアやブラジルはNATOの「無差別攻撃」は安保理決議の枠を越えていると批判したが、爆撃はそのまま続けられた』

『大家族の食料費は固定相場、全てのローンは無利子でガソリンは格安。農業を始めたい国民には土地、家、家畜、種子まで全て国が無料で支給、薬剤師になりたい場合も必要経費は無料だ。42年前、カダフィが権力の座につく前に10%以下だった識字率は、今は90%を越えている。これらの政策を可能にしていたのは、アフリカ最大の埋蔵量を誇る石油資源だった』

『リビアは144トンもの金を保有していました。カダフィはその金を原資に、ドルやユーロに対抗するアフリカとアラブの統一通貨・ディナの発行を計画していたのです。そこにIMFや世界銀行の介入から自由になる〈アフリカ通貨基金〉と〈アフリカ中央銀行〉の創設も含まれていました。
 統一通貨であるディナが実現すれば、アラブとアフリカは統合される。だが、石油取引の決済がドルからディナに代われば、基軸通貨であるドルやユーロの大暴落は避けられないだろう。これについて、フランスのサルコジ大統領もまた、リビアを「人類の金融安全保障への脅威」と叫び、危機感をあらわにしていた』

(以上の2は109~122ページから抜粋)

(続く)



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ボリビア・クーデターと「米中冷戦」  文科系

2019年12月03日 10時44分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
「マスコミに載らない海外ニュース」にこう言う文章があった。『中国・ボリビア・リチウム取り引きはおしまいか? 2019年11月20日 The Sakerブログへのピーター・ケーニッヒ寄稿』。この書き手、ケーニッヒにはこういう紹介がついていた。「世界銀行や世界保健機関で、世界中で、環境と水資源について広範囲に働いた。彼はアメリカ、ヨーロッパや南米の大学で講義してる。」。この内容を要約する。

リチウムは電気自動車の主原料。中国は、その先端を走っている。他方、ボリビアは、リチウムの世界最大埋蔵量の国。この両国でこの2019年に、こんな取引が進んでいた。
『 2019年2月、中国企業、新彊TBEAグループと、ボリビア国営企業ヤシミエントス・ドゥ・リティオ・ボリビアノス(YLB)は、リチウム採掘投資で、市場の需要次第で拡張可能な、ボリビアが51%、中国が49%の株を持つ当初23億ドルのベンチャー企業の契約交渉した。プロジェクトには、ボリビアで付加価値を生み、何千という仕事を作る、自動車用電池製造や更に多くのものが含むはずだった。』

ケーニッヒは、アメリカがこの取引を妨害するためにあらかじめ抱き込んでいた軍隊を動かしたのだと、このように述べている。
『 長く準備され、アメリカが画策した11月10日の軍事クーデター後、ボリビアは自薦の違法な(彼ら自身が言う)臨時の人種差別ファシスト政府は、「クーデター屋」のアメリカ合州国のみならず、底無しに不届きな欧州連合や、(アメリカ合州国がOAS予算の60%を支払っている)米州機構OASにも支持されている。
 ボリビアは、先住民抗議者をたたきのめし、彼らを実弾で撃つ、全く抑制のない残虐な憲兵隊独裁に落ち込んだ。既に少なくとも25人が殺され、何百人もが負傷させられた。アニェス()は、警察と軍を抗議行動参加者に対する殺人や犯罪から免責する法令に署名した。警察と軍に殺人許可を与えたのだ。エボ・モラレス(大統領)は、現在、西半球安全保障協力研究所(WHINSEC)と呼ばれているアメリカ学校に訓練された軍最高幹部に密かに辞任を強いられたのだ。エボは、ワシントンに毒され、訓練された士官に裏切られたのだ。
 エボの最も近い仲間、ボリビア憲法によれば新たな選挙が行われるまで、一時的に大統領になる可能性がある議員を含めた約20人も、辞任するよう命令されていた。彼らは全員メキシコ亡命を認められた。新違法自称政府から、彼らは来る選挙での大統領立候補を許さないと言われた。これがワシントンに輸出されるタイプの「民主政治」だ。
 ボリビアでのモラレス擁護の抗議勢力と熱情は日ごとに増している。エボは、アンデス山系のボリビア多民族国最初の先住民大統領だった。ボリビア人口の約70%から80%が先住民の血統だ、彼らはエボのMAS党(マス = モビエント・アル・ソシアリスモ、つまり社会主義運動)の強い支持者だ。』
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ノーベル賞経済学者の「日本への進言」も無駄だったという話  文科系

2019年12月02日 09時22分23秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日のエントリーで、クルーグマンらの根本的自己批判とか、スティグリッツの正論とか、二人のノーベル賞経済学者の自己批判などのことを書いた。ところで、この二人、実は2016年に安倍政権が日本に呼んでご意見拝聴に及んでいたのである。安倍には耳の痛すぎる話がいっぱい出ているが、この拝聴の効果は何も無かったと見える。クルーグマンの言う「インフレターゲット」「財政出動」は、今のクルーグマンの自己反省によれば、「お隣に中国を置いていては何の効果も無かった」のだし。そこで、そのことを書いた旧拙稿を再掲させていただく。


【 政治経済の泥沼化、2学者の意見   文科系 2016年04月09日

 先日安倍政権が呼んだ世界的経済学者たちのことは、消費税値上げ先送り問題中心で騒がれてきた。が、スティグリッツにしてもクルーグマンにしても、そもそもが世界経済のことから説き起こして、その最大問題が何で、これを安倍政権がどうすべきかを語ったはずなのである。二人に共通した認識は、大事な順にこうである。

①世界の総需要不足こそ、世界長年の根本的な最大問題である。
②法人減税もマイナス金利も、投資や雇用などを促すことはない。よって①には全く、あるいはほとんど、寄与しない。
③消費税値上げも内需を冷やすから、反対である。世界経済にも良くない。
④TPPはいかがわしい貿易協定だ(スティグリッツ)。マイナス金利よりもなによりも、今は財政出動で需要拡大を目指すしかないだろう(クルーグマン)。


 なお、安倍政権が「アベノミクス」の基礎理論と観ていたのはクルーグマン理論。そのご本人自身が、三本の矢の失敗を今回初めて認めたとも言える。これは、極めて重要なことであると考える。

 世界総需要がずっと不足しているので国家予算でどんどん軍事をふやしていくという、特にアメリカを(そして近くにはおそらく中国をも)中心としたそんな形の「需要創造」は不健全この上ない。アメリカ国家の累積債務は8000兆円だし(2015年に元米会計検査委員長デイブ・ウオーカーがそう計算、発表した。ただし、政府公表値はこの半分強のはずだ)、年間軍事費が6100億ドルという数字が、この不健全さの何よりの証拠だ。思い切ってどこかで歯止めをかけないと、世界諸国が健全な需要に切り替える事さえも不可能だろう。つまり、あちこちで戦争が起こり始める。米国の戦争政策、「共産主義との戦い」「テロとの戦い」(この異なった二つは、同じ「本質」を持った戦争と呼べるのだろうか)は、すでにその末路と言えるはずだ。

 スティグリッツは国連に期待しているようだけど、クルーグマンの「国家財政出動頼み」も長く続けられる訳はないのである。
 世界の総需要という小さなパイを世界各国の膨大な経済力、供給力で奪い合って、アフリカとか南欧とかの弱い国には失業者が無数、一見強い先進国にも金融勢力に押し切られた不安定雇用者ばかりという今の「豊かな」世界は、ケインズやマルクスなどから観たら地獄とも見えるはずだ。国連で、世界の総需要を増やすよう話し合い、そのために世界が協力し合って行くしかないと思う。丁度、戦争違法化は国連で取り組むしかないように。こういう世界総需要創造の話し合いに向けても、国連の戦争違法化の歴史を今や無視し始めているアメリカが大きな壁になっているのである。
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新自由主義経済敗北宣言と、米中の闘争  文科系

2019年12月02日 08時30分50秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 この40年以上世界を席巻してきたグローバリゼーションの経済学理論、新自由主義経済理論は、株主つまりファンドなど金融の利益を最大化するのが、景気にも人々の幸せにも繋がって良いという理論であった。その理論がどうやら、敗北宣言に至ったようだ。クルーグマンらアメリカ経済学者による自己批判と、米経済団体の「株主利益最大化方針の自己批判」とによって。
 また、それ以前のケインズ学派などの経済学理論から観ても、新自由主義経済理論は供給サイド経済理論として、やがて世界から有効需要がなくなって慢性的に不景気が続くことと、その下で人の(まともな)職業がどんどん無くなっていく事との悪循環に、世界が陥っていくと言われてきた。
 その有効需要の欠如をば、「金融商品の創出、世界に販売」「そのバブル化=やがて破裂・大恐慌」などを繰り返すことによって、延命させてきたに過ぎないと言える。世界各国のお金を食い尽くす通貨危機とか、サブプライム住宅証券組み込み金融商品詐欺などなどとかも含んでのことである。

 そして今はまたまた、アメリカはGAFAバブル(この時価総額がドイツのGDPを抜いているのだそうだ)と、日本の財政ファイナンス付き官製バブル。実体経済はすっかり中国圏に移ってしまったのに、日米ともに高株価・景気は基本、ずっと上向きで来たのだそうだ。エンロン倒産とか、リーマンショックとかを観ても分かるように、今までの株価(時価総額)とか、それを正当化する私的格付け会社の「格付け」とかは、創出されただけの実は幻なのである。

 さて、その幻が、その守備範囲の外にある予想外の中国実体経済急成長に直面して、やっと今「敗北宣言」を出したという構図。それが、クルーグマンらの自己批判や、米経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」が最近出した「株主資本主義は誤っていた」宣言なのだろう。ただし、アメリカの今までの行動(国連金融規制の骨抜きや、サボタージュ)から観れば、この敗北宣言はまともには受け取れない。この「敗北宣言」でなんとか時間を稼いでいる間に、中国実体経済の世界的な需給好循環拡張支配を打ち砕こうとしているに違いないのだと考える。つまり、中国実体経済を米金融の傘下に置くという狙いである。この中国実体経済の支配に成功できないなら、「幻の株価主義経済」が近く崩壊してしまうということだ。

 中国の元は日本とは違って賢明にも、アメリカ金融や、そのお仲間・格付け会社の外にある存在だ。「上向き景気」にもかかわらず「2%インフレ・ターゲット」の実現期限を延ばし延ばしにしてさえなお実現できずに、遂にこの目標を放棄してしまった日本。こんな日本の株価だけが妙に高い奇妙な「日本病」から、中国は大いに学んだに違いない。

 ちなみに、以下のような、こんな世界史的事実は、何よりも中国など後進の教訓になったと見ることができる。
 1995年前後までの日本は、国民一人当たり購買力平価GDPが世界4位とか5位。そのちょっと前には、日本がアメリカを買い漁っていた時代もあったのである。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代を覚えている方も多いはずだ。ニューヨークど真ん中の著名なビルとかの不動産や、アメリカ文化の象徴・コロンビア映画社だったかまでを日本が買った時代だ。当時のアメリカは、アジアの工場国家群を引き連れて発展していた日本にどう対抗していくかを、喧々ガクガク議論していたのである。ちょうど今、中国との冷戦が始まると言われているように。
 そんな日本の購買力平価一人当たりGDPが去年は31位にまで下がった。なぜこんなに落ちたのか。無能な政治家らが日本を売ったのである。アメリカによる小沢・鳩山引きずり下ろしの実例とかを恐怖しつつ、クルーグマンらの理論に易々と乗せられて。

 以上は世界では既に有名な話であって、中国はそんな日本から徹底的に学んだはずだ。中国は、日本に感謝しなければいけない。愚かな日本の政治家達に。




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米経済学者の反省が深刻  文科系

2019年12月01日 04時45分00秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 米政経週刊誌ニューズウイークの日本版最新号に、表記の内容の記事が載っていた。その題名は「宗旨変えしたノーベル賞学者」とあり、その代表としてまずはポール・クルーグマンの最近の反省の言葉をあげているが、とにかくこの記事内容の要点を要約しよう。ちなみに、このクルーグマンは、日本のアベノミクスなどの金融・経済・財政政策にも随分密接に関わってきたお方である。

 クルーグマンは現在、こう反省しているのだそうだ。
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた、というのだ』

他の経済ジャーナリストなども今は、経済学者らの過去理論を批判しているのだそうだ。
『多くの経済学者が福祉を犠牲にし、効率性を最優先して「高賃金の雇用を切り捨て、低コストの技術産業に未来を託した」というのだ』

という反省から、この論文の末尾まとめはこういうものになっている。こちらは、もう一人のノーベル賞経済学者・ジョセフ・スティグリッツが90年代から指摘し続けてきたグローバリゼーション批判なのだそうだ。なお、このブログにはスティグリッツ関連のエントリーは多くあるので、以下のようにしてお読みいただける。当ブログ右上欄外の検索欄に彼の名前を入れて、その右の「ウエブ」欄を「このブログ内で」と換えて、🔍印をクリックする。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った。
 主流派の経済学者たちがこれほど急に左寄りになったことに驚いているのは当の経済学者たちだ。多くは前述の格差問題に関する会議でこのことに気付かされた。来年の米大統領選挙では、経済学者達の支持は中道のジョー・バイデン前副大統領よりもエリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員などの革新系候補に流れているとの声も参加者からは聞かれた』

 この記事に内容としてちょうど呼応するあるニュースが、最近の当ブログに紹介してある。半世紀ぶりのようなビッグニュースであって、8月21日のエントリー『英米流経済、歴史的敗北宣言??』である。まず、その書き出し部分を抜き出してみる。
『 どうやら、数十年続いた英米流経済に世紀の歴史的敗北宣言が出されたようだ。本当にこの様に正すかどうかは今後を観なければ何も信用出来ぬが、少なくとも内外に向けてのポーズとしては。小さな記事だが、20日夕刊に標記の内容と分かる人には分かる出来事が、報じられている。今になってなぜと考えてみたが、その意図も以下のように既に明白。この大事な記事の見出しは、
「株主最優先を米経済界転換」?? 
 この中日新聞記事の書き出しはこうだ。
「米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」は19日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる」 』


 こうして、株主資本主義が誤っていたと、米経営者からも米経済学者からも反省表明がなされていることになる。日本でも安倍政権が、クルーグマンのインフレ・ターゲット論(「2%目標」論)をいつまで延ばしても実現できないので、いつの間にか放棄したことによって、アベノミクスの誤りをなし崩しに認めざるを得なくなった。が、この政権は、なんの反省表明もだしていない。

 中国など、一定技術がある中進国への工場移転。豊かな金融先進国においては99・9%と0・01%とさえ言われる、凄まじい格差。この格差の底辺は、就職氷河世代など日本病と言われるほどにアメリカよりも日本の方が遙かに早く、深刻になっていたのである。それを現日本政権は、通貨をどんどん刷るという財政ファイナンス・株バブルと為替操作とによって「経済は上向き」などとごまかしてきただけで、口先反省の声さえ聞かれないのである。国民一人当たり購買力平価GDPはもう世界4位から31位まで落ちてしまって内需は乏しいのに、この大量緩和の出口に待っている円売りから一体どう逃れるつもりなのだろう。その時には、現在政府が頼りにしている1500兆円の個人資産などは、ドル化に走るに違いないのである。アメリカがずっと、これを狙って来たのだから。
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川崎・横浜戦を観た  文科系

2019年12月01日 04時40分07秒 | スポーツ
 この戦いと地上波放映があるということとを知ったときから、非常に楽しみにしていた。2位FC東京の結果しだいで横浜の優勝が決まるゲームだという以上に、今のJリーグで評判の世界的戦術の先端、横浜の戦いをこの目で確かめたかったからだ。結果は見事、横浜の4対1。それも、先制して追加得点から、1点挽回されたらまた離してみせるという、横綱相撲だった。ゲーム自身は到底こんな得点差になるようなものではなくって、極めて高度な戦いであって、以下はそんなゲームの「恐るべしポステコグルー」という、その次第。

 組織的な潰しも繋ぎも常に、相手との相対的なもの。相手の潰しが上手ければこちらの繋ぎが下手に見えるのだし、こちらの繋ぎが上手く見えても相手の潰しが下手なだけかも知れないのである。が、川崎は、このいずれもJリーグ1、2と他が認めるチームだからこそ横浜の力がわかるという、絶好の相手なのだ。

 横浜の最大の長所は、ワンタッチ主体の繋ぎが上手いことと観た。組織的な潰しが上手いはずの川崎をワンタッチ・パス中心で見事に抜いていくのである。これはワンタッチパスの技術もさりながら、サイドなどにスペースを見つけてフォローに走る習慣や、これを早め早めにちゃんと観ているパサーの確かな視野に磨きをかけて来たということだろう。
 他方、その組織的潰しの方も、なによりもこれが目立った。相手ゴール前での組織的潰しが上手いこと。これが「高い位置で相手ボールを奪える組織作りこそ、ゲーム中絶好の得点チャンスの作り方」という、いわゆるゲーゲンプレス得点法そのものである。

 ポステコグルー横浜は、しばらくその王座が続くのではないか。このチームが、旧ゲーゲンプレスの欠点、失点の多さを今のリバプールのように正す事ができれば、さらに強くなっていくはずだ。また、戦術的にこれだけ優れたチームが現れることは、それだけ日本の世界的水準を高めてくれることでもあって、川崎の鬼木、東京の長谷川、広島の城福ら日本人監督の力も伸ばしてくれるに違いないのである。
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