Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「未熟さ」の系譜

2024-07-29 08:52:26 | 読書
周東美材「『未熟さ』の系譜- 宝塚からジャニーズまで- 」新潮社 (新潮選書 2022/5)
図書館で借用.

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わたしたちはなぜ、未完成なスターを求めるのか?
若さや親しみやすさで人気を得るアイドル、ジュニアから養成されるジャニーズ、音楽学校入試が毎年報じられる宝塚歌劇団……成長途上ゆえのアマチュア性が愛好される芸能様式は、いかに成立したのか。近代家族とメディアが生んだ「お茶の間の人気者」から日本文化の核心を浮き彫りにする、気鋭の社会学者による画期的論考。
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そう言われればぼくも,かって何ヶ月か滞在した外人に.日本のテレビの音楽番組は子供ばっかりだな,と言われたことがあった.

目次*****
1章 童謡―天才少女が「あどけなく」歌うわけ / 2章 宝塚―女生徒たちはなぜ髪を切ったか / 3章 渡辺プロダクション―テレビがタレントを供給する仕組み / 4章 ジャニーズ―ミュージカル少年がバク転をするまで / 5章 グループ・サウンズ―エレキが生んだ「王子さま」 / 6章 スター誕生!―オーディション番組と虚構の少女たち / 終章 「未熟さ」の系譜
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著者 周東美材 (シュウトウヨシキ) 氏は童謡の研究で学壇にデビューしたそうだ.この本でも最初の2章は学術的.
残りは.16 トンがテレビラジオで見聞し,芸能週刊誌で読み齧った芸能界の内幕を社会学的に解説された感じ.つまらないわけがない.
特にぼくにウケたのは,6章「少女たちの成長・変身物語」中の「青い果実の成熟 - 山口百恵」と「絵空事のモンスター - ピンク・レディー」の対比.

「未熟さ」という切り口で扱えないもの,例えば演歌などは,蚊帳の外.これはどの学界でも同じらしい.

本書の内容は最近のことにまで及んではいない.16 トンは TV の歌番組はほとんど視聴しなくなったが,それは本書の範囲外だから ?  たぶんその通りなんだろう.ここで扱っているのは,お茶の間で家族そろって TV を見た,懐かしい時代,個人が直接デジタル配信を受け取る現代に,本書の中身がどこまで通用するのだろうか.

サブタイトルに「.....ジャニーズまで- 」とあるが,ジャニー喜多川による性加害問題には一言もふれていない.

この研究も科研費助成を受けたとのこと.研究できた上に,印税も入る ; 文系は羨ましい.理工系ではこうはいかない.
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