Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

江戸川乱歩の古書

2010-11-25 19:51:08 | 読書
「化人幻戯・月と手袋・堀越捜査一課長殿」江戸川乱歩全集 16 桃源社 (1961).

初版 というが,単行本で出た版ではなく全集の一冊だからか,250 円と安かった.ちなみに刊行されたときの定価は 260 円.自分は学生だったが,乱歩なんかと馬鹿にして読まなかったらしい,
粗末なざら紙.しおり紐の下部は粉になっていた.装丁・真鍋博も懐かしい.

昭和 30 年前後の作品で,「化人幻戯」以外は短編.昭和 29 年で著者は還暦を迎え,すでに功なり名を遂げていたが,発奮して本格ものを書いたらしい.しかし著者自身によるあとがきを見ると

「化人幻戯」私のすべての長編と同じく,これもまた失敗作であった.
「堀越捜査一課長殿」トリックに新味がなく,失敗の作であった.
「断崖」新味の模索に成功せず...

という調子.こんなことを書いても本が売れたのだからたいしたものだ.

明智小五郎はまったくテレビのイメージ,というのは逆でテレビが忠実なわけだが.当時エログロといわれた愛欲場面も現代ではどうってことはなく,古き良き昭和の探偵小説そのもの.たしかにトリックはつまらない,とは言うものの,読ませます.


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