車谷長吉 文藝春秋(2001/2).
Amazon の内容紹介*****「私」はアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」―。圧倒的な小説作りの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。*****
20年前の直木賞作品.前半は芥川賞風で,後半やっとストーリーが動いて直木賞っぽくなる.
高橋順子さんの車谷伝によれば,本質的には私小説作家の作品だから,車谷の実生活の経験に立っているのだろう.エリートである「私」が下層社会に紛れ込んだことを自認するような文章が,鼻につく部分がある.
心中は未遂で,フラストが残る.
ある種不愉快な,ブンガク的緊張感を味わうことができた.
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