路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【山口県】:新春恒例フグの初競り、最高1キロ2万円の高値

2020-01-04 09:10:30 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【山口県】:新春恒例フグの初競り、最高1キロ2万円の高値

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【山口県】:新春恒例フグの初競り、最高1キロ2万円の高値 

 山口県下関市の南風泊仮設市場で4日未明、令和に入って初となる新春恒例フグの初競りがあり、天然や養殖のトラフグ計約9・3トンが出荷された。最高値は1キロ当たり2万円で、昨年より7000円高かった。天然物は水揚げが少なく、高値が付いた。

「袋競り」で競り落とされるフグ(共同)

  「袋競り」で競り落とされるフグ(共同)

 午前3時20分ごろ、競りの始まりを告げるベルが鳴ると、仲買人と競り人が黒い袋の中で指を握り合って値段を決める独特の「袋競り」が行われた。場内には競り人の「ええか、1パイはどうか」という掛け声が響き、約40分で全て競り落とされた。

 同市場によると、今シーズンは漁場の海水温が高いことが影響し、不漁傾向にあるという。市場を運営する下関唐戸魚市場の見原宏社長(65)は「不漁が続いているが、最盛期はこれから。寒波が来て海水温が下がれば、おいしい天然フグをもっと食卓に届けられるのではないか」と期待を込めた。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・山口県・初競り】  2020年01月04日  09:10:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:ロシアの「臨検」 安全操業の枠組み壊す

2019-12-20 05:05:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説②】:ロシアの「臨検」 安全操業の枠組み壊す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ロシアの「臨検」 安全操業の枠組み壊す 

 北方領土歯舞群島周辺で安全操業のタコ空釣り縄漁を行っていた根室の漁船5隻がロシア国境警備局の「臨検」を受け、国後島に連行された。

 強制的に漁を中断させて船に乗り込み、漁獲量や書類を点検する臨検は、ロシアの公権力の行使に当たる。

 ロシア側は操業日誌の記載を超える漁獲があったとして、国内法に基づく行政処分を課す方針だ。

 一連の対応には、19日の日ロ外相会談を前に実効支配をアピールする狙いがあるとの指摘がある。

 しかし、北方領土の管轄権を棚上げにする形で実施している安全操業で、ロシア当局が一方的に臨検や自国法による行政処分を行うのはルール違反というほかない。

 日本政府が抗議し、乗組員の早期解放を求めたのは当然だ。ロシア当局も、ただちに要求に応じるべきである。

 5隻は17日午前に沖合で臨検を受け、同日夜に国後島古釜布に連行された。

 水産庁などによると、乗組員計24人の健康に問題はない。ただ持病を持つ人がおり、拘束が長引けば体調を崩す恐れがある。

 人道的な観点からも早期解放が求められる。

 ロシアの臨検は近年、国後島沖で急増していたが、歯舞群島周辺では少なく、過去に連行された例もなかった。

 今回の一件で、四島周辺でロシア側による公権力行使が拡大している現状があらためて浮き彫りになったといえる。看過できない。

 こうした事態を招いた要因は、日本側にもある。

 日本政府と道は臨検を「訪船」と呼び、位置づけをあいまいにしてきた。それを今年の操業から「見学」と称して事実上容認した。

 これでは、ロシア側に足元を見られ、実効支配を追認していると受け取られても仕方あるまい。

 日本政府はもっとロシアに毅然(きぜん)とした態度で臨む必要がある。

 1998年から始まった安全操業は、日ロ間の協定で日本漁船が違反した場合の手続きを定めておらず、両国の信頼関係に基づいて行われている。

 臨検が度重なれば、ガラス細工のようなもろさを持つ安全操業の枠組みは崩れ去ってしまう。

 かつて銃撃や拿捕(だほ)が繰り返された海域で安全な操業環境を長年築いてきた成果を無駄にしてはならない。両国が率直に意見を出し合い、その理念をもう一度取り戻す作業が欠かせない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年12月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:失敗が偶然によって思わぬ大発見や成功につながるということはよくある。

2019-10-28 06:10:32 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【筆洗】:失敗が偶然によって思わぬ大発見や成功につながるということはよくある。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:失敗が偶然によって思わぬ大発見や成功につながるということはよくある。

 インドを目指したバルトロメウ・ディアスは嵐に巻き込まれ、引き返す途中、アフリカ大陸の喜望峰を発見したし、コカ・コーラは痛み止めシロップを作ろうとして失敗した結果、生まれたと聞く。災い転じて福となす。結果オーライ。こういう話は聞いていて勇気づけられる▼国内では唯一、駿河湾で水揚げされるサクラエビにもそんな逸話があるらしい。歴史は意外と浅い。一八九四(明治二十七)年十一月のある夜。静岡県由比町(現・静岡市)の漁師がアジ漁に出た▼いざ操業という段になってカンタと呼ぶ網につける浮きを忘れてきてしまったことに気づく。今さら戻るわけにはいかない▼しかたなく、その夜はカンタなしで網を入れたところ、思いがけずサクラエビの大漁に恵まれた。いつもより深い場所に網が入ったためらしい。以来この漁法が定着し、盛んになっていく▼幸運で発見された漁の行く末が心配である。サクラエビの深刻な不漁が続く。秋漁が二年ぶりに解禁されたが、体長制限付きの漁でもあり、取れ高はあまり期待できないだろう。地元の水産加工業者には廃業も検討せざるを得ないという寂しい声が出る▼<さくらえび由比蒲原の小春かも>和田祥子。不漁という「災」をもう一度、「福」へと転じさせる手はないものか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年10月27日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:作家の池波正太郎さんは子どものとき、サンマのワタが食べられず、・・・

2019-09-25 06:10:16 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【筆洗】:作家の池波正太郎さんは子どものとき、サンマのワタが食べられず、おばあさんによく叱られた。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:作家の池波正太郎さんは子どものとき、サンマのワタが食べられず、おばあさんによく叱られた。

 「何だえ、お前さんは。秋刀魚(さんま)のワタを残してもったいないじゃあないか」▼それでもサンマが「初秋の食膳には一日置きに出た」そうだ。昔は安かったことは承知しているが、一日置きと聞き、うらやましさでため息が出る方もいるのではないか。サンマの深刻な漁獲不振である。外国船の増加による資源量の減少、気候変動。秋のサンマの不漁はもはや珍しいことではないのだが、今年はさらに厳しいと聞く▼漁業情報サービスセンターによると八月一日から始まった北海道東方沖のサンマ棒受け網漁の水揚げ量は十日時点で約二千トン。昨年同時期の17%にすぎない。もはや、サンマは秋の味覚でも庶民の味でもないのかもしれぬ▼悲劇も起きている。北海道根室沖でサンマ漁船が転覆。二十一日、船長一人の死亡が確認されたが、行方不明の乗組員七人については生存の確率が低いとして捜索が打ち切られた▼不漁に無理をして波の高い遠洋に出たのだろうか。例年漁場になっている日本近海には、サンマがおらず、沖合千キロの公海で操業する船も増えているという▼生活がかかっているとはいえ、どうか無理はしないでいただきたい。命がけのサンマとなれば、こちらももったいなくて箸を付けられない。ワタも一層、苦かろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年09月23日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:サンマ漁船遭難

2019-09-22 05:05:00 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【卓上四季】:サンマ漁船遭難

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:サンマ漁船遭難

 詩人の黒田三郎さんは幼い娘と過ごすひとときを「夕方の三十分」という詩にした▼「コンロから御飯をおろす/卵を割ってかきまぜる/合間にウィスキーをひと口飲む/折紙で赤い鶴を折る/ネギを切る/一畳に足りない台所につっ立ったままで/夕方の三十分」「それから/やがて/しずかで美しい時間が/やってくる」▼家族と囲むささやかだが幸福な夕食。その食卓に上る1匹のありふれた魚にも来歴がある。そもそも漁は危険と隣り合わせの仕事だ。とはいえ、秋を彩る食材として、私たちが口にして当たり前と思っているサンマのために、漁業者がこれほど大変な苦労を重ねていたとは知らなかった▼サンマ棒受け網漁船「第65慶栄丸」が道東沖の公海で転覆、行方不明になった乗組員8人のうち1人が心肺停止状態で見つかった。この遭難は、サンマの記録的不漁で追い詰められた漁業者の苦境を浮き彫りにしている▼従来の漁場へのサンマの来遊が激減した。原因として、回遊ルートが海水温の上昇で変化した可能性や、中国や台湾による乱獲などが指摘されている。天候が厳しく大型船でもきつい公海へ、慶栄丸のような小さい船も魚群を求めて足を延ばさざるを得ない▼「漁師は生活が懸かっているから捕らないといけない。本当にやりきれない」という漁業者仲間の嘆きに胸がふさがる。乗組員の無事をただただ祈るばかりだ。2019・9・19

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年09月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ときを結ぶ】:(5) 「アイヌの伝統漁」

2019-09-16 13:51:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【ときを結ぶ】:(5)  「アイヌの伝統漁」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ときを結ぶ】:(5) 「アイヌの伝統漁」

 ◆サケの魂、カムイに送る

 ■長老から受け継ぐ技能 感謝の精神、次世代へ

  やぶをかき分けながら川岸を下りて行くと、2羽のオオワシが羽音を立てて澄んだ青空に舞い上がった。
 北海道白糠町の茶路川。天内重樹(34)は、河原に立てたイナウ(木幣)の前に座り、カムイ(神)に祈った。「どうかサケを授けてくれますように」
  ▽もりで突く
 白糠アイヌ協会の会長としてアイヌ民族の文化保存、伝承に努める天内は毎年秋から初冬にかけて、茶路川で伝統のサケ漁をしている。
 水産資源保護法は河川でのサケ捕獲を原則的に禁止しているが、道は文化伝承の目的を認め、白糠アイヌ協会に特別採捕を許可している。
 漁にはマレクという、もりを使う。堅くてしなるヤチダモの柄に、鉄製のかぎを付けた素朴な漁具だ。かぎはサケに刺さると回転する。釣り針の「返し」のような役割をして、獲物を逃がさない構造になっている。 

アイヌの伝統的な漁具マレクでサケを捕った天内重樹。身が傷つかないよう、えらの辺りを突く=北海道白糠町

アイヌの伝統的な漁具マレクでサケを捕った天内重樹。身が傷つかないよう、えらの辺りを突く=北海道白糠町

 「そこにサケがいる…」。天内がつぶやいた。日光が乱反射する川面に目を凝らすと、産卵を終えたメスが浅瀬をゆっくり泳いでいる。
 マレクを構え、水中に見え隠れする黒い背をめがけて突くが、サケはするりと逃げる。少しずつ川べりの茂みに追い込み、仕留めた。マレクを持ち上げると、えらにかぎが食い込んでいる。「頭の付け根辺りを狙わないといけない。身が傷つき、食べる所も減るから」
 天内はイパキクニというヤナギの棒でサケの頭をたたき、息の根を止めた。「この棒でたたくと、サケの魂をカムイコタン(神の住む場所)に送ることができる」
 河原の石をまな板代わりにして、サケの身をナイフでおろす。「鳥やキツネが食べられるように」と、頭や内臓は、そのまま石の上に置いた。こずえのカラスが、じっとこちらを見ていた。
 ▽同化政策で禁止
 白糠町には、2013年に95歳で亡くなった長老、根本与三郎がいた。「最後の熊撃ち」と呼ばれた根本は伝統的な狩猟や漁に通じ、指導者として尊敬を集めていた。
 天内は子どもの頃、根本が実演した「仕掛け弓」を見た。弦を留めた引き金に糸を張り、獣が糸に触れると、引き金が外れ、毒矢が放たれる。弓を使った独特のわなだ。
 根本は、マレクや鹿の角をとがらせたヤスによる漁にも精通していた。
 明治政府は同化政策の名の下に、アイヌ固有の言葉や慣習、生活基盤の狩猟や漁労を禁止し、農耕に従事するよう強制した。長老たちがひそかに伝承してこなければ、アイヌ古来の漁猟法は絶滅していたかもしれない。
 天内は成人してから根本の元に通い、マレクの作り方や漁法を一から教わった。夜の漁も経験した。1人がたいまつを持ち、明かりに近づいてきたサケを突く。「マレク漁は簡単に見えるが、やってみると難しい。川の流れ、サケの動きを読まないといけないから」
 天内は高速道路のパトロールの仕事を持つが「狩猟採集民のような暮らしをしている」と笑う。サクラマスを海で釣り、鹿を森で撃つ。春には行者ニンニクを採りに山へ入る。
 山で熊の話をすると、本当に現れるという言い伝えを根本から聞いた。「根本のじいちゃんは季節ごとの熊の行動をよく知っていた。春先の熊は、行者ニンニクやコケを食うため穴から出てくる。現地に行くと、言っていたことの意味が分かる」
 ▽食育の教室
 根本に教わった伝統漁を今、息子の基輝(7)や高校生のおい、地元小中学生らに伝えている。
 マレクの使い方を教えるとすぐ、川で実際にサケを捕らせるのが天内流のやり方だ。子どもらが「捕った!」と歓声を上げ楽しんだ後に、「カムイが授けてくれたんだよ」と言う。漁の前から心構えを諭すより、心に響くと天内は思っている。
 河原でたき火をして、サケを焼いて食べることも。夢中で漁をしていた子どもらは空腹になっている。寒い中、火に当たり、自分で捕ったサケを口にするのは格別だ。
 「昔のアイヌは捕れなかったら飯が食えなかったんだぞ。サケは命懸けで川を上るんだから、こっちも命懸けで捕ってやるべ」。天内の言葉に子どもらはうなずき、食べ物の大切さ、ありがたみを感じる。自然を舞台にした「食育」の教室だ。
 昨年4月、白糠町に完成したアイヌ文化施設「ウレシパチセ」を拠点に、天内は、祖母から習った古式舞踊にも取り組んでいる。だが、最も重要なのは、アイヌ精神の伝承だ。
 マレク漁を終えると、子どもらと一緒に祈り、サケが捕れたことを感謝する。「お礼を言わないと、次に来た時、サケをもらえない。カムイは人の行動を見ているから」
 物を大事に。感謝の気持ちを忘れると人への思いやりがなくなってしまう…。先祖から受け継いできた教えは多い。天内は、漁や伝統行事を通して、一つ一つ次世代に伝えていこうと思っている。(敬称略、文・藤原聡、写真・宇井眞紀子)北海道白糠町

                                            北海道白糠町

 ◆新法案と文化復興拠点 

 政府は、アイヌ民族を支援するための新たな法案を通常国会に提出、成立した。アイヌを日本の法律では初めて「先住民族」と明記した。
 アイヌの伝統的儀式などの場合に限り、河川でのサケ漁や国有林での林産物の採取をしやすくする。
 アイヌの文化伝承や地域振興を後押しするため、国から市区町村への新たな交付金も創設する。
 また、北海道白老町でアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」の建設も進めている。愛称はウポポイ(大勢で歌うこと)に決まり、2020年4月、オープンする予定。ウポポイには国立アイヌ民族博物館や慰霊施設などが整備される。
 

 元稿:一般社団法人共同通信社 47NEWS 社会 【話題・特集】  2019年09月16日  13:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか

2019-08-29 06:10:40 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか 

 国際捕鯨委員会(IWC)を脱退した日本は、この夏商業捕鯨を再開したが、肝心の消費は伸び悩む。鯨食は日本古来の「食文化」には違いない。だがこれで、持続可能になった、と言えるのか。 

 商業捕鯨再開初日に捕獲されたミンククジラの肉が、北海道・函館市水産物地方卸売市場で競りに掛かった七月四日。たまたま市内に滞在中だった。

 その晩、宿泊した旅館の夕食に、見慣れないものが出た。

 「これ何ですか」と配膳のスタッフに尋ねると、「オバケ(尾羽毛)です。クジラのしっぽの部分を薄くスライスしてゆでたもの」という答え。

 「今回、揚がったやつですか」と聞くと、「いいえ、道南では、お正月とかにクジラを食べる習慣があるんです」。江戸時代、松前藩が統治した時代から受け継がれてきた「食文化」なのだという。

 日本人は有史以前からクジラの肉を食べていた。しかし、それらは沿岸で捕れたもの。十九世紀末、捕鯨砲で銛(もり)を撃ち込む、効率のよいノルウェー式砲殺法が導入されると、近海の資源が減少し、北太平洋へと漁場が広がった。日本の捕鯨船団が南極海に進出したのは、一九三四年のことだった。

 しかし、そのころの遠洋捕鯨の目的は、食用ではなく、主に鯨油の採取。貴重な輸出品だった。

 太平洋戦争で途絶えた遠洋捕鯨を復活させたのは、連合国軍総司令部(GHQ)、すなわちマッカーサーだった。深刻な食料難に対処するため、タンパク源として目を付けた。食用としてのクジラが脚光を浴びたのは、実は戦後のことだったのだ。

 IWCを脱退してまで商業捕鯨を再開してはみたものの、六〇年代には年間二十万トンに上った鯨肉消費も、今では数千トン程度。肝心の消費は伸び悩む。牛肉や豚肉などが手軽に買える今となっては、ある意味当然のことではないか。

 一方、古式の沿岸捕鯨が栄えた三陸や安房(千葉)、紀州や西海(長崎)などにも、鯨食は「食文化」として根付いている。

 イルカ類やツチクジラなど近海の小型鯨類は、もともとIWCの規制対象外だった。IWCを脱退したことにより、そちらへの風当たりも強まることになるだろう。

 IWC脱退は、日本の食文化にとって、果たしてよいことだったのか。鯨食文化を守るためには、国際秩序への早期復帰を図るべきではないのだろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:サンマの将来

2019-08-03 05:05:00 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【卓上四季】:サンマの将来

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:サンマの将来

 「男ありて/毎日、毎日/牛肉をくらひて/時にひとり/さんまを喰(くら)ひてもの思ふ/われら貧しきものは/時にさんまを喰ふのではない/毎日、毎日、さんまを喰ひて/毎日、毎日、コロッケを喰つてゐる」。小樽生まれの詩人、小熊秀雄の「佐藤春夫へ」の一節だ▼題名の通り、佐藤の「さんま苦いか塩(しょ)つぱいか」で名高い「秋刀魚(さんま)の歌」を風刺している。何だか身もふたもない調子だが、1940年に39歳で極貧のうちに亡くなった道産子の小熊に肩入れしたくなってしまう▼プロレタリア詩人が毎日でも食べるというサンマが危機にひんしている。漁獲量が年々細り、将来も安くてうまい秋の味覚として、庶民の食卓に載せることができるかどうか、甚だ心もとない。漁業者の不安も募る▼地球温暖化の影響による海水温の上昇などで、秋口に日本沿岸を南下していたサンマの回遊ルートの変化が指摘されている。加えて、南下を始める前に、北太平洋の公海で中国、台湾などによる乱獲が資源枯渇に拍車をかけているようだ▼日本の主導で、ようやく関係国が漁獲枠の設定に合意した。とはいえ、近年の漁獲実績を大幅に上回り、極めて甘い基準である▼冒頭の詩は「新しい世紀の/さんまは甘いか酸つぱいか/感想を述べろ」と詰問して終わる。「新世紀でも安くてうまい」と答えるために、今回の合意を資源保護への着実な一歩にしたい。2019・7・31

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年07月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:サンマ漁獲規制 甘いか、しょっぱいか

2019-07-28 06:10:36 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説②】:サンマ漁獲規制 甘いか、しょっぱいか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:サンマ漁獲規制 甘いか、しょっぱいか 

 日本など八つの国と地域で水産資源を管理する北太平洋漁業委員会(NPFC)は、サンマの漁獲枠を設けることで合意した。上限は年間計五十五万トン。この数字、甘いか、苦いか、しょっぱいか。

 北太平洋のサンマは、黒潮に乗って北上し、千島列島沖で反転、プランクトンの豊富な親潮に入り、脂肪を蓄えながら、八月には根室から釧路沖、九月下旬から十月にかけて三陸沖に南下する。「秋刀魚(さんま)」の季節、到来である。

 だがもはやサンマは日本だけのものではない。ロシア、韓国に続いて一九八〇年代の終わりに台湾が漁獲を始め、数年前に中国が本格参入、北海道のはるか東の公海上に冷凍設備を完備した一、〇〇〇トン級の大型漁船を連ね、“先取り”を続けている。台湾は日本を抜いて、世界一のサンマ漁獲大国だ。

 このため、日本の排他的経済水域(EEZ)まで到達する魚群が激減、主に近海で操業する日本の年間漁獲量は約十万トンと、ここ数年で半分にまで落ち込んだ。

 欧州連合(EU)も北太平洋への進出をうかがっているという。健康志向の魚食文化はすでに世界に広がった。

 日本はNPFCの設立(二〇一五年)を主導し、漁獲量の制限を提唱してきたが、「資源減少の科学的根拠がない」とする中国などの反対で、実現に至らなかった。

 しかし、NPFCの科学委員会がこの四月、「資源量(百三十万トン)は過去四十年間で最低」と、激減を裏付けたため、中国も歩み寄り、漁獲枠の設定には同意した。ただし、各国の参加が最優先。漁獲枠には余裕を持たせ、計五十五万トンという上限は、昨年実績の約四十四万トンを大きく上回る。甘過ぎるということだ。

 国別漁獲割り当ての検討は、先送り。監視体制を整えるのもこれからだ。サンマ漁の持続可能性は、不確かなままである。このままでは近い将来、どの国も、苦い思いをすることになりかねない。上限の引き下げは必須だろう。

 海は、人間のために無限の“幸”を生み出す、打ち出の小づちのようなものではない。

 不漁の原因は、外国船による“爆漁”だけではないらしい。

 サンマは温かい水を嫌う。日本近海の海水温が高くなり、サンマの群れが近寄れなくなったためでもあるという。

 秋の味覚を守り抜くには、地球温暖化対策も、急がなければならないということだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年07月27日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私設・論説室から】:クジラに感謝こそあれ

2019-07-23 06:10:31 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【私設・論説室から】:クジラに感謝こそあれ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:クジラに感謝こそあれ 

 キツネ色の衣をまとったフライが大盛りのキャベツの千切りと一緒に食卓に並んだ。

 「やった。今夜のおかずは豚カツだ!」

 喜んだのもつかの間、一口食べると独特の臭みが。「なーんだ。クジラか…」。子供のころ、幾度となく味わったがっかりである。 唐揚げ(竜田揚げ)といえばクジラ、ベーコンも白い脂身に赤い縁取りのクジラ。学生時代、下宿先に母から送られてくる食料の段ボール箱にはクジラの缶詰がどっさりと。仕方なく、カレーやチャーハンなど自炊料理には何でもこのクジラ肉を入れて作った。

 しかし、一九八〇年代から急速にクジラとの付き合いが減る。商業捕鯨から限定的な調査捕鯨へ-。となると、あの味が懐かしくなるものだが、捕鯨基地だった港町の土産物店などで見掛ける缶詰やベーコンの高いこと。

 以来三十年余。今月から商業捕鯨が再開された。が、素直には喜べない。牛や豚肉がふんだんに出回り、クジラの味を知らない世代が増えた今、誰が消費を支えるのか。国が定めた年間捕獲枠は調査捕鯨時より四割減。価格動向は不透明だ。国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退が国際協調に背くと、国内外から批判が続いているのにもモヤモヤ…。

 ただ、これだけは言える。今まで大病とは無縁の丈夫な体の基礎を作ってくれたのはクジラ。骨まで大切に利用する日本伝統の捕鯨文化は守ってゆきたい、と。 (白鳥龍也)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2019年07月15日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:『ゲゲゲの鬼太郎』などの水木しげるさんが紙芝居を描いていた時代の話である。

2019-07-03 06:10:20 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【筆洗】:『ゲゲゲの鬼太郎』などの水木しげるさんが紙芝居を描いていた時代の話である。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:『ゲゲゲの鬼太郎』などの水木しげるさんが紙芝居を描いていた時代の話である。

 ある妖怪を題材にした作品を描いていたところ、高い熱が出てきた。医者に診てもらったものの、原因がわからない▼やむなく、その妖怪の話を紙芝居にするのを断念すると熱は下がったそうである。描いていた妖怪は「化け鯨」。もとは山陰地方の言い伝えだそうで、夜になると出没する骨だけの巨大クジラだそうだ▼怪談めいた話で読者を震え上がらせようというつもりは毛頭ないが、気の小さい当コラムはその後の国際社会の「たたり」を心配し、三十一年ぶりの悲願成就と言われてもどうも心がわきたたない。昨日の商業捕鯨の再開である▼北海道釧路、山口県下関の港から捕鯨船が出港していった。関係者には、感慨無量の朝であっただろう。鯨食文化を復活させたい。鯨肉は食料自給率が低い日本にとって大切な海洋資源。その気持ちも主張も理解はできる▼震えるのは反捕鯨の国際世論である。今回の商業捕鯨再開は国際捕鯨委員会(IWC)脱退によるもの。ただでさえ捕鯨への風当たりが強い中、穏当さに欠けるやり方に日本への批判は一層強まるだろう▼商業捕鯨再開で低迷した国内の鯨肉消費を回復させたいという。そのためにも国際社会の理解を少しでも得たい。世界から叱られながら食べるのでは、その肉にハシは伸びまい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年07月02日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:旅するウナギ

2019-06-13 05:05:00 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【卓上四季】:旅するウナギ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:旅するウナギ

 「しんしんと肺碧(あお)きまで海の旅」(篠原鳳作)。30歳で夭折(ようせつ)した新興俳句の俊英が、沖縄県宮古島で中学教師を務めていた頃に詠んだ代表作だ▼コバルトブルーに輝く南の大海原を行く。無季の句だが、やはり夏がふさわしい。船上で胸いっぱいに息を吸い込めば、肺にまで海の青さが染みわたるようだ。鮮やかな描写である▼こちらの方は、全身を青く染め、海に溶け込むような長旅と言えよう。日本の河川から、南へ約2千キロの太平洋。ニホンウナギは、はるかな産卵場所を目指す。大海の点にすぎない目的地に、どうやってたどり着くのか。なぜ、オスとメスは巡り合うことができるのか。その回遊には依然、謎が多い▼卵がかえると旅は再開され、幼生が潮に乗り、やがて稚魚のシラスウナギとなって日本沿岸に帰ってくる。気の遠くなるような一連の行程を振り返れば、奇跡の連続と言っていい「海の旅」ではないか▼帰還するシラスウナギが激減して久しい。養殖と言っても、シラスウナギを捕まえて池で大きくするだけだ。既に絶滅危惧種である。今年の漁獲量は3・6トンで6年ぶりに過去最低を更新した▼乱獲に加え、河川開発、地球温暖化による海洋環境の変化など、要因は複合的だろう。禁漁も検討する時かもしれない。もはや土用の丑(うし)の日に、かば焼きが品薄になるという程度の問題ではあるまい。絶滅すれば食文化も消える。2019・6・9

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年06月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【政府】:韓国に禁輸撤廃、再要請へ 月内にも WTO敗訴受け

2019-04-23 06:12:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【政府】:韓国に禁輸撤廃、再要請へ 月内にも WTO敗訴受け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:韓国に禁輸撤廃、再要請へ 月内にも WTO敗訴受け 

 政府は世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きで韓国に敗訴した水産物禁輸問題を巡り、今月中に禁輸措置の撤廃・緩和を韓国側に再び要請する方針を固めた。速やかに事態打開を図る必要があると判断した。日韓双方が二十三日に東京で開く方向で調整している外務省局長級協議で伝える。複数の政府筋が二十日、明らかにした。敗訴した日本が守勢に立たされるのは必至で、交渉は難航しそうだ。 

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 WTOでの日本敗訴を受け、韓国は十二日に福島など八県産の水産物輸入禁止措置を維持すると表明している。「韓国側が再要請に応じ、禁輸を緩和する可能性は皆無に近い」(日韓外交筋)との見方は根強い。日韓協議では、WTOから禁輸継続のお墨付きを得た形の韓国から、日本がどこまで歩み寄りを引き出せるかが課題になる。

 日韓協議で再要請する際、政府はWTOの紛争処理の「二審」に当たる上級委員会の最終判断に関し「『日本食品は科学的見地に照らして安全だ』とする事実認定までは取り消していない」と説明する。安全性が実証された食品の輸入を禁じる韓国政府の判断は不当だと指摘し、対応の見直しを求める。

 日本側から金杉憲治アジア大洋州局長、韓国からは金容吉(キムヨンギル)東北アジア局長が出席する予定。「二審」でも勝訴し、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故からの復興を印象付けたかった日本政府は「予想外の結果」(官邸筋)に危機感を募らせている。

 WTOの紛争処理手続きでは「一審」に当たる紛争処理小委員会(パネル)が昨年二月、韓国による禁輸措置は不当な差別だと判断。韓国はこれを不服として上訴した結果、上級委が一審判断を覆した。WTOの紛争処理は二審制。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きで韓国に敗訴した水産物禁輸問題】  2019年04月21日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:WTO逆転敗訴 風評被害を広げぬよう

2019-04-18 06:10:30 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説②】:WTO逆転敗訴 風評被害を広げぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:WTO逆転敗訴 風評被害を広げぬよう 

 福島県産などの水産物輸入禁止をめぐる韓国との貿易紛争で日本は敗訴した。残念だが、食の安全で消費者の関心は国を問わず極めて高い。ねばり強い対応で規制撤廃と風評被害の払拭(ふっしょく)を進めたい。

 一審は二〇一八年二月に日本の主張を認めただけに、最終判断の二審での逆転敗訴は想定外で、産地の漁師に落胆が広がっている。

 経緯をたどると、一一年三月の福島原発の事故後、放射性物質への懸念から日本の水産物の輸入規制が各国に広がった。このうち韓国は、一三年九月に汚染水流出を受けて規制を強化し、福島、宮城、岩手など八県の水産物の輸入を全面禁止した。

 安全対策に取り組んできた日本はこれを不当として、一五年八月、世界貿易機関(WTO)に提訴していた。

 WTOは貿易紛争を扱う唯一の国際機関。機能の低下も指摘されるが、外務省は「中立的な専門家の判断」としている。日本の食品の安全性を否定しない一方で、韓国の主張を認めた判決をよく分析してほしい。生産者、消費者への十分な説明が必要だ。

 原発事故から八年。輸入規制は五十四カ国・地域から二十三に減った。勝訴をてこに規制撤廃と輸出拡大を目指した政府の戦略は練り直しが必要だ。

 養殖ホヤの生産量全国一位の宮城県では原発事故前、七、八割を韓国に輸出していた。厳しい基準での放射性物質検査に協力し、規制解除を待ち望んできた生産者、産地の漁師らの落胆は察するに余りある。

 ただ日本でも過去、内外の食品、食物の安全性でさまざまな問題が起きている。牛海綿状脳症(BSE)では、今回とは逆に、米国から輸入禁止の条件が厳しすぎると批判を受けた。消費者が政府に慎重すぎるくらいの対応を求めるのは国ごとの面もある。

 ふたつ指摘しておきたい。

 まず、WTO改革による紛争処理機能の強化。多国間の枠組みであるWTOの権威が揺らげば、紛争は激化しかねない。二審を担当する委員七人のうち四人が空席という事態を早く解消すべきだ。

 そして原発事故の影響の大きさにあらためて向き合わなければいけない。輸入規制は二十三カ国・地域で続いている。風評被害を防ぎ、すべての消費国、消費者に受け入れられるには科学的なデータの蓄積と提供、丁寧で根気強い説明が不可欠となる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月17日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【宮城県】:最後の調査捕鯨で初水揚げ、三陸沖でミンク1頭捕獲

2019-04-08 18:38:30 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【宮城県】:最後の調査捕鯨で初水揚げ、三陸沖でミンク1頭捕獲

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【宮城県】:最後の調査捕鯨で初水揚げ、三陸沖でミンク1頭捕獲 

 国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退に伴い最後となる宮城県三陸沖の調査捕鯨で、調査団は8日、ミンククジラ1頭を捕獲し、同県石巻市の鮎川港に水揚げした。4日の調査開始以降初めて。胃の内容物などを調べ、生態の解明や水産資源の管理につなげる。

 宮城県三陸沖の調査捕鯨で捕獲したミンククジラを調べる調査員ら=8日午後、宮城県石巻市

  宮城県三陸沖の調査捕鯨で捕獲したミンククジラを調べる調査員ら=8日午後、宮城県石巻市

 体長6・3メートル、体重2・9トンの雄。鮎川捕鯨(石巻市)の小型捕鯨船が、同県山元町沖約20キロの太平洋で捕獲した。港に入った船からクレーン車でトラックに移し、近くの調査所へ運んだ。安全祈願の儀式の後、DNA型や年齢を調べるため皮膚や眼球の一部を採取した。

 政府は昨年12月、IWC脱退を通告した。

 元稿:西日本新聞社 主要ニュース 科学・環境 【水産資源】 2019年04月08日  18:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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