路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説②・12.20》:裏金問題の政倫審 国会での追及を強めねば

2024-12-21 02:01:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

《社説②・12.20》:裏金問題の政倫審 国会での追及を強めねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.20》:裏金問題の政倫審 国会での追及を強めねば

 自民党派閥の裏金作りを誰がいつ始め、いったん中止が決まりながらなぜ復活したのか。疑問は残ったままだ。

 裏金問題を巡り、旧安倍派や旧二階派に所属した19人の議員が衆参両院の政治倫理審査会に出席した。パーティー券収入が派閥議員に還流されながら、政治資金収支報告書に記載されなかった経緯が明らかになるかが焦点だった。

 ところが「秘書に任せていたので知らなかった」と臆面もなく答えた議員が相次いだ。これでは実態解明は進まない。

衆院政治倫理審査会で答弁する自民党の萩生田光一元政調会長=国会内で2024年12月18日、幾島健太郎撮影

 注目されたのは、旧安倍派の実力者「5人衆」の一人で、不記載が多額に及んだ萩生田光一元政調会長の発言だ。2003年の初当選後、ノルマ超過分を還流する仕組みを派閥から説明されたが、不記載は昨年まで把握していなかったと証言した。秘書に不記載とするよう指示を出していたのは派閥の事務局長だったと述べた。

衆院政治倫理審査会で答弁する自民党の柴山昌彦元文部科学相=国会内で2024年12月18日、手塚耕一郎撮影

 柴山昌彦元文部科学相は13年まで還流分を記載していたが、14年ごろに不記載とするよう事務局から要請され、応じた。違法ではないとの説明を受けたという。

 2人の証言通りとすれば、実態を知り得る立場にあった旧安倍派事務局長を国会に招致し、説明を求めることが欠かせない。 

 2~3月の政倫審も含め、還流や不記載がどのようにして始まったのかは明らかにならなかった。安倍晋三元首相が22年に還流を中止すると決めながら再開された経緯も、闇に包まれている。

 萩生田氏は復活を決めたとされる幹部会合に出席しておらず「一切関わっていない」と強調する。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/20/20241220ddm005070106000p/9.webp?1" type="image/webp" />衆院政治倫理審査会で答弁する稲田朋美元防衛相=国会で2024年12月17日(代表撮影)</picture>
衆院政治倫理審査会で答弁する稲田朋美元防衛相=国会で2024年12月17日(代表撮影)

 経緯を知る可能性がある幹部議員らについて、偽証罪が適用される証人喚問も含め、改めて国会で説明する場を設けるべきだ。過去に派閥会長だった森喜朗元首相にも事情を聴く必要がある。

 多くの議員が出席を表明したのは、みそぎを早く済ませたいとの思惑からだろう。このままでは、説明責任を果たしたとは言えない。

 今後、政倫審に出席する予定の参院議員の大半は議員のみが傍聴する形での開催を求めるが、公開の場で証言するのが筋だ。

 国民の政治不信は解消されていない。真相究明に向け、国会で追及を強めなければならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.18》:政策活動費全廃 与野党均衡の効果表れた

2024-12-18 09:31:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

《社説①・12.18》:政策活動費全廃 与野党均衡の効果表れた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.18》:政策活動費全廃 与野党均衡の効果表れた 

 自民党と公明党が少数与党になって迎えた臨時国会で、「熟議」の国会が垣間見えるようになってきた。

 政治資金規正法の再改定案が衆院を通過した。立憲民主、日本維新の会、国民民主各党など野党7党の提出法案で、自民、公明の与党も賛成に回っている。

 再改定案の中心は、使途公開が不要な政策活動費の全面廃止だ。

 自民案は、政活費廃止を打ち出した一方で、使途を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を盛り込んだ。政党との取引を知られたくない企業や、台湾外交に関する支出などへの配慮が必要という主張である。

 これに対し、立民などが「第二のブラックボックスになる」として拒否。自民は法案の付則に、検討事項として盛り込むよう調整したものの支持を得られず、最終的に野党案に賛成した。

 非公開の余地を残す支出の新設は国民の理解は得られない。全面廃止は当然だ。与野党が均衡する国会の効果と受け止めたい。

 課題も持ち越された。立民が政治改革の「本丸」とする企業・団体献金の取り扱いだ。

 自民は「政治活動の自由」として、禁止は「慎重さを欠く」と主張。立民や維新は政治をゆがめると指摘して、禁止を譲らなかった。最終的に来年3月末までに結論を得ると申し合わせている。

 意見の隔たりは大きい。野党間でも、立民案が禁止対象から政治団体を除外していることに、国民民主や維新が「抜け道になる」と指摘し、一致できていない。

 企業・団体献金は政治活動の資金をだれが支えるのかという問題だ。企業・団体献金と、税金を原資とする政党交付金を同時に受け取ることの是非も問われる。カネがかかる政治のあり方も議論する必要があるだろう。

 次期通常国会は、浮き彫りになった意見の差を受け止め、論議を深めて法案を練り上げるべきだ。有識者らの意見を聞くことも必要だろう。各党の思惑を優先するのではなく、国民が納得できる政治改革を実現しなければならない。

 きのう成立した2024年度の補正予算案も、28年ぶりに修正された。自公が立民の要求を受け入れ、能登半島地震の復興関連予算を1千億円増額した。このほか、国民民主との「年収の壁」協議で自公が譲歩することで、国民民主が予算案の賛成に回っている。

 与野党が均衡する国会には緊張感もみられる。議論の熟度をさらに深めたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.18】:政策活動費全廃 伯仲国会の成果、もっと

2024-12-18 07:21:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説①・12.18】:政策活動費全廃 伯仲国会の成果、もっと

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.18】:政策活動費全廃 伯仲国会の成果、もっと

 自民党派閥裏金事件を受けた政治改革を巡り、使途公開が不要な政策活動費を全廃する政治資金規正法改正案が衆院を通過した=写真。立憲民主など野党7党の共同提出法案に自民、公明の与党も賛成し、今国会成立の見通しだ。
 政策活動費全廃に反対していた自民党が賛成に転じたのは、10月の衆院選で有権者が裏金問題に厳しい審判を下し、与野党伯仲となった成果だ。来年3月まで結論が先送りされた企業・団体献金の廃止にも踏み込むよう求める。
 政策活動費は政党が議員個人に支出する資金。自民党幹事長には年10億円程度が渡され、使途は一切、明らかにされていない。野党側は巨額の「ブラックボックス」と批判してきた。
 自民党は衆院選惨敗後、政策活動費の廃止に転じたものの、衆院に提出した法案には外交秘密や支出先のプライバシーに配慮し、支出相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の例外を設けた。
 政治資金は透明性が重要だと強調しながら、例外を設けて不透明さを残すことに国民の理解は得られない。例外規定を削除し、野党案を受け入れたのは当然だ。
 一方、金権腐敗の元凶とされてきた企業・団体献金については、禁止法案を提出した立民と、存続を主張する自民との溝が埋まらなかった。日本維新の会や国民民主党は立民案に献金禁止の抜け道があるとして賛同していない。より多くの野党が足並みをそろえ、自民党に譲歩を迫るべきだ。
 17日の衆院本会議では、税金から毎月100万円が国会議員に支給される「調査研究広報滞在費」(旧文通費)の使途公開を定めた歳費法改正案も可決され、今国会で成立する運びだ。3年前から自民党の意向で先送りが繰り返されてきた課題がようやく決着するのも、伯仲国会となったためだ。
 ただ、議員が旧文通費を自身の政治団体に全額寄付し、政治資金にする例も多く、議員活動にふさわしい使途の範囲を来年8月の施行までに定める必要がある。
 伯仲国会の状況を、政治への信頼回復につなげるため、与野党は誠実に協議を重ねるべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  07:21:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.18】:自民の不記載 地方の不正も解明せよ

2024-12-18 07:21:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説②・12.18】:自民の不記載 地方の不正も解明せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.18】:自民の不記載 地方の不正も解明せよ 

 自民党の東京都議会議員がパーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったことが分かった。国会議員の派閥裏金事件と似た不正が、地方の議員や組織にもまん延していることをうかがわせる。自民党は全国で調査し、結果を公表すべきだ。
 
 都議会自民党が、政治資金規正法違反(虚偽記入)の公訴時効前5年間に行われた会派パーティー2回分について調査した結果、20人ほどに不記載があり、金額が計100万円超の都議も複数いた、という。
 都議にはパーティー券50枚(計100万円)の販売ノルマがありそれを超える販売収入を都議会自民党に納めず「中抜き」して、個人的に得ていたとみられる。
 収支報告書に記載されず、裏金化していた疑いがある。捜査当局は刑事事件として立件すべき事例がないか、政治資金の「闇」の解明に尽くすべきだ。
 国政では、派閥パーティー収入の一部を国会議員側に還流しながら収支報告書に記載しなかったとして、国会議員ら11人が規正法違反で立件された。党本部の調査によると、記載漏れなどがあった議員らは85人に上り、国民の信頼を失った自民党は10月の衆院選で惨敗し、少数与党に転落した。
 自民党の政治資金を巡るずさんな処理は国会議員に限らず、地方議員や組織でも横行していたことが次々と明らかになっている。
 岐阜県連では2021、22年のパーティーで、県議や市議らの関係団体に計700万円超の還流があったとして岐阜市支部が収支報告書を訂正。会場収容人数の7倍超のパーティー券を販売した栃木県連、2倍超の富山県連などの不明朗な収入も指摘されている。
 愛知県の知多市支部では09年から今年まで収支報告書が未提出だった。伊藤忠彦復興相や元県議が代表や事務担当者を務め、元県議は「忙しかった」と釈明した。
 いずれも法律を順守しようという姿勢を欠き、言語道断だ。
 石破茂内閣は規正法再改正を巡り、政策活動費の全廃は渋々受け入れたものの、企業・団体献金の廃止はかたくなに拒んでいる。
 
 来年は参院選や都議選があり、国民や都民の審判を受ける。
 
 自民党は国会議員に加えて、地方の議員や組織の不正も直視し、たまった組織の「膿(うみ)」を出し切らねば、信頼回復など望めない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  07:20:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.18】:政治改革関連法案成立へ これで幕引きではない

2024-12-18 07:00:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・12.18】:政治改革関連法案成立へ これで幕引きではない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.18】:政治改革関連法案成立へ これで幕引きではない 

 臨時国会の焦点だった政治資金改革の大枠が固まった。使途公開不要な政策活動費を全面廃止とすることが柱だ。企業・団体献金の禁止は来年3月末までに結論を得る。自民、立憲民主両党が合意し、三つの関連法案がきのう衆院を通過した。参院審議を経て成立する見通しだ。

 各党の提出法案は共同提出を含め計9本に上った。いずれも提出会派だけでは過半数に達しない。自民党が野党案を丸のみする形で折り合った。不十分とはいえ、衆院選で与党を大敗させた一票一票が譲歩に追い込んだといえる。

 今国会で一定の結論を得たことは評価したい。だが、これで幕引きではない。企業・団体献金の扱いや、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の実態解明など残された課題に、民意に沿って取り組まなければなるまい。

 政策活動費は政党から政治家個人に支出される精算不要の政治資金だ。「表の裏金」と呼ばれ、自民党は党幹部らに年10億円前後を支出。本紙取材班は過去の国政選挙に投入された可能性を明らかにしている。

 自民党は当初、廃止と同時に、外交上や企業の営業上の秘密などを害する恐れのある支出を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を独自法案に明記していた。

 国民の目が届かず恣意(しい)的に運用される懸念が拭えない新たな「抜け穴」ではないか。裏金事件で政治への信頼を失墜させた反省はないのかと思われても仕方あるまい。

 野党から批判が相次いで成立の見通しが立たず、撤回を余儀なくされたのは当然だ。最終的に立憲民主など野党7党が提出した全面廃止の法案を受け入れた。

 国民民主党と公明党が共同提出した、政治資金全般を監視する第三者機関を国会に設置する法案は自民、立憲民主両党などの賛成で可決した。幅広い役割と権限を持つ組織とする必要がある。

 見逃せないのが、与野党が真っ向から対立した企業・団体献金の扱いだ。政策をゆがめる恐れがあると禁止を主張する野党に対し、自民党は温存にこだわった。

 会期末が迫る中、自民、立憲民主両党の協議で結論を先送りしたのはなぜなのか。自浄能力に限界があると改めて浮き彫りになった自民党に猶予を与える合意には、首をひねらざるを得ない。石破茂首相はきのうも「禁止の考えを持っていない」と強調。自民党は「禁止より公開」と訴えながら、透明化につながる改革案さえ示していない。

 立憲民主党の禁止法案には「政治団体を除く」との規定がある。労働組合系の政治団体からの献金に道を残していると他党から指摘された。腰の引けた姿勢では、野党の結束を図ることすらおぼつかないのではないか。

 共同通信の12月の世論調査で、企業・団体献金を「禁止すべきだ」との回答が過半数に達した。従来のまま維持されることは認められまい。与野党とも、もっと改革への本気度を示してもらいたい。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【政治とカネ】:「最大のブラックボックス」にサヨナラ 政策活動費が廃止され、政党・政治団体の支出は全公開に

2024-12-18 06:15:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【政治とカネ】:「最大のブラックボックス」にサヨナラ 政策活動費が廃止され、政党・政治団体の支出は全公開に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政治とカネ】:「最大のブラックボックス」にサヨナラ 政策活動費が廃止され、政党・政治団体の支出は全公開に

 立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費の廃止法案など、政治改革の関連3法案が17日の衆院本会議で、自民、立民両党などの賛成多数で可決された。使途の公開が不要な政策活動費は、全面的に廃止されることになった。今後は企業・団体献金の禁止など、残された政治改革関連法案の成否が焦点となる。

◆政治改革関連3法案が衆院を通過した

政治資金規正法再改正案を可決した衆院本会議を終え、本会議場を後にする石破首相(中央左)=12月17日、国会で(佐藤哲紀撮影)

政治資金規正法再改正案を可決した衆院本会議を終え、本会議場を後にする石破首相(中央左)=12月17日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 3法案には、政治資金収支報告書のデータベース化や、政治資金を監査する第三者機関の設置、外国人の政治資金パーティー券購入禁止も盛り込まれた。18日から始まる参院審議を経て、今国会で成立する見通し。
 
 政策活動費を巡っては、自民は当初、外交秘密などの一部を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を目指したが、野党が全面廃止で足並みをそろえたため、譲歩した。
 廃止法案が成立すれば、2026年以降は政党や政治団体の支出はすべて使途の公開が必要となる。23年分の政治資金収支報告書によれば、自民は8億5050万円の政策活動費を支出していた。

 ◆「野党が固まると力を発揮するという証明だ」

 立民幹部は「一番大きなブラックボックスを完全にふさぐことに...

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 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・国会・政治とカネ】  2024年12月18日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.18】:政治改革法案/熟議で一致点を見いだせ

2024-12-18 06:00:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・12.18】:政治改革法案/熟議で一致点を見いだせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.18】:政治改革法案/熟議で一致点を見いだせ 

 自民党派閥裏金事件を踏まえた政治資金規正法再改正を含む政治改革関連法案が衆院を通過した。今国会で成立する見通しとなった。

 衆院の政治改革特別委員会では、与野党が計9本の法案を提出し、乱立状態だった。政党から議員個人に支給され、使途公開不要な政策活動費を廃止する方向では自民も含む各党が一致していた。だが野党の多くが全面廃止を掲げたのに対し、自民提出の法案は外交上の秘密などを害する恐れがある場合に使途を非公開にできる例外規定を設けた。

 当初は「要配慮支出」と呼んだ名称を「公開方法工夫支出」と変えたが、中身は同じだ。石破茂首相は衆院予算委員会で領収書は公開せず、支出の上限額もないと述べた。野党が「第二のブラックボックス」と批判を強めるのも当然で、これでは国民の理解は得られない。

 自民は公開方法工夫支出の新設を断念し、立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費を全面廃止する法案に賛成に転じた。国会議員が関係する政治団体の政治資金を幅広く監査する第三者機関を国会に設置する。不正をなくす実効性のある組織にするには、国民の監視下に置くことが肝要だ。

 一方、立民など多くの野党が禁止を求める企業・団体献金について、自民は存続の立場を堅持する。

 30年前の「平成の政治改革」では、税を原資とする政党交付金を導入する代わりに企業・団体献金の廃止を決めた。しかし政治家個人への寄付を禁じる一方、政治家が支部長を務める政党支部への献金は容認され、交付金との「二重取り」が続く。

 首相は衆院予算委で献金禁止は「憲法21条が定める表現の自由に抵触する」と述べ、その後修正した。企業の政治活動の自由を認めた1970年の最高裁判決を根拠にするが、同判決は金権腐敗の弊害への対処を「立法政策」に委ねるとの判断も示している。都合の良い部分だけを引用するような主張は説得力を欠く。

 立民などは企業や労働組合による献金とパーティー券購入を禁ずる法案を提出したが、政治団体の献金は除外した。国民民主党や日本維新の会はこの点が「抜け道になる」として共同提出に加わらなかった。少数与党下で野党が結束して法案にできるよう協議を続けてほしい。

 腐敗の温床となる政治資金の抜け道を残さず、透明性を高める仕組みをどう築くか。与野党は企業・団体献金に関して来年3月末までに結論を得ると合意した。直近の世論調査では企業・団体献金を「禁止するべきだ」が56%を占める。民意に沿った政治改革を目指し、熟議を尽くして一致点を見いだす必要がある。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.18】:【政治改革法合意】不信払拭へようやく一歩

2024-12-18 05:05:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・12.18】:【政治改革法合意】不信払拭へようやく一歩

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.18】:【政治改革法合意】不信払拭へようやく一歩

 自民党裏金事件で揺れてきた国政に対し、国民がいま最も求めているのが不信払拭だろう。課題はなお残るものの、その民意に沿った方向で与野党が一応の合意に達したことは前進と言えるのではないか。
 政治資金規正法再改正を含む政治改革法案が衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。使途公開不要で「ブラックボックス」との批判がある政策活動費を巡っては、一部温存を訴えていた自民が譲歩し、抜け穴が生まれる余地を排した野党案をほぼ受け入れた。
 政治改革を巡っては、各党が法案計9本を提出。政策活動費を全面廃止する法案は野党7党が共同提出していた。与野党が法案を出し合い、議論して一致点を探るプロセスは、自民1強時代の国会から様変わりした。長短ある少数与党の国会運営にあって肯定的に評価できるだろう。国民本位の議論へさらに熟度を高めていきたい。
 裏金事件による与党大敗を受け、臨時国会では各党とも政治改革に前向きな姿勢を示している。ただ、濃淡があり、政策活動費廃止の例外をつくる形で自民が求めた「公開方法工夫支出」の新設は、企業・団体献金の扱いと並ぶ大きな論点だった。
 自民は、外交上の秘密や企業秘密を害する恐れもあるとして非公開の支出が必要とし、第三者委員会がチェックするとも主張した。
 だが、例外をつくれば「抜け穴」になっていないかとの疑心も生まれる。必要性に関する説明も漠然としていて、他党が理解するだけの説得力を欠いた。
 そもそも、お金の流れを透明化するのが規正法の趣旨、原点であり、「政治とカネ」問題の抜本改革を迫られている局面でもある。不透明な支出にお墨付きを与える公開方法工夫支出には理解が得られにくいのが現実だろう。
 与野党とも国民の厳しい目を意識して、年内に成果を出すことにこだわっていた。このため、意見の隔たりが大きい企業・団体献金の扱いは来年3月末に期限を設定して議論を先送りし、一致点を見いだせた内容を成案化した。
 遅きに失した感は否定できないが、不信を生む素地になってきた政策活動費がようやく廃止される。また、国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)も、使途公開や残金の国庫返納を義務付ける法改正にめどが立った。引き続き、国民感覚を反映した取り組みが求められる。
 今後の焦点は企業・団体献金に移る。1990年代の政治改革で政党交付金が導入された際、5年後に見直すとされた経緯もある企業・団体献金について、野党は「政策がゆがめられる可能性がある」とし、「改革の本丸」に位置づける。
 石破茂首相は「企業の政治活動の自由」「献金で政策がゆがめられた記憶はない」などと強調。必要性を訴えているが、国民が納得できる具体的な使途や透明性を高める方策を示さねば理解は得られない。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【小社会・12.18】:例外の弱さ

2024-12-18 05:05:45 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【小社会・12.18】:例外の弱さ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.18】:例外の弱さ

 10年近く前、東京・銀座のバー「ルパン」を訪ねたことがある。文豪、太宰治のファンにとっては「聖地」。ネクタイを緩め、カウンターのいすにあぐらをかいて談笑する写真が知られる。

 その太宰にしては意外な「酒ぎらい」という随筆がある。といっても、毛嫌いするのは家に置く酒。本当は一滴も置きたくないと書く。机に向かって仕事をしていても「潔白の精進が、できないような不安な」視線を酒に向ける。

 とはいえ、知人の来訪時は例外らしい。「私は、弱い男であるから、酒も呑(の)まずに、まじめに対談していると、三十分くらいで、もう、へとへとになって…」。結局、随筆の中でも家の酒をかなり飲んでいる。思えば禁酒や禁煙の誓いも「例外」を作ってしまうと、言い訳の温床になるのはよくある話だ。

 政治改革法案が衆院を通過した。使い道を明らかにしなくてもいい政策活動費は全面廃止。一部の非公開を温存しようと自民党が求めた「公開方法工夫支出」は、「抜け穴」と反対された。つまり、「例外」は信用されなかった。

 先日の世論調査も、全面公開を求める声は66%に上った。自民党の裏金事件が表面化して1年。なぜ、政治はそんなにカネがかかるのか。透明性を求める世論に、自民党はより真摯(しんし)に向き合うべきだろう。

 企業・団体献金の扱いは来年に持ち越すという。ここもきっちりした線引きを。人間、「例外」を作ると弱いものだ。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月18日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【小社会・12.16】:政治は違えど

2024-12-18 05:05:25 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【小社会・12.16】:政治は違えど

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.16】:政治は違えど

 選挙に勝って政治家になるには昔から「三バン」が必要と言われる。手元の国語辞典にも載っている。「すなわち、地盤(勢力)・看板(評判)・鞄(かばん)(金力)」であると。

 昭和20年代の本紙紙面にも見受けられる言葉。一体、いつから引きずっている価値観だろう。政治参加の「足かせ」になりやすく、国会議員の世襲が増える背景だと指摘されてきた。

 自民党のリーダー選びも伝統的に同じ面があった。小泉純一郎氏と橋本龍太郎氏の事実上の一騎打ちとなった2001年の総裁選。共同通信は当時、配信記事で「橋本氏は『三バン』が最大の武器」と紹介している。いずれも世襲議員で、結果は小泉氏が勝利したが。

 その点、お隣韓国は民主化が1987年と遅かった分、足かせが少ないのかもしれない。政治経験が乏しい人も大統領候補に担がれて、実際に当選する。少しうらやましくなる。

 ただし、選ばれた大統領が国民の期待に応えられるかどうかは別問題。そこが韓国政治の悩ましさだろう。検事から大統領に転身した尹錫悦(ユンソンニョル)氏は、軍や警察を動かして民主主義をねじ伏せる「非常戒厳」の愚行に出た。

 尹氏の弾劾案が可決された。韓国政治の激しさを見ていると、日本が穏やかに見えるが、日本の政治もまた「政治とカネ」など闇が深い。日韓の政治は歴史や制度に違いがあっても、成熟度は共に悩ましい。どこを向いて政治をしているのだろうか。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月16日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.18】:規正法再改正へ 資金の透明化へ一歩前進した

2024-12-18 05:00:55 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説①・12.18】:規正法再改正へ 資金の透明化へ一歩前進した

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.18】:規正法再改正へ 資金の透明化へ一歩前進した

 残り少ない今国会の会期で、政策活動費の廃止を柱とする政治資金規正法改正案などが成立する見通しとなったのは、一歩前進といえる。

 自民、立憲民主両党の協議の結果、企業・団体献金を禁止するかどうかは先送りされたが、来年の通常国会で議論し、年度内に決着をつけるべきだ。

 政治資金の改革を巡っては、与野党が今国会に9本もの関連法案を提出していた。

 このうち、政党から党幹部らに支給され、使途を公開する必要のない政策活動費を廃止する規正法改正案については、自民が、個人名を公表せずにすむ、例外的な支出項目を設けることにこだわり、与野党の協議が難航していた。

 だが、この例外の新設を自民が撤回し、立民など野党7党の法案に賛成することを決めたため、この法案が衆院を通過した。

 自民には、今国会で改革が実現しなければ石破政権がさらに窮地に陥ってしまうとの判断が働いたようだ。少数与党の厳しさを改めて思い知ったのではないか。

 このほか政治資金を監視する第三者機関を国会に新設する公明、国民民主両党の案、政治資金収支報告書をデータベース化し、ネットで閲覧できるように改める自民案の2案も参院に送られた。

 改革に不十分な面は残っているとはいえ、与野党が互いに歩み寄り、合意にこぎつけたことは評価できる。政治資金を国民の監視下に置き、政治活動の公正さを確保することは重要だ。

 今回、自民の執行部は、衆院政治改革特別委員会の現場レベルに野党との修正協議を委ねていた。本来なら、幹事長や政調会長が野党の意見を丁寧に聞く機会を設け、一致点を探るべきだった。

 そうした努力を怠ったことが、野党への全面的な譲歩につながったのではないか。政治改革さえ主導できないようでは、今後想定される、負担を伴う難しい政策課題の調整などとても務まるまい。

 一方、衆院政治倫理審査会が約9か月ぶりに開かれ、収支報告書に不記載があった旧安倍派の議員らの弁明が始まった。

 稲田朋美元防衛相は「派閥からの還付も、そのお金が不記載になっていることも知らなかった」などと釈明した。弁明を行ったその他の議員からも、新たな事実が明らかになることはなかった。

 東京地検特捜部が既に捜査を終えている事件について、強制力のない政倫審で追及し続ける意味がどれだけあるのだろうか。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.18】:規正法再改正へ 企業献金禁止を忘れるな

2024-12-18 04:03:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説②・12.18】:規正法再改正へ 企業献金禁止を忘れるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.18】:規正法再改正へ 企業献金禁止を忘れるな 

 使途公開義務がない政策活動費を全廃するなどの政治資金規正法の再改正案が衆院を通過した。今国会で成立する運びだ。
 
 自民党が外交秘密などの一部支出を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を断念し、野党案を受け入れた。歩み寄りを促したのは少数与党国会の一定の成果と言って良いだろう。
 
 ただ抜本改革には程遠い。焦点の企業・団体献金の禁止は結論を年度末まで先送りした。30年前から積み残された改革の本丸だ。棚上げは許されない。
 議論の発端となった自民党裏金事件も真相究明が足踏みし、謎は深まるばかりだ。きのうの衆院政治倫理審査会でも「知らぬ存ぜぬ」が繰り返された。
 これでは信頼回復は到底望めまい。与野党は熟議を尽くしてさまざまな課題に答えを出し、改革を成し遂げねばならない。
 政策活動費は事件に関与した議員が裏金のことを「政策活動費だと思っていた」と話し、その不透明な実態に注目が集まった。自民党は年間計十数億円を幹事長など議員個人に渡している。裏金事件を本当に反省しているのなら全廃は当然だった。
 石破茂首相はきのうも国会で「公開方法工夫支出」の必要性を強調した。それでは全廃後はどのように対処するのか、新たな「抜け道」につながらぬよう明確に説明すべきだ。
 政治資金を幅広く監査する第三者機関の設置法案も衆院を通過した。与野党は独立性が高く厳正な審査ができる機関になるよう制度設計に努めるべきだ。
 政治献金について首相や自民党は「企業・団体献金が悪で、個人献金が善だとの立場は取らない」と述べ、現状維持を訴えている。だがこれは善悪を分けるのが議論の本質ではない。
 営利を目的とした企業などの献金が政策決定をゆがめかねない以上、改めるのが筋だろう。
 国会議員に月100万円を支給する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)について使途公開や残金の国庫返納を義務付ける法案も可決された。
 旧文通費は使途が事実上制限されていないのも問題だ。今回その改革は先送りしたが、使途の範囲は厳密に定めるべきだ。
 
 裏金問題を巡っては自民党都連の新たな疑惑も発覚した。証人喚問や参考人招致などあらゆる手だてを尽くし、根深い闇にメスを入れなければならない。
 
 参院政倫審では裏金議員の弁明を公開せず、議員のみの傍聴で済ます意向があるというが、内向きにも程がある。国民に向き合わなければ、説明責任を果たすことには全くならない。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.18】:政策活動費全廃へ 企業・団体献金に切り込め

2024-12-18 04:00:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・12.18】:政策活動費全廃へ 企業・団体献金に切り込め

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.18】:政策活動費全廃へ 企業・団体献金に切り込め 

 国民の政治不信の払拭は、これからが正念場だ。使途公開不要な政策活動費を全面廃止する政治資金規正法再改正案が衆院本会議で可決された。法案は参院に送付され、今国会で成立する見通しだ。

 一方、最大の焦点とも言える企業・団体献金を巡っては、野党4党派が提出した禁止法案の採決が見送られた。結論を先送りした形だ。政策活動費全廃を足掛かりとした政治資金の透明化は緒に就いたばかりである。厳しい目が向けられていることを忘れず、通常国会で献金に切り込んでもらいたい。

 衆院を通過した関連法案には、第三者機関が政治資金全般を監査することや政治資金収支報告書のデータベース化などが含まれる。いずれも使途などについてチェック機能を高めることが期待される。骨抜きとなることはないよう、制度設計に命を吹き込む必要がある。

 自民党は当初、政策活動費を廃止する代わりに、外交上の秘密などに関わる政治資金の支出の一部を非公開にできる「公開方法工夫支出」を新設することを求めていた。

 この支出に勘定されれば、支出の目的や月日、支払先の氏名などは公開されない。自民党総裁の石破茂首相自らが予算委で国交がない国との議員外交を例に挙げて公開方法工夫支出の必要性を訴えていた。しかし、これでは新たな抜け道になりかねない。

 政策活動費のほか、調査研究広報滞在費(旧文通費)や官房機密費など、使途が明らかにならない政治関係の資金の在り方に疑念が向けられる中、国民の理解が得られるとは思えない。野党から「政策活動費の温存」との批判を浴び、自民が断念した格好だ。

 10月の衆院選で自公が過半数割れとなったことの影響が大きい。野党の賛成を得なければ衆院での法案可決が難しい状況にあるからだ。自民党派閥の裏金事件などを受けた国民の厳しい審判が政治資金の透明化を促す方向に作用したと言えよう。

 最大焦点の企業・団体献金の禁止については来年の通常国会に論戦が移る。禁止にあくまで反対する自民は、立民などが提出した禁止法案では労働組合がつくった政治団体からの献金が可能で不公平だと反攻の構えも見せる。

 立民は痛くもない腹を探られるというのであれば疑問にしっかりと答える必要がある。野党側は数の論理を頼みにするのではなく、政治資金の透明性を十分に担保できる仕組みづくりに向けた審議を心がけるべきだ。

 今国会での注目は政治倫理審査会での自民党派閥裏金事件を巡る審査である。衆院では全面公開で19日まで旧安倍派など計15人が出席する。

 事件を受けて3月までの衆院政倫審は旧安倍派の幹部が出席したが、実態解明にはほど遠かった。参院を含めて全員が公開の場で実情を明らかにしてもらいたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【田崎史郎氏】:「悪い言い方かもしれないが…」自民の「公開方法工夫支出」断念は「野党へのまき餌」

2024-12-17 14:00:20 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【田崎史郎氏】:「悪い言い方かもしれないが…」自民の「公開方法工夫支出」断念は「野党へのまき餌」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【田崎史郎氏】:「悪い言い方かもしれないが…」自民の「公開方法工夫支出」断念は「野党へのまき餌」 

 政治ジャーナリスト田崎史郎氏は17日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に出演し、政治資金規正法改正案をめぐり、自民党が新設を検討していた「公開方法工夫支出」を断念し、野党が一致して求めている政策活動費の全面廃止に応じた動きについて「悪い言い方かもしれないが、野党に対する『まき餌(え)』のような効果を果たしたのでは」と指摘した。

テレビ朝日本社(2021年撮影)テレビ朝日本社(2021年撮影)

 当初自民党が新設を検討した「公開方法工夫支出」は、外交上の秘密が必要な場合、政治資金の支出の一部を非公開にできる内容だったが、野党は「新たなブラックボックスになる」と反発。少数与党で野党の協力なしに法案審議が進まない中、自民党は16日、野党が提出した政策活動費の廃止法案に賛成する方針に転じた。一方、自民党が譲らない企業・団体献金に関しては、廃止するかどうかを来年3月末までに結論を得ることになった。

 田崎氏は16日の自民党の対応について「公開方法工夫支出って、なんか、よく覚えられないんですが」と苦笑しながら「最初から外すつもりで入れ込んでいたと思う。野党の反発を受けて引っ込めた感じですが、昨夜、関わった(自民党の)3人に取材したら『少数与党でやっているのでしょうがないですよね』とサバサバしていた」と述べた。

 その上で、自民党の対応に関して「悪い言い方かも知れないが、野党に対するまき餌のような効果を果たしたのではないか。釣りをやる時にえさをまくが、それに魚はグッと寄ってくる。野党の批判覚悟で出しておいて、最後は自民党が引くことで、法案はほとんどが成立する形になった」との独自の見立てを示した。

 一方、火曜コメンテーターで元フジテレビアナウンサーの菊間千乃弁護士は「そうなんだと思いました」と田崎氏の取材に舌を巻きつつ「でも、もともと政策活動費の廃止は政治とカネの問題で国民の不満から始まっている話。この期に及んで『公開方法工夫支出』とか言い出している自民党に、(国民は)何も分かっていない、とものすごく怒りを持った」と述べた。

 「野党にはそれでいいのかもしれませんが、国民は『(自民党は)全然分かっていない』という印象を受けてしまっていると思う」とも、主張した。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・自民党・政治資金規正法改正案・「公開方法工夫支出」を断念し、野党が一致して求めている政策活動費の全面廃止に応じた動き】  2024年12月17日  11:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.16】:政治改革協議 自民党がまず譲らねば

2024-12-16 07:30:40 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説②・12.16】:政治改革協議 自民党がまず譲らねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.16】:政治改革協議 自民党がまず譲らねば 

 自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革を巡り、9法案が衆院に提出された。企業・団体献金や政策活動費を巡る各党間の隔たりは大きく、過半数の賛同を得た法案はない状況。修正協議を進めるに当たり、政治不信を招いた自民党がまず譲歩すべきは当然だ。
 
 9法案は自民が単独提出した政治資金規正法再改正案など3法案と、自民以外の各党派の合意内容を法案化した6法案。多様な法案提出は与野党伯仲を象徴する。
 衆院政治改革特別委員会での審議は、少数与党の国会で与野党が議論を通じて歩み寄り、合意形成できるか否かの試金石となる。
 しかし、責任が一段と重いはずの自民党は企業・団体献金の存続から一歩も踏み出そうとしない。
 党総裁の石破茂首相は10日の衆院予算委で、野党が求める企業・団体献金の禁止が、憲法21条が定める表現の自由に「抵触する」と答弁し、野党に妥協する姿勢は全く見せなかった。
 1970年の最高裁判決は企業による政治献金の自由を認めたが、巨額献金による金権腐敗への対処は「立法政策にまつべき」と法規制を認めている。
 首相の憲法解釈は独善的というほかなく、13日の参院予算委では「言い方が足りなかった。違反とまでは言わない」と答弁修正せざるを得なかった。
 首相は政治資金を巡り「禁止より公開」として公開不要な政策活動費の廃止を掲げるが、自民の法案は「公開方法工夫支出」の例外を設けた。外交秘密などへの配慮を理由として支出上限はなく、領収書保存も3年間に限定した。
 政策活動費の全面廃止で一致する野党側が「ブラックボックス」と批判したことを受け、自民は今後の検討項目とする案を打診したが、結論の先送りにすぎない。
 
 政治腐敗の当事者である自民が譲歩しないなら、政治改革を断行する意思がないと受け止められても仕方があるまい。
 
 21日までの今国会中に結論が得られないのなら、与野党は会期を延長して議論を続けるべきだ。それが政治腐敗に「ノー」を突き付けた民意に応える道である。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月16日  07:30:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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