路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説①・11.16》:敦賀原発不合格 原電は見切りをつける時

2024-11-16 09:31:55 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説①・11.16》:敦賀原発不合格 原電は見切りをつける時

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.16》:敦賀原発不合格 原電は見切りをつける時 

 このままでは無駄な費用が増えていくだけではないか。

 原子力規制委員会が敦賀原発2号機(福井県)の再稼働について正式に不合格とした。運営する日本原子力発電は再稼働を諦めず、再審査を申請する方針を示している。

 不合格となったのは、長年にわたった規制委の審査によって、原子炉建屋の直下に活断層がある可能性が否定できないとの結論に至ったからだ。新規制基準の要件を満たすことができなかった。

 規制委の調査団がこの活断層の存在を指摘したのは2013年。原電は反論する形で15年に申請したが、資料の不備やデータの無断書き換えが発覚するなど、審査は異例の経過をたどった。

 仮に再審査に進んでも、再稼働のハードルは極めて高い。原電は追加の地質調査を実施するというが、不合格を覆すようなデータが得られる見通しはない。原電は再稼働に見切りをつけ、廃炉を受け入れるべきだ。

 無理筋の再稼働にこだわる背景には、原発専業という原電特有の事情もあるとみられる。

 原電は1957年に設立。大手電力会社9社が出資する。原発で発電した電力を大手電力に販売することで収益を得てきた。

 だが東日本大震災後の2011年5月以降、1基も動かせない状態が続く。保有する4基中2基は廃炉中で、敦賀2号機と東海第2原発(茨城県)の再稼働を目指している。東海第2は審査に合格したが、避難計画の策定などが難航して再稼働は見通せない。

 売電収入がないのに存続できているのは、売電契約を結んだ大手5社が原発の維持費として「基本料金」を支払っているからだ。

 24年3月期の基本料金は計944億円。12年3月期以降の総額は1兆4千億円を超える。大手各社の電気料金に上乗せされ、消費者が間接的に負担してきた。

 敦賀2号機の廃炉を認めれば基本料金の根拠の一部を失い、経営が一気に厳しくなる。大手各社にしても、債務保証している関係などから簡単にはつぶせないとの考えもあるのではないか。

 浮かび上がるのは、会社存続のため役立つ見込みのない原発をただ維持し続けている構図だ。

 原電のあり方を根本から見直していく必要がある。廃炉を専門に担う組織へとつくり変えていくのも一案だろう。

 先送りすれば消費者の負担が膨らむ。原電と大手各社はそのことを強く意識すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月16日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・05.04】:核のごみ最終処分場 適地探し難航、政策再検討を

2024-05-04 07:01:55 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・05.04】:核のごみ最終処分場 適地探し難航、政策再検討を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.04】:核のごみ最終処分場 適地探し難航、政策再検討を 

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選びが、政府の思うようには進んでいない。

 3段階ある選定調査のうち、最初の文献調査は北海道の2町村で実施されただけ。経済産業省が今月初め、佐賀県玄海町に文献調査を申し入れ、ようやく3番手が誕生するかもしれない程度だ。

 処分場の場所を決めた国々では、当初の候補地は10カ所前後あったという。それに比べると、お寒い限りだ。

 選定の手続きを定めた特定放射性廃棄物最終処分法の施行から四半世紀近い歳月が過ぎた。なぜ理解が広がらないのか。選び方や処分方法に問題はないか。視野を広げて政府は検証すべきである。

 原発の使用済み核燃料から再処理工場でプルトニウムやウランを取り出すと廃液が残る。それが核のごみで、政府は地層処分する方針だ。ガラスで固め、地下300メートルより深い岩盤に金属容器や粘土で覆って数万年以上埋める。

 適地は、20年ほどかけて文献、概要、精密の3段階の調査を通して選ぶ。文献調査を受け入れれば、自治体には最大20億円が交付される。第2段階の概要調査まで進むと交付金は最大70億円にもなる。人口減に悩む自治体には目のくらむような金額だろう。

 それでも候補地選びは難航している。住民の反対という壁があるからだ。2007年に応募した高知県東洋町も強い反対が起きて取り下げた。

 知事も壁になり得る。最終処分法では、知事の意見を聴き、十分に尊重しなければならないと定められている。北海道の2町村の場合、知事は反対姿勢を崩しておらず、次の段階に進めるか、不透明だ。玄海町に関しても、佐賀県知事は反対している。

 気になるのは、政府の科学的特性マップの扱いだ。活断層からの距離などを考え、適性の度合いに応じて色分けしている。石炭が埋蔵された玄海町はほぼ全域が「銀色」。掘り起こす可能性があり、好ましくない特性があると推定されている。それなのに、なぜ候補地になるのだろう。

 そもそも、日本に数万年も核のごみを安全に「保管」できる適地があるのか。地層処分の先行例は北欧にあるが、地震や風水害の多い日本とは環境が異なる。昨年秋、地球科学の専門家らが「日本に適地はない」との声明を出した。疑問は膨らむばかりだ。

 とはいえ、核のごみは既に多く生み出されてきた。原発を動かす限り、さらに増えていく。放置はできない。

 原発による電気を使い便利な生活を送ってきた以上、私たち国民の責任も否定できない。核のごみをどうするか自分ごととして考え、納得いく解決策を探らねばならない。

 過疎の自治体を念頭に、札束をちらつかせて引き受け手を探す今の政府のやり方には限界がある。原発のある玄海町の浮上によって、立地自治体に責任が押し付けられかねない懸念も新たに生じた。

 安全な地層処分は日本でも可能か、カネ頼みの適地探しを続けるのか。政策の再検討こそが求められている。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月04日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・05.04】:核ごみ文献調査 議論をゆがめる国の対応

2024-05-04 06:05:55 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・05.04】:核ごみ文献調査 議論をゆがめる国の対応

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.04】:核ごみ文献調査 議論をゆがめる国の対応 

 地域に圧力をかけるような姿勢は理解できない。国は申し入れを撤回し、町の議論を見守るべきだ。

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定について、経済産業省は第1段階である文献調査の実施を佐賀県玄海町に申し入れた。

 文献調査は北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で2020年に始まってから、後に続く自治体が出ていない。候補地を増やしたい国は焦っているのだろうが、原発立地自治体である玄海町への申し入れは愚策である。原発政策で重要な国民の議論をゆがめかねない。

 玄海町では今年に入り、旅館組合や飲食業組合など3団体が文献調査への応募を求める請願を町議会に提出した。請願は先月26日の本会議で、賛成多数で採択された。

 九州電力玄海原発が立地する玄海町は原発政策と密接な関係にある。5月中とみられる脇山伸太郎町長の最終判断に申し入れが影響することは避けられない。

 経産省としては、脇山町長が調査を受け入れやすい環境を整える狙いがあったのかもしれない。昨年、同様の請願を市議会が採択した長崎県対馬市では、市長の判断で調査が実現しなかった。その轍(てつ)を踏まないように先手を打ったと考えられる。

 核のごみ問題に対し、玄海町の住民の理解はまだ広がっていないのではないか。請願を審査する町議会特別委員会は2回しか開かれなかった。脇山町長も住民説明会を開くつもりがないようだ。

 長くても60年程度で運転を終える原発と、放射線量が下がるまで10万年近く地中で保管する核のごみの最終処分場では、役割や時間軸が全く異なる。将来世代や近隣自治体にも影響が及ぶ。

 拙速に手続きを進めれば、地域の分断を招くだけだ。経産省の前のめりな動きは町に禍根を残しかねない。

 そもそも玄海町は最終処分に適していない。国が17年に公表した科学的特性マップを見ると、玄海町のほぼ全域が「好ましくない特性」が推定される灰色で覆われている。地質に疑念がある地域で調査をするのは税金と時間の無駄遣いである。

 このことは原子力発電環境整備機構(NUMO)が公表した北海道の2町村の文献調査報告書案にも通じる。

 専門家が脆弱(ぜいじゃく)な岩盤特性を指摘したにもかかわらず、300メートルより深い場所のデータはないとして、2町村を第2段階の概要調査の対象にするという。調査をすることが目的化していないか。

 一連の混乱は、岸田文雄首相が原発の積極活用へ方針転換したことに起因する。

 首相は原発再稼働や核のごみ問題で「国が前面に立つ」と大見えを切ったが、一向に進展していない。国民の理解を抜きにしたままでは物事は進まない。まずは原発推進一辺倒の姿勢を改めるべきだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:欧州原発回帰 有効活用は現実的な選択肢だ

2024-04-10 05:01:35 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:欧州原発回帰 有効活用は現実的な選択肢だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:欧州原発回帰 有効活用は現実的な選択肢だ

 欧州で、原子力発電への回帰傾向が強まっている。エネルギー安全保障と脱炭素を両立できる有力な選択肢である。日本も欧州の流れを参考に、原発の活用を推進すべきだ。

 欧州が主導し、原子力分野の国際協力を話し合う「原子力エネルギーサミット」の初会合がブリュッセルで開かれ、欧米諸国や日本など30か国以上が参加した。

 サミットに合わせフランスなど欧州12か国は、原発について「低コストで化石燃料に頼らず電力の需要増大に応えるものだ」と評価する首脳宣言を発表した。

 欧州では2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故後、原発への不信感が高まり、ドイツは23年に全原発を閉鎖した。ただ、脱原発の動きは一部にとどまり、欧州全体には広がっていない。

 現実的なエネルギー源として、原発の重要性が再認識されているのは、自然な流れだろう。

 もともと欧州は、天然ガスなどのエネルギーをロシアに依存していた。ロシアのウクライナ侵略で欧州の天然ガス価格は急騰し、各国は調達に苦しんだ。エネルギー分野の「脱ロシア」を図るには原発の利用が有効になる。

 風力や太陽光などの再生可能エネルギーと同様、二酸化炭素(CO2)を排出しないことも大きなメリットだ。温暖化対策に注力している欧州として、原発を活用する意義は大きい。

 ベルギーはいったん原発廃止の方針を決めたが、代替電源を確保する見通しが立たず、2基の運転を35年まで延長する。スウェーデンは、運転する原子炉の数に関する制限を撤廃し、45年までに10基程度を新設するという。

 これまで原発を持っていなかったポーランドは、米国などの支援を受けて、官民で原発の導入計画を推進している。

 一方、日本も温暖化対策やエネルギー安保を重視する点で欧州と共通するものの、原発の再稼働は思うように進んでいない。動いている原発は西日本に偏っており、東日本には1基もない。

 政府は、東京電力柏崎刈羽原発の早期再稼働を目指しているが、新潟県知事の同意が得られておらず、めどは立っていない。政府と東電は、早期に地元の理解が得られるよう最善を尽くすべきだ。

 長期的には、原発の新増設も不可欠だろう。国が原発の必要性について国民に説明するとともに、安全性の高い次世代原発の技術開発や、原発に関係する人材の育成などに努めねばならない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:核のごみ 地層処分は安全なのか

2024-02-22 07:18:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:核のごみ 地層処分は安全なのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:核のごみ 地層処分は安全なのか

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場用地選定に向けた初めての「文献調査」の報告書案がまとまった。

 北海道の寿都(すっつ)町の全域と神恵内(かもえない)村の一部で、候補地として次段階の調査を進めることが可能だとしているが、海底活断層のリスクなど能登半島地震の知見は反映されておらず、不安が募る。
 使用済み核燃料からリサイクル可能なプルトニウムなどを抽出した後の廃液が「核のごみ」。ガラス状に固めてステンレス製の容器に収め、地下300メートルより深い岩盤層に閉じ込める「地層処分」が法律で定められている。放射能が衰えるまでには、数万年単位の厳重な管理が必要とされる。
 
 候補地選定に向けた調査は、論文やデータに基づく文献調査▽地面を掘って地層を調べる「概要調査」▽地下に施設を造って行う「精密調査」-の3段階。
 
 事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は2002年から巨額の交付金と引き換えに調査を受け入れる自治体の公募を続けるが、20年になって初めて寿都町と神恵内村が名乗りを上げた。
 
 NUMOは地震や噴火、隆起、浸食などの評価項目に基づいて約1500点の論文などを分析し、概要調査が可能との結論に至ったとする。しかし、両自治体が同意するかどうかは未知数だ。
 
 例えば神恵内沖には、南北約70キロの海底活断層が存在するとの指摘がある。しかし、NUMOは「候補地からの除外基準に当たるかどうかは、文献からは判断できない」と調査の進行を急ぐ。
 
 活断層は複雑に連動して動く。能登半島地震の教訓だ。日本活断層学会の鈴木康弘会長は地震災害全般に関して「活断層リスクの考え方を見直した方がいい」と警鐘を鳴らす。
 
 昨年10月、地球科学の専門家有志約300人が処分地の選定を巡り「(国内で)地震の影響を受けない安定した場所を選ぶのは不可能」との声明を出した。
 
 調査を次に進めることに固執せず、地中深くに埋める最終処分の在り方自体を根本的に見直すことも考えるべきではないか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月22日  07:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:核ごみ処分場の調査 幅広い議論が欠かせない

2024-02-19 02:04:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説②》:核ごみ処分場の調査 幅広い議論が欠かせない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:核ごみ処分場の調査 幅広い議論が欠かせない

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分をどうするか。日本全体に突きつけられている課題だ。

北海道寿都町と神恵内村で行われている文献調査の報告書案が示された資源エネルギー庁の審議会=東京都千代田区で2024年2月13日午後4時、高橋由衣撮影

 原子力発電環境整備機構(NUMO)が、北海道の2町村を対象に地質データや論文を分析した文献調査の結果を公表した。

 寿都(すっつ)町は全域、神恵内(かもえない)村は一部について、次の「概要調査地区の候補とする」と結論づけた。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/02/18/20240218ddm005070097000p/9.webp?2" type="image/webp" />北海道の寿都町と神恵内村の位置。2町村の間に泊原発が立地している</picture>
北海道の寿都町と神恵内村の位置。2町村の間に泊原発が立地している

 核のごみは強い放射線を発する。火山や断層の活動の影響を受けない地域で、地下300メートルより深い場所に数万年間埋設することになっている。

 処分場に適しているかを3段階で調べる仕組みが2000年に定められた。文献調査はその1段階目で、クリアするのは今回が初めてとなる。

 概要調査は実際に地質を詳しく調べる。地元自治体の首長に加え、知事の同意が必要だ。

 2町村の首長は現時点で態度を保留している。北海道の鈴木直道知事は、かねて否定的な立場を取ってきた。過去の火山活動などを理由に「適地ではない」と指摘する地質学者もいる。

 求められるのは、先入観を排した幅広い議論である。

 2町村では、概要調査への同意を問う住民投票を実施する案が浮上している。北海道だけに負担を押しつけるような現状への不信感も根強い。

 NUMOは今後、説明会を開く。長期間の安全性が保てるのかなど、懸念や疑問に誠実に答えるべきだ。

 02年の公募開始以来、高知、鹿児島、長崎などで応募に向けた動きが起きたが、いずれも住民らの反対で断念している。

 危険物を長期にわたって保管する「迷惑施設」を受け入れることへの抵抗感は理解できる。

 だが日本は多くの核のごみを抱える。最終処分の問題を避けて通ることはできない。

 政府は昨年、適地選定への関与を強めると決めた。既にいくつかの自治体を個別訪問したが、詳細は明らかにしていない。手続きの透明性を確保することが重要だ。

 地震の多い日本で適地を見つけるのは難しいとの見方もある。科学的知見を総動員して慎重に検討を進める必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月18日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:核廃棄物処分場 地元の理解をいかに広げるか

2024-02-16 05:01:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②】:核廃棄物処分場 地元の理解をいかに広げるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:核廃棄物処分場 地元の理解をいかに広げるか

 原子力発電に伴って出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場を建設するには、地元の同意が必須となる。広く住民の理解を得ながら、着実に進めていくことが重要だ。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)が、北海道の寿都町と神恵内村で進めてきた「文献調査」の報告書案を公表した。調査では、3年以上かけて学術論文や地質データを分析し、2町村とも候補地になり得ると結論づけた。

 文献調査は、全体で20年かかるとされる手続きの第1段階だ。建設地選定に向けた手続きは一つの節目を迎えたと言えよう。

 今後、実際にボーリングなどを行う第2段階の「概要調査」を経て、最終段階の「精密調査」に進む手順になる。一歩一歩、地道に前進していくことが必要だ。

 今後、概要調査に移るには、両町村長と北海道知事の同意が必要になる。しかし、鈴木直道知事は現時点で、次の段階に進むことには反対の姿勢を示している。

 地域の将来像や、国のエネルギー政策上の重要性を考慮しつつ、冷静に議論してほしい。

 報告書案では、寿都町は全域が候補地とされた一方、神恵内村は、火山活動の影響を受ける可能性がある範囲を除外した結果、南端の一部のみが候補地となった。今後、地質調査が進めば、適地がさらに狭まることも考えられる。

 最適な場所を選定する観点からは、2町村以外にも名乗りを上げる自治体が増えることが望ましい。原子力発電の恩恵は全国民が受けている。処分場建設は、ごく少数の候補地だけの問題ではないことを認識する必要がある。

 長崎県対馬市では昨年、市議会が処分場誘致に意欲を示したが、市長は「市民の合意形成が不十分だ」などとして、文献調査への応募を見送った。その後、手を挙げる自治体は現れていない。

 首長が決断の重圧にさらされることが、自治体が誘致を ちゅう ちょ する理由の一つではないか。国が前面に出て全国の市町村に説明し、誘致に乗り出す自治体を増やしていくことが求められる。

 原発で使用した核燃料のうち、最後に残る廃棄物は、二重三重の覆いで包み、地下300メートル以上の地層に埋設する。これは世界でも認められた標準的な方法で、すでにフィンランドやスウェーデンでは建設場所が決まっている。

 こうした経緯を紹介しながら、処分場施設の安全性や地域の産業振興について、国民の理解を深めてもらうことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:地震国の原発 安全な場所はあるのか

2024-02-11 07:25:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:地震国の原発 安全な場所はあるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:地震国の原発 安全な場所はあるのか

 能登半島地震で最大震度7を観測した石川県志賀町は、原発のあるまちだ。北陸電力志賀原発=写真、本社ヘリ「わかづる」から=は、こう問いかける。世界有数の地震国日本に、原発を安全に動かせる場所などあるのか、と。

 再稼働に向けて審査中の志賀原発には「想定外」のトラブルが相次いだ。変圧器の配管が損傷して絶縁のための油が大量に漏れ、外部電源の一部を喪失。そのため、使用済み燃料プールの冷却ポンプが一時停止した。また、強い揺れにより、燃料プールから放射能を含んだ水があふれ出た。変圧器の故障は地震時の影響の想定にもないトラブルだった。
 
 北陸電は、再稼働審査に際し、能登半島北部の活断層の長さを96キロと評価していた。ところが今度の地震では、長さ150キロにわたって動いたとみられている。
 能登半島北部の海岸線では最大約4メートルの隆起が発生。志賀原発でも海側の敷地の一部が沈み、35センチの段差ができた。このような事態が原子炉直下で起きないという保証はない。
 
 有事の際の避難が極めて困難であることも、思い知らされた。能登半島北部では各地で道路が寸断された上、海岸線の隆起のために港に船が着けなくなった。原発周辺の放射線量を測定して、避難の“道しるべ”となるべきモニタリングポストのうち18カ所が、機能不全に陥った。家屋倒壊の状況を見れば「屋内退避」さえ難しい。
 
 志賀町の稲岡健太郎町長が「あらためて地震列島の中の原子力だと分かった」と語ったように、地震国と原発はあまりにも取り合わせが悪い。各地の原発はいずれも海岸沿いに立地しており、もし原発事故が起きるとすれば、地震や津波との複合災害になる可能性が高い。想定外の地殻変動や避難計画の破綻はどこでも起こり得る。
 
 能登の地震後、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に関する市民検証委員会が県民を対象に実施した緊急アンケートでは、6割が再稼働に「反対」と答えた。不安が募って当然だ。政府も、地震国日本に原発の「居場所」はないと悟るべきである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月07日  07:42:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:東電の原発管理 安全安心にはほど遠い

2023-12-30 07:44:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:東電の原発管理 安全安心にはほど遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:東電の原発管理 安全安心にはほど遠い

 原子力規制委員会は、東京電力柏崎刈羽原発の事実上の「運転禁止命令」を解除する。「お墨付きを与えたわけではない」と規制委自身が言うように、安全上の不備が今も相次ぐ東電の「再生」は道半ば。東電に「安全文化」が定着したとは言い難い。このまま原発の運転を認めてもいいのだろうか。

 柏崎刈羽原発では2021年の1月から3月にかけて、運転員が同僚のIDカードを使って中央制御室に入る規則違反や、外部からの侵入者を検知する機器の不具合が長期間にわたって放置されていたことが発覚した。
 
 このため規制委は同年4月、柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁止した。燃料の装塡(そうてん)ができなくなれば、原発は動かせない。すでに新規制基準への適合審査を終えていた6、7号機を含め、事実上の運転禁止命令だった。
 
 規制委は東電に是正を求め、原子力規制庁が追加検査を実施。その結果、「自律的な改善ができる状態にある」として、命令の解除を決めた。ところが、禁止命令が出た後も、柏崎刈羽では、東電のずさんさが浮き彫りになるようなトラブルが続いている。
 
 今年6月、不審者の侵入を感知する照明の電源が、半年以上も入っていなかったことが明るみに出た。10月には、違法薬物の陽性反応が出た職員が核燃料を扱う「防護区域」に入るのを見逃した。係員が陰性と見誤ったためという。
 
 未曽有の事故を起こした東電福島第1原発内でも同じ10月、放射能汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)の配管を洗浄中の作業員が、誤って高濃度の汚染廃液を浴び、病院へ運ばれるという事故が起きている。
 
 「評定は『優』や『良』ではなく『可』だ」と規制委の伴信彦委員。山中伸介委員長も「どのような判断になろうとも、規制委が東電にお墨付きを与えたわけではない」という。こうした逃げ口上ともとれる発言と運転禁止解除の判断に整合性があるとは思えない。改善の余地は多く残り、安心にはほど遠い。規制委は厳正な監視役としての責任を果たすべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年12月27日  07:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【主張】:主張 上関町の調査同意 原発の持続に貯蔵施設を

2023-08-22 05:05:55 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【主張】:主張 上関町の調査同意 原発の持続に貯蔵施設を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:主張 上関町の調査同意 原発の持続に貯蔵施設を 

 原子力発電所の使用済み燃料を保管する中間貯蔵施設が、瀬戸内海に面した山口県上関(かみのせき)町に建設される見通しが開けてきた。

 中国電力と関西電力が共同開発を目指す事業である。18日に上関町議会への報告を経た上で、西哲夫町長が建設のための地質調査への同意を表明した。

 国の原子力利用の基本である核燃料サイクルが未確立の現状において、中間貯蔵施設の持つ意味は非常に大きい。

 エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現に欠かせない原子力発電を持続可能にするためには不可欠の施設なのだ。

 発電を終えたウラン燃料は、原子炉から取り出して原発建屋内の使用済み燃料プールに移される。燃料の高い余熱を取り去るためだ。

 核燃料サイクル計画では、冷却を終えた燃料は青森県六ケ所村の再処理工場に移送され、燃え残りのウランとプルトニウムを回収して新燃料として再利用することになっている。

 しかし、再処理工場の完成が予定より大幅に遅れているために、各原発で生じた使用済み燃料は増え続け、貯蔵プールの収容能力の上限に近づきつつある状態だ。プールが満杯になれば原発の運転はできなくなる。

 中間貯蔵施設は、貯蔵プールと再処理工場の間をつなぐ、大量保管能力を持つので、原発再稼働の促進に当たっても必要である。

 中間貯蔵施設に保管される使用済み燃料は、プールで熱量を落としたもので、キャスクという頑丈な金属製の専用容器に収納され、空気の自然対流を利用した空冷方式で管理される。放射線の遮蔽能力など安全性は極めて高い。

 増え続ける使用済み燃料の問題について、当面の打開策を国は「エネルギー基本計画」の中で提示している。電力事業者間の連携強化を促しているので、中国電力と関西電力による上関町での計画も、その流れに沿ったものと位置付けられよう。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【主張】  2023年08月22日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中国電力】:「安全第一で調査勧める」 山口県上関町が中間貯蔵施設の調査受け入れでコメント 

2023-08-18 13:50:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【中国電力】:「安全第一で調査勧める」 山口県上関町が中間貯蔵施設の調査受け入れでコメント

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中国電力】:「安全第一で調査勧める」 山口県上関町が中間貯蔵施設の調査受け入れでコメント

 中国電力と関西電力が共同開発を目指す原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、山口県上関町の西哲夫町長が建設に向けた調査受け入れを表明したことを受け、中国電は18日、「環境保全に十分に留意しながら安全第一で調査を進める」とのコメントを出した。

臨時議会後に取材に応じる山口県上関町の西哲夫町長(共同)臨時議会後に取材に応じる山口県上関町の西哲夫町長(共同)

西町長は調査に当たって安全への留意や町民への情報提供を要請しており、中国電は 「要望を踏まえ、丁寧に対応する」とした。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・中国電力・中国電力と関西電力が共同開発を目指す原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り】  2023年08月18日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【山口県上関町】:原発の使用済み核燃料 中間貯蔵施設の建設調査を容認

2023-08-18 13:25:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【山口県上関町】:原発の使用済み核燃料 中間貯蔵施設の建設調査を容認

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【山口県上関町】:原発の使用済み核燃料 中間貯蔵施設の建設調査を容認 

 中国電力と関西電力が共同開発を目指す原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、山口県上関町議会は18日、臨時議会を開き、西哲夫町長が建設に向けた調査を容認する意向を表明した。「町は急速に疲弊が進み、就任以来強い危機感を抱いている」と述べた。終了後、中国電に容認方針を伝えた。

臨時議会後に取材に応じる山口県上関町の西哲夫町長(共同)臨時議会後に取材に応じる山口県上関町の西哲夫町長(共同)

中間貯蔵施設は使用済み核燃料を再処理するまでの間、一時保管する施設。上関町にできれば青森県むつ市に続いて2例目となる。

西町長は「建設と調査は別」との見解も示した。採決はされなかったが、町議10人のうち明確に反対意見を述べたのは3人だった。終了後に記者会見し、中間貯蔵施設について「最終処分場になるとの考えは持っていない」と述べた。

 議会出席のため西町長が乗った車が役場に到着すると、反対派住民らが約30分間取り囲み、一時騒然となった。

 東京電力福島第1原発事故の影響などで中国電の上関原発計画は停滞。代替の地域振興策を町が2月、中国電に要望していた。中国電が8月2日、中間貯蔵施設を関電と共同開発したいと町に申し入れた。

 調査は中国電と関西電力が共同で実施。建設に先立ち、施設の立地が可能かボーリングや文献により地質を調べる。

 使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを取り出し、原発の燃料として再利用する国の核燃料サイクル政策は、中核となる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)が完成延期を繰り返し、実現の見通しが立っていない。各地の原発から工場へ使用済み核燃料を搬出できず、保管場所の確保が課題となっている。

 福井県で高浜原発や大飯原発を運用する関電は、同県に対し、中間貯蔵施設の県外候補地を示すと約束していた。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・地方自治山口県上関町議会・中国電力と関西電力が共同開発を目指す原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り】  2023年08月18日  13:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:原発60年超運転 国民の不安、残ったままだ

2023-06-11 07:00:25 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説】:原発60年超運転 国民の不安、残ったままだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:原発60年超運転 国民の不安、残ったままだ

 「原則40年、最長60年」と定めている原発の運転期間の延長を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成立した。東京電力福島第1原発事故を機に掲げた「脱原発依存」の看板を、政府と国会が下ろしたことを意味する。

 運転期間の制限は安全性を高める対策の柱として事故翌年の2012年に導入された。廃炉作業は終わりが見えず、古里を追われ、福島県内外で避難生活を送る人はいまだ約3万人もいる。「安全神話」は崩れ去り、原発に頼らぬ社会を目指すことが国民の合意だったはずだ。

 法整備の理由となったロシアのウクライナ侵攻による電力逼迫(ひっぱく)や脱炭素社会への取り組みと、原発の安全性は別の話である。過酷な事故を忘れたかのような決定は受け入れがたい。

 同法によって運転期間の規定は、原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁が所管する原子炉等規制法から、経済産業省所管の電気事業法に移される。今後は経産相が60年超運転の可否を、規制委が安全性をそれぞれ判断する仕組みになる。

 法整備を巡っては、事故の大きな教訓だった「規制の独立性」も揺らいでいる。

 政府が原発推進にかじを切ったのは昨年8月。岸田文雄首相の指示だった。その後、法改正や次世代原発開発などの議論が経産省を中心とする一部関係者で進められ、短期間で固まった。

 特に運転延長を巡っては、規制庁と経産省が水面下で歩調を合わせていたとされる。しかも規制委の会合では委員5人のうち1人が反対したのに議論を尽くさず、異例の多数決で承認した。法成立を受け山中伸介委員長は「これから規制委の真価が問われる」と述べたが、「安全政策」が経産省の「推進政策」に押し切られた感は否めない。

 世界最長の運転期間はインドのタラプール原発の約53年で、60年運転した例はない。老朽原発の劣化に関する知見が限られる中で、安全性をどう担保していくかが問われる。

 規制委は新たに運転開始30年以降は最長10年ごとに審査をする制度を敷く。自らの責任を自覚し、厳格な審査基準を設け、体制充実も図らねばならない。「駄目なものは駄目」と言う覚悟で審査に当たる必要がある。

 今回の法整備では、議論の進め方にも多くの疑問点が残った。原発事故の被災者や次世代を担う若者を含めた多様な利害関係者が意見を表明する場がほとんどなかった。

 国会には五つの法改正をまとめた「束ね法案」として提出された。「原子力の憲法」と呼ばれる原子力基本法にも手を付け、原発活用による電力安定供給や脱炭素社会の実現を「国の責務」と踏み込んだ。

 審議時間は不十分で、増え続ける高レベル放射性廃棄物(核のごみ)など、原発が抱える数多くの課題に政府は納得できる回答をしなかった。原発事故12年を前に実施された全国世論調査では、60年超運転を支持する人は3割にも満たなかった。国民の不安と向き合わない態度で無責任と言わざるを得ない。

 国の将来を左右する重要なエネルギー政策が拙速な手法で決められたことは、後世に禍根を残す。本当にこの道でいいのか、国民的な議論が足りない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月08日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:風力発電装置を研究とまわりの協力で完成させた十四歳の黒板純…

2023-05-19 07:44:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【筆洗】:風力発電装置を研究とまわりの協力で完成させた十四歳の黒板純…

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:風力発電装置を研究とまわりの協力で完成させた十四歳の黒板純…

 風力発電装置を研究とまわりの協力で完成させた十四歳の黒板純少年を同級生のチンタがほめる。「(君には)かなわないな」「ホクデンとバッチシ対決だもんな」

 ▼倉本聰さん脚本のドラマ「北の国から87年初恋」にそんな場面があった。純の初恋の相手れいちゃんのおっかなそうなお父さんが協力してくれたことを思い出すファンもいるだろう

 ▼せりふの「ホクデン」とは無論、北海道電力のこと。この風力発電さえあれば電力会社の向こうを張れるかも…。そんな少年たちの夢だろう

 ▼気の重くなるニュースに三十六年前のドラマが浮かんだ。電力七社が申請していた電気料金の値上げを政府の物価問題に関する閣僚会議が了承した。六月使用分から電気代がまた、上がる

 ▼標準的な家庭で14%から42%の値上げが見込まれるという。ロシアのウクライナ侵攻や円安による燃料価格の高騰。そちらさんにも事情があろうが、諸物価高騰のおり、こちらにも切実なフトコロ事情がある。上げ幅は適正なのか。古いドラマと違い、こちらには電力会社と「対決」する方法はなく、その値上げをただ、受け止めるしかない

 ▼頼みの綱は政府の負担軽減策の補助金なのだが、これも十月以降はどうなるか分からない。東京では昨日、気温が三〇度を超えた。エアコンが恨めしく見える夏と、その後に来る補助金のない厳しい冬が心配になる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2023年05月18日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:電気料金値上げ 苦しい生活見えぬのか

2023-05-17 08:01:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:電気料金値上げ 苦しい生活見えぬのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:電気料金値上げ 苦しい生活見えぬのか

 政府が物価問題の関係閣僚会議で、電力七社が申請していた電気料金の値上げを了承した。物価高騰に苦しんできた家計に追い打ちをかけるのは必至。岸田文雄政権には国民の苦しい生活が見えているのか、甚だ疑問だ。

 値上げを申請したのは、中部、関西、九州を除く東京、北陸、北海道、東北、中国、四国、沖縄の電力七社で、値上げ幅は当初申請より圧縮され東京は15・9%、北陸が39・7%など。経済産業相が認可すれば六月分から家庭向け規制料金が値上げされる。
 
 国の規制下にあり他業種同様の競争にさらされていない電力会社は、経営難を値上げで乗り切ろうとする企業体質を持つ。
 
 値上げの妥当性を討議した消費者庁の有識者会合では、電力会社の非効率経営への批判が相次いだが、体質改善の道筋が不透明なまま値上げを了承していいのか。
 
 電力大手では電力販売の不当取引制限(カルテル)や新電力の顧客情報の不正閲覧問題も起きた。
 
 ロシアのウクライナ侵攻の影響で燃料価格の高騰が続いているとはいえ、ルールに違反しながら値上げを申請する姿勢に国民の理解が得られるとは到底思えない。
 
 経産相が申請通り認可すれば、値上げは中部電力などにも広がる可能性は否定できない。型通りに認可するのではなく、各社の経営効率化や体質改善を見極めた上で厳格に判断すべきだ。
 
 政府は高騰する電力料金の負担を補助金で軽減してきたが、値上げが実施されると政策の効果は薄れる。食料品を中心に生活必需品の価格高騰は記録的なペースで続いており、今回の電気料金値上げが、インフレ傾向に拍車をかけるのは避けられないだろう。
 
 今年の春闘では一部大手企業で賃上げが実現したものの、就業者の約七割を占める中小企業への波及は不十分だ。国民の多くは家計の支出を限界まで切り詰めながら、生活水準の低下を抑えようと懸命に努力している。
 
 電力料金の値上げでそうした国民の努力が水泡に帰しかねない。値上げの認可を見送るよう政府には再考を強く求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月17日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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