路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【核ごみ】:知事反対なら住民投票せず 寿都町長、概要調査移行で

2024-12-13 04:03:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【核ごみ】:知事反対なら住民投票せず 寿都町長、概要調査移行で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【核ごみ】:知事反対なら住民投票せず 寿都町長、概要調査移行で

 【寿都】原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査報告書がまとまった後志管内寿都町の片岡春雄町長が、次の概要調査について、鈴木直道知事が反対を正式表明した場合、同調査移行の可否を問う住民投票を行わない考えを示したことが12日、分かった。

寿都町役場
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寿都町
寿都町

 町が11日に行った町民対象の地層処分の勉強会(非公開)で明らかにした。...

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 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社会 【地方自治体・北海道後志管内寿都町・核ごみ最終処分場選定】  2024年12月13日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【主張①・12.11】:島根原発2号機 再稼働の後続を期待する

2024-12-12 05:03:35 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【主張①・12.11】:島根原発2号機 再稼働の後続を期待する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.11】:島根原発2号機 再稼働の後続を期待する 

 中国電力は島根原子力発電所2号機(松江市、出力82万キロワット)を7日、起動させた。

 同機は東日本大震災後の平成24年1月から運転を停止しており、ほぼ13年ぶりの再稼働だ。今後、徐々に出力を上げて来年1月上旬には、フル出力での営業運転に移行する。

中国電力島根原発2号機(手前)。奥は1号機=11月、松江市

 島根2号機は、東日本大震災で炉心溶融事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)であるために、安全審査に歳月を要した。

 BWRでは10月末に再稼働した東北電力・女川原子力発電所2号機(宮城県、出力82・5万キロワット)が近く営業運転に入る予定で、島根2号機はそれに続く2番目の位置づけだ。

 一方、関西電力などの加圧水型軽水炉(PWR)の方は、既に12基が営業運転に復帰している。PWRは西日本に、BWRは東日本に多いため、電気料金の東高西低が生じており、格差解消などのためにも他のBWRの早期復活が望まれる。

 その実現には、原子力規制委員会の安全審査に合格したものの地元同意や司法判断に関わる問題で前に進めていない原発の再稼働が必要だ。具体的には日本原子力発電の東海第二原子力発電所(茨城県)と東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)のBWRである。

 地元同意を難しくしているのは主に避難計画の問題だ。人口の多い地域での実効性や、豪雪や地震による道路不通と事故が重なった場合などを心配する声が上がっている。

 だが再稼働待ちの原発は福島事故の教訓を反映し、過酷事故防止に多重の安全対策を積み上げている。だからゼロリスクを追求する原子力規制委員会の安全審査に合格しているのだ。

 こうした事故防止策の構築にもかかわらず、再稼働に難色を示す意見に対しては、政府が前面に出て説明を行うとともに議論の交通整理に当たることが必要だ。原子力規制委員会も積極的に協力してはどうか。

 原子力発電の問題は、地域と国全体の将来を見つめて考えるべきである。国内の全原発33基中、19基が未稼働だ。エネルギー安全保障面で原発の長期停止によるリスクが各方面で増している。原子力抜きで日本のエネルギー自立はあり得ない。石破茂政権の覚醒が急務だ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:エネルギー基本計画、原発依存度「低減」を見直しへ…電力需要増に対応し「最大限活用」明記

2024-12-12 05:00:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【政府】:エネルギー基本計画、原発依存度「低減」を見直しへ…電力需要増に対応し「最大限活用」明記

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:エネルギー基本計画、原発依存度「低減」を見直しへ…電力需要増に対応し「最大限活用」明記 

 政府が3年ぶりに改定する「エネルギー基本計画」の概要がわかった。東日本大震災以降、原子力発電について「可能な限り依存度を低減する」としていた方針を見直し、「最大限活用する」と明記する。建て替えの条件も緩和する。電力需要増への対応に加え、脱炭素化と安定供給のために原発を活用する方針を明確にする。

 来週にも開かれる経済産業省の「総合資源エネルギー調査会」の分科会で基本計画の素案を示し、2025年3月までの閣議決定を目指す。

 40年度の電源構成目標も初めて示し、再生可能エネルギーを4~5割、原子力を2割、火力を3~4割とする。現在の30年度目標は、再生エネを36~38%、原子力を20~22%、火力を41%としていた。ただ、23年度実績では7割の電力を火力に依存している。原発は再稼働が十分に進まず、再生エネは発電量を最大3倍に増やす必要がある。目標達成は容易ではない。

 電力需要は、人工知能(AI)の普及などに伴うデータセンターや半導体工場の増加を見込み、最大2割増えると想定する。

 原発については再稼働を加速させるほか、次世代革新炉への建て替え方針も盛り込む。廃炉を決めた場合、電力会社が保有する別の原発敷地内での建て替えを認める。現在は廃炉を決めた原発の敷地内に限っている。要件を緩和し、老朽化で廃炉が進んでも原発を一定割合に保つ。原発基数は震災前から増やさない方針。

 原発を最大限活用する方針を打ち出すのは、再生エネの拡大だけでは安定供給と発電コストの低減は難しく、産業競争力の低下を招くからだ。ロシアのウクライナ侵略による燃料高騰を教訓に、原発活用で国産の脱炭素電源の確保を図る。

 再生エネは、次世代太陽電池などを拡大し、引き続き主力電源とする。火力は、二酸化炭素(CO2)の出ない水素やアンモニアの活用などで脱炭素化を進める。政府は50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を掲げており、40年度の排出量は13年度比で73%削減したい考えだ。

  ◆エネルギー基本計画 =日本が抱えるエネルギー関連の課題やリスクを整理し、中長期的な方針を示す計画。2002年に制定された「エネルギー政策基本法」に基づき、おおむね3年に1回のペースで改定されている。将来の電源構成目標を示すのが特徴で、電力会社など関連業界の経営判断を左右する。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 経済 【企業・産業・エネルギー基本計画】  2024年12月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.07】:島根原発再稼働へ 信頼と安全を最優先せねば

2024-12-07 07:00:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・12.07】:島根原発再稼働へ 信頼と安全を最優先せねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.07】:島根原発再稼働へ 信頼と安全を最優先せねば

 中国電力は、島根原発2号機(島根県松江市)の原子炉をきょう午後に起動させる。

 島根2号機は東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。BWRの再稼働は20113月の福島原発事故後では、10月の宮城県の女川原発に次ぐ2例目になる。連続する動きは政府の原発回帰姿勢がいっそう強まった表れと言える。

 島根2号機の再稼働は約13年ぶりになる。長年の停止を経ての再稼働には不安も大きい。女川の時には機器トラブルが起きている。3・11を経験した日本にとって、原発の安全対策がおざなりになることは許されない。

 島根原発は全国で唯一、県庁所在地に位置する。島根・鳥取両県にまたがる原発30キロ圏内には約45万人もの住民が暮らしている。事故発生時にどこまで円滑に避難誘導ができるのか。見通しが立っているとは言えない。

 とりわけ半島部に住む約65千人が気がかりだ。能登半島地震では北陸電力志賀原発の半島部の避難路が寸断され、屋内避難して放射線を避ける家屋の多くも被災した。

 島根県は空路や海路での避難策も検討しているが、道路網が寸断されれば、住民が支援を受けられる場所までたどり着ける保証はない。半島の南部と離島に2千人超がいる女川と比べても住民ははるかに多く、県や松江市だけで対応するには限界もあろう。

 島根県の丸山達也知事は、原発関係に従事する自治体職員の人件費負担を政府に求めているが実現していない。知事が先月の会見で「防災対策・避難対策を、残念ながら政府は大したことだと思ってない」と不満を述べたのも理解できる。避難計画や安全対策に政府は十分な目配りと支援をするのが当然ではないか。

 中電は最高11・9メートルの津波に備えた15メートル防波堤や電源喪失に備えたガスタービン発電機を高台に設けた。安全対策は64項目に及び、手を尽くした思いはあるかもしれない。しかし、災害はしばしば想定を上回る。15メートルの防波堤を過信してはならない。

 そもそも原発より再生可能エネルギーを推進するべきだろう。中国地方は再エネ事業者に発電制御を求める出力調整が全国の10エリアで3番目に高い。島根2号機再稼働で原発の発電比率が増し、再エネがさらに抑えられる事態になれば本末転倒ではないか。

 太陽光と風力の発電設備の出力は5年間で56%も増えているという。安定供給に課題はあるとはいえ再エネだけで電力需要を賄える日もある。

 再エネ発電をあえて抑制してまで2号機再稼働を急ぐ必要がどこまであるのか。30年度までにさらに3号機の運転開始も目指す中電の方針に説得力は感じられない。

 原発はこれまで、電力の安定供給が経済や暮らしに欠かせないという理屈で推進されてきた。その前提は住民や自治体との信頼関係であることを政府は忘れてはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・12.07】:原子炉のカス

2024-12-07 07:00:20 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【天風録・12.07】:原子炉のカス

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.07】:原子炉のカス

  何もかもをのみ込む深い穴が、ある村で見つかる。やがて原発会社が群がり、金や道路と引き換えに「原子炉のカス」を次々と捨てていく―。星新一さんのSF短編「おーい でてこーい」の一幕だ

 ▲カスとは使用済み核燃料、あるいは再利用できない高レベル放射性廃棄物を指すのだろう。どちらにせよ、長い名前を2文字で表すところが短編の名手らしい。発表から66年が過ぎても、背筋の凍る結末は色あせない

 ▲中国電力の島根原発2号機がきょう再稼働する。停止は13年近くにも及んだ。福島の事故で揺らいだ原発の「安全神話」を必死に繕った歳月と言える。15メートルにかさ上げした防波壁をはじめ、64もの安全対策が施された

 ▲再稼働でよみがえる問題もある。使用済み核燃料の行方だ。2号機の貯蔵場所は約10年で満杯になるという。一時的な保管先にと、中電が山口県上関町で建設を探る施設もまだ先は見通せない。SFのような便利な穴もないままに「カス」は増える

 ▲快適な暮らしは何と引き換えに成り立つのか。目をそらしている暗部はないか。星さんの問いかけに私たちも背筋を伸ばして向き合う時かもしれない。いつかつけが降りかからぬように。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年12月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中国電力】:島根原発2号機がきょう再稼働…30キロ圏内の人口45万人、避難計画の実効性が重要に

2024-12-07 00:10:00 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【中国電力】:島根原発2号機がきょう再稼働…30キロ圏内の人口45万人、避難計画の実効性が重要に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中国電力】:島根原発2号機がきょう再稼働…30キロ圏内の人口45万人、避難計画の実効性が重要に 

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社会 【話題・中国電力・全国で唯一、県庁所在地に立地する島根原子力発電所2号機(松江市、82万キロ・ワット)を約13年ぶりに再稼働させる】  2024年12月07日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.04】:高浜50年超運転 原発依存深める危うさ

2024-12-04 16:05:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②・12.04:高浜50年超運転 原発依存深める危うさ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.04】:高浜50年超運転 原発依存深める危うさ 

 国内で稼働する中で、最も古い関西電力高浜原発1号機(福井県高浜町)が営業運転開始から50年を超えた。

 長期運転による安全性への懸念は消えず、原発構内にたまる使用済み核燃料の行き先も確定していない。事故時の避難計画の実効性も疑わしい。

 高浜原発の30キロ圏には京都、滋賀の8市町も入る。なし崩しの老朽原発の運転延長は受け入れ難い。

 1974年に運転を開始した高浜1号機は、定期検査中の2011年に起きた東日本大震災を受けて運転停止が続いたが、東京電力福島第1原発事故を踏まえた「原発の運転は原則40年、最長60年」とする規定が16年に適用され、23年に再稼働していた。

 原子力規制委員会は今年10月、10年ごとの管理方針を定めた関電の保安規定を認可したことで、50年を超えて少なくとも60年までの運転が可能になった。

 規制委は原子炉圧力容器が破損する恐れがないことやコンクリートの強度が維持されているとする関電の評価を確認したという。

 そもそも40年超えは、電力不足など「極めて例外的」措置だった。半世紀以上前の原発は、設計そのものが古い。取り換えられない原子炉の劣化状況を調べるために、あらかじめ炉内に仕込まれた試験片が、当初の想定を超える長期運転で不足する可能性も指摘されている。

 青森県の核燃料再処理工場の完成が見通せない中、今年9月末時点で燃料プールの貯蔵率87%に達した使用済み燃料の扱いも、早晩行き詰まるのではないか。

 政府のエネルギー基本計画では、40年度の原発割合を2割程度にする目標で、30基程度の稼働が必要となるが、現状でも稼働は13基にとどまる。

 そのため、昨年の法改正では、安全審査などで停止していた期間を運転期間から除外する規定も設け、実質的に60年超の運転を可能にした。

 だが、元日に発生した能登地震では、震源に近い志賀原発(石川県)で外部電源などが損傷し、災害時の原発リスクを見せつけた。周辺道路が寸断され、想定通りの住民避難が難しいことも改めて浮かび上がった。

 ロシアのウクライナ侵略を踏まえ、日本海側に並ぶ原発の安全保障上の弱点も指摘されている。

 福島原発の事故とめどが立たない後始末を直視すれば、原発に依存し続ける危うさは明白である。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く

2024-11-30 04:03:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く 

 東北電力女川原発2号機の運転差し止めを周辺住民が求めた訴訟で、仙台高裁が住民側の控訴を棄却した。
 
 住民側は重大事故時の広域避難計画に実効性がないと訴えていた。高裁は「避難計画の検討過程に過誤はない」として差し止めを認めなかった。
 しかし、元日の能登半島地震では半島に立地する北陸電力志賀原発の周辺道路が各所で寸断された。家屋倒壊も相次ぎ、屋内退避も困難な状況だった。避難計画が「絵に描いた餅」に等しい実態が浮き彫りになった。
 そうした現実を目の当たりにして、同じく半島に立つ女川原発の避難計画に住民が不安を強くしている。高裁の判断はそこを直視しておらず、能登の教訓への認識を欠いていると言わざるを得ない。
 避難計画の実効性に争点を絞った初の訴訟だった。地元自治体が作成し政府が了承した避難計画では、原発事故が起きた場合、住民は検査所で被ばくの程度を調べ車やバスで避難する。
 住民側はバスや検査所の人員が確保できず、道路が渋滞し円滑に避難できないと主張した。
 一審判決は「住民側は重大事故の危険性を立証していない」として、避難計画の実効性に触れないまま請求を棄却した。事実上の門前払いだった。
 高裁判決は、避難計画に重大な過誤があれば具体的な危険が推定され、差し止めが認められるとの判断枠組みを示してはいる。ただ「住民側は、避難計画では対処できない具体的な危険性を立証していない」とした。
 これでは住民側にとって訴訟のハードルは高いままだ。民事訴訟において立証責任は原告側が負うのが原則だが、公的な計画の不備といった大がかりな立証を、専門家ではない住民に厳密に求めるのは酷だろう。
 高裁判決は、避難計画について「事態に応じて臨機応変に決定し、段階的に避難することを想定している」とも指摘し、その危険性を認めなかった。
 だが、例えば吹雪の夜に巨大な地震や津波に襲われ、原発に深刻な事故が起きた場合でも避難計画は機能するのか。
 そうした過酷な状況下で無事に避難できるのかどうかを住民は問うている。高裁は正面から答えておらず、疑問が残る。
 原発の稼働を前提とする以上、避難計画に実効性は欠かせず、不断の検証が求められる。
 とはいえ、それが本当に可能なのか疑念は常につきまとう。
 脱原発に向かうことこそが最大の安全対策である。それを忘れてはならない。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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《社説②・11.29》:女川原発控訴審 避難の不安顧みない判決

2024-11-29 09:31:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説②・11.29》:女川原発控訴審 避難の不安顧みない判決

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.29》:女川原発控訴審 避難の不安顧みない判決 

 この計画で住民の安全は確保できるのか。

 東北電力女川(おながわ)原発で重大事故が起きたときの避難計画に不備があるとして、半径30キロ圏内の石巻市民16人が運転差し止めを求めた訴訟の控訴審判決である。仙台高裁は、請求を棄却した一審判決を支持し、訴えを退けた。

 一審に続き争点になったのは、避難計画の実効性だ。指示に従って地域ごとに決められたルートで移動し、途中の検査所で被ばく状況を調べて半径30キロ圏外の避難所に逃げる計画である。

 原告は、ひとたび重大事故となれば道路渋滞などが起き、検査所を開設できなかったり、避難バスを確保できなかったりといった事態がありうると指摘。その間に放射線を浴び、身体に深刻な被害を受けかねないと訴えた。

 女川原発があるのは太平洋に突き出した牡鹿(おしか)半島だ。入り組んだ海岸沿いや離島に集落が散在し、避難するのに原発近くを通らねばならない地区もある。

 いざというとき、住民が計画通りに動けるとは限らない。地震で崖崩れが起き、避難路が寸断されるかもしれない。船での避難を想定する地区もあるが、大しけだったらどうするのか―。

 東京電力福島第1原発事故、今年元日の能登半島地震の混乱を思い起こせば、原告がこうした懸念を持つのはもっともだ。

 これに対して高裁判決は、計画は「発生した事態に応じて臨機応変に決定し、段階的に避難を実施する」との前提に立っており、原子力規制委員会などの指示に基づいて実行される、と指摘。看過しがたい誤りや欠陥があるとはいえないと判断した。

 計画の実効性について「判断するまでもない」と一蹴した一審判決よりは踏み込んだ。一方で、「いかなる事故にも完全に対応できる地域防災の策定は求められていない」とし、対処できない事態があるなら原告が根拠を立証すべきだとした。住民にとってはあまりに高いハードルである。

 東日本大震災で被災した女川原発はこの10月に再稼働し、12月中の営業運転再開を予定している。地元には受け入れる声もある。だとしても、避難計画が住民の安全を守る「最後の砦(とりで)」であることは論をまたない。

 具体的な安全策を示す責任は、計画を立案した行政や原発を動かす電力会社、再稼働を認めた国にある。それすら求めず、住民の懸念を置き去りにした司法の判断は大いに疑問だ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.25】:次の概要調査へ 道知事の翻意を望みたい

2024-11-25 05:01:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【主張①・11.25】:次の概要調査へ 道知事の翻意を望みたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.25】:次の概要調査へ 道知事の翻意を望みたい

 原子力発電環境整備機構(NUMO)が作成した文献調査報告書が、北海道寿都町長、同神恵内村長、北海道知事に提出された。

 原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物(HLW)を地下深くの岩盤に埋設する地層処分事業の候補地探しは3段階の調査で進められ、その第1段階が文献調査だ。

原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分場を巡り、原子力発電環境整備機構の山口彰理事長(左)から文献調査の報告書を受け取る北海道の鈴木直道知事=北海道庁

 この報告書には、多数の研究論文などを基にNUMOが分析した両町村の地質情報や、地下処分場の建設が可能なエリアなどが記載されている。報告書は公開され、国民からの意見公募も行われる。こうした手続きを経るため、第2段階の概要調査に進むかどうかの判断を国が両町村長と知事に確認する時期は来春以降になるとみられる。

 その間に寿都町では住民投票が予定されている。神恵内村と寿都町では令和3年以降、NUMOとの間での対話交流が重ねられてきた。両町村それぞれの熟慮の選択を尊重したい。

 懸念されるのは鈴木直道知事の対応だ。北海道にはHLWなどの持ち込みを受け入れ難いとする条例があることを理由に、鈴木氏は概要調査への移行に難色を示し続けている。

 寿都町と神恵内村が賛成でも、知事が反対すれば制度上、概要調査には進めない。その場合、知事の拒否は民意の軽視にとどまらず、最終処分に関わる自治体が文献調査中の佐賀県玄海町のみとなる事態を招く。

 鈴木氏が同意して地下構造を実地に調べる概要調査が始まると地層処分への関心が全国的に高まるはずだ。これまで思案していた他市町村からの文献調査の申し出も期待される。

 北海道にも原発が存在し、道民も原子力発電の利便性に浴してきた。その現実を無視しての地層処分の候補地探しに対する否定的対応は、他県などへのHLWの押しつけに他ならない。自治体の首長としての道義的責任が問われよう。

 概要調査で地質条件が不適なら、第3段階の精密調査には進めない。適している場合でも知事や市町村長には移行停止を求める権限が認められている。現段階での硬直対応では、器量のほどが疑われる。

 核のごみともいわれるHLW処分の問題は北欧諸国などで完遂に向けて進行中だ。世界に視野を広げての翻意を鈴木氏に強く求める。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.25】:感震ブレーカー 電気火災の防止に活用したい

2024-11-25 05:00:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②・11.25】:感震ブレーカー 電気火災の防止に活用したい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.25】:感震ブレーカー 電気火災の防止に活用したい

 地震の発生時には、電気配線の損傷による火災が起きやすくなる。家庭でもできる対策として、揺れを感知すると送電を止める感震ブレーカーの普及を図りたい。 

 1月の能登半島地震で起きた石川県輪島市の、朝市通りの大規模火災は、建物の配線のショートや接触不良が原因で出火した可能性があると指摘されている。

 阪神大震災や東日本大震災でも、原因が特定された火災の半数以上が電気火災だった。対策の強化はかねて課題となってきた。

 予防には、感震ブレーカーが有効だとされる。首都直下地震や南海トラフ巨大地震の被害が想定される地域などでは、設置に補助金を出している自治体もある。

 ただ、導入は進んでいない。内閣府の2022年の世論調査で、「感震ブレーカーを設置している」と回答した人は約5%にとどまっている。認知度が低いことや、地震時に電気が遮断されることが不安だという人もいるためだ。

 近年は、能登半島のように地震が比較的少なかった地域でも大規模な地震が起きている。万が一に備える重要性は増している。

 まずは、電気火災の危険性や感震ブレーカーの認知度を高める必要がある。その上で、住宅の新築や改築、老朽化した分電盤の交換の際に住宅メーカーなどが顧客に設置を促すことも有効だろう。

 感震ブレーカーは、工事をして分電盤に取り付けるタイプや、コンセントに差し込んで利用する製品などがある。設置費も、数千円から10万円近くまで幅がある。

 戸建てやマンションなどの種別や住宅密集度、想定される地震の規模を考慮し、専門家から、どのようなタイプの活用が適切か助言を受けられる体制も整えたい。

 自宅で医療機器を使う人にとっては、電気が止まると命に関わる重大事態だ。これらの人たちには、予備電源を備えてもらうなどの対応も必要となる。

 能登半島地震を受け、鳥取県は7月に防災対策を見直した。

 その際に感震ブレーカーの普及に向け、住宅や建築、電気などの関係者が参加する協議会を発足させた。県の条例を改正し、感震ブレーカー導入を「県民の責務」だとして、補助制度も整えた。

 総務省消防庁の有識者会議は、感震ブレーカーを普及させるためのモデル計画づくりを目指している。ブレーカー設置の義務化が必要だとの声もある。国は、地域の実情を踏まえ、各自治体の取り組みを後押しすることが重要だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.23】:核ごみ報告書 概要調査には進めない

2024-11-23 04:03:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・11.23】:核ごみ報告書 概要調査には進めない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.23】:核ごみ報告書 概要調査には進めない 

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査の報告書を後志管内寿都町と神恵内村の両首長と鈴木直道知事に提出した。
 4年余りにわたった文献調査は終結し、次の段階の概要調査への移行の是非が焦点となる。
 概要調査候補区域は報告書案と同様、寿都町全域と、神恵内村南端の一部とした。
 寿都町を通る活断層の黒松内低地断層帯や火山噴出物「磯谷溶岩」など安全上の懸念は留意事項として概要調査に持ち越した。少しでもリスクがあれば候補区域から除外するのが文献調査のあり方ではなかったか。
 科学的な見地から疑問がぬぐえない。このまま概要調査に進むことは認められない。
 磯谷溶岩について、地質学の専門家が「第四紀火山」の可能性が高いと先月の日本火山学会で発表した。核のごみは無害化するまで10万年かかる。処分場を破壊する火山は最大のリスクだ。だが、この新たな知見は報告書に盛り込まれていない。
 地層処分を定める法律は、地質年代で約258万年前から現代までの「第四紀」に活動した火山の半径15キロ圏を最終処分場としないよう定めている。
 磯谷溶岩が該当すれば、寿都町の大部分が不適地となる。報告書案を審議した国の作業部会委員の火山専門家も第四紀火山だとの見解を示している。
 NUMOは、学術論文になっていない知見は文献調査の対象とはならず、概要調査以降に確認するという。
 安全の根幹に関わる知見や専門家の指摘は、概要調査に進むかどうかの判断材料として重要だ。それを報告書に盛り込まなければ、信用は得られない。
 概要調査は首長と知事の同意が必要となる。両町村は説明会や勉強会を開き、住民投票などで判断するという。
 鈴木知事は反対する意向を繰り返し表明してきた。きのうの記者会見でも「現時点で反対の考えを述べる」と答えた。
 影響が広範に及ぶ最終処分場は町村レベルの問題ではない。知事の判断は重い。
 巨額の交付金と地域振興策で市町村を調査に誘導するやり方が、地域や自治体間にあつれきを生んでいる。国は選定方法を抜本的に改めるべきだ。
 岸田文雄政権は原発推進にかじを切り、石破茂政権も引き継いだ。最終処分場にめどがつかないまま、原発を動かし放射性廃棄物を増やし続けるのは無責任だと言わざるを得ない。
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月23日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・11.20】:エネルギー計画 国会論議も反映させよ

2024-11-21 04:03:35 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②・11.20】:エネルギー計画 国会論議も反映させよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.20】:エネルギー計画 国会論議も反映させよ 

 およそ3年ごとに見直されるエネルギー政策の中長期指針「エネルギー基本計画」について、政府の有識者会議が来月にも素案を出す方向だ。
 2040年度の電源構成目標を盛り込むとされる。焦点は前政権が積極活用を打ち出した原発の位置づけである。
 人工知能(AI)やデータセンターによる電力需要増を見込み、東京電力福島第1原発事故の反省から記してきた「可能な限り原発依存度を低減」を変更することが危惧される。
 先の衆院選で与党は過半数割れした。国会論議を反映させず素案をもとに計画を閣議決定してきた従来のプロセス自体が問われることになろう。
 原発政策は選挙で明確な争点にならず野党内でも見解は分かれる。だからこそ現時点での拙速な変更は避けるべきだ。
 見直し作業は5月から経済産業省の総合資源エネルギー調査会の分科会で進む。
 50年に温室効果ガス排出量実質ゼロとの政府目標達成が前提条件だ。現行計画では30年度の電源比率目標を原発20~22%、再生エネ36~38%としている。
 分科会では原発拡大を求めたり、脱炭素の点で再エネとともに「クリーンエネルギー」に分類させたりする声もある。委員は産業界や原子力専門家が目立ち、人選の偏りが指摘される。
 福島事故後の日本でエネルギー問題は単なる産業政策の枠に収まらない。9月には若者世代3団体から聴取したが長期的な原発活用への意見は分かれた。
 世代だけでなく地域や専門分野など多様な意見を反映させる場に変えなければならない。
 デジタル化で電力需要は増えよう。だがそれを理由にした原発回帰は安易に過ぎる。
 ここ数年節電・省エネで需要減が進んだおかげで、地域差があるものの、政府機関の予測でも30年の需要量が十数年前の水準から急伸するわけではない。
 そもそも安全対策や使用済み核燃料処理のコストが負担となり、電力大手は原発新増設に二の足を踏む状態だ。建設費を電気料金に上乗せできるよう政府内で支援案を検討中というが、国民負担増は本末転倒である。
 石破茂首相は前政権の原発活用方針に従っている。だが洋上風力や地熱といった再エネは道内など地方が多く電源を抱え、その主力化は首相の唱える地方創生とも合致するはずだ。
 野党第1党の立憲民主党は総選挙では現実路線をとった印象もあるが、原発ゼロ実現を綱領に掲げる。対立軸を明確にして国会で議論を深めるべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.18】:【敦賀原発不合格】:決定を重く受け止めよ

2024-11-19 05:02:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・11.18】:【敦賀原発不合格】:決定を重く受け止めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.18】:【敦賀原発不合格】:決定を重く受け止めよ

 安全性を重視した妥当な判断と言える。突きつけられた結論を重く受け止める必要がある。
 原子力規制委員会は、日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)の審査不合格を正式決定した。不合格は2012年の規制委発足後初めてとなる。
 規制委はこれまでに、原子炉建屋から北約300メートルにあるK断層が活断層で、建屋直下まで延びている可能性が否定できず、原発の新規制基準に適合しないと結論付けていた。新基準は活断層の上に重要施設の設置を禁じている。
 原電は再審査を申請する方針で、即時廃炉とはならない。新たに試掘溝を掘って調査する計画などを具体化して、本年度中に公表するとしている。ただ、規制委の結論を覆す新証拠が必要となり、活動性の否定は困難とみられている。敷地内を走る活断層「浦底断層」の影響も無視できない。ハードルは高そうだ。
 断層問題は重大な関心事だ。規制委の有識者調査団は13年、2号機直下の断層は活断層だと評価し、原電は反論する形で15年に審査を申請した。しかし、審査資料で千カ所以上に記載不備があり、データの無断書き換えも発覚した。
 規制委は2度にわたり審査を中断している。原電本店の立ち入り調査も行われた。
 原電は課題に誠実に向き合っているのか、事業者としての資質に疑念さえ向けられる。山中伸介委員長は「大いに反省してほしい」と厳しい言葉を投げかけている。安全を確保するという大前提を軽視するかのような姿勢では信頼性を確保できるはずはない。
 原電は東海第2原発(茨城県)も再稼働が見通せない。原発専業であり、所有する全2基は11年5月の運転停止から発電ゼロが続く。経営の両輪は運転停止の長期化が見込まれる状況だ。
 それでも売電先の大手電力5社から「基本料金」を受け取ることで経営を維持している。電力料金に上乗せされ消費者が負担していることを忘れてはならない。
 政府は近く取りまとめる経済対策に、電気代抑制へ安全性が確保された原子力発電の最大限活用を盛り込む方向だ。石破茂首相は10月の所信表明演説で「利活用」と言及したが、原発回帰を鮮明にした岸田政権の路線を踏襲することになる。
 巨大地震が想定される日本で、原発の安全性は維持できるのかという疑問は根強い。東日本大震災による甚大な事故の教訓は、原発に依存しない社会の実現だ。言うまでもなく、安全性に疑念がある原発の再稼働が認められてはならない。
 敦賀2号機は今回は不合格決定となったが、これまで建屋直下に活断層がある可能性が否定できない場所で稼働していた事実は無視できない。自然災害の想定は難しいだけに、新たな知見からの検証を繰り返し安全性を高める必要がある。問題があれば立ち止まる実効性のある制度の構築が求められる。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・11.17】:女川原発送電再開 過度の懸念は払拭したい

2024-11-17 05:01:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【主張②・11.17】:女川原発送電再開 過度の懸念は払拭したい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・11.17】:女川原発送電再開 過度の懸念は払拭したい 

 東北電力・女川原子力発電所2号機(宮城県)で生まれた電力が15日夕刻から、送電線に乗って同電力管内の家庭や商店、工場などに届いている。

 平成23年の大震災後、東日本における初の原子力発電再開だ。電力安定供給力の増大効果は、東北地方をはじめ、首都圏にも及ぶ。再稼働を達成した東北電力と協力企業の長年の努力を高く評価したい。

東北電力の女川原発。左手前から2号機、1号機 右は3号機

 女川2号機の送電開始は、もう1つの見地からも注目に値する。沸騰水型軽水炉(BWR)の再稼働は全国初なのだ。

 大震災後、時の民主党政権下で国内の全原発が停止に追い込まれた。その中で原子力規制委員会の安全審査に合格し、27年以降、再稼働に進んでいったのは、九州電力、関西電力、四国電力の加圧水型軽水炉(PWR)の原発だった。

 これに対してBWRは、再稼働の前提となる安全審査の合格も遅れた。最大の理由は大津波で炉心溶融事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所の原発がBWRであったためだ。

 またBWRには、万々が一の事故発生時に周辺への放射性物質の拡散を防止するためのフィルター付きベント設備の導入が義務づけられた。これも遅れの一因となった。

 13年前の大震災で海抜14・8メートルの敷地に立地していた女川原発は、高さ13メートルの津波に耐えた。今回の再稼働のために、東北電はさらなる安全対策として海抜29メートル、総延長800メートルの巨大防潮堤を完成させている。

 こうした安全対策の大幅強化にもかかわらず、女川原発が牡鹿半島に位置していることなどを理由に、住民避難の難しさを主張する声もある。そうした懸念に固執する人々は、23年3月の大震災当時の出来事を思い出してはどうか。

 大津波で被災し、寒さに震える地元住民が女川原発に助けを求めた件である。発電所員は自分たちの食事を減らして被災者に毎日2食を提供して守り抜いた。一時は364人を数えた地元の人々が約3カ月、原発の施設で暮らしたのだ。

 女川2号機の送電再開を、原発への偏見や過度の恐れを改め、冷静な視点で日本のエネルギーを考える糸口としたい。地政学的リスクも踏まえ、原発の役割を評価すべき時機にあることを忘れてはならない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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