路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【金口木舌】:弱い者の一人として

2022-05-08 05:09:15 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【金口木舌】:弱い者の一人として

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:弱い者の一人として

 「わたしたちは仲間です」。筆箱の中で小さく折りたたまれた紙に〈うすい筆跡で魚の小骨みたいな字で〉書かれていた。川上未映子さんの小説「ヘヴン」の冒頭だ

 ▼学校でいじめに遭う〈僕〉と〈コジマ〉が友達になる物語だ。ひどい暴力の中で育まれる友情が踏みにじられることのないよう願いながら読んだ
 ▼川上さんは、人生の本質は「失われる」ことだと取材に答えている。理不尽に壊され、失われる弱い者を丁寧に描く作品が多くの人を引きつける。「ヘヴン」は英国の文学賞「ブッカー賞」の国際賞で最終候補になった
 ▼北海道旭川市でいじめを受け、凍死した中学生の母親をネット上で中傷したとして3月に愛知県の女性が侮辱罪で略式起訴された。1月にも男性が略式起訴されている。国会で侮辱罪の厳罰化を巡り審議が続いている
 ▼事実を解明するために闘う母親を冷笑し、傷つける風潮があるのは不条理だ。弱い者の一人として支え合うことが私たちの役目ではないか。誰も理不尽な被害に遭うことのない社会をつくるために。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年04月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【長崎県】:海星高生のいじめ自殺 兄「亡くなった感覚今もない」

2022-04-21 04:30:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【長崎県】:海星高生のいじめ自殺 兄「亡くなった感覚今もない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【長崎県】:海星高生のいじめ自殺 兄「亡くなった感覚今もない」

 5年前、長崎市の私立海星高の男性生徒(当時16歳)がいじめ被害を訴える手記を残して自殺した。生徒の兄(23)は今、国内のテーマパークに就職し汗を流す。ぬいぐるみやディズニーが好きでテーマパークで働くことを夢見ていた弟。命日の20日、弟が命を絶った長崎市の公園で手を合わせた兄は「弟に胸を張れるような仕事をする」と誓った。

男子生徒が命を絶った現場で手を合わせる兄(手前)=長崎市で2022年4月20日午後1時59分、高橋広之撮影

 この春には、弟が生きていれば就職活動を始めるはずだった。兄は「弟が亡くなった感覚は今もない。『よその県の大学に進学しているだけじゃないか』と思うこともあるが、弟から就職活動の相談を受けられないことを思うと現実に引き戻される」と語った。

 弟が命を絶つ前日の2017年4月19日午後9時過ぎ、京都市の大学に入学したばかりだった兄は実家の母(50)から「(弟が)帰って来ない。何か連絡が来ていないか」と電話を受けた。翌朝、通学途中に父(54)から「身元不明の少年の遺体が見つかったらしい」と電話があった。

 急いで新幹線に飛び乗った。その夜、長崎の葬儀場で再会した弟は布団に寝かされ、何も言葉を発しなかった。おえつする母たちを見るのは耐えられなかった。

 男子生徒が命を絶った現場を訪れた兄=長崎市で2022年4月20日午後1時57分、高橋広之撮影

 最後に弟の声を聞いたのは亡くなる4日前。無料通信アプリ「LINE(ライン)」で兄のスマートフォンに送ってきた自作の動画だった。弟は映像の中で、シンガポールへの家族旅行で買ったペンギンなどのぬいぐるみを動かしながら、自分の声でセリフを吹き込んでいた。

 弟はディズニーとぬいぐるみが大好きで、幼い頃から兄ともよくぬいぐるみで遊んだ。キャラクター作りについて熱く語り合ったこともあり、弟は将来の道としてテーマパークで働くことを考えていた。

 兄は昨春、テーマパークに就職し物販の仕事に携わる。「弟が生きた16年間でお兄ちゃんらしいことをできなかった。亡くなってから10年を迎える時には『これはお兄ちゃんが作ったんだよ』と言えるようなコンテンツを作りたい」。それが兄の務めだと信じている。【高橋広之】

 ■相談窓口

・児童相談所虐待対応ダイヤル 189=年中無休、24時間。

・24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310=年中無休、24時間。

・子どもの人権110番 0120-007-110=平日午前8時半~午後5時15分、土曜・日曜・祝日・年末年始は休み。

・チャイルドライン 0120-99-7777=午後4~9時(対象は18歳まで)、12月29日~1月3日は休み。https://childline.or.jp/

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【話題・5年前、長崎市の私立海星高の男性生徒(当時16歳)がいじめ被害を訴える手記を残して自殺した問題】  2022年04月21日  04:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:旭川の中2いじめ認定 黙殺の経緯と責任糾明を

2022-04-21 02:05:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

《社説①》:旭川の中2いじめ認定 黙殺の経緯と責任糾明を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:旭川の中2いじめ認定 黙殺の経緯と責任糾明を

 いじめ被害の訴えはなぜ聞き入れられず、取り返しのつかない事態を招いてしまったのか。

 北海道旭川市で昨年3月、中学2年の女子生徒が凍死体で見つかった。1年を経てようやく、市教育委員会の第三者委員会が、いじめがあったと認定した。

 母親が最初に学校に相談したのは、いじめが始まって間もない3年も前だ。その後も再三にわたって被害を訴えたが、学校や市教委は真摯(しんし)に対応しなかった。

 第三者委の中間報告によると、女子生徒は、上級生らから性的な行為を動画で撮って送るよう要求されるなど、卑劣ないじめを繰り返し受けていた。

 自殺未遂の後、別の中学に転校したが、トラウマに苦しんだ。自宅から姿を消し、約1カ月後に遺体で発見された。

 市教委が法律上の「重大事態」と認め、本格的な調査を始めたのは、死亡後に報道でいじめとの関係が取り沙汰されてからだ。

 学校側は女子生徒本人から事情を聴かないまま、いじめではなく上級生らの悪ふざけだったと結論付けていたという。 

 何を根拠にして、学校はそう判断したのか。市教委はそれに疑問を抱くことはなかったのか。中間報告はこうした点を明らかにしていない。

 第三者委による遺族側への聞き取りは1度だけだった。不十分ではないか。今夏をめどに取りまとめる最終報告で、詳しい経緯と責任を明確にすべきだ。調査を徹底し、再発防止策を示さなければならない。

 学校はいじめの早期発見に努めるよう求められているが、いまだに隠蔽(いんぺい)体質は根強い。学校や教委の不誠実な対応によって、さらに傷つく被害者も少なくない。

 「娘が苦しんでいるのをずっと目の前で見てきた。あのとき、いじめだと認めてほしかった」。中間報告を受け、母親はそうコメントした。

 子どもの命を守る責任を教育現場が自覚する必要がある。国や自治体も、被害者を孤立させない体制づくりに取り組むことが欠かせない。

 何よりも求められるのは、被害を受けた子どもの側に立つ姿勢である。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月21日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【厚労省】:児童虐待防止へ「保護者」例示 親の交際相手などが加害者になる事案踏まえ

2022-04-19 23:16:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【厚労省】:児童虐待防止へ「保護者」例示 親の交際相手などが加害者になる事案踏まえ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:児童虐待防止へ「保護者」例示 親の交際相手などが加害者になる事案踏まえ 

 親の交際相手などが加害者になる児童虐待事案が多いのを踏まえ、厚生労働省は19日までに、児童虐待防止法上の「保護者」に該当する例を示し、虐待が疑われる場合は児童福祉法に基づく調査や指導を徹底するよう求める通知を全国の自治体に出した。情報を警察と連携し把握することも要請した。

 通知は18日付。児童虐待防止法は保護者を親権者など児童を監護する者だと定義しているが、例示では、児童の養育に一定の関与があり<1>ほとんど同居といえる実態がある<2>週に数日間や、日中・夜間など定期的に児童のいる家庭に滞在している<3>週に数日間や、日中・夜間など定期的に児童を預かっている-とのケースも保護者に当たるとした。

 これらに該当しない場合でも、虐待疑いなどで実の親の指導をする際には、合わせて交際相手についても必要な対応をするよう求めた。

 交際相手は実の親と違って家庭への関与の度合いが確認しづらく、行政などによる適切な措置が講じられないまま重大な虐待につながる事案が問題となっている。

 大阪府摂津市の集合住宅で昨年8月、3歳男児が熱湯をかけられ死亡した事件では、有識者の検証部会が報告書で、虐待をしていた交際相手への指導がほとんどされなかったとして「より踏み込んだ対応をすべきだった」と指摘している。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・厚労省・親の交際相手などが加害者になる児童虐待事案が多い現状】  2022年04月19日  23:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:旭川中2いじめ 命なぜ救えなかったか

2022-04-19 05:05:12 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【社説①】:旭川中2いじめ 命なぜ救えなかったか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:旭川中2いじめ 命なぜ救えなかったか 

 旭川市の公園で昨年3月、中学2年の女子生徒が凍死して見つかった問題で、旭川市教委の第三者委員会がきのう、6項目のいじめを認定する中間報告を公表した。

 加害者7人は、女子生徒にスマートフォンで性的な動画を送らせたり、菓子代を繰り返し払わせたりするなどしたという。

 人間の尊厳を奪う行為のあまりのむごたらしさに言葉を失う。

 何度もSOSが出されていたのに、なぜ教師ら周囲の大人はいじめを見過ごし、生徒を救えなかったのか。いじめ認定までこれほどの時間を要したのはなぜか。

 数々の疑問が尽きない。遺族が深い不信感を抱くのは当然であり、市教委や学校の対応が適切さを欠いたことは疑えまい。8月末までにまとめる最終報告に向け徹底的な検証が必要だ。

 生徒の死亡に至るまでの経緯も明らかになっていない。

 尊い命が失われた事実を厳粛に受け止め、第三者委は全容解明を急ぐべきだ。併せて、責任の所在も明確にしてもらいたい。

 今回いじめと認定されたのは2019年4~6月の事案だ。対面による聞き取りやアンケートに基づき事実を精査したという。

 生徒は希望を抱いて入学した直後からいじめを受け続けた。その苦痛や、わが子の命を奪われた遺族の無念さはいかばかりか。

 市教委と学校の対応の遅さ、不十分さは驚くばかりだ。いじめの開始から生徒の遺体発見までの約2年間、さまざまな被害を止められず生徒を守れなかった。

 黒蕨真一教育長は会見で「いじめの認知に至らなかったことを深く反省」すると陳謝したが、理由については明確にしなかった。

 組織の閉鎖性や事なかれ主義が最悪の事態を招いたとの指摘がある。まず問題点を徹底的に洗い出すことが必要だろう。

 生徒がいじめの被害を訴えてから3年近く、調査開始から中間報告まで既に約1年経過した。作業を加速させなければならない。

 最終報告では、実効性ある再発防止策を示すことも欠かせない。

 第三者委の運営や調査手法を巡って、遺族側は聞き取りなどが不十分として不満を抱いている。当事者の心情をどこまで理解できるか今後の姿勢が問われよう。

 いじめはいついかなる場所、場面でも発生する可能性がある。学校は子供の言動に目を配りトラブルの芽を摘むことはもちろん、命の大切さや、仲間への思いやりを繰り返し教える必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【 大谷昭宏のフラッシュアップ】:裁判官が見るべきだった男児の生身の体

2022-03-14 08:01:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【 大谷昭宏のフラッシュアップ】:裁判官が見るべきだった男児の生身の体

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【 大谷昭宏のフラッシュアップ】:裁判官が見るべきだった男児の生身の体 

 報道していて児童虐待ほど胸が痛む事件はない。この子たちは私たちの社会に生を受けて、痛かった、熱かった、ひもじかった-そんな思いしか残さずに短い人生を終えている。

 神奈川県大和市で42歳の母親が7歳の次男を殺害したとして逮捕された事件で、これまで以上に私は怒りに打ち震えている。あろうことか、この事件では男児の最後の命綱を家庭裁判所が断ち切ってしまった。

 この母親のもとでは、1子長男と2子長女がいずれも生後数カ月で死亡。殺害された3子の次男も生後5カ月で心肺停止となり、一時、児童相談所が保護していた。だが母親のもとに戻った2年後、今度は4子の男児も1歳余りで死亡したため危険と判断した児相が次男を保護したが、母親がこれに激しく抵抗。児相はやむなく横浜家裁に次男の施設内保護を申し立てた。

 番組でご一緒した元児相職員の女性も「児相は出来る限りのことはやった」とするこの最終手段だったが、家裁は母親の主張を認め、児相の申し立てを却下。次男は2018年自宅に戻され、翌年8月殺害された。

 県と地域の児相は事件後、「母親のもとでの養育が不適切とする資料をそろえられず、残念だった」としている。また厚労省も「家裁の審理は原則、書面。一時保護の正当性を資料で立証すること」としている。

 だが、児相の職員に「家で母親に投げ飛ばされて、口から血が出た」と訴えていたこの子は、果たしてどんな思いで家に戻ったのか。

 裁判官が見るべきは、書面だったのか。男の子の生身の体ではなかったのか。聞くべきは、まわりの大人たちの肉声ではなかったのか。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2022年02月28日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな

2022-03-11 07:42:00 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな 

 親の手で幼い命が奪われる悲惨な事件が後を絶たない。神奈川県大和市で、小学一年の次男を窒息死させたとして、四十二歳の女が逮捕された。岡山市では、六歳の女児が鍋の中に長時間立たされるなど、母親と交際相手による信じ難い蛮行の末に亡くなった。
 
 大和市の女は、前夫らとの間に計四人の子をもうけ、次男以外はいずれも乳幼児のころに死亡していた。事件性は当時疑われなかったというが、児童相談所は「要注意」とみて、次男を親元から離す一時保護を二度、実施した。
 
 二度目に保護した際、女は次男を施設に入所させることを拒否。児相は入所の必要性を横浜家裁に申し立てたが、家裁は却下した。児相は一時保護を解除せざるを得ず、次男は九カ月後、女に鼻と口をふさがれ死亡したとされる。
 
 女には、精神疾患の一種で、わが子を傷つけることで周囲の気を引こうとする「代理ミュンヒハウゼン症候群」の疑いがあったという。危険性を認識していた児相からすれば痛恨の極みに違いない。
 
 児童虐待の認知件数は増加に歯止めがかからず、毎年五十人前後が命を落としている。児相の対応が後手に回り、批判を浴びる例は少なくないが、大和市では、司法判断の結果、幼い命を守れなかった。綿密な検証が求められる。
 
 今国会では一時保護の妥当性を家裁が判断する制度の導入に向けて児童福祉法の改正案が審議される見通しだ。現行は児相の判断で一時保護ができる。司法審査制度により、透明性や中立性が高まるとの期待の一方、大和市のケースは、親子を引き離すことに対する「慎重さ」の代償も物語っていよう。最前線に立つ児相にさらに事務手続きの負担をかければ、迅速な対応を損なうことにもなりかねない。逆に、児相の判断停止につながらないかとの懸念もある。
 
 国、地方は模索を続ける。妊産婦から、虐待や貧困問題を含む子育て世代まで、児相とも連携し一元的に支える「こども家庭センター」を各市区町村に設置することが検討され、二〇二三年度には「こども家庭庁」も発足する。
 
 制度や組織の変更に伴い、児相が矢面に立って対処する気概や当事者意識を失っては本末転倒だ。児童福祉司や児童心理司の増員をはじめ、医師、弁護士、警察との情報共有など、現場力を着実に充実させることが肝要である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月03日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:やまぬ児童虐待 幼い命守る体制強化を

2022-03-09 05:05:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【社説②】:やまぬ児童虐待 幼い命守る体制強化を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:やまぬ児童虐待 幼い命守る体制強化を 

 救える機会が何度もあったはずの幼い命が失われる児童虐待事件が、依然として続いている。

 岡山市で昨年9月、5歳女児が母親と交際相手から虐待を受け、今年1月に低酸素脳症で亡くなった。女児はいすの上に置いた鍋の中に長時間立たされるなど想像を絶する扱いを受けていた。

 神奈川県大和市でも2019年に7歳男児を殺害した疑いで母親が逮捕された。母親の子供は他の3人も乳幼児期に死亡し、関係機関は不審な点を認識していた。

 二つの痛ましい事件に共通するのは、児童相談所など行政機関が関与したにもかかわらず、虐待死を防げなかったことだ。

 捜査による解明に加え、どこに問題があったのか綿密な検証が必要だ。再発防止の体制強化に向けた議論を尽くしてもらいたい。

 岡山市の事件は、女児が亡くなる3年前から虐待の疑いが指摘されていた。女児は顔にあざができたり夜間の墓地で叱責(しっせき)されたりと状況の悪化は明らかだった。

 ところが児相は女児を一時保護したものの短期間で解除し、虐待リスクも「軽度」と判断していた。判断が甘く、対応が後手に回ったのは否めない。

 大和市の事件で児相は男児の安全確保のため一時保護した。だが母親は男児の施設入所を拒み、家庭裁判所も家庭での生活が適当と判断し入所を認めなかった。

 家裁の却下にいかなる理由があったにせよ、結果として命を救えなかった以上、判断は誤っていたと言わざるを得ない。

 増加の一途をたどる児童虐待の対策強化を目指し、児童福祉法改正案が国会に提出された。対策の柱は、虐待を受けた子供の一時保護について裁判官が判断する司法審査の導入である。

 現在は保護期間が2カ月を超える際に審査しているが、親の同意がない場合はすべて家裁が要否を決める。手続きの透明性や客観性の確保が期待される。

 とはいえ大和市の例を見るまでもなく、制度を整えるだけでは効果は上がるまい。高度な専門性を持ち、迅速かつ適切に対応できる要員を増やし、判断に生かすことが欠かせない。

 19年に2歳女児が虐待死した事件を踏まえ、札幌市は虐待防止対策の強化を進めている。

 専門家の提言を受け、市は道警や保育施設など関係機関との連携強化や職員研修の充実を図る。子育ての悩みを抱える女性への支援を含め着実に取り組んでほしい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:岡山女児虐待死 悲劇根絶へ体制整えよ

2022-03-07 06:49:20 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【社説】:岡山女児虐待死 悲劇根絶へ体制整えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:岡山女児虐待死 悲劇根絶へ体制整えよ 

 虐待が見過ごされ、幼い命がまたも犠牲になってしまった。岡山市で昨年9月、当時5歳の西田真愛(まお)ちゃんが救急搬送され、4カ月後の今年1月に低酸素脳症で亡くなった。

 岡山県警は、母親と交際相手を、椅子の上に置いた鍋の中に真愛ちゃんを長時間立たせたとして強要容疑で逮捕。さらに先週、真愛ちゃんを窒息状態に至るまで布団にぐるぐる巻きにして死亡させたとして、逮捕監禁致死容疑で再逮捕した。

 2人による虐待が真愛ちゃんの死に結び付いたことは明らかだ。なぜ防げなかったのか。捜査とは別に、児童相談所など行政側も事実関係を洗いざらい明らかにして、再発防止に向けた道筋を示さねばならない。

 母親は2018年12月ごろ、広島市から岡山市に転居した。直後から、真愛ちゃんの虐待通報が近隣住民から児相に何件も寄せられていたという。

 19年4月には顔にあざがあるのを児相が確認している。20年9月には交際相手が、夜の墓場で全裸のまま目隠しされた真愛ちゃんを叱っているところを110番通報されている。

 明らかに常軌を逸した仕打ちである。その時に刑事事件として処罰されていれば、今回の悲劇にまでは、つながらなかったかもしれない。胸が痛む。

 児相は110番の際、真愛ちゃんを一時保護したのに2週間で解除した。虐待リスクの判断は4段階で最も下位の「軽度」のまま。最も深刻な「最重度」への変更は、死につながった救急搬送後だった。なぜ「軽度」を見直さなかったのか。児相は経緯を検証することが必要だ。

 児相が交際相手に接触したのは110番から救急搬送までの約1年間、電話による1回だけだった。対応が甘すぎないか。

 交際相手による虐待事例が多いとして厚生労働省は特段の注意を呼び掛けている。交際相手には別に家庭があり、同居者でなかった事情があるにしても、今回のケースでの対応には首をかしげざるを得ない。

 厚労省によると、18歳未満の虐待で児相が対応した件数は20年度に全国で20万件を超えた。1990年度の200倍近い過去最多の数字で、虐待死も57人に上っている。

 虐待対応に当たる児童福祉司などは全国的に不足しており、若いスタッフの経験不足も指摘されている。悲劇が繰り返される背景には子どもを守る体制が追い付いていない面もあろう。

 幼い子どもも一人の人間として尊重される社会環境が求められる。実現する責任は、私たちにもあるのではないか。

 親権者が「しつけ」を口実に子どもを虐待しないよう、政府の法制審議会が民法の懲戒権の規定を削除する答申をしたのも当然だ。しつけに対する意識改革も進めていく必要がある。

 23年度には「こども家庭庁」が創設される。国会に出された法案には虐待に連帯して対応することもうたわれている。ただ掛け声だけでは不十分だ。虐待防止の責任の所在を明確にし、児相や警察、医師などが連携できる「横串」が欠かせない。

 子どもが健やかに成長する社会を築くために何が必要か。報告、連絡、相談の徹底という従来の取り組みを繰り返すだけでなく、抜本的な対策を模索、実行していかなくてはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月07日  06:46:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.02.28】:【速報】伊敷中いじめ問題、被害者側が第三者委調査を辞退|教育界への不信募り

2022-03-04 06:17:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【HUNTER2022.02.28】:【速報】伊敷中いじめ問題、被害者側が第三者委調査を辞退|教育界への不信募り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.02.28】:【速報】伊敷中いじめ問題、被害者側が第三者委調査を辞退|教育界への不信募り 

 鹿児島の腐った教育界が、いじめの被害者を重ねて苦しめる現状が浮き彫りとなった。

 鹿児島市立伊敷中学校で起きた“いじめ”が隠蔽されていた問題を巡り、市教育委員会が設置した第三者委員会(正式名称:鹿児島市いじめ問題等調査委員会)や教委の動きが信頼できないとして、被害者生徒の保護者が同委での調査継続を辞退したことが分かった。

 いじめ防止対策推進法の規定に従って設置された第三者委員会の調査を、被害者側が辞退するというケースは極めて異例。伊敷中でのいじめを隠蔽した上、同法が定めた「いじめの重大事態」を認めようとしない鹿児島市教育界に対し強い不信感を抱いた保護者が、結論を待たずに“三くだり半”を突き付けた形だ。

 ■伊敷中のいじめ報道以後、次々と明るみ出る「重大事態」

 伊敷中で問題のいじめが発生したのは令和元年(2019年)。同校の2年生クラスで複数のクラスメートが、ひとりの生徒をターゲットにいじめを繰り返し、学校側が解決できなかったせいで被害生徒が転校を余儀なくされていた。

 明らかに「いじめ防止対策推進法」が定める“いじめの重大事態”だったが、伊敷中は学校ごとに作成する「いじめの実態報告」の中で『いじめは解消』と報告。ハンターの調べで、いじめが継続していることを承知していた市教委も、学校側とグルになってこれを容認し、事実上の隠ぺいを図っていたことが分かっている。被害者家族が提出した『いじめが継続していることを示す文書』は、市教委が違法に廃棄した可能性がある。

 いじめを訴えた生徒に、市教育界が救いの手を伸ばすことはなかった。いじめ発生当時の担任の女性教師は、被害生徒の親と会おうともせず責任放棄。元県教育次長の寺園伸二校長(当時)も「私に任せなさい」と大言壮語しながら、いじめが継続していることに抗議されると、「こっちは一生懸命やってるんだ」などと被害生徒の親に逆切れしていた。

 ハンターが学校と市教委による隠蔽行為の全貌を報じたのが昨年5月。これが引き金となる形で、別の公立校の「重大事態」が次々と発覚する事態となり、昨年まで「0件」だったいじめの重大事態が、ここ9か月で10件を超える状況となっている。

 ■伊敷中の重大事態、認めぬ鹿児島市教育界

 問題は、鹿児島教育界の歪みを顕在化させる嚆矢となった伊敷中のいじめ事案が、隠蔽発覚から9か月経ったいまも「重大事態」として認められていないことだ。伊敷中の事案について第三者委員会がやっているのは、文部科学省が決めた『いじめ重大事態の調査に関するガイドライン』にある「いじめの事実の全容解明、当該いじめの事案への対処及び同種の事案の再発防止」といった目的を持った重大事態を前提とした調査ではなく、“伊敷中のいじめが、重大事態にあたるのか否か”という、入り口部分の議論。信じられないことに、伊敷中のケースだけが、「重大事態」として認知されていない。25日、いじめ問題を所管する鹿児島市教委青少年課を訪ね伊敷中のケースを重大事態として認めたのか確認を求めたが、「検証中」として回答を避けた。

 当然、記者があきれるほどの状況は、いじめを受け転校を余儀なくされた子供やその保護者に多大なストレスを与える。遅々として進まぬ調査や、調査の進め方について求めた要請をことごとく無視する市教委や第三者委員会の姿勢に業を煮やした保護者は28日午前、市教委を訪問し、文書をもっていじめ問題調査委員会での調査を打ち切るよう求めた。

 伊敷中は、鹿児島大学教育学部の代用附属という格式のある学校だ。さらに、“いじめの隠蔽”を行ったとみられる令和元年当時の寺園伸二校長は、県教委の次長を務めていた人物。元担任も、鹿児島教育界のエリートだという。県教育界として、伊敷中の不祥事は絶対に認めたくないのだろう。いじめを「なかったこと」にして隠蔽を図り失敗した鹿児島の教育界が、今度は「重大事態」の認定に抵抗し、被害者側に二重の苦しみを与えたことになる。

 いじめの被害者ではなく、教員マフィアの保身を優先させる鹿児島の教育界を、ハンターは絶対に容認しない。弱者に寄り添うことの大切さを知っているはずの下鶴隆央鹿児島市長は、何をやっていたのか。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・鹿児島市立伊敷中学校で起きた“いじめ”が隠蔽されていた問題】  2022年02月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2021.11.26】:鹿児島市いじめ第三者委、初回調査で「重大事態」否定|ガイドライン無視

2022-03-04 06:17:40 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【HUNTER2021.11.26】:鹿児島市いじめ第三者委、初回調査で「重大事態」否定|ガイドライン無視

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.11.26】:鹿児島市いじめ第三者委、初回調査で「重大事態」否定|ガイドライン無視 

 鹿児島市内の公立小・中学校で起きた3件の「いじめの重大事態」を学校側や鹿児島市教育委員会が隠蔽していた問題を巡り、市教委が設置した第三者委員会「いじめ問題等調査委員会」の委員長が、新たに検証対象となった4例目のいじめについて、保護者に「病院の診断書が出ても重大事態にはならない」などと、申し渡していたことが分かった。

 第三者委員会として当該事案が重大事態にあたるのか否かの調査を行っている最中に、委員長が議論を省いて未確定の方針を主張した形。結論ありきで進んでいるとしか思えない市教委と第三者委員会の姿勢に、関係者の間から不信の声が上がっている。

◇  ◇  ◇

 問題のいじめは、鹿児島市内の中学校で起きている、現在進行中の事例。今年8月に子供が受けているいじめについて訴えていた保護者に、市教委から「学校から重大事態の連絡があった。法とガイドラインにのっとり対応していく」との連絡があったことが分かり、ハンターが同月18日の配信記事で概要を報じていた。

(参照記事⇒《鹿児島市公立中で4件目の「いじめ重大事態」|5件目も浮上》)

 当該事案は市教委が設置した第三者委員会で調査することになり、10月30日に被害生徒と保護者への聞き取りが実施されたが、思いがけない委員長の発言は、その時に発せられていた。

 いじめを受けた被害生徒が、精神的なダメージを受けたため医療機関で受診したことについてやり取りするなか、保護者が診断書が準備できていないことを説明していると、委員長がこれを遮る形でこう言ったという。

 「まあ、これから大学病院とかどこか受診したとして何かしらの診断は出るのでしょうが、いずれにしても重大事態にはなりません

 聞いた保護者はあ然となり、言葉も出なかったと話す。
 「いきなり重大事態ではないと言われ、ショックでした。言葉が出ませんでした。何のための調査なのか分からなくなりました。それなら、もう結構という感じになりますよね。11月11日に釈明の電話をもらいましたが、ハンターの記者の方が昼間、この件で市教委に事実確認に行かれたのを知っていましたから、『ああ、言い訳なんだな』と分かりました。市教委も第三者委員会も信用できないですね」

 保護者がショックを受けた時点で、この第三者委員会は当事者としての資格を失ったといえる。「病院の診断書が出ても重大事態にはならない」と言い放った委員長の対応は、いじめ防止対策推進法が規定する「いじめの重大事態」に関する調査が適切に実施されるよう文部科学省が定めた「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を無視する暴走。ガイドラインは、いじめが起きた場合の対応について、まず学校の設置者(この場合は、鹿児島市教育委員会)及び学校に対し、次のように求めているからだ。

○ 学校の設置者及び学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という判断をしないこと状況を把握できていない中で断片的な情報を発信すると、それが一人歩きしてしまうことに注意すること。また、被害者である児童生徒やその家庭に問題があったと発言するなど、被害児童生徒・保護者の心情を害することは厳に慎むこと。

 さらに、重大事態の発生が認められて第三者委員会が設置された場合に被害児童生徒・保護者等に対する調査方針の説明などを行う際の注意点はこうだ。

「いじめはなかった」などと断定的に説明してはならないこと。

 第三者委員会の委員長が「重大事態にはならない」という結論を述べた10月30日は、当該事案について初めて聞き取りが行われた日。つまり、いじめの実態を確認するという入り口の段階で、結論が決まっていたことになる。第三者委員会の委員長は、ガイドラインの趣旨とはまるで違う姿勢で被害者側に不信感を与え、精神的な二次被害を招いたことを猛省すべきだろう。

 ハンターは今月11日、いじめの問題を所管する鹿児島市教育委員会青少年課を訪ね第三者委員会委員長の問題発言について事実確認を求めたが、同課からは今日に至るまで何の回答もない。鹿児島市教委や第三者委員会は、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が理解できていないか、あるいは初めからガイドラインを守るつもりがないかのどちらかだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【行政・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校で起きた3件の「いじめの重大事態」】  2021年11月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.11.05】:鹿児島県教育界への警鐘(5)|「事故報告書」が示す腐敗の実情

2022-03-04 06:17:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【HUNTER2021.11.05】:鹿児島県教育界への警鐘(5)|「事故報告書」が示す腐敗の実情

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.11.05】:鹿児島県教育界への警鐘(5)|「事故報告書」が示す腐敗の実情 

 鹿児島市内の公立小・中学校で起きた「重大事態」にあたる3件のいじめが、学校と教育委員会によって隠蔽されていた。ハンターが問題視したのは、いじめが認知された初動の段階において、学校の内部だけで処理し、教育委員会への報告を先送りしようとする教育現場の間違った姿勢だ。

前回の配信記事で述べた通り、福岡市では、いじめが認知された時点で学校が「事故報告書」を作成し、日を置かず市教委に提出するよう決められている。一方、鹿児島市では電話連絡で事を済ませたり、騒ぎが大きくなってから報告に及んだりと、デタラメな対応。両都市のいじめとの向き合い方には大きな違いがある。過去3年間以上、鹿児島市教委にはもちろん、県の教育委員会にも上がってきていないという「いじめの事故報告書」について、再検証した。

◇  ◇  ◇

 いわゆる「学校管理規則」は、全国の都道府県・市町村で制定されており、鹿児島市には「鹿児島市立学校管理規則」がある。その中で、児童について重要と認められる事故(交通事故を除く)が発生したときは、児童生徒事故報告書(様式第27の1)をもつてすみやかに教育長に報告しなければならない》(59条)と定めており、「様式第27の1」というのが下の用紙だ。

  報じてきたように、福岡市ではいじめを「事故」とみなして報告書を作成するが、鹿児島市では立派な報告書の様式を定めながら、ほとんど活用されていなかったことが分かっている。ハンターが確認した平成29年から令和2年までの4年間で、鹿児島市教委に提出されたいじめの事故報告は0件。鹿児島市立学校管理規則が規定する『児童について重要と認められる事故』は、発生していないことになっていた。ところが……。

 ■いじめ認知から10か月後の「事故報告」

 下は、今年6月25日に鹿児島市内にある公立中学校から市教委に提出された「児童生徒事故報告」。いじめが発生したのは「令和2年9月3日」、市教委への第一報は「12月2日」。この中学の校長は、いじめを超えた「暴行」を認知しながら、市教委への報告を3カ月間も怠っていたことになる。この日の記述から分かるように、学校側が市教委に連絡したのは、被害生徒の保護者が検査結果を持って「警察」に相談したからだ。なあなあで済ませるはずの事案が、刑事事件になりそうだと知って、あわてて取り繕った格好である。

  さらにお粗末なのは、この事故報告書の作成時期が、いじめの認知から10カ月も経った後だったこと。令和2年9月に発生したいじめなのに、報告書の日付は「令和3年6月25日」なのだ。ここ数年、1件もなかった事故報告書が提出されたわけだが、どうやらこれは、学校がいじめと向き合わなかった証しでしかない。

 実は、この報告書に記されたいじめこそ、本シリーズの被害者家族インタビューで、いじめの実態や学校・市教委への思いを訴えた「Cさん」のお子さんの事案。いじめと言うより、下記のように暴行傷害として立件されるべき酷い行為だったことが明らかとなっている。
・首を吊り上げた形で絞める。
・お姫様抱っこして3階の教室から落とそうとする。
・両手で頭を押させて扉に打ち付ける。
・高所恐怖症を知った上での肩車。
・死ね、殺すぞ、きもい、消えろ、臭いといった言葉の暴力――これが日常的に繰り返されていたにもかかわらず、学校も市教委も毅然とした対応を示していなかった。その結果、Cさんの子供は、県外の学校への緊急避難的な転校を余儀なくされている。

 10カ月も経って事故報告書が提出されたのは、今年5月に伊敷中学校でいじめの重大事態が隠蔽されていたことを知ったCさんが、市教委に対し個人情報開示請求を行って真相究明に乗り出したからに他ならない。上掲の報告書は、あわてた学校と市教委が、「学校管理規則を守った」という形だけ整えようとした証拠でもある。

 事故の[種別]は「いじめ(暴力行為)」、[程度]には「頸部痛、眼底出血、PTSD」とあり、刑事事件にすべき事案であったことがうかがえる。この事案が、なぜ「重大事態」にもならず、報道されるまで表面化しなかったのか?

 次に示した横長の文書は、「いじめの実態報告」に記載されたCさんの子供の事案。何度も指摘してきた《いじめの現在の状況》についての記入欄には、
 ・ア いじめが解消しているもの
 ・イ 一定の解消が図られたが、継続支援中
 ・ウ 解消に向けて取組中
 ・エ 他校への転学、退学等
 のなかの「ア(いじめが解消しているもの)」が記入されていた。

  暴行が止まず緊急避難的に県外の学校に通うことになったというのに、「いじめが解消」――。報じてきたすべての「重大事態」と同じように、学校と市教委がグルになって事実上の隠蔽が行われ、いじめの被害あった子供と保護者に、二重三重の苦痛を与えていた。

 早い段階での「事故報告」を義務付けている福岡市で、いじめの重大事態が隠蔽されていない事実と突き合せれば、鹿児島教育界の腐敗の度合いがわかろうというものだ。鹿児島市教委はもちろん、県内すべての教育委員会の仕事の内容やいじめの実態、さらには教育マフィアによる庇い合いを調査し、「子供のための教育行政」を実現するよう、関係者が話し合いを始めるべきだ。ハッキリ言うが、これは「政治」の責任である。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島市・市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けた事案】  2021年11月05日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.11.02】:鹿児島県教育界への警鐘(4)|福岡市との違いが示す「いじめ重大事態」隠蔽の背景

2022-03-04 06:17:20 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【HUNTER2021.11.02】:鹿児島県教育界への警鐘(4)|福岡市との違いが示す「いじめ重大事態」隠蔽の背景

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.11.02】:鹿児島県教育界への警鐘(4)|福岡市との違いが示す「いじめ重大事態」隠蔽の背景 

 鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受け、転校や通学校区の変更を余儀なくされていた。しかし、残されていたのは「いじめは解消」という虚偽の記録。いじめ被害にあった子供たちや保護者を切り捨てて保身を図っていたのは、学校と教育委員会だった。何故こうした事態が起きたのか、改めて背景をさぐった。

◇  ◇  ◇

 ハンターは今年3月、鹿児島市教育委員会に対し、2018年度(平成30年度)から2020年度(令和2年度)までの3年間に、市内の小・中学校から提出された「いじめの事故報告書」と、それぞれの事案に対する市教委の対応が分かる文書を開示請求した。市内の小中学校で起きた「いじめ」の内容と件数を確認するための作業だったが、市教委は当初、「校長の公印が捺してある事故報告書はない」などと詭弁を弄し、不開示を決定する。姑息な隠蔽だったことは確かで、その後の追及によって公立の小・中学校が市教委に提出する「いじめの実態調査」というA3版の報告文書が存在することが明らかとなる。(*下が「いじめの実態調査」)

  市教委がこの報告文書の存在を隠そうとした理由は一つ。いじめの重大事態が何件もあったことを、知られたくなかったからだ。事実、この文書の存在を確認したいじめ被害者の保護者は、個々に「個人情報開示請求」に踏み切り、記録文書の嘘やでっち上げが次々と暴かれることになる。その結果が、今年になっていきなり表面化した3件もの「重大事態」である。

 あわてた市教委は、第三者委員会を設置してそれぞれのいじめの検証をスタートさせたが、初動で「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を無視した対応に終始していたため、真相究明が実現するか否かは不透明な状況だ。

 ■福岡市―いじめ認知で「事故報告書」

 いじめが起きた場合、初動で学校側が間違った対応をとると、収まるはずのいじめがエスカレートし、小さトラブルから「重大事態」にまで発展するケースが少なくない。鹿児島市の場合、いずれの重大事態も、いじめが起きたことを市教委への口頭報告で済ませ、記録文書の作成が後回しになっていたことが分かっている。学校側と市教委の関係に緊張観はまったく感じられず、まさに“なあなあ”という言葉があてはまる現状だ。

 じつは、鹿児島市教委に限らず、同県の教育界全体のいじめ対応は、まるでなっていない。そもそも県教委に、過去3年間に県内の公立小・中学校で起きたいじめの重大事態が、1件も報告されていないということ自体が論外。あり得ないことだ。県のある教育関係者は「市町村レベルで(重大事態の認定が)止まっている」と断言する。いじめの隠蔽が報道されたとたん、鹿児島市で3件もの重大事態が認定されたことこそ、その証左だ。他都市と比較すれば、鹿児島県教育界の怠慢は一層明確になる。

 福岡市教育委員会への情報公開請求を通じて確認したところ、2018年度(平成30年度)から2020年度(令和2年度)までの3年間に、市内の公立小・中学校で起きた「いじめの重大事態」は疑いも含めて6件。鹿児島県全体で、5年も6年も重大事態が1件も発生しなかったという話が、いかに現実味のないものか分かる。では、いじめの実態を隠蔽し続けてきた鹿児島市と福岡市の違いはどこにあるのか――?ハンターは、鹿児島市教委への最初の情報公開請求でこだわった「いじめの事故報告書」(*下の画像参照)の取り扱いにあるとみている。

  福岡市教委への情報公開請求で入手した、市内の公立小・中学校で起きたいじめについての事故報告は、2018年度(平成30年度)から2020年度(令和2年度)までの3年間で95件。1件ごとに、いじめが認知された時点からの出来事が、時系列に沿って詳しく記されている。福岡市では従来から、いじめを「事故」として扱っており、この点が鹿児島と大きく違うところだ。いじめと真剣に向き合う福岡市、形だけの処理で済まそうとする鹿児島市――どちらがまともか、考えるまでもない。

 しかも福岡市では、いじめが確認された場合、時間を置かずに市教委に「事故報告」が提出される決まりとなっており、後になって被害者側と学校側が事実関係を巡って争うことがないように工夫されている。事故報告をみれば、学校側の対応がハッキリわかるということだ。

 一方、初動の記録や「事故報告書」の作成が義務付けられていない鹿児島では、平気でいじめ対応の真相が捻じ曲げられる。下の文書は、令和元年に鹿児島市立伊敷中学校で起きたいじめに関し、市教委が第三者委員会などに提出するため作成した“後付け”の資料。①令和元年11月12日に、加害生徒の保護者は、担任にいじめについて相談した。その際、加害生徒への個別指導を行わないよう要望した』。『担任は、学級への全体指導を行った。(指導状況を被害生徒の保護者へ報告した)』という記述や、校長は保護者に電話をした。保護者からは、教師からの声掛けがプレッシャーとなっているとのことであった』という記述が、捏造であったことが分かっている。

 ■福岡では明確な「被害者」と「加害者」

 福岡と鹿児島の最大の違いは、福岡市の事故報告書で明らかなように、「被害者」と「加害者」が明確に区別されていることだろう。これは初動の段階でいじめの実態をしっかりと掴まなければできない。そこに“曖昧さ”はなく、「悪いことは悪い」という最も大切なことを教えようとする教育関係者の覚悟がみてとれる。これに対し、鹿児島市教委に残された記録文書から見えてくるのは、実態をごまかしたり、平気で虚偽を書き連ねる“歪んだ教育者”の姿である。

 歪んだ教育者たちが何をやっているのか――。さらに詳しく個々の事例を検証してみたい。(つづく)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島市・市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けた事案】  2021年11月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2021.10.27】:鹿児島県教育界への警鐘(3)消えぬいじめの苦しみ 被害者家族インタビュー

2022-03-04 06:17:10 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【HUNTER2021.10.27】:鹿児島県教育界への警鐘(3)消えぬいじめの苦しみ 被害者家族インタビュー

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.10.27】:鹿児島県教育界への警鐘(3)消えぬいじめの苦しみ 被害者家族インタビュー 

 鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていたにもかかわらず、学校と教育委員会によって真相を歪められ、転校や通学校区の変更を余儀なくされていた。

 隠蔽の背景にあるのは、保身に走り、いじめを「解消した」とする虚偽の記録を残した学校と市教委の醜い姿勢。人を教え、導く立場の人間とは思えない悪魔の所業に、被害を受けた子供たちの保護者は怒りと不信を募らせる。では、その市教委が設置した第三者委員会や、地域社会のトップリーダーである市長や知事に何を望むのか――3人の保護者に聞いた。

 ■第三者委員会、市長、知事に望むこと

 学校や市教委が信用できないことは、私たちの取材でも明らかになっています。市教委は、存在する文書を屁理屈付けて『ない』などと平気で嘘をつきますし、文書の隠蔽も当たり前のようにやっています。課長をはじめ幹部職員が居留守を使うことは、皆さんも経験されているようです。このとんでもない組織が設置した第三者委員会が、報道を機に「重大事態」となった一連のいじめを検証しているのですが、要望したいことがありますか?また、鹿児島市長や知事に望むことがあれば、教えて下さい。

Bさん:第三者委員会の人たちにはどこを目指すのかを決めて、最終的にどういう風にしたいかという思いをみんなで共有しながら、しっかり手順を追ってやって欲しいなという思いがあります。それから、市や県にお尋ねしたいことは、教育委員会は必要なのかなということ。機能しない組織が必要なのかどうかということです。

広島のある女性が校長先生まで勤められて、自分の現職の時期から“市教委っていらないんじゃないかな”って思っていたそうで、退職後に教育長になられてから自分で学校に足を運んで、ちゃんとこういうことが守られているかとか様々なことを確認しているということでした。現場の学校の先生たちも、市教委も、もっと勉強して欲しいですね。それと、教育委員会には、他の分野の優秀な人を連れてくるべきだと思うようになりました。

いじめ防止対策推進法ができたきっかけの大津のいじめの第三者委員会には、有名な尾木ママ、尾木直樹さんが入っていました。だから、そういう方はどうやったらやってくるのかなって。どういう手法で呼んでいるのかなって。呼べるなら呼んで欲しいって思います。

Cさん:箇条書きみたいになりますが、考えてきたので読み上げますね。
・息子の楽しい人生を返して欲しい。
・息子の将来の人権を守って欲しい。
・子供の笑顔を返して欲しい。
・鹿児島の学校生活に不安を感じることなく、どこの中学校・高校に登校しても安心して笑顔で楽しく過ごせる状態を作って欲しい。
・息子が、学校の教職員に笑顔で会える状況を作って欲しい。
・信頼できる教職員のいる学校を紹介して欲しい。
・娘の楽しい中学生活を返して欲しい。
・加害者親子への責任追及。
・家族全員が、今回の苦しい思いを1日も早く忘れて、心から笑える日が訪れるよう最善を尽くして欲しい。
・重大事態の認定を怠っていた学校の管理職、市教育青少年課課長、教育長の処分を考えて欲しい。
――以上です。

Aさん:今の第三者委員会が機能しない場合は、いじめ防止対策推進法の規定に従って市長部局で新たな第三者委員会を設置し、改めて調査してほしいと思います。その上で、いじめが起きた当時の担任、学校、市教委に対して指導を行い、再発防止を図ってほしいですね。これによって、鹿児島市をはじめとする鹿児島県の子どもたちが、安心・安全の環境の中で成長できる環境を作っていただきたいと願っています。

 2時間余りにわたったインタビューを通じて分かったのは、いじめを受けた子供たちはもちろん、その子らの保護者も悩み苦しみ、時に絶望を感じながら理不尽と戦ってきたという現実だ。「理不尽」とは、いじめを訴えても正面から向き合おうとせず、加害者による形だけの謝罪で事を済ませ、「いじめは解消」と虚偽の記録を残して幕引きを図った教員や市教委の行為や、その結果、被害者が転校や通学校区の変更を余儀なくされたことを指す。何度も述べてきた通り、理不尽を招いているのは、いじめられた子供ではなく自分たちの立場や将来を優先する愚かな教員や教育委員会の職員だ。だから、ハンターの報道が始まるまで、鹿児島市内で起きた何件もの「いじめの重大事態」は隠蔽されていた。

 実は、こうしたいじめの隠蔽は、鹿児島市教委に限ったことでなく、県内自治体すべての教育現場で起きていると考えられている。ある県の教育関係者は、「大きな声では言えませんが」と断った上で、こう話す。
 「ハンターの県教委への情報公開請求で明らかになっているように、少なくともこの5年間、県にはいじめの重大事態は報告されていませんでした。『0件』ですよね。あり得ないと思っています。ハッキリ言いますが、市町村の教育委員会で、本来首長や県教委に報告すべき事案が、止まっているということです。言葉を変えれば“大規模な隠蔽”。今回のように報道でいじめの実態があぶり出されれば、次から次へと重大事態が出てくるはずです。鹿児島のこうした現状は、「いじめ防止対策推進法」や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が求めるいじめ根絶の方向性とは合致していません。ご指摘のように、教員免許を持った者どうしのかばい合いや、教育委員会の機能不全があることは確か。教育界には、新しい風が必要なんです」

 “大規模な隠蔽”という教育関係者の話を裏付ける事実がある。福岡市教育委員会への情報公開請求を通じて確認したところ、平成30年度から令和2年度までの3年間に、市内の公立小・中学校で起きた「いじめの重大事態」は疑いも含めて6件。鹿児島県全体で、5年も6年も重大事態が1件も発生しなかったという話が、いかに現実味のないものか分かる。では、鹿児島県のいじめ対応は、どこが間違っているのか――次週の配信記事で、詳しく検証していく。

(以下、次稿)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていた問題】  2021年10月27日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2021.10.26】:鹿児島県教育界への警鐘(2)「いじめ解消」は真っ赤な嘘 被害者家族インタビュー

2022-03-04 06:17:00 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・家庭での虐待・いじめによる自殺・児相】

【HUNTER2021.10.26】:鹿児島県教育界への警鐘(2)「いじめ解消」は真っ赤な嘘 被害者家族インタビュー

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.10.26】:鹿児島県教育界への警鐘(2)「いじめ解消」は真っ赤な嘘 被害者家族インタビュー 

 腐敗した鹿児島県教育界の隠蔽体質が、数々の“いじめ”を放置し、被害を拡大する原因になっていた。

 今年になって、次々と明らかになった鹿児島市内の公立小・中学校で起きた「いじめの重大事態」が、当該校と鹿児島市教育委員会によって隠されていたことは報じてきた通りだ。

 学校や市教委が優先してきたのは、子供ではなく自分たちの立場。市教委が設置した第三者委員会が検証している3件のいじめ事案に共通する、「いじめが解消」したという虚偽の記録こそが、その証拠である。その点について、いずれの被害者家族も怒りを隠そうとしない。

 ■「解消」されなかったいじめ

 ――残されていたいじめの報告書によれば、学校も市教委もきちんと対応したことになっていて「いじめが解消」と記載されていました。本当にいじめは解消していたのですか?

Bさん: とんでもない。解消していません。だからこそ、中学にあがる時点で、学区変更の申し出を余儀なくされたんです。市教委からは、学校が変わったから、いじめがやんだと言われましたが、『それは違うでしょ!』と言いたいですね。

Cさん:県外の学校に転校し、加害者と離れたことで、いじめの行為から逃れられただけで、いじめは解消されていません。よって、いじめの解消の定義は成り立っていない。そもそも、加害者側の言動や行動に、反省した様子は見られませんでしたから。学校や市教委は、ふざけているとしか思えません。

Aさん:いじめが解消しなかったため、やむを得ず転校を申し出たのです。報告書に「解消」とあったのを見て唖然としました。酷いでっち上げです。うちの子供は、転校後にようやく教室で授業を受けられるようになり、今は元気に高校に通っています。しかし、転校後も元級友に街で睨みつけられたりすることがあったため、今でもあまり外出したがらないのです。いじめが解消していれば、そんな思いをすることはなかった。学校や市教委には、憤りを感じます。

 

 各校が学期ごとに市教委に提出している「いじめの実態報告」には《いじめの現在の状況》について記入する欄があり、実情に応じて次のように4つに区分するようになっている。
 ・ア いじめが解消しているもの
 ・イ 一定の解消が図られたが、継続支援中
 ・ウ 解消に向けて取組中
 ・エ 他校への転学、退学等

 3件のいじめはいずれも解消していなかったが、報告書には「ア」(いじめが解消しているもの)と記載されていた。明らかな虚偽だ。特に伊敷中のケースは学期途中で転校を余儀なくされており「エ」(他校への転学、退学等)であったことは疑う余地がない。

 継続していた陰湿ないじめを止めることができなかったにもかかわらず、解消したとして「終わったこと」にした学校と市教委――。全国でいじめが事件化する度に繰り返されてきた、教育現場の「隠蔽」と同じ構図だ。

 保身に走った学校や鹿児島市教委は、いじめを助長し、被害者を増やしている元凶といえるだろう。では、学校や市教委の不作為によって、いじめの被害を受けた子供たちはどうなったのか――。

 ■いじめ継続で転学、学区変更

 ――いじめが継続した結果、皆さん方のお子さんは登校できなくなったり、特別教室での自習を余儀なくされるなど大変な事態になっていました。その結果、どうなりましたか?

Bさん:重大事態だと訴えているのに、学校も市教委も無視。何もしてくれない。子供は、卒業まで必死でがまんして、中学校に上がる時点で、学区変更を申し出ました。いじめが続いている以上、加害者と同じ中学には通えませんから。

Cさん: 日常生活はもちろん、将来にわたって支障をきたす可能性が高いけがを負っているというのに、加害者本人やその保護者が誠意を見せることも、自ら謝罪することもありませんでした。うちの子供の精神状態は時間と共に悪化し、恐怖心が増すばかりになっていました。学校や市教委は加害者を指導することもせず、うちの子供に『別の学校に行け』という始末。進級しても「いじめは解消されない!」と確信して、やむを得ず県外の学校に転校しています。

Aさん:いじめが解消しなかったため、学期途中でしたが、やむを得ず転校を申し出ました。転校後は、教室で授業を受けられるようになり、今も高校に元気に通っています。しかし、転校後も元級友に街で睨みつけられたりすることもあったこともあり、今でもあまり外出したがりません。いろいろ気を遣って過ごしているというのが実情です。

 3人の保護者の話から見えてくるのは、いじめの加害者が野放し状態になっているため、被害者がびくつきながの暮らしを余儀なくされているという現実だ。学区変更で環境を変えても、いじめの記憶はなくならない。トラウマが長く子供を痛めつけるという事実を、教育関係者は肝に銘じるべきだろう。

 そもそも、いじめの加害者が罰も受けずに学校に残り、被害者が本来の通学校を変更させられるというのは理不尽極まりない話だ。いじめが犯罪行為である以上、大人の犯罪者が裁かれて社会から隔離されるように、反省しない子供にこそ別の学校に移すなどの処分を下すべきではないだろうか。

 ■学校、市教委に言いたいこと

 ――3つのケースで共通しているのは、いじめの訴えにきちんと向き合わず、場当たり的に解決しようとした学校や市教委の姿勢です。Bさんは、明確に「重大事態」だと申し立てたにもかかわらず、一顧だにされなかった。AさんやCさんのお子さんも、事態が悪化して学区変更や他県の学校への転校という道を選ばざるを得なかった。先ほどの話でも出ましたが、学校や市教委がは「解消した」と虚偽の記録を残していました。彼らに対して言いたいことは?

Aさん:担任と校長、そして市教委のいじめに対する対応は法令に違反しています。担任がいじめに対応しない場合、校長が指導すべきですが、校長も指導しなかった。その場合、市教委が指導すべきですが、市教委も指導しなかった。さっきからの話の通り、個人情報開示請求で分かったことですが、中学校は市教委に「いじめが解消した」という嘘の報告を行っていました。

一方、市教委もいじめが解消していないことを申立書で知っていたにもかかわらず、今年6月の教育委員会定例会や8月の市議会閉会中審査に対して「いじめは解消した」という嘘の報告書を出しています。

私たちは、第三者委員会での調査の様子を確認したくて情報開示請求をしましたが、市教委は現在までのところ、必要以上に黒く塗りつぶされた書類しか開示していません。市教委が、調査を妨害しているとしか思えない。当時の担任、学校、教育委員会は、私たち被害者に寄り添うどころか、さらに痛めつけてきているんです。第三者委員会による調査については、期待している一方で、市教委のつくった委員会であることから、果たして機能するのかという懸念もあります。

Cさん:長くなってもいいでしょうか?(全員同意)
短く言うと、ショック、騙され続けていた、裏切られた、最低な対応、誰も信頼できない――ということです。学校や市教委が、「当たり前のこと」を「当たり前の時期」に「当たり前にしなかった」ことにより、私の子供は大きな傷を負っています。

早い時期に「重大事態」であることを認めて学校が動いていたら、被害はもっと少なかった。つまり、いじめ防止対策推進法や重大事態に関するガイドラインは全く守られていないということです。

相談を重ねても、その後の対応は全くなし。つまり相談したこと自体が無駄だったということです。この際、市教委の青少年課の業務内容をすべて公開し、いじめ事案の相談内容等の報告書に押印・決裁した理由や意味を明らかにして欲しいと思います。「いじめが解消」で決裁印が押されている以上、責任は、教育長や青少年課課長が取るべきでしょう。なのに、謝りもしない。

12月2日に市教委から「重大事態に認定するような事案」と報告を受けたのですが、「認定するような」ではなく、「重大事態に認定する」と報告するべきです。市教委はどんな指導をしているのでしょう?

今年の6月14日に開かれた市議会での教育長の答弁「いじめの解消は教職員の力量による」は、鹿児島市教育界のトップの言葉とは思えないお粗末なものでした。自分たちには責任がないという逃げ口上。本当に腹が立ちました。

2018年から2020年にかけて起きたいじめの事案が、2021年になって次々に重大事態と認定されるという異常な事態ですが、それは教育長の責任だと強く言いたい。「いじめが解消できなかったことは、教育長の私の責任が大きい」と答弁して欲しかったですね。本当に残念です。

市議会での教育長の答弁にも呆れました。「特にいじめられている側の生徒、保護者の心情に立った対応がなされていないことを大変遺憾に思う」――。そっくりそのままの言葉を、教育長、青少年課課長に返したいですね。

Bさん:なんか、Cさんが全部言ってくれたという感じです。私はいじめが顕在化した時点で、「重大事態」であることを、学校にも市教委にも訴えていました。それが「解消した」……。いじめ防止対策推進法やガイドラインも必死で勉強しましたが、それを守らなければならない学校や市教委が無視したことが許せません。報道があったとたん、「重大事態でした」……。学校や市教委を信用しろという方が無理でしょう。市長が代わっていなかったら、また隠蔽されていたかもしれませんね。伊敷中の問題で、再検討を指示された下鶴(隆央)鹿児島市長には本当に感謝しています。

 (以下、次稿)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていた問題】  2021年10月26日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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