路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【筆洗】:つぼを買いに来た男が、道具屋の店先に伏せて置かれているのを見て怒っている。

2019-04-14 06:10:15 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【筆洗】:つぼを買いに来た男が、道具屋の店先に伏せて置かれているのを見て怒っている。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:つぼを買いに来た男が、道具屋の店先に伏せて置かれているのを見て怒っている。

 江戸の小咄(ばなし)である。「こんな口のねえつぼがあるものか」。ひっくり返すと「底も抜けてる」。宇野信夫さんの『江戸の小ばなし』に学んだ▼次から次に失言が漏れ出てくるさまは底無しで、反省を促す苦い水だか、繰り返さないための知恵の水だかを注ごうにも、口が開いていない。五輪相を事実上更迭された桜田義孝さんに、天地がひっくり返っているつぼを思い浮かべた▼就任以来、さほど間を置かずに問題発言を連ねてきた人である。所信説明で誤読を連発したり、五輪経費の関係の千五百億円を「千五百円」と言ったり。笑い話として聞き流せるものもある▼ただ、耳をふさいでいるのか、開き直っているのか。批判されては、次が漏れてくる。単なるうっかりならば、これほどはないだろう▼そして今回である。復興を軽んじた。うっかり出てくる言葉と思えない。病と闘う池江選手に関する発言は一度批判されている。なのに、再び持ち出した。笑いを取ろうとしたか。反省があれば、ぜったいに出てこないはずの表現だ▼一強政権にはひびが入っているようで、失言での辞任は短期間に二人目である。ことわざに「空だるの音は高し」という。適材適所だったはずの内閣たたいてみれば、をふさいでも聞こえそうである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年04月13日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:4月11日(木)

2019-04-14 06:10:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:4月11日(木)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:4月11日(木) 

 【午前】8時29分、公邸から官邸。30分、報道各社のインタビュー。46分、英国の欧州連合(EU)離脱問題に関する関係閣僚会議。9時5分、谷内正太郎国家安全保障局長、秋葉剛男外務事務次官、高橋憲一防衛事務次官。48分、中曽根弘文自民党参院議員。10時23分、谷内国家安全保障局長、外務省の秋葉事務次官、森健良外務審議官、正木靖欧州局長。11時5分、全日本柔道連盟の金野潤強化委員長、井上康生男子監督らの表敬。27分、鈴木俊一元五輪相。37分、高島誠、藤原弘治新旧全国銀行協会会長。53分、宮崎牛、宮崎キャビア生産者の表敬。

 【午後】1時51分、宇賀克也、岡部喜代子新旧最高裁判事。3時、月刊誌「中央公論」掲載用にジャーナリスト田原総一朗氏のインタビュー。4時5分、秋葉外務事務次官。51分、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長、山上信吾経済局長、松島浩道農林水産審議官。5時8分、「日本の美」総合プロジェクト懇談会・「ジャポニスム2018」総合推進会議。53分、皇居。内奏、鈴木氏の閣僚認証式。6時42分、官邸。52分、鈴木氏に五輪相の補職辞令交付。記念撮影。59分、ジャポニスム2018「感謝の集い」レセプション。7時18分、公邸。デービッド・アトキンソン小西美術工芸社社長、菅義偉官房長官と会食。8時45分、全員出る。宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年04月12日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説②】:<虐待なくすために>(5)お父さんも育児休暇を

2019-04-14 06:09:55 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②】:<虐待なくすために>(5)お父さんも育児休暇を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:<虐待なくすために>(5)お父さんも育児休暇を 

 虐待予防の方策には考古学の精神が必要だと、NPO法人「カンガルーの会」(高知県)代表の沢田敬医師は考えている。国からの上意下達ではなく、親子とふだん接している人たちから現場での体験談を「発掘」し、積み上げていくことが大切だというのだ。

 確かに、保健師や保育士などの話を聞かせてもらい、ベテランの勘が、親子のSOSをすくい取るカギを握っていると感じた。状況に応じて力を発揮するには、経験を積み重ね、志を育む時間や余裕が必要だろう。仕事の量が過大になれば、その理想は遠ざかる。経験で培われる安全網を政策が支えられる社会になればと願う。

 一方で、高知で聞いた話から見えてこなかったのは、お父さんの存在だ。日本の子育てでお父さんはまだ「遠景」だと感じた。 

ヨハン・ベーブマン氏撮影

写真

 子育ての主役となったお父さんを題材にした写真展が世界六十五カ国以上を巡回している。「スウェーデンのパパたち」展=写真=だ(詳細はスウェーデン大使館=https://www.swedenabroad.se/swedishdads.jp)。スウェーデンは国から給付を受けられる育児休暇が四百八十日間あり、そのうち九十日は父親専用だ。写真展では六カ月以上育休を取った父親を紹介している。

 同国は親の子どもに対する体罰を一九七九年に法律で禁止。体罰を用いる人の割合は法施行前の九割以上から約一割まで減少した。大使館広報部のアダム・ベイエさんによると、育児休暇制度を充実させ、親のストレス水準が下がったことも、一つの要因と考えられるという。

 ベイエさんは「日本では企業文化が個人に与える影響が強いと感じる。企業の文化を変えるのがカギ」と話す。

 子どもの犠牲をなくすには、社会のありようを幅広く見つめ直す必要がある。 =おわり

 (早川由紀美が担当しました)

 ◇ご意見、ご感想をお寄せください。〒100 8505(住所不要) 東京新聞・中日新聞論説室 ファクス03(3595)6905へ

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月13日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:<虐待なくすために>(4)心にできたトゲを抜く

2019-04-14 06:09:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②】:<虐待なくすために>(4)心にできたトゲを抜く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:<虐待なくすために>(4)心にできたトゲを抜く 

 「息は吐かないと、吸えないよ」。高知県いの町地域子育て支援センター「ぐりぐらひろば」を三月に定年退職した保育士畠山あゆみさんは、子どものころ、父親から水泳を教えられたときに言われた言葉を仕事中に思い出していたという。「お母さんたちも、まずは気持ちを吐き出す場所が必要なんです」

 センターは妊婦や保育園に行く前の親子らが、遊んだりくつろいだりすることができる場所だ。保育士や保健師などに子育て相談に乗ってもらうこともできる。

 児童相談所での虐待対応件数は全国で年間十三万件を超え、十年で三倍以上に増えた。社会問題となる中で通報件数が増えているなどの事情もあるが、核家族化や地域のつながりの希薄化で、親子が孤立しがちになっていることも一つの構造的な背景と考えられる。国はセンターのような支援拠点を孤立を防ぐための事業と位置付けて後押ししており、全国で七千二百カ所以上に広がる。

 子どもたちが遊具で遊んだり、走り回ったりしているのはほほ笑ましい光景に見えるが、職員は心配なサインもさりげなく見守っている。親子で交わされる視線にトゲを感じるなど気になった時には、個別に話をする。お母さんたちの得意分野を生かしたイベントなどを開くこともある。自分自身が持っている力や良さに気が付いてもらいたいからだ。

 虐待をしていると打ち明けられるときもあれば、生きづらさを伝えられることもある。畠山さんはお母さんが人に弱みを見せられるようになることは、子どもにとっても意味があると考えている。「困ったら誰かに相談してもいいんだと、お母さんが背中で子どもに教えている」

 育児休暇が終わり、センターを「卒業」するお母さんから「これからは後輩に優しくする」「会社で『何でそんなことできないの』とイライラすることがあったけど、これからは違う」と言われたという畠山さんの言葉に考えさせられた。

 社会の中で人はさまざまな重圧を受けながら生きている。それは時に心のトゲに変わって誰かを傷つけることにつながることもある。親子関係に限らず、人の痛みや弱さを受容できる雰囲気を育んでいくことも、巡り巡って弱い立場にある子どもに気持ちの刃が向かない社会をつくる一つの道筋なのかもしれない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年04月12日 06:10:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:<虐待なくすために>(3)保育に志抱ける環境を

2019-04-14 06:09:45 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②】:<虐待なくすために>(3)保育に志抱ける環境を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:<虐待なくすために>(3)保育に志抱ける環境を 

 高知市中心部の保育園で園長をしていた前野當子さんが、沢田敬医師と出会ったのは二十年ほど前の園長会での講演だった。

 当時、複雑な事情を抱えた家庭の子どもが増えていた。心のもやもやが、園での乱暴な言葉やふるまいという形で噴き出していた。

 その後、仲間の保育士と沢田医師との勉強会を重ねた。子どもには「甘え」を受け止めてくれる存在が必要。もし親の心が弱って受け止められない状態ならば、親も支えてあげた方がいい-。そんな話を聞くうち、「(園にとっての)困った保護者」は、困り事を抱えた一人の人間だと想像できるようになった。

 「親なのに何でこんなことができないの」といういら立ちが、「しんどい中で、よう育ててきたね」という共感に変わると、保護者の方から悩み事を打ち明けてくれるようにもなった。

 いつもミニスカート、ハイソックスで一歳の子どもを預けに来る若いお母さんがいた。下にはゼロ歳児もいた。園を出てから翌朝登園するまでおむつが交換されていない日が続き、見かねた前野さんが家を訪ねると、こたつに電気が入っておらず、食べ物はふかしたイモしかなかった。生活保護の申請に付き添った。

 子どもの父親は家を出ていたが、三人目を身ごもっていた。園に来なかった日に家に行くと、自宅で一人で出産していた。赤ちゃんは低体温症で「菜っ葉色」になっていたが、救急車を呼び一命を取り留めた。

 その後、生い立ちを打ち明けられた。母親はアルコール依存症で自分もお風呂場で産み落とされたこと。施設に預けられたが、家に戻った後、よくたたかれたこと。子どもが卒園するときには「先生がお母さんだったら良かったのに」と抱きつかれた。お母さんは現在、三人目は里子に出しているが二人は自分で育てている。

 前野さんは十年前に定年退職し、沢田医師とともにNPO法人「カンガルーの会」で虐待予防に取り組む。保育園でも研修会をしているが現場のあまりの忙しさが気掛かりだ。

 国会では幼児教育・保育を無償化するための子ども・子育て支援法改正案が九日、衆院を通過。これから参院での審議が始まる。「無償化よりまず、受け持ち人数を減らし、保育士が志を持って子どもや親に向かいあえる余裕が必要」と前野さんは話す。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月11日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:<虐待なくすために>(2)辛い記憶の連鎖を断つ

2019-04-14 06:09:40 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②】:<虐待なくすために>(2)辛い記憶の連鎖を断つ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:<虐待なくすために>(2)辛い記憶の連鎖を断つ 

 妊娠が分かった時には、住んでいる市区町村に妊娠届を出し母子手帳を受け取る。高知県須崎市では、この時に記入してもらうアンケートに「よろしければあなたの子どもの頃についてお聞かせください」という項目を入れている。

 子どもの頃、甘えん坊だったかどうか。父母はどう接してくれていたか-。虐待予防の活動をしているNPO法人「カンガルーの会」代表の沢田敬医師が作ったひな型にもとづき、県内では同様の質問をアンケートに入れている自治体も多い。

 沢田医師のもとにはかつて「このままでは子どもを殺してしまう。助けて」と駆け込んできたお母さんがいた。逆上すると子どもを風呂に突っ込んだりしていた。お母さんも子どもの頃自分の親から海に突き落とされていた。

 須崎市の保健師、西本美公子さんは「子どもの頃について『楽しくなかった』『忘れた』などに丸を付ける人は心に留めるようにしている」と言う。表情など、何となく気になるお母さんの様子も裏面に書き留める。

 もちろん、虐待された過去があってもそれを子どもに繰り返さない親も大勢いるし、虐待に至る要因は複合的だ。ただ自分が虐待されていたことで子どもへの適切な接し方が分からず、虐待につながってしまう可能性なども指摘されている。

 心配なお母さんはより手厚く支えることで、辛(つら)い記憶があったとしても、その連鎖を断ち切りたいと西本さんたちは考えている。

 出産前後の家庭訪問では、信頼関係を築くことに心を砕く。ふすまが破れている場合などはDV(配偶者などへの暴力)を疑う。貧困など育児以外の心配事も、担当部局などと連携して支える。沢田医師は「自分が虐待を受けていた人は、なかなか人を信頼できない。生まれて初めて信頼する人が保健師さんの時もある」と話す。

 自治体で働く常勤保健師の数は全国で約三万五千人。介護予防などを行う地域包括支援事業など、仕事の領域は広がっている。「新たな領域に中堅が回り、母子保健は新人が担わないといけない状況が市町村の現場で出てきている」と西本さんは言う。

 政府は、虐待のある家庭の支援や介入に当たる児童相談所の体制を強化する方針を決めている。そこまで深刻化する前の、予防のネットワークをどう築き上げていくかも議論を深める必要がある。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:<虐待なくすために>(1)親も甘える誰かが必要

2019-04-14 06:09:35 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説②】:<虐待なくすために>(1)親も甘える誰かが必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:<虐待なくすために>(1)親も甘える誰かが必要 

 春の花で色づき始めた高知県の町で、生後三カ月になる赤ちゃんを連れたお母さんが、小児科医の沢田敬さん(79)=写真=と向かいあっていた。寝返りがうまくいかず泣きだす赤ちゃん。お母さんに手助けしてもらってうつぶせになると、笑った。 

赤ちゃんは本文と関係ありません

写真

 二カ月前、お母さんの心は極限状態にあった。「虐待する人は特殊な人と思われているけれど違う」と、自分の経験が役立てばという思いから、沢田医師との面談に同席し取材するのを認めてくれた。

 第一子の男児は死産だった。次に生まれたこの子をかわいいと思うと、お兄ちゃんに悪い。葛藤の中、赤ちゃんの激しい泣き声は、お兄ちゃんが「助けて」と叫んでいるようにも聞こえた。妖怪のようだと思った。「育てられない」と追い詰められた。

 異変に気付いた家族から沢田医師にSOSが届いた。地元の保健師とともに定期的にお母さんの話を聞き続けた。「お母さんの悲しい気持ちが響いて、赤ちゃんも泣いている。お母さん思いだね」。沢田医師はそう語りかけた。

 二カ月たってもお母さんは背中のあたりにお兄ちゃんの気配を感じることがあるという。それでも気持ちはずいぶん落ち着いた。「吐き出せる先があったから」

 沢田医師は高知県の公立病院や児童相談所に勤務し多くの親子に接する中で「甘えの力」に気づいた。親に甘えることで、子の原因不明の症状が消えていくこともある。でも、子どもの頃の虐待など、心に傷を抱えている親は、まずそれを誰かが受け止めてあげなければ余裕も生まれてこない-。

 二〇〇九年、保健師や保育士、医師らとNPO法人「カンガルーの会」をつくり、虐待予防の研修会などの活動を始めた。

 千葉県野田市の虐待事件を契機に、親の体罰禁止など法改正の議論が今国会で進む。「北風」の施策も必要だろうが、「太陽」もなければ、救える親子も救えない。社会が太陽であるとはどういうことか、沢田医師と高知県内を巡り考えた。 (早川由紀美)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月09日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:<2019統一地方選>後半戦告示へ わがまちの未来議論を

2019-04-14 05:05:55 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説①】:<2019統一地方選>後半戦告示へ わがまちの未来議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<2019統一地方選>後半戦告示へ わがまちの未来議論を 

 統一地方選はきょうから後半戦に入る。道内では函館や室蘭など11市長選と26市議選が告示され、16日には35町村長選と100町村議選が始まる。

 住民生活に最も近い自治体の代表を選ぶ大切な機会である。

 人口減少や高齢化が進み、地域の衰退は深刻さを増す一方だ。地方自治の現場も、議員のなり手不足などの危機にさらされている。

 単に今後4年間のかじ取り役を選ぶだけでなく、その先の将来も見据えて、住民が安心して暮らし続けられる地域をいかに築くか、しっかりと議論したい。

 函館市と室蘭市は無投票も取り沙汰されたが、ともに3選を目指す現職に挑む候補予定者が現れ、一騎打ちになる見通しだ。

 函館は地場百貨店の閉店やイカの不漁、室蘭は地元産業を支える企業の事業縮小などが地域経済に影を落とし、雇用などへの影響が懸念されている。

 選挙戦を、地域の中核的な市として、若者の働く場を確保し、人口流出に歯止めをかける方策を考える好機としなければならない。

 前市長の鈴木直道氏が次の道知事選に就任する夕張は、新人2人が全国唯一の財政再生団体のトップを争う構図だ。

 町村長選では、檜山管内乙部町が9期務めた寺島光一郎町長の引退で36年ぶりに選挙戦となる。上川管内美瑛町は町政史上最多の4人による激戦になる見込みだ。

 いずれも活発な政策論争を展開してほしい。

 一方で首長選が行われる46市町村のうち、28市町村が無投票になる可能性が高い。市町村議選は議員のなり手不足で、無投票どころか、定員割れもあり得る。

 留萌管内初山別村は村長選が道内最多の12回連続の無投票、村議選は定員割れの恐れが出ている。

 無投票当選は白紙委任ではない。自分の考えを説明する機会を積極的に設け、住民の意見をくみ取る努力が求められる。

 前回、道内でただ一つ定員割れした十勝管内浦幌町は、町民から議会活動の提言を受ける「議会モニター制度」などを導入し、なり手の掘り起こしに努めてきた。

 こうした活動を通じて、自分たちの声が代弁されていると実感できれば、議員を志す人が出てくるのではないか。

 問われているのは、選挙の時の主張だけでなく、日常の政治活動であることを忘れてはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月14日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:オスプレイ訓練 既成事実化を認めない

2019-04-14 05:05:50 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説②】:オスプレイ訓練 既成事実化を認めない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:オスプレイ訓練 既成事実化を認めない 

 道民の不安を無視した訓練を、また強行するつもりなのか。

 防衛省は、在沖縄米海兵隊の輸送機オスプレイが参加する日米共同訓練を、来年1~3月の間に道内で実施すると発表した。

 こうした訓練は2017年以来2回目だ。昨年も計画自体は立てられており、胆振東部地震で中止になった経緯がある。

 日米両政府が、道内での訓練を恒常的に行おうとする意図が明らかになったと言えよう。

 しかし、オスプレイは事故やトラブルが後を絶たず、安全性への懸念は払拭(ふっしょく)されていない。

 道民の生命や暮らしを危険にさらす恐れのある訓練を、既成事実化することは到底認められない。両政府は計画を撤回すべきだ。

 来年の訓練は、前回よりも心配すべき要素が増えている。

 一つは訓練空域の拡大だ。

 陸自帯広駐屯地(帯広市)の十勝飛行場を拠点に、北海道大演習場(恵庭市など)や矢臼別演習場(根室管内別海町など)といった複数箇所での実施が想定される。

 演習場の間を移動するルートなどには、市街地の上空が含まれる可能性がある。

 ひとたび事故が起これば住民を巻き込みかねない。

 沖縄県宜野湾市にある小学校の運動場に、米軍大型輸送ヘリコプターの窓が落下した事故は記憶に新しい。

 墜落や緊急着陸に至らなくとも、オスプレイで同様の事故が起きないとは言い切れまい。

 訓練を初めて冬季に実施する点も看過できない。

 米軍側はさまざまな自然環境下での訓練を求めているようだが、そもそもオスプレイの積雪寒冷地での訓練実績は皆無に等しい。道民の懸念は当然だ。

 機体が暴風雪に見舞われたりして、不測の事態に陥る危険性がないと保証できるのだろうか。

 オスプレイの分散訓練が、日米両政府が説明するように「沖縄の負担軽減」に結び付いているのかも疑わしい。

 むしろ、オスプレイの使用を国内でなし崩しに広げていく狙いが透けて見える。

 オスプレイは昨年、周辺に住宅が密集する横田基地(東京都福生市など)にも正式配備され、住民の不安が高まっている。

 オスプレイの基地や訓練がどうしても必要ならば、国外で、住民被害を招く恐れがない場所に移すべきだ。真の意味で沖縄の負担軽減にもつながるだろう。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:ひきこもり

2019-04-14 05:05:45 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【卓上四季】:ひきこもり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:ひきこもり

 「このまま父も母も年を取ってしまったら、私もいっしょに死ぬしかないのでしょうか。誰か私を助けてください」。対人恐怖症からひきこもりになってしまった30歳の女性が、SOSの手紙を入れたペットボトルを水田に置いた▼これを拾った農家の青年との交流を通じて、女性は徐々に立ち直っていく。そんな姿を描いた小説「稲の旋律」の作者、旭爪(ひのつめ)あかねさんは、自身も大学院での研究生活の行き詰まりをきっかけに20代後半から約10年間、ひきこもった経験があるという▼ひきこもりの長期化、高齢化が指摘されてきた。40~64歳の中高年を対象に、内閣府が初めて実施した調査は、これを裏付けた形だ。全国で推計61万人超がひきこもり状態にあり、その半分は5年以上との結果が出た▼若者の問題と思われがちだが、40歳を過ぎてからひきこもった人が約6割を占めている。退職、人間関係、病気といった理由で、幅広い年代で起こり得ることが分かった▼従来の国のひきこもり対策は、若年層を想定した就労支援中心だったが、中高年層には、過酷な労働環境に疲れ果てた人もいるだろう。仕事を無理強いしても長続きはしまい▼「稲の旋律」で農家の青年は、「効率的でないということは、本当にそんなに悪いことなのか」と問いかける。回り道に見えても、ほっとひと息つける居場所の提供から、支援を組み立て直す必要がある。2019・4・14 

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年04月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:戦闘機F35墜落 徹底した究明欠かせぬ

2019-04-14 05:05:40 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:戦闘機F35墜落 徹底した究明欠かせぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:戦闘機F35墜落 徹底した究明欠かせぬ 

 航空自衛隊三沢基地(青森県)の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが訓練中、青森沖に墜落した。F35の3タイプのうち、米空軍仕様のA型の墜落は世界で初めてだ。

 洋上でなく市街地だったなら大惨事になった可能性がある。基地周辺で住民の不安が高まっているのは当然だ。

 自衛隊機の重大事故は、昨年2月の佐賀県でのヘリ墜落や一昨年5月に北斗市で起きた偵察機墜落など後を絶たない。再発防止策が実効性を伴っていない。

 今回墜落したのは日本の次期主力戦闘機で、1機100億円を超す。政府は大量調達する計画だが、米国から「言い値」で購入し、防衛費増大の一因とされる高額装備品の一つでもある。

 安全面だけでなく、多額の税金を投入する点からも徹底した原因究明が欠かせない。結果次第では調達計画の見直しが迫られよう。

 岩屋毅防衛相は同型機の飛行見合わせを表明した。原因がはっきりしない限り、飛行再開は認められない。操縦士の捜索には全力を挙げてもらいたい。

 F35は敵のレーダーに映りにくいステルス性に優れるが、かねて技術的な問題が指摘されていた。

 米政府監査院(GAO)の報告書によると、昨年1月時点で千件近い問題が見つかっていた。今回の墜落機も過去2回不具合があった。短距離で離陸し垂直に着陸できるB型は昨年墜落例がある。

 今回の事故も、機体の欠陥だった可能性が疑われる。

 政府はこれまでにF35Aを13機調達し、今年3月、三沢基地に飛行隊を編成したばかりだった。

 操縦技術の面で問題がなかったかも検証する必要があろう。

 政府はF35を将来的に147機体制とする方針だが、この大量調達はトランプ米大統領の対日貿易赤字削減要求を受けたものだ。

 安全保障政策を貿易問題の取引に絡め、技術的な問題を後回しにしていなかったか、気になる。

 F35は、米側が提示した価格や納期を日本側が受け入れる対外有償軍事援助(FMS)の仕組みを通じて購入している。

 FMSによる高額装備品の調達は本年度7千億円を超え、10年前の10倍以上に増える見通しだ。

 F35Bは護衛艦「いずも」への搭載が予定され、事実上の空母化につながる装備でもある。

 そもそも専守防衛を基本とする日本がF35を大量調達する必要性はどこにあるのか。政府は多面的に検討し直すべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:英EU離脱延期 展望なき問題先送りだ

2019-04-14 05:05:35 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:英EU離脱延期 展望なき問題先送りだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:英EU離脱延期 展望なき問題先送りだ 

 期限を先延ばししたからといって、合意なき離脱の危機が去ったわけではない。

 英国の欧州連合(EU)からの離脱が最大で10月末まで約半年間、延期されることになった。延期は3月末に続いて2度目である。

 メイ首相とEUの間で合意した離脱協定案を英議会が承認すれば、それ以前の離脱も可能だ。しかし、協定案が下院で過半数の賛成を得られる展望はない。

 議会の同意が得られないまま、いたずらに時間が過ぎることになれば、再び合意なき離脱が現実味を帯びてくる。

 度重なる期限の延期をメイ氏も下院議員も重く受け止める必要がある。決められない英国がEUを振り回しているのが現状だ。

 それぞれが知恵を絞り、解決策を早期に示してほしい。

 離脱協定案は与党・保守党の支持を得られず、下院で3度にわたって否決された。

 英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理を巡る問題が原因である。過去の紛争を再燃させないため、自由な往来は保証しなければならない。

 しかし、国境に税関を置かずに関税徴収する方法が見つかっていない。このため英国全体がEUの関税同盟に残留する可能性があり、それではEUからの離脱とは言えないというのだ。

 メイ氏は保守党の強硬離脱派を見限り、野党第1党の労働党との間で妥協案を協議している。しかし、労働党は恒久的に関税同盟に残留することを求めており、メイ氏との隔たりは大きい。

 メイ氏は5月22日までに下院の承認を得て、欧州議会選に参加せずに6月の離脱を目指す考えだ。

 EUは協定案の再交渉には応じない構えで、メイ氏の取り得る選択肢は限られる。だが、なりふり構わぬ強引なやり方では承認を得られないことを認識すべきだ。

 EUの側に足並みの乱れが見えるのも心配だ。

 ドイツのメルケル首相らは1年の延期に賛同したが、フランスのマクロン大統領は国内事情も絡み、短期の延期しか認めない方針だった。10月末までの延期はその折衷案と言える。

 英国の離脱問題が長引き、EUが不安定になれば、各国で台頭する反EU勢力が欧州議会選で伸長することにもなりかねない。

 とはいえ、混乱を招く合意なき離脱は英国、EU双方にとって回避したいシナリオだ。EUの側にも柔軟な対応を望みたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:皮膚感覚で

2019-04-14 05:05:30 | 【待機児童問題・認可、無認可保育園・認定こども園・子育て世代、産休・育休・...

【卓上四季】:皮膚感覚で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:皮膚感覚で

 「保育園落ちた日本死ね!!!」―。そんな刺激的なタイトルのネット投稿が反響を呼んだのは、2016年3月。まだ、記憶に新しいのではないか▼投稿の主は、子どもが保育園に落ちたため仕事を辞めざるを得ないと焦る母親。コメントは、待機児童対策の遅れにうんざりしていた母親らの怒りに火を付ける。国会でも取り上げられて、安倍晋三政権が保育所増設を加速させるきっかけとなった▼そして今、内容はともかく、幼児教育、保育の無償化実施のための子ども・子育て支援法改正案の国会審議が進む。わずか10文字と三つの感嘆符が政治を大きく動かしたのだ▼旭川出身の藤原辰史・京大准教授が、本紙で指摘していた。「生活に追われる人びとこそが、政治の本質を皮膚感覚で語ることができる」。さらに「しわよせを一身に受けている人から絞り出される言葉は、同じ感覚を抱く人びとに届き、政治を動かす」と▼市長選、市議選があす告示され、統一地方選後半戦が始まる。政治など考える余裕はない、という人も少なくないだろう。だが、暮らしの全ては政治とつながっている。特に地方選は、私たちを取り巻く身近な課題が争点となる▼ならば、日々の生活に追われている私たちが声を上げることこそが、暮らしをより良くする原動力になるはずだ。一人一人が自分の、そして地域の課題に目を向け、投票所に足を運びたい。2019・4・13

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年04月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:桜田氏更迭 首相の対応が遅すぎた

2019-04-14 05:05:25 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説①】:桜田氏更迭 首相の対応が遅すぎた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:桜田氏更迭 首相の対応が遅すぎた 

 なぜ任命し、なぜ早く辞めさせなかったのか。そこが問われる。

 桜田義孝五輪相が自民党の高橋比奈子衆院議員のパーティーで、東日本大震災の「復興以上に大事なのは高橋さんだ」と発言し、安倍晋三首相は直後に更迭した。

 被災地の感情を逆なでする発言は論外であり、更迭は当然だ。

 だが桜田氏は入閣当初から失態続きで、閣僚の資質に欠けることは明白だった。首相がかばい続けてきたことにより、東京五輪・パラリンピックのイメージダウンを招いた。この結果は罪深い。

 第2次安倍政権発足後、閣僚の辞任は実に8人目だ。先週は塚田一郎国土交通副大臣が「忖度(そんたく)」発言で引責辞任した。長期政権の緩みも極まったとの感がある。

 桜田氏は9日の参院内閣委員会で宮城県の石巻(いしのまき)市を「いしまきし」と3回言い間違えた。先月には、震災直後に東北の交通網が「健全に動いていた」と述べ、事実誤認を認め撤回している。

 政府は東京五輪を「復興五輪」と位置付けている。なのに五輪相が被災地の地名や震災の状況すらまともに語れないようでは、看板に偽りありと言わざるを得ない。

 2年前には「(被害が)まだ東北でよかった」と発言した今村雅弘復興相が辞任した。首相は「復興は政権の最重要課題」「全員が復興相」と繰り返すが、口先だけで真剣味がまるで感じられない。

 見過ごせないのは、自民党の安倍1強体制の弊害だ。

 昨年9月の党総裁選で石破派を除くほぼ全ての派閥の支援を受けた首相は、直後の内閣改造で各派の入閣待望組を多く起用し、「滞貨一掃内閣」とも呼ばれた。

 二階派の桜田氏はその象徴とされ、適格性より党内の派閥力学を優先させた論功行賞人事だった。首相の任命責任はそこにある。

 こうした国民不在の姿勢は、首相が麻生派の塚田氏を忖度発言後も直ちに辞任させず、当初は擁護していたことにも共通する。

 忖度発言の舞台となった下関北九州道路計画を巡っては、新たな事実が明らかになっている。

 麻生太郎副総理兼財務相の地元福岡県選出で麻生派の大家(おおいえ)敏志参院議員も、首相と麻生氏の意向を忖度して整備促進を働き掛けたと受け取れる発言をしていた。国会での徹底解明が不可欠である。

 野党側はきのう、首相も出席する衆参予算委員会の集中審議開催を要求した。副大臣、閣僚が続けて辞任する政権の異常事態だ。与党に拒否する理由はない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月12日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:イスラエル選挙 和平の枠組みを壊すな

2019-04-14 05:05:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:イスラエル選挙 和平の枠組みを壊すな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:イスラエル選挙 和平の枠組みを壊すな 

 イスラエル総選挙は右派勢力が過半数を占め、ネタニヤフ首相が続投する見通しとなった。

 ネタニヤフ氏はトランプ米大統領の強力な後押しを受け、対パレスチナ強硬策を取ってきた。

 選挙戦最終盤には、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を併合する考えも表明した。

 占領地に入植地を建設すること自体が国際法違反とされる。それらを併合するとなれば、パレスチナ、アラブ諸国の反発は必至だ。

 イスラエルとパレスチナの2国家共存を目指す和平の枠組みは行き詰まりの状態にある。これが完全に崩壊しかねない。

 この地域が一段と不安定になれば、影響は中東全域に及ぶ。ネタニヤフ氏は強硬策でパレスチナや周辺国と対峙(たいじ)するのではなく、和平の枠組みに戻るべきだ。

 ネタニヤフ政権は連続10年、通算13年に及び、続投すれば7月にも建国以来最長の政権となる。

 ネタニヤフ氏は検察から収賄罪などで起訴する方針を示され、同氏率いる右派「リクード」は苦戦が予想された。にもかかわらず国会120議席のうち35議席と、前回総選挙を上回る支持を集めた。

 ガンツ元軍参謀総長の中道政党連合「青と白」も躍進したが、同数の35議席にとどまった。

 勝因には、ネタニヤフ氏の盟友であるトランプ氏の存在が指摘される。トランプ氏は3宗教の聖地であるエルサレムをイスラエルの首都と認定し、米国大使館を移転させた。

 選挙戦中にも、シリアから奪ったゴラン高原についてイスラエルの主権を承認し、イスラエルと敵対するイランの革命防衛隊をテロ組織に指定した。右派の票を固め、情勢に影響した可能性がある。

 気がかりなのは米国が近く公表する新中東和平案である。イスラエル寄りの内容となるのは間違いなく、新たな火種となりそうだ。

 米国は本来、中立的な仲介役であるべきだ。トランプ氏はネタニヤフ氏に肩入れするのではなく、自制を促さなければならない。

 今回の選挙で1993年のオスロ合意を主導し、2国家共存による和平合意を目指してきた労働党はわずか6議席と落ち込んだ。

 イスラエル全体が右傾化を強める中、パレスチナ自治区では武力による抑圧、人権侵害が続く。ガザでは占領への抗議デモにイスラエル軍が発砲し、この1年だけで200人以上が死亡した。

 日本を含む国際社会もこれまで以上に関与を強める必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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