1961年(昭36)の開場以来、東京都の高校野球の聖地だった神宮第2球場が3日、フィナーレを迎えた。
最後の試合は秋季都大会準々決勝、日大三-帝京。偶然ながら出来すぎの屈指の好カードに「ラガーさん」として知られる善養寺隆一さん(53)ら高校野球ファンが早朝から詰めかけ、試合前に入場規制になった。神宮第2は東京オリピック(五輪)後、解体され、ラグビー場に生まれ変わる。

神宮第2球場で開催される高校野球最後試合、秋季都大会準々決勝の帝京対日大三戦が満員のスタンドで行われた。右はゴルフ練習場(撮影・柴田隆二)

神宮第2球場で開催される高校野球最後試合、秋季都大会準々決勝の帝京対日大三戦が満員のスタンドで行われた(撮影・柴田隆二)

ラストゲームもバックネット裏最前列で観戦した「ラガーさん」こと善養寺隆一さん

神宮第2球場で開催される高校野球最後試合、秋季都大会準々決勝の帝京対日大三戦が終わり17時15分にシャッターが閉じられた(撮影・柴田隆二)
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神宮第2の58年の歴史に終止符を打つ一戦に、前日夕方から場所確保のシートの列は伸びた。甲子園でも神宮第2でも常にバックネット裏最前列でラガーシャツ姿で観戦していることから「ラガーさん」と呼ばれる善養寺さんも、一番前で場所取りを済ませ、この日は午前6時に姿を見せた。
「小4のときから40年以上通っています。1000試合は見ていると思います。本球場(神宮球場)は夏しか使えないから、神宮第2はまさしく東京の高校野球の聖地ですよね。本当に狭いけど、スタンドが低くてグラウンドレベルに近い。選手との距離感がいいんです。ゴルフ練習場付きなんて、全国でここだけですよ」。
一塁側には121打席のゴルフ練習場。右中間から左翼にかけては高さ48メートルの防球ネット。ゴルフボールの直撃を避けるため、スコアボードを右翼後方に置いている不思議な構造は、初めて神宮第2を訪れた人を仰天させる。高校野球開催日でも午前5時30分~8時45分は練習場。グラウンドに散らばった数千個のボールを回収して試合を始め、試合終了30分後から午後11時までは再び練習場。こんな不思議な球場は神宮第2だけだ。
場長としての8年をはじめ計16年、神宮第2に勤務した柴広一さん(明治神宮外苑テニスクラブ場長=59)は「人工芝になる前の土の時代は、ボールで凸凹になっていました。土の中に潜っちゃって、試合中に出てきたなんて話もありました」と苦笑する。
そんな異色の聖地の最後に、試合前、都高野連は異例の式典を行い、堀内正会長が「今日をもってお役目終了になります。長い間、ありがとうございました」とあいさつした。収容5636人、通路まで立ち見客で埋まったのスタンドからは神宮第2への感謝の拍手が送られ、スマホのシャッター音が続いた。「外野の人工芝ははげてつるつる。危ないし、狭くて膨らみがないから、10点ゲームが多くてピッチャーが育たない球場でした。でもこれで見納めです。名残惜しいです」。善養寺さんは残念そうに別れを告げた。【中嶋文明】
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京都・神宮外苑】 2019年11月03日 21:48:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。