路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【兵庫県知事選 あの熱狂の中で・第1部】:さいとうさんと「私」(1)疑問と違和感  

2025-03-03 05:30:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県知事選 あの熱狂の中で・第1部】:さいとうさんと「私」(1)疑問と違和感     

 『漂流する日本の羅針盤を目指:【兵庫県知事選 あの熱狂の中で・第1部】:さいとうさんと「私」(1)疑問と違和感   

 ■情報氾濫「どっちが本当?」 それぞれのイメージ、膨らんでいった

 連日連夜、兵庫県政のニュースがこれほど注目されたことがあっただろうか。

 発端は知事の斎藤元彦の一言だった。「業務時間中にうそ八百を含め、文書を作って流す行為は公務員として失格です」

 昨年3月27日。恒例の春の人事異動がトピックとなるはずだった知事会見の直前、退職を4日後に控えた元西播磨県民局長の解任と「退職取り消し」という異例の処分が発表された。

兵庫県議会の百条委員会で宣誓する斎藤元彦知事=2024年8月、兵庫県庁(代表撮影)

 兵庫県議会の百条委員会で宣誓する斎藤元彦知事=2024年8月、兵庫県庁(代表撮影)

 記者からの質問に対し、斎藤は元県民局長が「ある文書」を作成した可能性が高いため、と言及した。文書には斎藤の部下に対するパワハラや、プロ野球の阪神とオリックスの優勝パレードを巡る補助金のキックバックなど、7項目の疑惑が記されていた。

 「いま一度、県庁全体の綱紀を粛正する必要がある」と斎藤。「告発文書問題」が公になった瞬間だった。

 文書のどこが「うそ八百」なのか。斎藤はその後の会見で問われても「人事課が調査中。一つ答えると、全てに答えないといけない」と回答を避け続けた。

 5月7日、県は元県民局長を停職3カ月の懲戒処分にする。元県民局長は4月4日に公益通報制度の窓口に通報、受理されていたが、斎藤はその調査結果を待つ必要はないと判断した。

 斎藤への批判は日増しに高まり、県議会は地方自治法第100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)設置を決定。そして、7月8日。衝撃のニュースが駆け巡る。「元県民局長が死亡。自殺とみられる」

 ここから兵庫県政のニュースが爆発的に流れ出す。ワイドショーは連日のように特集を組み、米大リーグの大谷翔平選手のニュースを押しのけて報じた。

            ◆    ◆

 神戸市西区の横山新一(76)は、元県民局長が百条委の尋問を前に亡くなったことが理解できなかった。知人にLINE(ライン)でこう送った。〈言いたいことを言える絶好の機会の筈(はず)なのになぜ〉

 県庁でいったい何が起きているのか。西宮市のパート従業員、佐藤明美(60代)=仮名=はネットで検索してみたが、よく分からない。「X(旧ツイッター)」をのぞくと、知事への批判が並んでいる。〈邪悪な斎藤を引きずりおろせ〉。やっぱりそうなのか。

 百条委の尋問が始まると、神戸市須磨区の鈴木陽子(53)=仮名=は、疑惑をかたくなに否定する知事に違和感を覚えた。「この人は罪悪感を全く感じないサイコパス(冷酷で感情に欠ける人)なのか、それとも本当に非がないのか。どっち?」

 一方、新温泉町の高橋勇(85)、和子(75)夫妻=いずれも仮名=はマスコミの「どこも悪い知事と決めつけ、徹底的にやっつけるような報道」に不信感を募らせた。「あれでは知事があまりにかわいそう」

 9月19日、県議会は「知事としての資質がない」として不信任決議を突き付け、全会一致で可決した。7日後、出直し選挙への立候補を表明した斎藤は駅前に立ち始める。

 西宮市の会社員、田中誠(47)=仮名=は「こいつ、ちょっとおかしいんちゃうか」との印象を持った。ところが、先輩社員の反応は違った。「利権にメスを入れようとしたらしい。あの人は悪くない」

              ◆    ◆

 始まりは小さな疑問や違和感、あるいは同情心だった。そして「さいとうさん」のことをもっと知りたいという人々の欲求の高まりが、ネットや交流サイト(SNS)で情報を拡散させていく。

 マスコミにいじめられる「さいとうさん」、口べたな「さいとうさん」、丁寧にお辞儀をする「さいとうさん」、若者向けの政策に力を入れる「さいとうさん」、既得権益と闘う「さいとうさん」…。

 それぞれに抱く斎藤のイメージが膨らんでいった。=敬称略=

(連載取材班)

    ◇

 兵庫県知事選では「何が真実か」を巡って、さまざまな意見が飛び交いました。連載「さいとうさんと『私』」では、有権者がどう向き合ったか、その心の動きや現象を伝えます。

 ご意見、ご感想をお寄せください。特設メールのアドレスは、chijisen@kobe‐np.co.jpです。

 取材させていただくこともありますので、できれば連絡先を記してください。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 NEXT 主要ニュース 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選挙】  2025年03月01日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【兵庫県知事選 あの熱狂の中... | トップ | 【兵庫県知事選 あの熱狂の中... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】」カテゴリの最新記事