【筆洗・01.23】:引退した元野球選手が野球殿堂入りの投票資格を持つ記者にこう…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・01.23】:引退した元野球選手が野球殿堂入りの投票資格を持つ記者にこう…
引退した元野球選手が野球殿堂入りの投票資格を持つ記者にこう尋ねた。「なぜ、オレに投票しないんだい?」。記者は答えた。「ごめん、まだ現役だと思っていた」-
▼マリナーズなどで活躍したイチローさんの米野球殿堂入りに有名な野球ジョークを思い出した。ヤンキースの名クローザー、マリアノ・リベラ元投手に続き、史上2人目の「満票」による選出が期待されたが、わずかに1票足らなかった
▼日本人選手の米殿堂入りはこれが初。数々の偉業を成し遂げた名選手が引退から6年後に残した、もう一つの快挙がまぶしい
▼大リーグ通算3089安打、シーズン最多安打記録(262安打)を誇る名選手に投票しなかった「へそ曲がり」の気が知れぬが、今も若々しいイチローさんの姿にまだ現役と勘違いしたと思うことにするか
▼「満票」が難しいのは歴代の名選手との比較になるためという。デレク・ジーター、グリフィー・ジュニアといった大選手も満票では選ばれていない。こうした歴史に満票選出をためらう記者も中にはいるらしい。それを思えば「一漏」の得票率99・7%がいかに大きな支持による選出だったかが分かるか
▼常に完璧を求め、技術向上に取り組んだ現役時代に重ね、イチローさん、1票足らなかったことに「不完全であるというのはいいこと」。これもイチロー名言集の殿堂入り候補である。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2025年01月23日 07:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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