【社説②】:北の核・ミサイル 資金源の遮断急がねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:北の核・ミサイル 資金源の遮断急がねば
北朝鮮が18日、首都平壌付近から北東の日本海に向けて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発を発射した。
火星18は全米を射程に入れる固体燃料式の新型ICBMで、高角度のロフテッド軌道で打ち上げたものとみられる。国連安全保障理事会決議に違反する行為であり、断じて容認できない。
北朝鮮の弾道ミサイル発射は人工衛星の打ち上げも含めて今年21回目。17日の短距離弾道ミサイルの発射に続き2日連続だった。
開発を急ぐ最大の目的は、射程が異なるミサイル発射で日米韓3カ国の攻撃が可能だと威嚇し、核を保有する軍事大国として対米交渉などで外交の主導権を確保することにあるのだろう。
しかし、国連総会の軍縮委員会は10月、北朝鮮は「核保有国の地位を得ることは決してできない」とする決議案を採択した。
北朝鮮は国際社会の声を誠実に受け止めねばなるまい。
国際社会にとって喫緊の課題は北朝鮮が近年の制裁で落ち込んだ外貨収入を獲得するための新たな手段としている不正なサイバー活動を阻止することである。
北朝鮮に対する制裁状況を調べる国連安保理の専門家パネルは9月に中間報告書を公表し、同国が2022年、世界各地の金融機関や暗号資産(仮想通貨)業者などへのサイバー攻撃で、推定17億ドル(約2450億円)を盗んだと指摘した。21年の4億ドルから激増しており過去最高だという。
盗んだ資金の大半は核・ミサイル開発に充てられたとみられる。日米韓3カ国を軸に国際的な連携を強め、不法な外貨獲得の遮断を急ぐよう求めたい。
安保理では、度重なるミサイル発射を巡り、拒否権を持つ常任理事国の中国やロシアが北朝鮮を擁護する姿勢を崩しておらず、国連が一致して行動することができない状況が続いている。
中ロ両国の無責任な振る舞いは地域情勢を緊張させる重大な原因になっている。日米韓3カ国は結束してこうした現状も国際社会に強く訴えていかねばなるまい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年12月21日 08:25:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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