【筆洗・01.26】:時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・01.26】:時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分…
時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分かりにくいものが多いようだ。「戦後政治の総決算」(中曽根政権)、「品格ある国家」(宮沢政権)、「美しい国」(安倍政権)…。
風格や重々しさを狙っているのか、どうも大げさで押し付けがましくもある
▼戦後政治で最も軟らかい政権キャッチフレーズかもしれない。石破首相の「楽しい日本」である
▼子どもじみたユートピア論を思わせるが、「楽しい」という個人の幸福感に焦点を当てるのは発想として悪くない。こういう政権スローガンは珍しい
▼もっとも「楽しい」の中身がよく見えぬ。元ネタは作家の堺屋太一さん。明治期に国は「強い国」を目指し、戦後の復興期や高度成長期は企業主導で「豊かな国」を目指した。3度目に日本が目指すべきは「楽しい国」という
▼施政方針演説で首相は「楽しい日本」とは「多様な価値観を持つ一人一人が互いに尊重し、自己実現を図っていける、活力ある国家」と説明した。異論はないのだが、具体像に乏しく「楽しい」と思える高揚感のようなものが足りない
▼「楽しい日本」の評判は与野党とも芳しくない。物価高、生活苦、政治とカネ、少子化など将来の不安。現実を前にして「楽しい」という言葉はどこかむなしくも聞こえる。まずはこの「楽しくない日本」をどうするか。その処方箋が見たかった。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2025年01月26日 06:48:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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