路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説】:技能実習の廃止 「選ばれる日本」の姿示せ

2023-06-03 06:00:10 | 【移民・亡命・密入国・入管難民法・在留資格・偽装結婚・技能実習生他】

【社説】:技能実習の廃止 「選ばれる日本」の姿示せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:技能実習の廃止 「選ばれる日本」の姿示せ

 建前と実態が懸け離れた仕組みを根本から見直すべきである。小手先の改革では国内外からの批判はやむまい。

 政府の有識者会議が外国人技能実習制度の廃止を求める中間報告をまとめた。新たな制度作りを議論し、秋には最終報告を出すという。

 1993年に創設された、この制度の目的は「国際貢献」である。日本からの技能移転や人材育成を通じて、その地域の経済発展への貢献を目指すというものだ。

 現在は32万人余りが最長5年間の期限で働いている。半数以上はベトナムからだ。

 実態は日本の人手不足を補う手段になっている。違法な長時間労働や賃金不払い、実習生の失踪などが絶えず、人権侵害とも批判されている。志もあって来日した若者を失望させるだけでなく、日本の国際的な信用も損なう。

 中間報告は「人手不足が深刻化する中、外国人が日本の経済社会の担い手となっている」と現実を認めた。その上で、経済や地域社会を支える一員として外国人を受け入れるよう求めた。

 当然の視点である。ただ現行制度の大枠は残す方向だ。制度の目的に新たに労働力としての「人材確保」を明記する一方、「人材育成」という要素は残した。

 職場を当初3年は原則転籍できないという制限が、労働環境が劣悪でも耐えるしかない原因を生んでいる。中間報告はこれについて、緩和するとの表現にとどめた。緩和すれば、比較的高賃金の都市部に人材が流れるとの懸念も地方の事業者にはある。実習生の権利を守りつつ均衡の取れた制度化を進めてほしい。

 中間報告は、実習生を仲介し事業者を監督する「監理団体」などを通じた受け入れの枠組みも維持した。2017年の技能実習適正化法で監理団体の実地検査や行政処分の仕組みはできたが、十分な改善とは言えないだろう。

 他方、実習生の母国の送り出し機関が高額の仲介料を求めることも、実習生が借金を背負って来日する要因となっている。中間報告は、悪質な送り出し機関には「実効的な二国間取り決めなどを強化する」としているものの、具体策は国に任せた形だ。

 政府はこれまで在留資格をさまざまな名目で緩和し、外国人が国内で働くことを労働力不足対策として例外的に認めてきた。4月には、熟練労働者として永住や家族帯同が認められる「特定技能2号」の対象を現在の2分野から拡大する方針を示している。

 日本は「外国人との共生社会」を目指すとしながら、その政策は今や周回遅れとも言わざるを得ない。賃金も伸び悩み、経済成長するアジアの人々にとって働き先としての魅力も低下してきた。

 外国人から「選ばれない国」となっては、日本の社会・経済の持続も難しい。そうした厳しい認識を持って、新制度を議論するべきである。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2023年05月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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