【社説②・11.18】:独居高齢者 支える仕組み再構築を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.18】:独居高齢者 支える仕組み再構築を
1人で暮らす65歳以上の高齢世帯の割合は増え続け、2050年には高齢世帯のほぼ半数に達することが国立社会保障・人口問題研究所が公表した都道府県別の将来推計で分かった。
独居高齢者は孤立や孤独に陥りがちだ。介護や見守りに加え、元気な人でも病気や事故、災害時には支援が必要となる。
1人暮らしの増加は、家族の支え合いを前提としてきた社会に変革を迫る。誰も取り残さないセーフティーネットを再構築する必要がある。
全国の総世帯数は30年をピークに減少に転じ、40~50年には全都道府県で減少に向かう。
道内も20年の247万世帯から50年には202万世帯となる。うち高齢世帯は団塊ジュニア世代が仲間入りする40年に105万世帯にまで増加した後、減少に向かい、50年には100万世帯と、20年から1万世帯増える程度となる。
このうち1人暮らしは20年の38万世帯から50年には46万世帯となる。心配なのは、75歳以上の後期高齢者の独居が9万世帯増え30万世帯に達することだ。
高齢者の見守り役である民生委員はなり手不足が深刻だ。民生委員の高齢化も進んでおり、現在でさえ都市部を中心に希薄な地域社会の互助機能がさらに働かなくなる恐れがある。
人手不足はあらゆる分野での共通問題であり、解消は難しい。効率化の観点から考えられるのは、住宅や病院、介護施設などを一定地域に集めるいわゆるコンパクトシティー化だ。
ただ集住を進めれば、農村部から人が離れ、耕作放棄地を生むなど負の側面がある。
住み慣れた土地で一生を送りたいと望む人々は多い。除雪など生活が困難な冬季間だけ集まって暮らす拠点の整備を提言する専門家もいる。自治体と地域住民がひざを交えてまちの青写真を描き、国が実現を支援することが欠かせない。
推計では、道内の平均世帯人員は50年には1.78人と、東京都と並んで全国最少になる。
主な要因は現役世代の未婚化だ。厚生労働省が公表した23年の人口動態統計によると、道内の婚姻数は1万7千組余と、戦後で最も少なかった。シングルの高齢者が珍しくなくなる。
出生数も低下している。今年は全国で初めて70万人を割る公算が大きい。将来の働き手がさらに減ることを意味する。
若者の雇用環境を充実させ、結婚や出産を希望する人たちを後押ししなければならない。
若者政策は将来に向けた高齢者政策につながっている。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月18日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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