【社説・10.26】:2024衆院選・政治とカネ 憤る国民に向き合う改革を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・10.26】:2024衆院選・政治とカネ 憤る国民に向き合う改革を
衆院選の投開票があすに迫った。選挙戦終盤に入って一層、自民党に引き続き政権を任せられるのか否かを問う意味合いが濃くなってきた。
言うまでもなく、「政治とカネ」の問題で失墜した国民からの信頼を、取り戻せるかどうかが最大の焦点だ。
昨秋に党派閥の政治資金パーティー裏金事件が発覚して以降、初めて全国一斉の審判を受ける。本紙などが選挙期間中に実施した世論調査で、衆院選に関心があると答えた有権者は9割を超え、過去最高だった。「政治とカネ」を一つの判断材料にしようという有権者が多い証しだ。
ここにきて、裏金事件を巡って党が非公認とした候補が代表を務める党支部に対し、公示直後に2千万円の活動費を支給したことが明るみに出た。共産党機関紙「しんぶん赤旗」が先行し、本紙も報じた。2千万円は、公認候補の支部が受け取った公認料500万円と活動費1500万円を合わせた額と同じである。
野党側は「裏公認だ」「国民をばかにしている」と攻勢を強めている。公認候補と金銭面で同じ扱いをする以上、「非公認」は形ばかりだとの指摘は当然だろう。
自民党の森山裕幹事長は党勢拡大の資金で、候補への支給ではないと反論し、石破茂首相は「選挙には使わない」とした。しかし、候補は党支部長を務め、資金管理の責任も持つ。党勢拡大は比例代表票の掘り起こしを含むが、選挙区と比例の選挙運動の線引きは難しい。なぜ公認と同額で、なぜ選挙中の支給か、説得力のある説明もない。
石破首相は、非公認の候補が当選すれば追加公認する考えを示している。選挙活動を念頭にした資金支援だと、国民に受け止められても仕方なかろう。広島市内での街頭演説で「報道に憤りを覚える」と述べたが、理解に苦しむ。党の反省の度合い、改革の本気度を国民が見極める上で、欠かせない事実を伝えるのは報道機関の務めである。
党は裏金事件に対する国民感情を読み誤ってきた。
党内処分は裏金を得た議員の一部に限定し、政治資金規正法の改正では抜け穴を多く残した。選挙公約は、政治改革が最大の争点であるのに踏み込みが足りない。使途の報告義務がない政策活動費は「将来的な廃止も念頭」としたが、時期は示していない。
立憲民主党、日本維新の会、共産党などは、企業・団体献金の禁止や、企業・団体による政治資金パーティー券の購入禁止を掲げる。ただ、金がかかる選挙の在り方を含めて抜本的な改革に向けた論戦は深められていない。
有権者は本来なら、各党の政策を比較した政権選択選挙を求めたいはずだ。物価高対策や賃上げをはじめ、時代の要請に応え切れていない政治への不満が募っている。政治資金の使い道は不透明のままがいいと言わんばかりに固執する政治家と、感覚のずれが露呈した選挙戦でもある。
与野党ともまっとうな政治改革で応える責任がある。憤る国民に誠実に向き合う論戦で締めくくってほしい。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年10月26日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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