路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【潮流】:野心的な目標 ■論説主幹 宮崎智三

2022-05-14 09:06:30 | 【地球温暖化・国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)・気温が上昇・...

【潮流】:野心的な目標 ■論説主幹 宮崎智三

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【潮流】:野心的な目標 ■論説主幹 宮崎智三

 「野心的」。最近は温室効果ガス削減といった目標に絡み、よく聞く言葉だ。ゴールがいかに大胆かを際立たせるために使われるのだろう。

 農林水産省が1年前に打ち出した、化学農薬を使わない有機農業の拡大目標も、その一つかもしれない。2050年までに全耕地面積の25%に増やすという。今は05%程度だから、30年足らずで50倍にしなければならない。壮大な目標というより、夢物語に近い印象だ。

 ただでさえ、農業は先細りに歯止めがかかっていない。従事者の高齢化が進み、後継者不足も深刻だ。手間のかかる有機農業を今後選ぶ人が果たして、どれぐらいいるのか。

 農水省の決断に対し、やっと重い腰を上げたと歓迎する声の一方で、真意をいぶかる人もいる。30年前、有機農産物の表示に関するガイドラインを定めたものの、長年、有機農業には冷たかったからだ。

 とはいえ、今回は真剣のようだ。昨年5月、この目標を含め、生産力の向上と環境負荷軽減の両立を図る「みどりの食料システム戦略」を策定した。先月には、戦略を推進するための関連法を成立させた。

 唐突な手のひら返しの背景には、世界の潮流に乗り遅れまいとの焦りがありそうだ。先を行くのは欧州連合(EU)だ。環境に配慮した包括的な農業戦略を、日本より1年早く発表した。有機農業については、30年までに全農地の25%以上とする目標を示した。今が7%程度というから決して楽な目標ではあるまい。

 達成の鍵は、日本でも生産者だけではなく、私たち消費者も握っている。割高なイメージがあるからか、有機食品の1人当たりの年間消費額は、フランスや米国の1割にも届かない。野心的目標が必要な時もあろう。しかし今は、自給率が落ち込んだ農業をどう守り継承していくか。そんな目標こそ国は示すべきだ。

 元稿:中國新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【潮流】  2022年05月14日  09:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【政局】:蜜月一転「自民が維... | トップ | 【岸田首相】:所得倍増はい... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

【地球温暖化・国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)・気温が上昇・...」カテゴリの最新記事