【社説・12.12】:オスプレイ再び一時停止 飛行再開は認められぬ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.12】:オスプレイ再び一時停止 飛行再開は認められぬ
米軍が再びオスプレイの飛行を停止していることが明らかになった。
米軍オスプレイは昨年の鹿児島県・屋久島沖での墜落事故を受けた停止措置が今年3月に解除されたばかり。繰り返される運用停止に安全性への疑念は深まる一方だ。
今年11月20日、米ニューメキシコ州の空軍基地でCV22オスプレイが墜落寸前の事故を起こした。
初期の事故調査結果を分析した海軍航空システム司令部が、部品の故障が見つかったとして今月6日、一時的な飛行停止を勧告していたのである。
乗員8人全員が死亡した屋久島沖のCV22墜落事故との類似点もあったという。米軍は原因究明と対策を練る時間確保のため停止措置を講じたとする。
だが各軍の対応にはばらつきがあり、新たな対策が取られたのかは不明だ。
空軍、海軍は現時点で期間を定めず飛行を停止しているというが、8日には海軍CMV22の2機が米軍普天間飛行場へ飛来するところが確認された。
海兵隊は勧告のあった6日から飛行を停止していたものの、普天間飛行場ではきのう「徹底的な機体の点検後、再開を指示した」として所属するオスプレイが飛行を再開した。
この間、運用の再開どころか停止の理由について県側への説明は全くない。
オスプレイについては従来から機体の構造上の問題が指摘されてきた。度重なる事故やトラブルで、安全性への不信は一層高まっている。
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一部の報道により、米側の停止措置が明らかになったのは10日のことだ。
陸上自衛隊は同日、当面の間、保有する17機の飛行を見合わせると発表した。
しかし、米側の停止措置からこの時点ですでに4日がたっている。なぜ運用を停止するのか。説明もなく米軍にただ追従しているようにしか見えない。
オスプレイの安全性については米国でも議員から懸念の声が上がっている。それにもかかわらず県への説明もないのでは地元軽視も甚だしい。
2020年の配備以降、米側の事故などを受け、陸自オスプレイも毎年のように運用停止を余儀なくされてきた。
今年10月には与那国駐屯地で陸自で初めてとなるトラブルが発生。一時運用を停止し、先月再開したばかりだ。度重なる運用停止には軍用機としての有用性にも疑問が膨らむ。
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そもそも昨年の屋久島沖の事故を受け、国内の全てのオスプレイは緊急着陸などが可能な飛行場から一定範囲に運用を制限し続けている。
全面再開は2025年半ば以降の見通しだ。飛行制限を前提とした運用が続くこと自体、不自然極まりない。
屋久島沖の事故では、ギアボックスの不具合が要因とされたが、なぜ不具合が出るのかはいまだに判明していないのである。根本的な原因が分からぬまま飛行を再開すべきではない。
元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月12日 04:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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