路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・02.12】:辺野古くい打ち/地元無視した作業着手だ

2025-02-12 06:00:50 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説①・02.12】:辺野古くい打ち/地元無視した作業着手だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.12】:辺野古くい打ち/地元無視した作業着手だ

 米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、埋め立ての課題になっている軟弱地盤の改良に向け、防衛省が海底のくい打ち作業を始めた。沖縄県が政府に計画中止を求める中、移設工事はさらに本格化した。

 軟弱地盤は辺野古東側の大浦湾にあり、約7万本のくいを海面下最大70メートルにまで打ち込む。工期は4年以上とされる。玉城デニー知事は「国内に前例のない工事で、難工事が予想される」として改めて反対を表明した。作業着手は地元の声を無視した強行と言わざるを得ない。

 普天間飛行場の周囲には住宅などが密集する。政府は「危険性除去には辺野古移設が唯一の解決策」との立場を貫く。だが全体の工事完了は2033年ごろ、米側への引き渡しは36年ごろの予定である。順調に進んでも返還には10年以上がかかる。早期の問題解決にはならないと、地元が反発を強めるのも無理はない。

 国は20年、軟弱地盤改良への設計変更を県に申請した。県は認めず、法廷闘争の結果、福岡高裁那覇支部が知事に承認を命じた。その後、国は承認の代執行に踏み切り、昨年1月に大浦湾側の工事に着手した。代執行は過去になく、玉城知事が述べるように、県の自主性や自立性を侵害する対応と言うほかない。

 県が工事に同意しないのには理由がある。軟弱地盤の最深部は海面下90メートルに達し、マヨネーズに例えられるほど軟らかい部分がある。防衛省は関西空港などでも用いた工法と主張するが、無謀な工事ではないかとの疑念は払拭されていない。

 総事業費も増加している。現時点での試算は約9300億円で、既に当初の約2・7倍になり、さらに膨らむ懸念がある。埋め立て用の土砂も不足しつつある。東京ドーム16個分が必要で、政府は沖縄本島南部を調達先の候補とする。南部は沖縄戦の激戦地だ。遺骨が交じる恐れのある土の使用は到底許されない。

 県によれば、埋め立て海域には260以上の絶滅危惧種など5300種以上の生物が生息する。世界自然遺産の鹿児島県・屋久島の約4600種を超える。豊かな生態系が影響を受ける問題も看過できない。

 移設に反対する県に対し、政府は沖縄振興予算の減額という「ムチ」を振るう。21年度までは3千億円を上回ったが、22年度以降は2600億円台となり、25年度予算案でも2642億円と4年連続で減少した。

 これでは両者の溝は深まるばかりだ。石破茂首相はまず、玉城知事との対話を始めてもらいたい。日米が普天間返還で合意しながら30年近くが過ぎてしまった責任を、政府は重く受け止めるべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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