【社説・12.18】:政策活動費全廃へ 企業・団体献金に切り込め
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.18】:政策活動費全廃へ 企業・団体献金に切り込め
国民の政治不信の払拭は、これからが正念場だ。使途公開不要な政策活動費を全面廃止する政治資金規正法再改正案が衆院本会議で可決された。法案は参院に送付され、今国会で成立する見通しだ。
一方、最大の焦点とも言える企業・団体献金を巡っては、野党4党派が提出した禁止法案の採決が見送られた。結論を先送りした形だ。政策活動費全廃を足掛かりとした政治資金の透明化は緒に就いたばかりである。厳しい目が向けられていることを忘れず、通常国会で献金に切り込んでもらいたい。
衆院を通過した関連法案には、第三者機関が政治資金全般を監査することや政治資金収支報告書のデータベース化などが含まれる。いずれも使途などについてチェック機能を高めることが期待される。骨抜きとなることはないよう、制度設計に命を吹き込む必要がある。
自民党は当初、政策活動費を廃止する代わりに、外交上の秘密などに関わる政治資金の支出の一部を非公開にできる「公開方法工夫支出」を新設することを求めていた。
この支出に勘定されれば、支出の目的や月日、支払先の氏名などは公開されない。自民党総裁の石破茂首相自らが予算委で国交がない国との議員外交を例に挙げて公開方法工夫支出の必要性を訴えていた。しかし、これでは新たな抜け道になりかねない。
政策活動費のほか、調査研究広報滞在費(旧文通費)や官房機密費など、使途が明らかにならない政治関係の資金の在り方に疑念が向けられる中、国民の理解が得られるとは思えない。野党から「政策活動費の温存」との批判を浴び、自民が断念した格好だ。
10月の衆院選で自公が過半数割れとなったことの影響が大きい。野党の賛成を得なければ衆院での法案可決が難しい状況にあるからだ。自民党派閥の裏金事件などを受けた国民の厳しい審判が政治資金の透明化を促す方向に作用したと言えよう。
最大焦点の企業・団体献金の禁止については来年の通常国会に論戦が移る。禁止にあくまで反対する自民は、立民などが提出した禁止法案では労働組合がつくった政治団体からの献金が可能で不公平だと反攻の構えも見せる。
立民は痛くもない腹を探られるというのであれば疑問にしっかりと答える必要がある。野党側は数の論理を頼みにするのではなく、政治資金の透明性を十分に担保できる仕組みづくりに向けた審議を心がけるべきだ。
今国会での注目は政治倫理審査会での自民党派閥裏金事件を巡る審査である。衆院では全面公開で19日まで旧安倍派など計15人が出席する。
事件を受けて3月までの衆院政倫審は旧安倍派の幹部が出席したが、実態解明にはほど遠かった。参院を含めて全員が公開の場で実情を明らかにしてもらいたい。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月18日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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