たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『スマイルマーメイド』_12月4日

2016年12月04日 23時13分54秒 | ミュージカル・舞台・映画
 夜の部、17時~を観劇してきました。 

 王子がお姫様と結婚して人魚姫が泡となって消えていく悲劇でもなく、王子と人魚姫が結ばれるハッピーエンドでもない、もうひとつの人魚姫の物語。最後に主演の青井翔太さんが一人で歌う場面は余韻が残る終わり方でした。ちょっと闇ですが、コメディ色もあり、ミュージカルとは銘打っていない、エンターテイメント性の高い作品だったと思います。開演前と休憩時間、場内にボコボコっていう水の音が流れ続けていたこともあり、ずっと海の中に包まれて安らぐような、あったかい幸せな2時間半余りを過ごすことができました。北千住は遠かったですが、こじんまりとした雰囲気の会場で作品にあっていたと思います。(ずっと地下鉄に乗っていて銀座あたりの人の多さはほんとに恐ろしかったですけどね、今日は日曜日なのでまだ大丈夫。これ平日だったらさらに恐ろしいです・・・。)清史郎君の選考先行予約で購入したたチケット。一般席の、カーテンコールでハイタッチができる席でも通路側でもなかったですが、先行予約特典のお写真もらったし、プロマイドも購入して大満足。幸せな時間でした。わたしの席の周辺は、清史郎君の先行予約の方々かなという雰囲気だったのもなんだか安心感・・・。

 (もしこれから観劇するという方が読んでくださっていたらネタバレになります。)

 イルカで人魚姫マリナがいる宮廷の道化役ドーフィン原田優一さんとケント王子の愛犬パブロ役の加藤清史郎君。『レ・ミゼラブル』のガブローシュコンビのふたり、最高でした。出ずっぱりで動き回っているし、台詞も多いし、物語の進行のキーマンで、もう一組の主役コンビといった感。コントの掛け合いと最後はシリアスな演技。ふたりの安定の芝居と歌とダンスに、ミュージカル役者としてのたしかな力量を再確認しました。

 一昨年の『ミス・サイゴン』のクリス役以来の原田さん。こんなに踊れる方とは知らなかったです。豊かな歌唱はさすがの安定。声もいいですね。自分のことを「パブロ」って言い間違えた場面があったのは素かな。そのあとのフォローが落ち着いていました。「となりの客はよく柿食う客だ」の早口ことば。ちゃんと言えなかったパブロに「雑」って言って自分は言い切る場面や「大きな拍手が大好物なんです」って言って客席の拍手をさそう場面など、客席とのやりとりもうまくって、笑いをさそった後の間の取り方などむずかしいですが、うまかったですね。実力を感じさせてくれました。

 清史郎君はひたすら可愛かったです。側転を何度もしながら、原田さんと一緒に動き回っていて、ダンスも歌もがんばっていました。すごく努力をしているんだろうけれど、そう感じさせないところがさすが。一幕ラストの歌唱のシーン、まだ変声期だろうに大人の声と歌唱でびっくりしました。原田さんとのコミカルな掛け合いが続いていきますが、最後は主人であるケント王子と、海でおぼれそうになったケント王子と自分を助けてくれた人魚姫マリナが結ばれるようにと、自分の命を、闇の牢獄の番人である魔女スネイキアにさしだすパブロの生き様に涙。「お前がいのちを差し出すことをだれも知らないんだよ。それでもいいのか」と驚く魔女に「それでもいいんだ、自分のいのちを助けてくれたマリナのためにいのちをあげることが幸せなんだ、自分がどう思われるかではなく自分がどうしたいかが大事なんだ」と言い切るパブロ。あやふやですが、こんな内容の台詞でした。契約書をみて驚いたドーフィンが魔女とかけあおうと言った時には、すでに人魚姫マリナとケント王子は再会を果たし、契約を遂行しようとする魔女の手によって、ドーフィンの腕の中でパブロのいのちの灯りは消えようとしています。「弟のように思っていた」というドーフィンに対して「兄のように思っていた」と告げるとパブロのいのちの灯りは消えていきます。ガブローシュの最期の場面を思い出しました。傍らにはマリウスが・・・。こういう場面は役者加藤清史郎君の真骨頂を感じさせてくれます。切ない。ラストで人魚姫マリナがケント王子のどくろをなでながら歌うのは、ふたりの愛が成就したということなのか。パブロの無償の愛が、ふたりの愛の成就に結びついていったのか、観客それぞれの解釈にゆだねる終わり方だったと思います。

 プログラムをみると、衣装デザインが生澤美子さん、人魚姫マリナ役の青井翔太さんの鬘がスタジオAD、大道具が東宝舞台。東宝の小池作品をささえるメンバーがそろっているのに納得の舞台。上演期間が短いの、勿体ないなあ。全国ツアーもあればいいのにと思う作品。『エリザベート』でアンサンブル出演だった福永悠二さんのソロダンスの場面もしっかり確認しました。アンサンブルさんのダンスパフォーマンス、素晴らしい。大変だと思いますが、最後まで怪我なくつとめられることを願っています。

 まだ書き足りないですが続きはまた後日、いずれの日にか。写真はウーマンインサイトより転用しています。

PS.パブロは今の清史郎君にドンピシャの役柄だったと思います。役に恵まれています。実力があっても役に恵まれず花開けそうで開けないことって、正直あります。スタッフがいいんでしょうね。嬉しいです。