たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』-モネ『睡蓮の池』

2020年09月08日 14時27分06秒 | 美術館めぐり
2020年7月16日;2020年『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/d3c60b7639793c80f5e1fb235df7525f

 25年以上前、ロンドンに旅した時には訪れていたのに絵のもつ深さを感じることのなかった「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」、コロナ禍の開催期間変更を経て日本で再会することができたのは本当にありがたく、幸せなことでした。変更後のチラシも用意されていて、これだけ準備をするのはどれほど大変なことだったろうと思うと心の中で涙でした。

1月に『ハプスブルク展』を訪れた時入手したチラシ。











開催期間変更後のチラシ。






この中から大好きなモネの睡蓮のことを・・・。



 クロード・モネ
 睡蓮の池
 1899年
 油彩/カンヴァス

 43歳でジヴェルニーに移ってからの初期の作品、太鼓橋がかかる池に睡蓮が浮かぶ夏の昼下がり、緑あふれ光ふりそそぐ明るく幸せに満ちた風景、池は自宅の庭に水を引いてつくった、という解説でした。ゆん(古川雄大さん)の音声ガイドがこの展覧会によくあっていたと思います。舞台の上でヴォルフガング、ルドルフ、ロミオと苦悩の人生を生きた役者の声。

 「モネは1883年;ジヴェルニーへ転居、1893年;ジヴェルニーの自宅に造園を始める
1899年、この頃から「睡蓮」を描きはじめる」



2008年9月12日パリ・オランジェリー美術館
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/465ccfe1818f138c80705cc10e31b028

モネ展_最晩年の作品群
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/b5ab80465df13972f0f74b6f721cc9a8

『モネ展』より_睡蓮
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/fefac1467315a444414904b731e54046

『モネ展』より_ヨーロッパ橋・サンラザール駅
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/abbc2f51ded864e42038badcbf9b7a08

マルモッタン・モネ美術館所蔵モネ展
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/22eb86d3765ede19c81d5e8163373c4a

 晩年のモネの絵はほとんど輪郭がなくなっているのでこの「睡蓮の池」を描いたときはまだ若々しかったことがわかります。再婚した妻の旅立ち、白内障の手術、長男の旅立ちと晩年のモネは苦難の連続でしたが、1925年86歳で旅立つそのときまで制作をつづけたというモネの絵の前に立つと、今もモネの生きるエネルギーが立ち現れてくるような感があります。亡くなった翌年オランジュリー美術館に「睡蓮の部屋」が完成しました。2008年9月にパリのオランジュリー美術館でモネの睡蓮に包まれた幸せな時間を忘れることはありません。若さはなくなりましたがいろいろなことがあり、絵の深さを感じることができるようになった自分で出会えたことは幸せでした。(プリンス・エドワード島と同様、無理はあり日頃の疲労の蓄積でヘロヘロになりながらもこの時訪れておいてほんとうによかったと思います。)2015年東京都美術館の『モネ展』も幸せに満たされました。モネの絵は少し離れたところから眺めるとより深く心にはいってきます。2018年横浜美術館の『モネ展』も幸せでした。

「プルーストはまちがいなくモネに注目している。ヴィヴォーヌ川に沿った散歩道の文章を読む私たちの視野にモネが描いた数々の睡蓮の絵が入ってくる。モネは睡蓮を描いているが、彼は水を眺めている。光と色彩、時刻、時の移ろい、こうしたものがモネの睡蓮の連作においてほどみごとに描かれた絵があるとは思えない。ルーアンの大聖堂の連作においても、ジヴェルニーでの睡蓮の連作においても、モネは刻々と移り変わる光と影、変わり行く色彩と雰囲気から目を離さない。彼は光と色彩を追いつづけている。モネの絵は私たちに時間というものを深く体験させてくれる絵なのである。ル・アーヴルでモネの「印象・日の出」が制作されたのは1872年のことだった。それから2年後の1874年にはパリのナダール写真部のアトリエを会場として第一回印象派展覧会が開かれたのである。モネはこのアトリエからキャピェシーヌ大通りを油彩で描いている。窓から眺めおろしたパースペクティブでの街頭風景だ(「キャピェシーヌ大通り」1873年)。」
(山岸健編著『日常生活の舞台と光景《社会学の視点》』)より

 ジヴェルニー、『地球の歩き方』によるとパリ、サン・ラザール駅から各駅停車で45分、さらにバスで15分。この世にいる間にパリ往復のフリープランを利用して現地のオプショナルツアーに参加するなんてもう夢でしかないですね、そんなに稼げないし、年金を受け取るまでまだあるし年齢はさらに引き上げられる可能性大だし、受け取るができても家賃で消えていく、と哀しい話はやめましょう。