なつかしの雪組『華麗なるギャツビー』
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2016年『オモシィ・マグVol.5-ミュージカル特集2』-城田優さんと加藤和樹さんの対談より
「🌻『1789-バスティーユの恋人たち-』『エリザベート』は、いずれも小池修一郎さんの演出。
共演作『ロミオ&ジュリエット』含め縁が深いですが、お二人の中ではどんな演出家ですか?
城田-
個性の塊(笑)。素晴らしい才能を持っている方なので、アイデアが頭の中に湧きでちゃうんでしょうね。それを演出の時間に全部話してくださろうとするから、全然違う作品とか役者さんの話とか、僕らからすると「今の話、必要?」って思うようなところにボンボン跳んだり。
加藤-
最終的に着地はするんだけど、すごく遠回りするのは確か(笑)。『1789』でも、それはありました。
城田-
あったでしょ?
加藤-
小池先生の作品が初めての(小池)徹平ちゃんや(神田)沙也加ちゃんは、「こういうことでいいんだよね?」って、俺に確認しに来ることがすごく多かった。
城田-
『ロミジュリ』のときもジュリエット役の子たちは頭を抱え込んでいたから、僕は通訳みたいな役割だった。そういう意味では小池先生の作品の場合、経験者と未経験者で大きく違ってくるよね。
加藤-
圧倒的に違う。僕らはもう感覚的にわかっているけど、やっぱり初めての人は枝葉の部分を含めて全部聞いちゃうから混乱するんだよね。沙也加ちゃんも、1回そこで深く考えこんじゃったりして。
城田-
想像がつく(笑)。全部を汲み取らずに、大事なポイントだけをシュッと抜くようにするのが、小池演出を受ける際のコツです。
🌻『1789』然り『エリザベート』然り、大作を満員にする力を非常に持っている演出家です。小池作品が日本の観客に愛される理由はどこにあると思いますか?
城田-
やっぱり美的センスでしょうね。
加藤-
それはすごく感じます。
城田-
”宝塚”という集団が何を一番求めているかといったら、僕は”美”だと思っていて。そこでずっと第一線でやっている演出家ならではのこだわりがある。衣装はもちろん、手や足の出し方、その角度、どこに重心があるかというところに至るまですごく細かくて、美の見せ方に関しては、ほんとうに優れていると思います。
🌻もうひとつ、小池さんにはキャスティングが大胆という印象があります。たとえば今ではともにミュージカル界の中心にいる井上芳雄さんや中川晃教さんも、全く経験のないところから小池さんに発掘され、帝劇の大作でデビューを飾った方たちでした。
城田-
確かに。王道の形でミュージカルを練習してきた人以外の、僕らみたいなイレギュラーな人たちは、実際に小池作品からミュージカルの世界に入ってくることが多い。
加藤-
『1789』にもテニミュの出身者が多かったりします。ただ少なからず思うのは、小池先生のキャスティングにもたぶん旬というものがある。次の『ロミジュリ』の顔ぶれなんかを見ると、そういう感覚を受ける人は多いと思うんですけど。もちろんそれはそれでいいと僕は思うし、僕らがやる役のポジションもだんだんと変わっていく。その中で残るには、やっぱり自分たちが10年後とにかくどうありたいかをいかに考えて活動していくかだと思いますね。
🌻おっしゃったように、日本のミュージカルの中心を”王道の形でミュージカルを練習してきた人”、つまり音大出身者や、劇団四季、宝塚歌劇団をはじめとするミュージカル劇団出身者が担ってきた中で、お二人は、新世代のミュージカルスターの象徴的存在という気がするのですが。
城田-
今、ミュージカルへの注目度は上がっていると思うんですよ。それは和樹や僕、小池徹平とか(三浦)春馬とか、他ジャンルの第一線で活躍している人たちが最近ミュージカルに出る機会が増えたことで、ミュージカルのファン層も広がってきているからだろうと思うので。
だからここから本物の、生のエンターテインメントの素晴らしさをもっと外にアピールしていくことができれば、ミュージカルに限らない”エンターテインメントファン”が自然と増えて、観る側も演じる側も気持ちのいい潤った状況になるんじゃないかと僕は思いますけど。
加藤-
それで言うと僕自身、ミュージカルなんて別世界だし関わることのないものだと思っていた立場でした。
城田-
僕も同じ。最初は自分からやりたいと思っていたわけじゃなかった。ただ歌が好きだし、自分という素材を活かせるのがミュージカルっていう自覚はあったというか。
加藤-
ましてや帝劇なんて自分にはまるで縁のない場所だと思っていたけど、僕らが出るなら観に行ってみようっていう、本格的なミュージカル初体験のお客さんがたくさん来てくださる。自分自身が変われば、ファンの人たちもいろんなことを知って、一緒に成長するというか。そこが面白いなと感じています。そうして劇場に来ると別の作品のチラシなんかが置いてあって、「じゃあ今度はこういう風な作品も観てみよう」って、お客さんの視野もたぶん広がると思う。観るきっかけは僕らキャストかもしれないけど、きっとそういう相乗効果があるし、自分たちはその架け橋になれる存在でもあると思っています。」
小池先生の大劇場デビュー作、杜けあきさん主演『華麗なるギャツビー』(1991年)、旧東京宝塚劇場で観劇したとき、天才と思いました。それから30年、振り返ってみると、仕事と勉強の両立により観劇から離れた数年をのぞくと、かなりの作品を観劇しています。ブログをはじめてからは、宝塚、外部ともにほぼ観劇しているかもで画像をひろいきれません。直近は、昨年10月の京本大我くん主演『ニュージーズ』。昨日成人の日を迎えた加藤清史郎君が、小池先生演出の舞台で帝国劇場に戻ってくる日を待っています。
帝国劇場で『1789~』上演中に、日比谷シャンテで小池先生をお見かけしたことがあります。リュックサックを整理中でした。もちろん声をかけたりなどしません。星組『オーシャンズ11』では涼紫央さん、宙組『オーシャンズ11』ではキキちゃんが、ジョンソン先生アドリブで小池先生の物真似、それぞれ特徴をよくとらえているということか。コイケイズムを受け継ぐのは演出家が宝塚に育っていることを願う。