たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(5)

2021年05月20日 16時15分26秒 | 宝塚
雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(4)
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 先のみえない不安な毎日、心がいたむニュースばかりの毎日、こんな時こそ、演者が全身全霊で届けてくれる舞台は心の栄養補給に必要。

 オンデマンド配信中のナウオンステージのだいもん(望海風斗さん)、「生きる強さを一回一回出し惜しみすることなくからっからっになるまで出し尽くしたい、それができるのはなにかを感じたいと思ってきてくださるお客様がいるからこそできることなんだと感じている。来てくださるからにはなにかを、元気をもって帰っていただきたいという気持ちで舞台をつとめている、一回一回大切に生き切りたいと思っている。ショーは男役としてこういうことをやってみたかった、こういうナンバーやりたかった夢が随所にちりばめられていて嬉しい、男役は終わりがないからこそ、追求している時間が楽しい、今いただいているものをより濃く成長させていただきたい。毎日こうしてがんばっているよというエネルギーをお届けできると信じて日々を大切に過ごしていきたい」と。

「時の砂原♪

作詞/生田大和 作曲/菅野よう子

涯てなく続く 砂 砂 砂
はじめは何があったのか
涯てなく続く 砂 砂 砂
はじめから何も無かったのか

この旅は 始まったばかりなのに
すべてが終わったあとのように
何もない

世界の終わる夜のよう
征くべき道さえ かき消された

ここにあるのは
砂だけだ
滴り落ちる砂の下には

遠い昔か 遥か未来か
降り積もる時に 足を取られた

誰かの夢が沈んでいる
征くべき道を見失い
後戻りさえ 許されず
飲み込まれていく
全てを奪う」

 プロローグでキャラバン男S@彩凪翔さんが歌う「時の砂原」、ナウオンステージでの翔さん「歓喜の歌からシルクロードへの切り替えなので責任重大、砂に巻かれているんだけれど自分も砂に巻かれているかのように進めていってほしいと、話に入りつつも回していってほしいと先生から言われた、難しいけれど楽しいと」。この役割を翔さんにあてて、出番も多く魅せばたっぷり、座付作家の生徒への愛。生田先生、実際にシルクロードへ行かれたことないと思いますが想像力の翼を羽ばたかせてイメージを膨らませることができる作家ってすごいですね。私的に、中国当局の新疆ウイグル自治区への制圧が強くなっている中、自分が1991年に訪れたシルクロードのオアシスで出会った子供たちは、どうしているのだろう無事に生き延びているのだろうかと思いを馳せました。無事であればと祈るような気持ちです。

旅の思い出写真_シルクロードの子供たち
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フィナーレの男役燕尾服での群舞、振付は羽山紀代美先生、

「男は仲間たちと巡り会った。そして頂へと登った。男の旅は終わるが、仲間たちの旅は続く。男は、仲間に思いを託して行く。」

 燕尾服のだいもんが大階段を降りてきて、咲ちゃん(彩風咲奈さん)に託す青い薔薇を背中に
するポージング、2階席13列目から遠いですが、オペラグラス越しのいちばん美しい角度でみることができました。青い薔薇を受け取った咲ちゃんが率いる男役さん群舞、踊りながら彩彩(彩凪翔さんと彩風咲奈さん)がみつめあっていた場面、心に刻みました。いろいろ映像をみていると咲ちゃん、翔さんを心からリスペクトしているんですね。誰よりもかっこいいと惚れまくり。翔さん、燕尾服が男役としてほんとにほんとの最後、今までありがとう、これからの雪組を頼むよ~という気持ちだったでしょうか、わたしの勝手な想像ですが。託された咲ちゃん、その重さと責任をずっしりと感じながら、二度とないこの時をいつくしむような表情にみえました。

 流れが前後しますが、15場「大世界(ダスカ)」、オンデマンド配信で『BUND/NEON上海』(2010年花組、宝塚バウホール公演)をみたあとだったので、この場面のもつ意味がわかりました。劉衛強はまあ様(朝夏まなとさん)初主演、生田先生のデビュー作『BUND~』でだいもんが演じた役なんですね。ナウオンステージで「誰も気づかないと思うけど衣装の黒いパンツは10年前のもの、上は成長したので新しいもの」とだいもん。真彩希帆ちゃんのラップ、だいもんのダンス、だいもん、真彩ちゃん、咲ちゃんの三人で踊るタンゴ、素敵でした。












 だいもん、出身地で聖火リレーランナーのオファーがきていたんですね。複雑な思いがあるだろうと思います。今の状況下で矢面にさらされてほしくないと個人的には思います。舞台の上がいちばん素敵。チケットがとれるかどうかは別にして夏のKATTのコンサートで笑顔を届けてほしいと思います。




雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(4)

2021年05月20日 00時50分02秒 | 宝塚
雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(3)
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『フォルティッシッシモ』、

 2013年雪組宝塚バウホール公演、彩凪翔さん単独主演『春雷』、オンデマンド配信中、凪様瑞々しくてものすごく綺麗、ゲーテと「若きウェルテルの悩み」のウェルテルとの二役、年月を重ね男役として、役者としての経験値を積み上げ、退団公演で再びゲーテに巡り合えたのはまさに運命なのかもというのは言い過ぎでしょうか。退団後にたちあげられたインスタグラムの写真がものすごく美しくて清々しさにあふれているので、やりきって卒業されたんだなあと。元気な様子に会えるのは嬉しいかぎりです。今さら感ですが3月13日(土)に観劇して印象に残ったことを断片的に思いつくままにもう少し備忘録。

 沙月愛奈さんが劇中劇として登場する「若き~」でロッテの役をえんじているのも『春雷』をみて納得しました。

ショー『シルクロード-盗賊と宝石』、

 お正月に宝塚大劇場で観劇したときはまだ気づいていませんでしたが、かめばかむほど生田先生の退団者への愛とリスペクトにあふれた作品。悠久の時を超えて果てしなく続くシルクロードの旅と花園からの卒業がさりげなく美しく重ね合わせされていてどんどん好きになっていった作品。東京宝塚劇場にきて熱量がぐっとあがったように思います。 

フィナーレの冒頭、キャラバン男S@彩凪翔さん、

「時を超え、場所を変えて、キャラバンはまだまだシルクロードを行く。旅は続いているのだ。」

 銀橋をひとり歌いながら歩いた翔さん、男役として最後の彩凪翔の姿を焼き付けてほしいといわんばかりのエネルギーがほとばしっているように感じました。ハットのかぶった姿は、頭のてっぺんから指先までのラインが美しく、わたりきったときハットを少しあげたときの口元、わたしの席からはみることができなかったのは残念でした。宝塚大劇場千穐楽ライブビューイングの時は、「さようなら」と言ったようにみえました。男役としての翔さんのかっこいい姿、見納めでした。

ミュージカル『CHICAGO』宝塚OGバージョン_思い出し日記(6)

2021年05月19日 14時54分01秒 | ミュージカル・舞台・映画
ミュージカル『CHICAGO』宝塚OGバージョン_思い出し日記(1)
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ミュージカル『CHICAGO』宝塚OGバージョン_思い出し日記(2)
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ミュージカル『CHICAGO』宝塚OGバージョン_思い出し日記(3)
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ミュージカル『CHICAGO』宝塚OGバージョン_思い出し日記(4)
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ミュージカル『CHICAGO』宝塚OGバージョン_思い出し日記(5)
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(公演プログラムより)

「湖月わたる;ヴェルマ・ケリー

 『DACIN’CRAZY2』(2012年)の抜粋版でヴェルマに出会い、2014年OGバージョンの初演に出演、昨年12月のアメリカ・カンパニー来日公演でヴェルマ役に挑戦させていただいて、『シカゴ』のこの憧れの役に、舞台人として培ってきたすべてを注ぎ込んできました。12年、体格を大きく見せる肩パットもない衣装で男役さんが”男”を演じた、世界初女性だけの『シカゴ』を振付のゲイリーさんが認めてくださって全編上演につながったことが本当に嬉しかったですし、自分自身、いつかヴェルマを英語で演じてみたいと、ネイティブな発音と歌のレッスンを続けてきたことが、アメリカ・カンパニーへの挑戦へとつながっていきました。

 そこまで自分を奮い立たせてくれたのは、やはり『シカゴ』のもつ力でしょうね。英語で演じた時は、あの早いテンポ感の中で返していくため、とにかく相手のセリフを聞きとることに集中していました。自分は今まで相手の台詞に集中し、初めて聞く言葉として、リアルにライブ感のある芝居ができていただろうかと反省したんです。自分をさらけ出すことが必要な作品ですが、人間どうしても自分をよく見せたいという欲が出てしまう。飾りを取り払うことには勇気もいりますが、その意味で自分と向き合わせてくれる作品でもあります。今回、再び母国語で上演する機会をいただけましたので、『シカゴ』の世界が放つエネルギーを身体の奥底から感じて、より深化したヴェルマを演じたいと思っています。

 ニューヨークは舞台人にとっては聖地。世界中で『シカゴ』が上演されている中で、女性だけのバージョンは私たちだけですし、宝塚で培われた男役さんのカッコよさ、たくましさと、娘役さんの美しさをお届けしたいですね。ボブ・フォッシーの描き出す世界は、男や女ではなく、あくまで人間そのものを描くもの。男女同じ振りで、男もなまめかしく踊らなくてはならない。男も女もない世界だからこそ、私たちが宝塚で培ってきたものがさまざまな形で活かされていると実感しますね。」

 全く装飾のない、シンプルな衣装をまとったヴェルマ@湖月わたるとロキシー@朝海ひかるさん、殺人容疑をかけられた二人が留置場の中で繰り広げる丁々発止の争い、どちらが新聞の一面を賑わせるか。宙組時代の男役のお二人をみていたので、退団後にこうして女役、しかもライバル役として同じ舞台を立っている姿はなんとも不思議な感じがしたものでした。ごまかしの全くきかない衣装、長い足とスタイルの良さがいちだんと映えていました。

 ダンサーとして終演していた男役さんたちが、最初全員OGと知らずにみていたのでリアル男子だと思い込んでいました。全員女性と知りびっくり。ジェンダーレスになんの違和感もない舞台でした。2016年の舞台、よりジェンダーレスは進んできているので、先日エリザガラをみたばかりでもあり、さらに性別を超えたOGさんたちの活躍を期待したいです。

 湖月わたるさん、退団後拝見するたびにかっこいいを更新。女役でも男役でもかっこいい、先日のエリザガラのルキーニ、さらにかっこよさがマシマシだったとか。永遠にかっこいい、未来永劫タカラジェンヌ、無事に上演を終えた博多座のコンサートのドレスアップした姿も素敵。










2018年ミュージカル『ジキル&ハイド』(8)

2021年05月18日 13時51分18秒 | ミュージカル・舞台・映画
2018年ミュージカル『ジキル&ハイド』(7)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/17be8283d2fe2a479a8fd4643562a0e3

2018年3月17日(土)、東京国際フォーラムホールC、18時30分~。

ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド:石丸幹二
ルーシー・ハリス:笹本玲奈
エマ・カルー:宮澤エマ
ガブリエル・アターソン;石川禅
サイモン・ストライド;畠中洋
執事プール:福井貴一
ダンヴァーヌ・カルー卿;川口竜也
グロソップ将軍:阿部裕
アーチボルト・ブルーブス卿:松之木天辺
ビーコンズフィールド侯爵夫人:塩田朋子
アンサンブルキャスト:麻田キョウヤ 川島大典 杉山有大 安福毅 折井理子 七瀬りりこ
           真紀子 三木麻衣子 美麗 森実友紀


(東京国際フォーラム公演プログラムより)

「-登場人物の階級を探る-

この作品には、イギリスの階級社会が色濃く映し出されています。登場人物がどのクラスに属しているかを知ることで、物語や人物への理解が少し深まるはず。日本人には馴染の薄い階級制度についてご紹介しましょう。

 基本的に、貴族は先祖代々の広大な土地や農地を所有し、その領地を治めることが仕事。自らが汗水流して働くことは決してありません。

【貴族】公爵(Duke)⇒侯爵(Marquess)⇒伯爵(Earl)⇒子爵(Viscount)⇒男爵(baronet)

【ジェントリ】准男爵(Baronet)⇒士爵(Knight)

爵位の高さはこの掲載順。となると、理事会メンバーを男女格差を度外視して偉い順に並べると、ビーコンズフィールド侯爵夫人⇒サベージ伯爵⇒伯爵以下の貴族であるアーチボルト・ブルーブス卿⇒大英帝国ナイト;ダンヴァーヌ・カルー卿の順と言えるでしょう。グロソップ将軍は爵位がわかりませんが、軍人のトップであり貴族なので、ダンヴァーヌ卿より上。ベイジングストーク大司教は聖職者ですが、イギリスでは司教の社会的な地位がとても高く、ジェントリに含まれるとも言われます。ちなみにダンヴァーヌ卿は士爵ですから、一代貴族。世襲ではなく、何らかの功績によって一代のみの貴族として叙勲されたということです。ダンヴァース卿の地位がそれほど高くないのが意外かもしれませんが、理事会の議長を務めていることから見ても、社会にきちんと貢献し、認められた人物といえそうです。また娘のエマが格下のアッパーミドル層の医者であるヘンリー・ジキルに嫁ぐのも、現実的な話ではないでしょうか。

 インテリで専門的な仕事を持つ人々は、中流階級に属します。中流階級は三層に分かれ、法廷弁護士・上級官吏・内科医・聖職者などはアッパー・ミドル、専門職・外科医・事務弁護士・中小商会の経営者などのミドル・ミドル、教師・事務員などがロウワー・ミドルに属します。

 医者であるヘンリー・ジキルと弁護士のガブリエル・ジョン・アターソン、理事会秘書官のサイモン・ストライドは中流階級のアッパー・ミドル。

 ジキル家に仕える執事プールは労働者階級の真ん中程度。売春宿であるパブ「どん底」で働くルーシーは労働者階級の中でも最下層です。」


宙組『アナスタシア』-東京宝塚劇場公演

2021年05月17日 16時42分49秒 | 宝塚
宙組『アナスタシア』-東京宝塚劇場公演
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宙組『アナスタシア』-東京宝塚劇場千穐楽ライブ配信(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/2fecb2bdcbee92dbd6de6e122e1a8536


 宙組『アナスタシア』、いちばん寒く乾燥がひどい時期に一度も中止になることなく無事に走り抜けました。本来ならば満席になるであろう客席に空席が目立つこともありましたが、明日が千穐楽かもしれないという覚悟で全身全霊役を生きるジェンヌさんたちの熱量は毎回素晴らしく、客電が消えている間はすごく幸せで心のエネルギーが満たされました。研修もなく上司が全く興味がないという顔を平気でしていてフォローする気も全くない中人がいないので毎日当番当番、体以上に心が疲れました。なんどもなんども涙を流しながらやっていました。観劇の幸せな時間がなかったらとっくに心は死んで病んでいたと思います。生き延びてまた日比谷にくる、終演後はそう自分に言い聞かせながら劇場との別れを惜しんでいました。


 1月19日(火)13時30分~、1月22日(金)13時30分~、2月14日(日)15時30分~、いずれも友の会で当選した2階9列A席、客席せまいですが舞台全体がよくみえました。心がこわれてしまうことを思えばチケット代は人生の必要経費。

 史実では口から血を流しながら天に召されていったアナスタシアが、難を免れて今もどこかで幸せに暮らしていてほしいという人々の願いから生まれたおとぎ話。先日組替えと退団者が発表されてこの時の宙組メンバーだから上演できた、戻ることのない一期一会の貴重な観劇時間だったことをかみしめました。まどかちゃんのアーニャがもはや懐かしい。

(劇団HPより)

宙組 副組長就任
松風 輝・・・2021年5月11日付で宙組副組長に就任  

花音 舞
綾瀬 あきな
美月 悠
星月 梨旺
七生 眞希
里咲 しぐれ
遥羽 らら

2021年9月26日(宙組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団   

凛城 きら・・・2021年9月27日付で専科へ異動
※異動後に最初に出演する公演は未定です。   


 綾瀬あきなさん、花音舞さん、ディミトリ@真風涼帆さんのアナスタシア役のオーディションに挑み、グレブ@芹香斗亜さんに今度ネフスキー大通りで客引きをしていたらしょっぴくぞとおどされる娼婦?役から華やかなパリの街ネヴァクラブの場面にも登場して、瀬戸花まりさん共々大活躍。ここにも、ここにもいらっしゃるのだと見つけるのが楽しみでした。

 グレブさんがさっと右手をあげるだけで、忠実にビシッと命令に従うボリシェヴィキの面々の、氷のような表情も強く印象に残った舞台でした。娘役の花菱りずさん、里咲しぐれさん、男役の七生眞希さん、春瀬央希さん、自分の役目と信じるところを全うするためたら人を殺すことなど厭わないといった表情は毎回ぞくっとしました。七生真希さん、春瀬央希さんと共にディミトリたちがパリを目指して乗り込んで列車にテコ入れにやってきた警官役も演じていました。オンデマンド配信で視聴した『追憶のバルセロナ』ではパリの兵士を演じていて、敵役の軍服がすごく似合う男役さんなんだと印象に残りました。里咲しぐれさん、『アナスタシア』で印象に残ったので『夢千鳥』のディレイ配信でもすぐに認識できました。アナスタシアをみつけたらその場で撃つことを命じたグレブさんの上司、ゴリンスキー@美月悠さん、髭つけたこわい顔がお似合い、「楽しめばいい」と歌うところ、ぞっとしました。星月梨旺さん、『フライングサパ』で真風さんのお父さんの科学者役が印象に残っています。

 松風輝さん、凛城きらさん、蘭乃はなちゃんと同期の92期生、和央ようかさんと花總まりさんの退団公演『NEVER SAY GOOD BYE』(2006年)で初舞台。舞台にいるだけで安心の安定感、まだまだ宝塚にいていただきたい。これからも期待大。

 下級生が二手に分かれていたことで、みなさん、プログラムに掲載された役以外にも記者、サンクトペテルブルクの街の市民など、アンサンブルのように何役も何役もこなされていたのはすごく貴重でした。

 アレクセイを演じた遥羽ららちゃん、「ぽっぷあっぷタイム」でこの学年になって男の子の恰好をするのはすごく恥ずかしかったと話している姿もとてつもなくかわいく、潤花ちゃんがぎゅっと抱きしめたくなるって本当にお姉さんのようにみえたところが不思議。ららちゃん、寂しいけど最後まで応援します。キキららForever、キキちゃんとららちゃんの並びの素敵さは『ホテルスヴィッツラハウス』の観劇録で書きたいと思います。

 しばらく動きがありませんでしたがここにきて宙組の歴史もまた大きく動こうとしています。『シャーロックホームズ』も東京宝塚劇場で一度は観劇したいです。無事に上演できることを祈りばかり。

 わたしのお財布では、ライブ配信を全部みるわけにはいかないのが残念です。いちばん安価な席のチケットとキャトルレーヴの舞台写真などささやかなことしかできませんが可能な範囲でお金をおとしていきます。1990年代まで、宝塚は小林一三翁の趣味の延長、阪急は赤字でも企業の良心として野球と宝塚は手放さないと言われていましたが、構造改革により規制緩和、一部上場企業への四半期決算の導入などで社会は大きく変わりました。ビジネスとして生き残っていかなければなりません。一度失われたら戻ってくることのない唯一無二の世界、永遠でありますように・・・。

「阪急阪神ホールディングスは14日、大阪市北区で2020年度(21年3月期)の決算を発表した。営業利益は昨年から97・8%減の20億6600万円。阪神タイガースや宝塚歌劇団を主体とする「エンターテイメント事業」の営業収益は前年の43%減となる421億9200万円で営業利益は22億5800万円の赤字だった。」

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/05/14/kiji/20210514s00001173415000c.html


2021年1月19日(火)の東京宝塚劇場。





















2021年1月19日(火)の東京国際フォーラム、花組が公演中でした。
ナウオンステージで柚香光ちゃんが華優希ちゃんに「また結婚したね」って言っていて、
とっても楽しそうな作品。






2021年1月19日(火)のシアタークリエ。
柚希礼音さん主演『IF THEN』、中止になってしまいました。












2021年1月22日(金)の東京宝塚劇場



2021年2月14日(日)の東京宝塚劇場

お雛様を階段から撮ってみました、ライトアップが宙組カラーになっていたことに気づいていませんでした。









2021年2月14日(日)の東京国際フォーラム、『ポーの一族』公演中でした。



ミュージカル『モーツァルト』-2021年4月19日帝国劇場(3)

2021年05月16日 17時01分29秒 | ミュージカル・舞台・映画
ミュージカル『モーツァルト』-2021年4月19日帝国劇場(2)
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「プリンスは出て行った♪ ナンネール/レオポルト

私たち プリンスとプリンセスだったの
子供の頃 夢の国 信じてた
でも今 別の世界に生きているわ

プリンスは出て行った
残されたプリンセス
微笑みも忘れて お城に一人
私の結婚に パパは反対よ
貧しい相手だと
パパもお金がない
私の結婚資金 あなたの為使った
どうか返して頂戴 私の人生を
ここでは 息づまる

プリンスは出て行った
残されたプリンセス
微笑みも忘れて お城に一人
プリンスは出て行った
希望の光は消えたの
あなたの他 この家族を
誰も救える者はいない


ナンネールは
毎日泣いている
お前は家族を見捨てたままなのか
お前の居場所は ここだけだ
早く帰れ ザルツブルクへ
お前の他 この家族を
誰も救える者はいない」


 ヴァルトシュテッテン男爵夫人に誘われて故郷のザルツブルクを飛び出し、ウィーンへと旅立ったヴォルフガングをひたすら待ち続ける姉ナンネールと父レオポルトの姿がいちだん切なく痛ましく迫ってきました。発散できる場面のない役どころ、歌も辛抱が求められる歌詞と曲調になっているので力量のある方でないと歌いこなすことはかなり難しいのだろうと思います。2018年『モーツァルト』のあと、出産育児で舞台から離れていた和音美桜さんが、3年ぶりに再びナンネール役で帝国劇場の舞台に復帰。3年前は歌うことに囚われすぎて役として生きることに集中しきれていなかったのでもう一度やりたかったとブログに書かれています。

和音美桜オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/miou-kazune/entry-12670030286.html


 舞台ではウィーンで売れっ子となりアマデと共に作曲にいそしむヴォルフガングの部屋を夜シカネーダーたちが押しかけてお金を無心、結婚するナンネールのもとへ送ろうとしていたお金を、郵便馬車はもう出てしまったと知らされるとおだてにのって「やるよ」と言ってしまう、あぶなっかしいヴォルフガングの姿が描かれています。ヴォルフガングの様子を知ることができるのは当時手紙だけ。そんなこととは知らないナンネールは新居に送られてヴォルフガングからの手紙を、瞳を輝かせて読み上げます。ナンネールの夫はかなり年が離れていたことを思わせるようになっていますが調べてみると史実のようです。子どもが生まれたばかりであろうことを想起させる舞台セット、結婚式に出席しなかったヴォルフガングに対して嫌味たっぷりに稼ぎがいいのなら雨漏りする屋根の修理代を出させろと言わんばかりの夫の姿は、ナンネールの結婚生活が幸せなものではなかったであろうことを想起させていちだんと切なくなりました。「ご自分で用意なすってください」というナンネールの言葉が3年前よりも夫に対して強くなった女性に感じました。ヴォルフガングに失望した父レオポルトはナンネールが生んだ男の子を「わたしはもう一人天才を育てることができます」とコロレド大司教に引き合わせようとしますが、ヴォルフガングの才能にほれこみ独り占めしようとしていたコロレドは全く相手にしません。子どもの頃、ヴォルフガングと共に演奏旅行に出かけ、皇帝陛下の御前でヴォルフガングと共にピアノを演奏しながら、女性であるが故に音楽を続けることを許されなかったナンネール。

 アマデと共に命果てたヴォルフガングの傍らに落ちていた宝石箱、神童と呼ばれた子どもの頃皇帝陛下からもらいアマデが片時も話さなかった宝石箱、もつことが許されたのはアマデだけだった宝石箱、その箱をナンネールが開くとまばゆいほどに光があふれるラストシーン。ナンネールの瞳が明るく輝くようにみえて、ナンネールがそこにみたものはなんだろうと毎回気になります。そこにみたのはヴォルフガングの音楽が時を超えて演奏され続け人々に与えることとなっている後世の様子なのかなと今回勝手に解釈しました。人によって、状況によって解釈は違ってくると思うのでこれが正解なのかどうかはわかりません。ただヴォルフガングの音楽がこうして受け継がれ続けてきていることで、ナンネールの人生も報われる、ヴォルフガングと共にナンネールもまた後世に生き続けている、うまく言えませんがそんなふうに思いたいです。あふれる光の中で、神のもとへと召されたヴォルフガングが神となってわたしたちのもとへと帰ってくる、そんなことを想起させるラストシーンでしょうか。

 奥が深い作品、まだまだ気づいていないことがたくさんありそうです。緊急事態宣言が発出される北海道で明日札幌公演の千穐楽、無事に幕が上がることを祈るばかりです。

 みりおちゃん(明日海りおさん)主演での上演が発表された『マドモアゼル・モーツァルト』、音楽座が91年にミュージカル化した作品が東宝主催公演としてあらたに生まれかわるようです。主人公にナンネールの姿が重なります。

ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』2021年10月10日-31日
https://www.tohostage.com/mm/?_ga=2.96583775.1969670203.1620263388-2030582022.1620263388
 

(2018年公演プログラムより)

「-モーツァルトのさまざまな顔 萩尾瞳-

 99年ウィーンで生まれた『モーツァルト!』が日本初演された02年よりも前に、彼を題材にしたミュージカルが日本で生まれていた。いや、彼ではなく彼女というべきだろう。モーツァルトは女性だったという奇想天外なアイデアの『マドモアゼル・モーツァルト』である。福山康治の漫画を原作に、音楽座が91年にミュージカル化したものだ。音楽は小室哲哉で、モーツァルトの曲も織り込まれている。

 この作品から想起するのは、モーツァルトの姉ナンネールのこと。彼女を主人公にした映画『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』(10)では、14歳の彼女の葛藤が描かれる。弟と共にベルサイユ宮殿に上がった彼女は、王太子ルイに恋をし、彼に励まされて作曲をするが・・・、という話。「女は音楽家にはなれない」と、父レオポルトから作曲を禁じられヴァイオリンさえ取り上げられる彼女の姿が痛ましい。『モーツァルト!』でナンネールが歌う♪もし私が男なら音楽を続けた♪という歌詞は、まさにこのヒロインの心である。」

4月19日の帝国劇場











東京宝塚劇場





日比谷コテージに『こう見えて元タカラジェンヌです』を出版した天真みちるさんのコーナーがありました。




月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』-初日舞台挨拶

2021年05月15日 13時58分29秒 | 宝塚
月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』-ライブ配信(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/47a8c7bf9351a8ab931f7a6d65ae122d

 2021年3月7日(日)の初日、珠城りょうさんの舞台挨拶、本日オンデマンド配信が終了するので備忘録。客席半分での上演でした。

「神崎達也の人生をとおして、愛情、友情、様々な人との絆や心のつながりを感じ、一度かたく結ばれた絆は本人たちが望めば決して変わることがないことを知り、珠城りょうとしての人生もより大切にしたいと思うことができました。」
「本日ご観劇くださいましたみなさまにも、わたしたちがこの舞台上で感じているあたたかさが届いておりましたらとても嬉しく思います。」

カーテンコールで、

「みなさん、お元気ですか?」
「バウホールは客席との距離が近いのでみなさんの元気そうなお顔をみることができてほっとしています。みなさんたくさん笑って、たくさん盛り上げてくださり、ありがとうございます。幸せな気持ちを一緒にかみしめてくださっていたら嬉しいです。」
「まだまだ日常では油断ならない状況が続いていますし、きっと不安もおありかと思いますが、できないこと、やれないことを嘆くよりは、可能なこと、できることを明日への希望にかえてわたしは歩んでいきたいと思います。」
「こうしてみなさんと一緒に舞台に立てて、お客様にみていただけることが本当に幸せなので、ちょっとえらそうなことを言ってしまいましたが、みなさまもそんなふうに明日への希望を持って過ごしていっていただけたら嬉しいです。またお会いできることを心から楽しみにしています。」

 昨夜Pちゃん(鳳真由さん)のインスタライブで、エリザガラコンに全日程出演したたそ(天真みちるさん)が、東急シアターオーブ公演の途中で中止、ライブ配信のみとなったことで、目の前の公演が中止になることはこんなにも苦しいことなのかとわかったと話していました。タカラジェンヌさんたちも、公演が中止になったり、いつ千穐楽がくるかわからない状況の中で、きっと精神的にきつい日々が続いていることだろうと思います。それでもこうして夢と希望を届けようとしてくれている、だから安い席しか買えませんがまた劇場で会いたい、勝手に一方的に再会をよろこびたい。そのために生き延びていく。劇場には夢と希望がある。劇場にいけばまだ夢と希望があると信じることができる。

 本日月組宝塚大劇場初日、トップコンビの退団公演。無事に千穐楽までたどりつけることを祈っています。そして東京宝塚劇場で会えますように・・・。






ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』HPオープン

2021年05月15日 00時05分27秒 | ミュージカル・舞台・映画
エニシング・ゴーズ”なんでもあり”のハッピー・ミュージカル!
https://anythinggoes2021.com/ticket.html

 紅ゆずるさん主演のブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』の公式サイトがオープンしました。コール・ポーター作詞・作曲、翻訳・訳詞が2017年に亡くなられた青井陽治さん、タップ振付が本間憲一さん、ブロードウェイミュージカルには人をワクワクさせる響きがありますね。ビジュアルが明るく爽やか、紅さん、とってもきれいだし、共演者がいっちゃん(一路真輝さん)、平野綾ちゃん、大野拓郎さん、廣瀬友祐さんと楽しみな方ばかり。東宝主催の明治座初のミュージカル公演、東宝ナビザーブの先行抽選でA席を申し込もうと思います。

 紅さん、昨年春に予定されていた退団後初のディナーショーは、東京大阪横浜は冬に延期されましたが中止となってしまいました。昨年秋から今年の春に延期された初主演『アンタッチャブル・ビューティー』も中止、『熱海五郎一座』は5月30日・31日は客席半分で予定どおり新橋演舞場にて上演とのお知らせ。『エニシング・ゴーズ』が上演される頃には状況が今よりも落ち着いていることを祈るばかりです。

 8月はまた舞台が目白押し、帝国劇場の『王家の紋章』、B席を東宝ナビザーブの抽選で申し込みました。宙組の『シャーロック・ホームズ』が東京宝塚劇場にくるのも楽しみだし、その前に月組トップコンビの退団公演もチケットが当選すれば東京で一度は見届けたいです。ギリギリのところですがまだもうしばらくは生き延びていけそうなので、チケットを予約してそれまで死ぬわけにはいかないという気持ちでいのちをつないでいきたいと思います。6月の花組、2,500円の席をポチッとしました。瀬戸かずや氏の退団を2階席てっぺんで見届けるつもり、少なくともそれまでは生き延びねばなりません。

 今だれもがいちばんきついとき、この時を共に乗り越えた先には今よりもさらに素敵な時間が待っていると信じるしかありません。劇場には夢と希望がある、劇場は人生の宝石箱。劇場に行くという目標をつくってなんとかこの苦しい時を生き延びていく、そう心の中で自分に誓います。書けていない観劇録はまた明日以降に・・・。





『文学探訪石川啄木記念館』より-啄木小伝-故郷渋民の視点から(1)

2021年05月14日 13時33分56秒 | 本あれこれ


「啄木小伝-故郷渋民の視点から-遊座昭吾(啄木研究家)

-二つの音-

 啄木、本名石川一(はじめ)は、北上さんちの山裾、南岩手郡日戸村(現玉山村)の日照山浄光寺に、明治19年2月20日、父一禎、母カツの長男として生まれた。そしてその翌年、北岩手郡渋民村(現玉山村)万年山報徳寺へと移る。彼には二人の姉と一人の妹があった。つまり、一は石川家におけるただ一人の男子であった。

 幼少年期の石川一は、この万年山を背にした禅寺で、いつも二つの音を耳にしながら成長していった。一つは四季折々の自然の音-山鳩・鶯・閑古鳥の鳴き声、啄木鳥(きつつきどり)のこだま、そして野分・木枯らしの音であり、もう一つは宗教性を帯びた人工の音-鐘・太鼓・木魚の音、そして父の読経する声である。

 少年石川一はこの二つの音の交響する中で成長していくが、やがて後には自らの意志である音を選び、また自らも自分の魂を象徴する音を創造すべく、その苦悩の人生を送っていくようになる。それが文学者石川啄木の、誕生と形成を意味するわけである。

 渋民尋常小学校を終えた石川一は、盛岡市立高等小学校を経て、明治31年4月、岩手県立盛岡中学校へと進んだ。このことは、寒村の小さな寺の子としてはむしろ異例なことであった。当時、僧として法燈を継ぐのであれば、あえてこの盛岡遊学の要はなかったからである。しかし、父一禎は安易な世襲の道を嫌い、厳しく自分の道を切り開いていく人生を息子に与え、また期待もかけたのである。石川一はその期待に十分こたえ、128名中10番の成績で合格した。

 明治13年開校になる盛岡中学は、実に自由な空気のみなぎる充実した時代を迎えていた。石川一はここで存分に新知識を吸収し、また優れた上級生から暖かい目を向けられた。その中でも特に金田一京助(のちに言語学者)、及川古志郎(海軍大臣)、野村胡堂(作家)の三人の先輩は、特別な心を後輩石川一に寄せ、彼の文学への開眼を誘ったのである。

 しかし、優れた成績で入学した石川一は、学年が進むにつれて、文学活動に熱中し、また私立盛岡女学校生堀合節子との恋愛へ傾倒して、次第に学業を放棄していく。そしてついには5年の中途、明治25年10月27日、自ら退学してしまうことになる。

 血に染めし歌をわが世のなごりにてさすらひここに野に叫ぶ秋

 その月の末に発行された「明星」に、初めて載ったこの一首は、盛岡中学生石川一の終わりを、そして後の歌人石川啄木の始まりを、いみじくも象徴する記念の歌となった。」





ミュージカル『モーツァルト』-2021年4月19日帝国劇場(2)

2021年05月13日 22時44分56秒 | ミュージカル・舞台・映画
ミュージカル『モーツァルト』-2021年4月19日帝国劇場
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/b9348c701aee65f6a6ede8f4d12b6f87

ミュージカル『モーツァルト』-2021年4月14日帝国劇場(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/daa644a4b79e41b6d997c0c7c92e89f6


 昨夜も福永悠二さんがホストをつとめたミュージカルウィークをYouTubeで視聴しました。福永さん、ニューヨークにダンス留学していた19歳の時、一時帰国中の日本で帝国劇場の『モーツァルト』を観劇して音楽の力に圧倒され歌もやりたいと思ったそうな。ものすごくいい声。何役もこなすアンサンブルキャストのみなさん、どの舞台を観劇しても思いますがすごい方ばっかりです。『モーツァルト』、2014年、2018年に続いて観劇しましたが、まだまだ気づいていないところがたくさんあるのだとわかり、このあとで観劇したかったと思いました。奥が深い作品。裏話もいろいろ。小池修一郎先生は天才、細かいところまでこだわりがあり動きの指示がものすごく細かい、山口祐一郎さんのすごいところは無駄な動きがひとつもない、最小限の動きで台詞も歌もない瞬間の舞台をうめられる帝王感、市村正親さんは70才を超えて足がここまで(顔の前まで)あがるしすごい、アマデの子役ちゃんたちがすごくかわいい、歴代アマデ、シカネーダーが登場する場面は袖でノリノリになっている、台詞も歌もなくほぼ出ずっぱりだからストレスたまるよね、アマデすごい、コロレド大司教とヴォルフガングが対峙する場面でコロレドの手を払いのけるときのヴォルフガングの動きがゆんと育三郎さんでは違うなどなど。稽古場でずっとマスク、外で一緒に食事することもできないから舞台上で会わないキャスト同士は顔が認識できないままだったり、スタッフさんもマスクだから外で会ってもわからないだろうと。コロナ禍の制約による苦労を乗り越えながら圧巻の舞台を帝国劇場に届けてくださり、Wヴォルフガングを観劇することができたのは奇跡でした。

 ミュージカルウィークに登場されたアンサンブルキャストのみなさん、『モーツァルト』の中でいちばん好きな曲は「モーツァルト!モーツァルト!」をあげる方が多かったようです。2幕終盤、市村正親さん扮する仮面をつけた人物から依頼された「レクイエム」をかくことに命を注ぐ場面、それまで羽ペンで曲をかき続けてきたアマデが見つめる中、「自分の力でかくのです」という依頼人のことばどおり、依頼人が落としたお金をコートのポケットに入れるとそのコートを脱いで狂ったように机に向かうヴォルフガング。そのヴォルフガングに向けてヴァルトシュテッテン男爵夫人、コロレド大司教、そしてそれぞれのキャストが自分のいくつもの旋律をうたいながら最後はかさなって重厚なコーラスになっていく「モーツァルト!モーツァルト!」。音楽の泉が涸れて力尽きたヴォルフガングがアマデの差し出した羽ペンで胸を刺し、アマデと共に命果てるフィナーレの「影を逃れて」まで、毎公演わかっているはずなのに鳥肌と涙、涙。

 仮面をつけた依頼人をヴォルフガングの父レオポルト役の市村さんが演じるのは小池先生のオリジナル、『モーツァルト』は家族の葛藤の物語でもあるという小池先生の想い、2014年公演のプログラムに掲載されたレオポルト像を読むと、市村さんがこのレオポルト像に忠実に演じられていることがわかります。 

2018年『モーツァルト』_家族の物語
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/d6e0021f79b76b90411634a1f521b5cd

https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/93b7638720293d5e787edf4419840769


『エリザベート』のトート、『モーツァルト』のアマデ、自分の中に存在するもう一人の自分を擬人化し、他の人にはみえないもう一人の自分と常に葛藤しながら生きる物語を生み出す精神性はどこからくるものなのでしょうね。今回アマデのトリプルキャストは全員女の子。14日と19日共に、設楽乃愛(しだらのあ)ちゃんでした。素顔はかなりの美人さんなんだろうなと思いました。目の力で役を生きるアマデ、今回はじめて小さいアマデがトートのように場面を支配しているようにも感じる場面がありました。記憶があやふやですが、アマデの手の動きの先からヴァルトシュテッテン男爵夫人が登場したきたようにもみえたり、2018年公演の時には場面を支配しすぎているように感じた巨大ピアノの舞台装置と物語の親和性が今回は高くなったこともあるかもしれません。ヴォルフガングの運命を左右する人々がアマデにあやつられるようにピアノの影から舞台に登場してくる、それぞれのおかれた状況によっても解釈がちがってくる奥の深い作品ということでしょうか。

「モーツァルト!モーツァルト!

 清らかで
 モーツァルト!
 神秘的
 モーツァルト!
 心ゆする
 魔術的
 モーツァルト!
 悦楽
 音楽の泉を持つ
 彼の中に
 何処から湧き出す?
 神がつかわした 奇跡の人
 時を超え輝く 永遠の星よ

 海を越え
 人を酔わせる
 のちの世に
 夢を見続けさせる
 新しい
 いつまで
 たっても
 モーツァルト!モーツァルト!
 癒される
 迷いと苦しみに
 勇気与え
 希望見出す
 その響きが立ち向かう
 この地上の痛みと悲しみ

 神がつかわした 奇跡の人
 世界果てる日まで 奇跡は終わらない
 神の子 モーツァルト!」






4月14日の帝国劇場





4月19日の帝国劇場







 圧倒的な音楽の力をもつミュージカル。札幌公演、無事に幕があがることを祈っています。和音美桜さんのナンネールのことも書きたいですが、いい加減長くなりすぎたのでまた後日にします。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。