ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、今月23日から日本を訪れるのを前にビデオメッセージを公開し「核兵器の破壊的威力が二度と行使されることがないよう皆さんとともに祈ります」と述べて、被爆地で核兵器の廃絶を訴える考えを示しました。
フランシスコ法王は、今月23日から4日間の日程で日本を訪れ、24日には被爆地の長崎と広島で核兵器の廃絶に向けてメッセージを打ち出すほか、25日は東京で天皇陛下との会見や安倍総理大臣との会談が予定されています。
訪日を前に18日、ローマ法王庁はフランシスコ法王のビデオメッセージを公開しました。
3分間ほどの長さのスペイン語のメッセージの中で、フランシスコ法王は冒頭「親愛なる友人の皆さんへ」と呼びかけ「あらゆる人の価値と尊厳を守るという、わたしたちの心に響く本能的な強い思いは、世界がいま直面している平和的な共存を脅かす脅威を前に、格段の重要性を持っています」と述べました。
そして「皆さんの国は戦争がもたらす苦しみをよく知っています。人類の歴史の中で核兵器の破壊的威力が二度と行使されることがないよう皆さんとともに祈ります。核兵器の使用は倫理に反します」と述べて、被爆地で核兵器の廃絶を訴える考えを示しました。
また、日本の自然の美しさに触れ「わたしたちの住みかであり、皆さんの文化において満開の桜に象徴される美しい地球のいのちをはぐくみ、守っていく望みをともに表明しましょう」と呼びかけました。
そして結びに「ともに過ごす日々が恵みと喜びのうちに豊かなものとなるよう期待しています」と述べ、日本での滞在を楽しみにしていることを伺わせています。
タイには法王のはとこが布教活動
フランシスコ法王は日本を訪れる前に20日から東南アジアのタイを訪問します。
タイでは法王のはとこにあたる修道女のアナ・ローサ・シボリさん(77)が現地のカトリックの学校で布教活動にあたっています。
シボリさんはフランシスコ法王と同じくアルゼンチンのカトリック信者の家庭で育ちましたが、50年ほど前にタイに移り、各地の学校で布教活動に取り組んできました。
現在は首都、バンコクから北東に570キロほど離れたウドーンターニーにあるカトリックの学校で副校長を務めています。
シボリさんは去年、バチカンを訪れた際にフランシスコ法王と面会していて、手紙のやり取りを通して交流を続けてきたということです。
シボリさんはフランシスコ法王がタイに滞在している間、行動をともにするということで、「
カトリックではない人たちも法王の訪問に関心をもち、楽しみにしている。私も彼が来るのがうれしいです」と話していました。(引用ここまで)
NHK ローマ法王 路上生活者など1500人を招き昼食 2019年11月18日 19時50分
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、路上で生活している人や、暮らしが困窮している家族など、およそ1500人をバチカンに招いてともにランチをとり、貧困対策に取り組む姿勢を改めて示しました。
フランシスコ法王は、おととしから11月17日をローマ・カトリック教会の「貧しい人のための日」に定めていて17日、バチカンに路上で生活している人や、暮らしが困窮している家族など、およそ1500人を招いて昼食会を開きました。
昼食会では、ラザニアや鶏肉料理、デザートなどがふるまわれ、フランシスコ法王もテーブルを囲んで一緒に食事をとりました。
同じテーブルに座っていた人によりますと、フランシスコ法王からどこに住んでいるのかなどを尋ねられたということです。
昼食会が終わると参加者には、パスタやオリーブオイルなどが手渡され、子どもとともに招かれた34歳の女性は「フランシスコ法王は困っている人に寄り添ってくれる。感謝したい」と話していました。
バチカンでは「貧しい人のための日」に合わせて、世界中から観光客が集まるサンピエトロ広場に1週間にわたって無料で医療サービスを提供する施設が設置されるなど、貧困対策に積極的に取り組むフランシスコ法王の方針が反映されています。(引用ここまで)
NHK ICAN 法王訪日で被爆地からのメッセージに期待 2019年11月15日 5時47分ローマ法王
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が今月下旬に長崎と広島を訪れることについて、ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンの事務局長は「各国政府が核兵器禁止条約に参加する圧力につながってほしい」と述べ、法王の被爆地からのメッセージが各国の具体的な行動につながることに期待を示しました。
おととしノーベル平和賞を受賞したICANのフィン事務局長は14日、スイスのジュネーブでNHKのインタビューに応じました。
この中で、今月23日から26日にかけて日本を訪れるフランシスコ法王について「核兵器を持つこと自体が非人道的だとはっきりさせた」と述べて、核廃絶に向けて一段と踏み込んだ姿勢を示したと評価しました。
そして「核保有国の中にこの問題に取り組む首脳がいないからこそ法王が立ち上がっている」と述べ、核軍縮が進まない現状ではフランシスコ法王の役割が重要になっていると強調しました。
そのうえで、長崎と広島への訪問について「核兵器の脅威について国際社会の関心を高め、各国政府が核兵器禁止条約に参加する圧力につながってほしい」と述べ、被爆地で打ち出すメッセージが各国の具体的な行動につながることに期待を示しました。
フィン事務局長は、今月6日にフランシスコ法王と会ってことばを交わすなど連携を深めていて、ICANとしても今回の訪日に合わせて核廃絶に向けた機運を高めていきたいとしています。(引用ここまで)