菅官房長官は27日午前の記者会見で、沖縄県の翁長知事が、アメリカ軍普天間基地の移設先の埋め立て承認を撤回する方針を示したことについて、一般論としたうえで、権限の乱用が認められれば、知事個人に対して損害賠償請求を行うこともあり得るという考えを示しました。
沖縄県の翁長知事は先週、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設に反対する集会で、移設を阻止するため、辺野古沖の海域の埋め立て承認を撤回する方針を明言しました。
これについて、菅官房長官は午前の記者会見で「わが国は法治国家であり、先般の最高裁判所の判決や去年3月の和解の趣旨に従い、今後とも国と沖縄県の双方が互いに協力して誠実に対応し、粛々と工事を進めていきたい」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「一般論だが、行政の長が法令によって与えられた権限を、その法令とは異なる目的で行使することは権限の乱用であり違法だ。違法な行為に対し、政府が損害賠償請求権の行使を含め法令に基づく所要の措置を講じていくことはあり得る」と述べ、知事個人に対して損害賠償請求を行うこともあり得るという考えを示しました。(引用ここまで)
甘い!
憲法と地方自治を否定する政権だとはっきりすることだ!
沖縄タイムス 菅氏「賠償請求」発言/「1強」のおごりを憂う 3/29
…日本は建前上は戦前も法治国家だった。議会で制定された法律に基づいて国家権力が行使されたからだ。だが、実際にはその法律や政府の法解釈の変更、拡大解釈によって国民の人権はしばしば侵害され、無謀な戦争を防ぐこともできなかった。
その反省にたって戦後、憲法の中に地方自治の章が設けられ、1999年の地方自治法改正で国と県は対等な関係になった。
国地方係争処理委員会は2016年6月、辺野古をめぐる現状について「国と地方のあるべき関係からかい離している」と指摘し、「双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力」を求めた。その精神を生かすことが解決への近道である。
政府は、前知事の埋め立て承認を唯一の法的よりどころとして基地建設を進める。
だが、選挙公約や慰霊の日の平和宣言など公的に表明してきたことと反する突然の「埋め立て承認」は、名護市長選、知事選、衆院選、参院選などによって政治的正当性を否定された。
戦後ずっと基地の重圧に苦しめられてきた沖縄に対して、新基地建設のために国家賠償法の発動までちらつかせるのは、「1強体制」のおごりというほかない。(引用ここまで)
琉球新報 知事に賠償請求検討/国家権力で抑え込むのか 3/29
・・・そもそも菅氏の発言は、政策に反対する市民運動などを萎縮させる目的で国や企業などが個人を訴えるスラップ訴訟の性格も帯びる。
国家賠償法では公務員個人に対して損害賠償を求める求償権があるが、専門家は県知事に対して求償権があるのは県であり、国ではないと指摘する。政権与党内に慎重論があるにもかかわらず、金田勝年法相は「所要の措置を検討している」と述べ、進める考えを示した。法解釈も都合よく自らに引き寄せ、新基地建設を拒否する民意も無視し、なりふり構わぬ姿勢が見える。
国は過去に、米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯建設に反対する市民を通行妨害で訴え、スラップ訴訟だと批判された。次は県民を代表する知事を相手取りスラップ訴訟をするつもりか。
国家権力で根強い反対の声を抑え込むのは法治国家ではない。(引用ここまで)